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令和7年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2025年2月19日

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【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和7年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
本定例会では、令和7年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

はじめに、我が国の経済情勢を見ますと、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されています。
しかしながら、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、アメリカの政策動向、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

区財政においては、歳入面で、海外景気の下振れなどによる減収リスクの他、ふるさと納税や税制改正の影響などによる減収が懸念される一方、歳出面では、長引く物価高騰の影響や、社会保障関連経費及び施設更新需要の増大など、区財政を取り巻く環境は、依然として不透明であり予断を許しません。

こうした状況にあっても、第三次実行計画の2年目にあたる令和7年度は、地域の社会経済活動の活性化、高齢者や子育て世代への支援など誰もが安心して住み続けられる環境の整備、災害に強い安全で安心なまちの実現、魅力あふれる賑わい都市の創造と地域の特性を生かしたまちづくりに区の総力を挙げ対応していかなければなりません。

このため、私の区政に対する2つの基本姿勢である「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」と「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」のもと、区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、また、未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように、力を尽くしていきます。

2 令和7年度の区政運営の基本認識

次に、令和7年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

はじめに、「防災対策の強化」についてです。
首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性が高まる中、マンション自主防災組織結成に向けた戸別訪問などマンション防災対策や、災害時に要配慮者を受け入れる福祉避難所の開設・運営訓練の支援など福祉防災の充実に取り組むとともに、気候変動に伴う大型台風や局地的集中豪雨などの対策にも取り組んでまいります。

災害時における被災者生活再建支援の強化については、新たに応急危険度判定をデジタル化するとともに、「新宿区震災復興マニュアル」を改定し、発災後における対応の更なる迅速化を図ってまいります。

また、震災時に避難所生活者等の情報受信・伝達手段を確保するため、一次避難所を対象とし、各避難所で停電時も利用できるWi-Fi環境の整備を行います。

マンション防災対策については、引き続きマンションへの戸別訪問を実施するとともに、防災備蓄品の購入費助成やマンション防災アドバイザー派遣を行うことにより、自主防災組織の結成を促進してまいります。

高齢者や障害者を対象とした福祉防災については、福祉避難所ごとの課題を踏まえた運営の検討や訓練などに取り組むとともに、新たに子育て支援施設等を事業対象にすることで、災害時における要配慮者支援体制の充実を図ります。

災害医療体制の充実については、発災後72時間程度における医療体制を強化するため、傷病者のトリアージ、軽症者に対する応急処置等を実施する緊急医療救護所を、災害拠点病院等に整備します。

また、視覚障害者の方などにとって有効な情報収集手段として、現在地における洪水などのハザードリスク情報を、音声案内で確認することができる専用アプリ、「耳で聴くハザードマップ」を導入します。

建築物等耐震化支援事業については、耐震化を促進するため、耐震改修工事に関する木造建築物及び非木造建築物の助成対象を見直すとともに、非木造建築物の耐震改修工事費助成及び特定緊急輸送道路沿道建築物の建替え・除却費の助成金算定方式を見直し、助成割合を引き上げます。
さらに、エレベーター防災対策改修支援についても、更なる安全確保の促進を図るため、助成対象を見直し、助成割合及び助成上限額を引き上げます。

こうした取組をより一層推進していくため、令和7年度も地域住民や消防、警察、ライフライン事業者等と連携した総合防災訓練を実施します。

また、現在、家庭備蓄を推進するため、全世帯を対象に携帯トイレや食料のサンプル、防災用品のあっせんパンフレットなどのセットを配付していますが、住み慣れた自宅での生活を継続する「在宅避難」とその備えの重要性について、引き続き、普及啓発に努めてまいります。

次に、「物価高騰対策」についてです。
昨年12月に、区議会臨時会で議決をいただいた住民税非課税世帯を対象とした物価高騰対策臨時給付金給付事業について、本年3月から対象となる世帯に給付金の支給ができるよう準備を進めています。

区はこれまで、学校給食費の無償化や、経営力強化支援事業、プレミアム付商品券事業などに取り組むとともに、物価高騰の影響を受けている社会福祉施設や子育て支援施設等への支援を実施するなど、子育て世帯を対象とした負担軽減や、地域の社会経済活動の正常化に向けた取組を進めてまいりました。

令和7年度については、新宿区商店会連合会が実施する区内の商店街で利用できる商品券事業「(仮称)商店街ハッピー商品券事業」に係る経費を助成し、地域に根ざした魅力ある商店街の活性化を図るとともに、学校給食費の無償化を継続するなど、物価高騰で影響を受ける区民生活を応援してまいります。また、個別の事業については、物価高騰及び労務単価上昇の影響を適切に反映させるとともに、社会経済情勢が不透明な中、今後の物価高騰対策については、国や都の動向を踏まえ、機動的に対応してまいります。

次に、「地域コミュニティの活性化」についてです。
昨年12月に、地域コミュニティの活性化を図るために「新宿区未来につなぐ町会・自治会ささえあい条例」を制定しました。
また、条例の施行と合わせ、条例が掲げる目的の実現に必要な施策を総合的に推進するため、「新宿区町会・自治会活性化推進プラン」の策定を進めています。
プランの策定後は、条例と一体的に運用することで、安全安心で快適な暮らしやすいまちの実現を目指してまいります。

次に、「DXの推進による区民サービスの向上」についてです。
令和7年度は、マイナンバーカードや運転免許証等を読み取り、氏名・住所等を申請書に自動転記できる窓口支援システムを試行導入するほか、窓口におけるキャッシュレス決済手段を拡充し、区民の利便性の向上に取り組みます。
さらに、来庁せずに手続きが行える行政サービスについて、簡単に検索ができるよう、案内ポータルサイトを構築するとともに、区役所本庁舎にコンビニと同じ証明書交付用のキオスク端末を設置し、コンビニ交付サービスの利用の促進につなげるなど、窓口の混雑緩和を図ります。
引き続き、「書かない」、「待たない」、「行かない」、「迷わない」の4つの視点に基づく、区民と行政の接点となるフロントヤード改革に取り組むことで、これまで以上に効率的で利便性の高い行政サービスを実現してまいります。

また、行政サービスのDX化を着実に推進するため、昨年6月に策定した「新宿区DX人材育成方針」と「DX人材育成スキルマップ」に基づき、管理監督者、一般職、専門職それぞれに応じた研修を計画的に実施することにより、職員一人ひとりの意識改革とスキルの向上を図ります。

以上の取組と合わせ、子育て世帯への支援、公共施設の更新など、多くの区政課題に適切に対応し、区民の皆様が安心して暮らせるよう、確かな歩みを進めるとともに、引き続き、基本構想に掲げる“めざすまちの姿”「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の実現に向けた取組と、これらを下支えする「健全な区財政の確立」・「好感度1番の区役所」とを合わせた「5つの基本政策」を柱として、施策を推進してまいります。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。

はじめに、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組の充実についてです。
多くの区民の皆様が健康づくりに積極的に参加できるよう、「しんじゅく健康ポイント」における新規参加者数の拡充や、「しんじゅくシティウォーク」の定員拡大を図り、気軽に健康づくりに参加するきっかけを提供してまいります。

高齢期の健康づくりと介護予防・フレイル予防については、企業等との連携により介護予防教室を開催するなど、高齢者が気軽に参加しやすい機会を提供し、介護予防事業の充実を図ります。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施では、高齢者の健診・医療情報等に基づき、要介護に移行しやすいハイリスク者を早期に把握し、訪問指導等個別支援を行うとともに、地域の様々な場での普及啓発や個別相談等を行うなど、高齢者がフレイル予防を実践できるよう医療専門職が総合的な支援を実施してまいります。

高齢者健康増進事業では、新たに「ふれあいクーポン事業」を実施し、ふれあい入浴証の月1回分を区立スポーツ施設の利用券として使用できるようにすることで、更なる高齢者等の健康増進及びふれあいの促進を図ります。

また、若年がん患者の在宅療養をサポートするため、40歳未満のがん患者に対し、在宅サービス等の費用の一部を助成する「若年がん患者の在宅療養支援」を新たに開始します。

受動喫煙防止対策については、公衆喫煙所の賃料や電気代などの維持管理費を新たに助成することで、公衆喫煙所の整備を促進していきます。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進についてです。
多様な世代が主体的に地域の担い手となって支え合うしくみづくりを推進するため、多世代に向けた地域支え合い普及啓発イベントや、区がオリジナルで作成した3つの体操・トレーニングの体験会を実施するほか、「地域支え合い活動」の実施場所に、高田馬場シニア活動館を追加します。

さらに、地域支え合い活動の促進を図るため、介護支援ボランティア・ポイントの付与対象となる活動に、区が実施する介護予防事業での活動などを追加することで、高齢者等への支え合い活動の担い手育成及び支援を促進します。

介護保険サービスの基盤整備では、払方町国有地に認知症高齢者グループホーム等を令和7年6月に開設し、要介護状態になっても、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援してまいります。

また、区内介護施設の施設利用者の安全を確保するため、東京都の補助金を活用し、介護事業者に対して、老朽化に伴う施設の大規模修繕等に係る経費を補助します。

聴力が低下した高齢者への補聴器の支給については、現物での支給に加え、新たに補聴器購入費の助成を行うことで、補聴器の選択の幅を広げていきます。

認知症高齢者への支援体制では、VR体験会を新たに実施し、認知症を知るだけではなく体験することにより、認知症の方への理解の促進を図ってまいります。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
障害者が住み慣れた地域で生活できるよう、払方町国有地においては令和7年6月に、中落合一丁目区有地においては令和7年10月に障害者グループホームを開設します。
また、中落合一丁目区有地を活用した障害者グループホームでは、新たな地域生活支援拠点として、短期入所の緊急枠を確保するとともに、拠点コーディネーターを配置し、緊急時に障害者を確実に受け入れる体制整備を行ってまいります。

障害児等を対象に放課後の日中活動支援を行う障害児等タイムケア事業については、18歳以上の障害者も事業の対象に加えるとともに、定員を拡充します。

また、障害者の地域移行を促進するため、地域移行に向けた調整を行った相談支援事業所に対し助成を行うことで、地域移行の一層の促進を図ってまいります。

障害者の特性に応じたコミュニケーション支援では、聴覚障害者等による区への問合せをスムーズに受け付けるため、電話代理支援を新たに導入します。

そのほか、在宅の重度心身障害者を対象とした巡回入浴サービスの利用回数上限の引き上げや、障害者及び難病患者等の日常生活用具の一部品目について、利用者の自己負担軽減を図ってまいります。

さらに、重度障害者等に対する通勤や職場等における支援を行うため、重度障害者等就労支援特別事業を開始します。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
すべての妊婦が保健師等の専門職に相談できる機会を設け、不安やリスクを早期に把握するとともに、継続的な支援を実施してまいります。

さらに、妊婦等の身体的、精神的ケア及び経済的支援を実施するため、現金または電子クーポンを支給する「妊婦のための支援給付事業」を新たに実施していきます。
産後の支援では、ショートステイ型の支援施設の利用日数を最大3泊4日から6泊7日に拡充するとともに、ショートステイ型の支援施設として新たに2施設を追加します。

児童相談体制については、児童相談件数が増加するなか、個人情報の管理の強化や緊急を要するケースへの対応の迅速化を図るとともに、業務の効率化及び質の向上を図るため、子ども総合センター・子ども家庭支援センターで行っている相談業務に、新たにタブレット端末を活用した業務支援システムを導入します。

また、本年4月から、子ども総合センター児童発達支援コーナー「あいあい」を、「児童発達支援センター」に位置付け、地域の中核的な療育支援施設として、高度な専門性に基づき、発達支援・家族支援などの事業を推進していきます。

保育基盤の整備については、待機児童ゼロが継続されていることから、適正な保育定員を維持することで、引き続き子育てしやすい環境を維持してまいります。

放課後の子どもの居場所の充実に向けた取組では、保護者が就労している児童が増加傾向にあることを踏まえ、学童クラブ及び放課後子どもひろば事業の更なる充実を図り、ニーズに合った放課後の居場所を選択できるよう事業を推進していきます。

学童クラブについては、花園小学校内学童クラブを新たに開設するとともに、戸山小学校内学童クラブをはじめとする3箇所の学童クラブにおいて、定員を拡充します。

また、令和6年度から夏休み等の学校長期休業期間中に実施している学童クラブにおけるお弁当配送サービスについて、区民の方からの声などを踏まえ、新たに始業式、終業式及び修了式にもお弁当配送サービスを実施するとともに、対象を学童クラブ機能付き放課後子どもひろばに登録する児童にも拡充し、更なる児童・保護者の負担軽減を図っていきます。

こうした取組のほか、本年3月に策定する「新宿区子ども・子育て支援事業計画(第三期)」に基づき、さまざまな施策を推進してまいります。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
昨今の不登校児童・生徒数は増加傾向にあり、その要因や背景は、複雑化・多様化しています。区では、不登校児童・生徒の学びの継続や社会的自立に向け、一人ひとりの状況に応じた支援に取り組んでいます。
令和7年度からは、チャレンジクラスを西新宿中学校に設置し、不登校生徒が安心して通える教育環境を整備するとともに、不登校対応巡回教員を配置し、支援体制の強化を図ります。
また、スクールソーシャルワーカーを増員し、各校の課題への対応力を高めるなど、個々の状況に応じた支援を更に充実させます。

教育環境の充実については、近年、夏の暑さが増し、また、その期間が長くなっていることから、学校行事等の実施に当たっても更なる熱中症対策の充実が求められており、安全かつ安心に学校生活を送ることができるよう、区立学校すべてに給水スタンドを設置してまいります。

また、タブレット端末を活用した読書環境や学習環境のあり方を検証するため、早稲田小学校及び西新宿中学校をモデル校としてタブレット端末を活用した電子図書サービスを試行導入します。

校舎の増築については、四谷小学校は令和7年度2学期から、西新宿小学校は令和8年度1学期からの利用開始に向け、引き続き整備を進めていきます。

このほか、区では、学習意欲があり、かつ経済的な理由で高等学校・高等専門学校等への修学が困難な方を対象として、奨学資金貸付制度を実施しています。入学準備に係る経費が増加している現状を踏まえ、昨年6月に、制度を改正し、入学準備金の貸付金額を増額するとともに、返還免除規定を追加しました。
引き続き、ひとりでも多くの方が、ご家庭の経済状況に関わらず、自分の希望する学校で学べるよう、支援してまいります。

未就学児の教育の充実については、子どもたちの豊かな心を育てるため、幼稚園や保育所等の環境や強みを活かしながら、各園が設定するテーマに沿って、乳幼児の興味・関心に応じた探究活動を行う「とうきょうすくわくプログラム」を、令和6年度から、希望する私立認可保育所、私立認定こども園、認証保育所、区立幼稚園で先行実施しています。令和7年度は、区立認可保育所や区立認定こども園でも実施します。

次に、セーフティネットの整備充実ですが、ひきこもり相談支援事業のメニューを拡充し、個別の状況に応じたきめ細かな支援を実施します。また、区のひきこもり施策の周知啓発に取り組むとともに、研修の実施等を通じて職員のスキルアップを図り、より多くの方に適切な支援を届けられるよう体制を強化します。

ホームレスの自立支援の推進については、本年3月に「第5期ホームレスの自立支援等に関する推進計画」を策定し、ホームレスの人権や自立支援に関する区の取組を広く周知するため、新たにハンドブックを作成し、配布してまいります。

このほか、離職等により住居を失った又はその恐れがある生活困窮者を支援するため、転居費用を支給します。また、生活保護受給世帯の子どもが就職する場合の新生活立ち上げを支援するため、新たに高等学校等卒業後の就職者を対象として給付金を支給します。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
共働き世帯は年々増加傾向にある一方、男性と女性の家事や育児に関する時間は大きな開きがあるため、これまでの「男性の育児・介護サポート企業奨励金」を申請しやすい制度に見直し、中小企業における男性育児休業や、介護休業の取得を後押しするため、「パパサポート企業奨励金」及び「介護サポート企業奨励金」に変更します。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
本年4月から、町会・自治会とマンションの接点づくりとして、「新宿区未来につなぐ町会・自治会ささえあい条例」によりマンションの建築主や管理者等の連絡先の提出を義務付けることで、町会・自治会とマンションとの連携・協力を後押ししていきます。

また、地域活動への支援として、地域センターが区内で地域コミュニティ活動を行う団体に対して貸し出す物品に、AEDを追加するとともに、町会・自治会等への地域コミュニティ事業の助成金額を引き上げます。さらに、利用者の利便性向上のため、区民ホールのインターネット予約受付システムを新たに導入します。

大久保通り周辺については、新宿観光振興協会と連携し、人流の集中を防ぐために、SNSを活用して大久保地区の回遊性の向上を図り、混雑緩和につなげていきます。
また、ゴールデンウィークやシルバーウィークなどの混雑期間中、歩道上の混雑緩和・事故防止のため、雑踏警備を強化します。
さらに、歩行者が快適に通行できるよう、歩行空間の拡大に向けた社会実験の検討を進めていきます。
こうした取組に加え、新大久保ルールの普及啓発やまちの環境美化対策に引き続き取り組むことで、「暮らしやすく快適に過ごせる大久保のまちづくり」を官民一体となって推進してまいります。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
新宿区勤労者・仕事支援センターを中心に、就労意欲のある障害者や高齢者、若年非就業者などに対し、総合的な就労支援を引き続き実施していきます。

高齢者や障害者等の住まい安定確保については、改正住宅セーフティネット法が昨年6月に公布され、居住サポート住宅などの新たな制度が創設されることから、新宿区居住支援協議会において、昨年12月から新たに学識経験者を加え、制度を運用するにあたっての具体的な検討を進めています。

次に、基本政策の第二の「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。

本年1月に改定した「新宿区耐震改修促進計画」に基づき、これまで以上にスピード感をもって耐震化を促進してまいります。

擁壁・がけの安全化の総合的な支援においては、土砂災害特別警戒区域の指定解除に向け、すべての地域において助成対象を拡充するとともに、助成割合及び助成上限額を引き上げます。

木造住宅密集地域の防災性強化では、若葉・須賀町地区において、老朽化した木造住宅の建替えや共同化を推進するとともに、道路、公園等の公共施設を整備し、地区の防災性の向上と住環境の改善を図ります。

また、共同建替え等にあわせた道路等の基盤整備を促進しながら、まちの不燃化を進めていくため、新たな道路用地の買収等に取り組みます。

再開発による市街地の整備について、西新宿五丁目南地区は、令和7年度の都市計画決定に向けた手続き等を進め、令和8年度の事業認可を目指してまいります。
また、西新宿三丁目西地区においては、令和8年度の権利変換計画認可を目指し、権利者の合意形成などを進めていきます。

災害に強い都市基盤の整備では、道路の無電柱化を推進することにより、歩行空間のバリアフリー化や美しい都市景観の創出を図ります。女子医大通り、四谷駅周辺区道、上落中通り、水野原通りの整備に、令和7年度も引き続き取り組むとともに、区内の無電柱化整備の更なる加速化を図るため、「新宿区無電柱化推進計画」の令和8年度の改定に向けて準備を進めてまいります。

また、道路の治水対策では、「東京都豪雨対策基本方針」に基づき、道路の透水性舗装の整備面積を拡充し、区内における水害の軽減を図ります。

橋りょうの整備については、「新宿区橋りょう長寿命化修繕計画」に基づき、計画的な補修・補強を実施することにより、健全かつ安全な維持管理を推進します。令和7年度は、羽衣橋、田島橋、上落合八幡歩道橋の補修工事を実施します。

災害に強い体制づくりでは、避難所の開設・運営訓練の実施や災害用備蓄物資の計画的更新、帰宅困難者対策の推進等により、災害時における体制の充実を図ってまいります。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
新宿駅周辺地域について、来街者の安全を確保し、秩序ある環境を維持するため、昨年6月に「新宿駅周辺地域の安全で秩序ある環境の確保に関する条例」を施行しました。引き続き国内外からの来街者の増加が予想されるハロウィン時期には、必要な周知啓発を徹底するとともに、路上飲酒の制限及び雑踏事故防止対策を実施してまいります。

空家等対策の推進については、本定例会に上程している「新宿区空家等及び廃棄物に起因する管理不全状態にある土地等の適正管理に関する条例」に基づき、空家、特定空家及び管理不全空家等に加え、長屋の住戸やごみ屋敷も含めた適正な管理を推進するため、「新宿区空家等対策計画」を改定します。

次に、感染症の予防と拡大防止についてです。
感染症のまん延時において、地域の保健師等の専門職が保健所などの業務を支援する仕組みであるIHEATについて、登録要員向けの研修を引き続き実施するなど、健康危機管理体制の運営を行ってまいります。また、新型コロナウイルス感染症対応の経験を踏まえ、令和7年度に「新宿区新型インフルエンザ等対策行動計画」を改定します。

HIV・性感染症については、まん延防止のため、歌舞伎町シネシティ広場や大久保公園周辺の繁華街において、若者などを対象とした普及啓発や健康相談等を引き続き実施するなど、性感染症対策に取り組んでまいります。
また、HPVワクチンの接種においては、昨年夏以降の大幅な需要の増加により、接種を希望しても受けられなかった方がいる状況等を踏まえ、本年度末で終了する女性のHPVワクチン定期接種のキャッチアップ接種及び区の独自事業であるHPVワクチン男性予防接種について、本年3月末までに接種を開始した方が全3回の接種を公費で完了できるよう、経過措置期間を延長します。

このほか、新型コロナウイルスワクチンの定期接種化に伴い、公害健康被害認定者の新型コロナウイルス予防接種の自己負担額を助成します。

次に、良好な生活環境づくりの推進についてです。
住環境の保全・向上を図るため、昨年2月に策定した「マンション管理適正化推進計画」に基づき、「マンション管理計画認定制度」を実施しており、小規模かつ高経年のマンションを含め、管理不全のマンションに対しては、助言・指導等を行うことで、管理状況の改善を促していきます。
また、マンション管理情報をインターネット上で提供することにより、情報量を充実させ、マンション管理組合の運営に関する啓発活動を推進してまいります。

路上喫煙対策については、「新宿区空き缶等の散乱及び路上喫煙による被害の防止に関する条例」を改正し、条例で禁止する路上喫煙の対象に、加熱式たばこを加えることにより、更なる受動喫煙の防止と環境美化を図り、たばこを吸う人も吸わない人も快適に過ごせる環境づくりを推進していきます。

このほか、コンビニエンスストア事業者と連携し、AEDを、区内店舗に設置することで、心停止傷病者の救命率向上を図ってまいります。

次に、基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」です。

はじめに、回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくりについてです。
新宿駅直近地区では、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、新宿グランドターミナルとして、駅や駅前広場、駅ビル等の一体的な再編に取り組んでいます。
令和7年度は、新宿駅北東部地下通路線の整備に向けた調整を行うとともに、新宿駅東口における都市施設や地区計画などの都市計画変更に向けた検討を、引き続き行います。
また、新宿駅周辺では、新宿三丁目駅前西地区や西新宿一丁目商店街地区などにおいて、地元組織や東京都と連携し、各地区の個性や魅力を活かしたまちづくりを進めてまいります。

次に、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現については、歌舞伎町地区における、シネシティ広場周辺の滞留者やごみの不法投棄、まちの回遊性促進など、様々な地区内の課題を解決するため、令和8年度の「(仮称)歌舞伎町エリアマネジメント基本方針」の策定に向け、検討を進めてまいります。

次に、地域特性を活かした都市空間づくりについてです。
本年3月に策定する「マンション等まちづくり方針」に基づき、民間事業者に対して市街地環境の向上を要請していくため、区への事前協議を義務付ける「(仮称)大規模マンション及び都市開発諸制度等を活用する開発計画に係る市街地環境の整備に関する条例」を制定するとともに、「ワンルームマンション等の建築及び管理に関する条例」を改正し、対象を拡大することで、近隣とのトラブル防止や良好な住環境の形成をより一層図っていきます。

高田馬場駅周辺地区については、地域課題やまちの将来像を区民・事業者・行政等が共有し、連携して広域的なまちづくりを進めるため、「高田馬場駅周辺まちづくり方針」の実現に向けた検討を進めていきます。

また、西早稲田駅周辺地区においては、令和5年度に立ち上げた地元組織とともに、まちづくりのルール策定に向けた検討を進めることで、地元におけるまちづくりの機運醸成を図ります。

このほか、平成30年度に策定した都市マスタープランを令和9年度に改定するため、土地利用や都市交通整備、防災まちづくりなどについての基礎調査を実施してまいります。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりについてです。
誰もが利用しやすく、わかりやすい質の高い都市空間を創出するため、建築等の計画段階から協議を行い、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めていきます。

また、「新宿区移動等円滑化促進方針」に基づき、高齢者や障害者など当事者の皆様との意見交換を実施していくとともに、民間事業者とも連携しながらバリアフリーの道づくりを進めてまいります。令和7年度は、新宿通り、中央病院通り、BIZ新宿前区道を整備します。

次に、道路環境の整備についてです。
道路の改良については、引き続き早大通りの車道の改良工事を進めるとともに、江戸川橋通りの歩道の拡幅や点字ブロックの設置などに向けた整備を進めてまいります。

また、街路灯のLED化を着実に推進するほか、道路の遮熱性舗装の実施や、環境に配慮した舗装等の検討を進め、道路の環境対策を推進していきます。

次に、交通環境の整備についてです。
歩行者、自転車、自動車それぞれが、安全かつ安心して通行できる道路空間の創出に向けて、「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、自転車通行空間を整備してまいります。

商業施設等に対して施設の規模に応じた駐輪場の設置を義務付ける「駐輪場附置義務制度」については、本年度検討を進めている見直しの方向性を踏まえ、「新宿区自転車等の適正利用の推進及び自転車等駐輪場の整備に関する条例」の改正手続きを進めるほか、地域特性に合わせた新たな制度の導入に向けた検討を進めていきます。

また、本年度実施している「AIオンデマンド交通」の実証運行の結果を踏まえ、引き続き新たな地域交通の導入に向けて交通事業者等と検討を進めていきます。今後も高齢者、障害者や子育て世代など、誰もが快適に移動でき、住み続けたいと思える新宿のまちの実現を目指してまいります。

西武新宿線の高田馬場駅から西側の開かずの踏切対策については、引き続き地域住民の皆様と情報共有を図るとともに、鉄道立体化等に向けた検討を進めていきます。
また、鉄道立体化までの対策として、歩行者通行量調査を実施するとともに、歩行者ボトルネック踏切拡幅等について関係機関との協議を行っていきます。

京王線新宿駅のホーム中央やJR新宿駅と接続する地下連絡通路では、混雑により歩行者の円滑な移動が妨げられているなどの課題を解決するため、東京都や鉄道事業者と連携し、バリアフリーに配慮した乗換え経路の新設等、京王線新宿駅の総合的な整備を引き続き促進してまいります。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、「花のもり」の整備を進めるとともに、小さなお子さんを連れた方々にも快適に利用してもらえるよう、ちびっこ広場に乳幼児等休憩施設を整備します。なお、令和7年度で新宿中央公園のリニューアル工事が完了することから、完成記念イベントを開催します。

みんなで考える身近な公園の整備では、中落合の「西坂公園」の再整備を行うとともに、「榎町公園」について、地元の皆様からの意見を聞きながら再整備に向けた計画を作成します。

また、区立公園におけるみどりの保全に向けて、本年度から4年間にわたり公園樹木の健全度調査を実施しています。令和7年度からは、健全度調査の結果を踏まえ、必要な樹木に対して詳細な診断を実施し、利用者や近隣住民の方の安全・安心の確保に取り組みます。

区の貴重な観光名所、景観資源である神田川の桜並木については、本年3月に改定する「新宿区街路樹管理指針」や生育状況や生育環境を踏まえ、桜並木の承継に向けた取組を進めます。令和7年度は淀橋から小滝橋までの区間を対象に、区民等の参加のもとアクションプランを作成し、未来に向けて桜並木を維持できるよう取り組んでまいります。

このほか、「みどりの実態調査」を実施し、これまでの緑化推進施策を検証するとともに、今後の施策に反映するための基礎資料として活用していきます。

次に、地球温暖化対策の推進についてです。
「第三次環境基本計画」に基づき、地球温暖化対策の取組を一層推進し、ゼロカーボンシティ新宿の実現を目指します。
そのため、区民や事業者向けの省エネルギー機器等の設置助成について、「個人住宅向け蓄電池システム」や「事業所向け高効率空調設備」などの補助件数を拡充するとともに、区有施設の照明設備LED化についても引き続き計画的に推進してまいります。
また、伊那市、沼田市、あきる野市にある3つの「新宿の森」のカーボン・オフセット事業における森林整備面積を拡大するほか、沼田市に加え、伊那市においても植林を実施し、CO₂吸収量の増大を図ります。
さらに、区内大学と連携し、学生の視点からCO₂削減に向けて自分たちが実践できる取組について議論、提案していただく会議体を新たに設置し、提案内容を事業構築につなげていくことで、若者の環境意識啓発を行います。

次に、資源循環型社会の構築についてです。
区民、事業者、区の意見交換の場である「3R推進協議会」を運営し、相互に理解を深めながら、ごみの減量とリサイクルの促進に取り組んでまいります。

食品ロス削減については、「食品ロス削減協力店登録制度」やフードドライブの取組を推進するとともに、区民の協力による家庭における食品ロス発生量等のモニター調査の募集人数を拡大し、調査結果から具体的な削減事例をまとめ普及させるほか、施策の見直しにも活用します。

また、本年4月から乾電池に加え、リチウムイオン電池やボタン電池の回収を資源・ごみ集積所で開始することで、電池の捨て方を分かりやすく統一するとともに、不適切な排出を削減し、処理施設等での発煙や発火事故の防止を図ります。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
しんじゅく逸品については、販路開拓等支援に取り組むとともに、新たな選定方法によるしんじゅく逸品の登録を実施することで、新宿ブランドの発信や地域経済の活性化を推進します。
染色業、印刷・製本関連業の地場産業の振興では、新宿区染色協議会が製作した晴れ着をはたちのつどい会場で貸し出すほか、ふれあいフェスタでの和綴じ本の体験教室の実施や、新宿観光案内所での「Azalée」柄商品の販売などを通じて、地場産業の魅力を引き続き発信していきます。

中小企業の支援では、これまで区内中小企業・個人事業主向けに実施してきた「商工相談」と「ビジネスアシスト新宿」の機能を統合し、経営相談と専門家派遣との連携により、経営課題の把握から改善までを一体的に支援する「経営サポート事業」を開始します。また、専用ホームページによる情報発信や、経営力強化につながる講座・セミナーも開催するなど、中小企業支援を総合的に展開してまいります。

次に、新宿の多様な魅力による賑わいの創造についてです。
「新宿フィールドミュージアム」のコアイベントとして開催している都市型音楽フェス「SHIN-ONSAI」については、サーキット型イベントの会場数を拡充し、複数の区内ライブハウスと連携した取組を引き続き行います。

また、令和7年12月に新宿文化センター大ホールがリニューアルオープンすることを記念して、オープニングコンサートや狂言など、記念イベントを実施してまいります。

次に、国際観光都市・新宿としての魅力の向上についてです。
新宿観光振興協会と連携し、インバウンド向けの観光プロモーション動画を制作し、新宿の魅力を世界に向けて発信していきます。
また、外国人観光客に、ごみの捨て方、路上飲酒、民泊施設の利用の仕方などの新宿のルールや、滞在中のマナーを啓発するほか、災害時の対応方法などの情報を広く発信します。新宿観光特使でもあり、世界中で親しまれている「ゴジラ」とコラボレーションし、より効果的な情報発信を展開してまいります。

このほか、ふるさと納税の返礼品については、引き続き、しんじゅく逸品の品物などの「モノ消費」と、新宿の魅力を体験できる「コト消費」により、多くの方が新宿を訪れるきっかけづくりを推進してまいります。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
スポーツ環境の整備については、本年改定の「新宿区スポーツ環境整備方針」に基づき、スポーツ体験教室や、パラスポーツ体験会を引き続き実施するとともに、障害者向け運動教室の実施回数を増やし、全ての人がライフステージなどに応じて、様々なスポーツ活動に親しめる環境の充実を図ります。

また、本年開催が予定されている東京2025世界陸上・東京2025デフリンピックが、次世代を担う子どもたちの記憶に残るものとするため、気運醸成イベントを開催します。

このほか、新宿区スポーツ施設整備基金を活用して、落合中央公園野球場の夜間照明LED化等工事を行うとともに、新宿コズミックスポーツセンターにおいては、大体育室床面等改修工事を実施します。
なお、落合中央公園野球場の工事に伴う利用中止期間の代替地として、民間グラウンドを借上げ、区民に開放してまいります。

多文化共生のまちづくりの推進では、第7期「新宿多文化共生まちづくり会議」で、「多文化共生の推進に向けた交流について」議論をしていただくとともに、外国人への情報提供や外国人相談、日本語学習支援、しんじゅく多文化共生プラザを拠点としたネットワーク事業などに引き続き取り組んでまいります。

次に、平和都市の推進についてです。
令和8年3月に、新宿区平和都市宣言40周年を迎えることを記念して「平和のつどい」を開催するとともに、戦後80年を迎え、戦争体験者が年々少なくなる中、今後も戦争の悲惨さや平和の大切さについて次世代に継承していくために、戦争体験者の証言を取りまとめた戦争体験談集を作成します。
また、新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業を引き続き実施してまいります。

次に、3つの基本政策を下支えする基本政策、「健全な区財政の確立」と、「好感度1番の区役所」についてです。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望していきます。

また、財政基盤の強化に向けた取組では、特別区民税等と国民健康保険料の滞納整理業務の一元化に向けて、本年2月から新宿区納付案内センターを開設しています。引き続き、一層の歳入確保のため、業務の効率化や収入率の向上を図ってまいります。

公民連携の推進では、引き続き民間提案制度を活用するとともに、専門性を持った民間複業人材を複業人材アドバイザーに登用します。また、ネーミングライツについて、民間事業者から対象施設や愛称を募集するなど、様々な公民連携の手法を推進することで、行政サービスへの民間活力の効果的な導入を図ってまいります。

このほか、行政サービスを支える職員と区組織の結びつきを高めることで、組織の健全化や組織力の向上、個人の意欲向上を図り、人材の定着につなげるため、令和7年度に、職員が組織・仕事に対して抱いている想いなどを聴き取るための「エンゲージメント調査」を実施します。

次に、新宿区の基本構想についてです。
平成23年に地方自治法が改正され、自治体の基本構想策定義務がなくなりました。
現在、区では、概ね2025年を想定した新宿区のめざすまちの姿を、「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」と定めた基本構想の下、各種政策を推進しています。
令和7年度は、令和10年度からはじまる総合計画の策定に向けて準備を始める年度となるため、庁内検討会を立ち上げ、現行の総合計画等の検証を行い、新たな総合計画と基本構想の策定に向けた検討を進めてまいります。

また、現在の区有施設の状況や運営コスト等の実態把握、分析・評価をまとめた「新宿区施設白書」を作成し、令和9年度の「新宿区公共施設等総合管理計画」の改訂に向けた基礎資料として活用し、施設のマネジメントの強化を図っていきます。

3.2 令和7年度予算の概要

次に、令和7年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和7年度予算案についてです。

政府の令和7年度予算案は、「R6経済対策・補正予算と合わせて、『賃上げと投資が牽引する成長型経済』へ移行するための予算」として編成されました。具体的には、複数年度で計画的に取り組むこととしている、AI・半導体分野の投資促進やGX投資促進を官民連携のもとで着実に進め、成長力を強化するとともに、こども未来戦略に基づく子育て支援の本格実施や、防衛力の抜本強化の着実な実施といった、内外の重要課題への対応のほか、地方創生交付金の倍増、内閣府防災担当の予算定員の倍増など、国の重要政策に重点配分した予算となっています。
一般会計予算は115兆5,415億円で、前年度と比較して2兆9,698億円の増となっています。
税収は78兆4,400億円で、前年度と比較して8兆8,320億円の増となっています。

また、東京都は令和7年度予算を「不確実性が高まる社会情勢の中、『成長』と『成熟』が両立した持続可能な都市の実現に向けて、全ての人が輝く東京の未来を切り拓く予算」として編成しました。
都税は6兆9,296億円で、前年度と比較して5,431億円、8.5%の増となっています。
一般会計の予算規模は9兆1,580億円で、前年度と比較して7,050億円、8.3%の増となっています。

続いて、区の令和7年度予算案についてです。

令和7年度の予算は、編成の基本方針を「物価や賃金、金利等の上昇を前提とした新たな局面を迎えるなか、現下の社会経済状況の変化に的確に対応しつつ、中長期的な区政課題に対応するための安定した財政基盤を確立する予算」と位置付け、第一に、社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、限られた財源を選択と集中により配分すること、そして、第二に、行政評価に加えて徹底した状況分析を行った上で、デジタル技術等を活用して効果的・効率的な事業に再構築するなど、安易な前例踏襲に陥ることなく事務事業の抜本的な見直しを図ること、この二点を基本に編成しました。

一般会計は1,884億円で、前年度と比較して39億円、2.1%の増となり、3つの特別会計を合わせた令和7年度予算案の総額は2,634億円で、前年度と比較して44億円、1.7%の増となりました。

一般会計は、法改正に伴う児童手当や、新宿文化センターの設備整備、各種システム運用経費の増などにより扶助費や普通建設事業費、物件費が増となり、歳出総額が対前年度39億円、2.1%の増となりました。

現在、物価や賃金の上昇によって、「モノの値段が上がる」新たな時代に直面しており、区を取り巻く財政環境は予断を許しません。
特別区税や特別区交付金などの一般財源の63億円の増に加えて、歳出予算で、予算編成方針に掲げた、徹底した事業検証、決算不用額の精査や、新規・拡充には既存事業見直しによる財源確保、また区有財産の有効活用によって、70億円の一般財源を確保し、財源不足額は前年度と比較して57億円、54.3%減の48億円に圧縮できました。しかしながら、財政調整基金を取り崩さなければならない状況となっており、人件費、委託料や建設コストの上昇の影響は大きく、令和7年度の予算規模は過去最大を更新しています。

今後もエネルギー・食料品価格の高騰、金融資本市場等の変動や今後の住民税を含む税制改正に関する議論など社会経済情勢の不透明な状況が想定される中、人口減少・少子高齢化における社会保障関連経費の増加、デジタル化への対応、脱炭素化への取組、災害リスクへの備え、公共施設の老朽化に伴う更新・改修需要など、必要経費は将来に向かって更に増加することが見込まれます。

このような状況においても、将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、社会経済情勢を慎重に見極めながら、将来需要を的確に捕そくし、更なる歳入の確保と歳出の削減を図ることが不可欠です。

区民サービスの向上に資するデジタル化を進めるとともに、不断の行財政改革に徹底して取り組み、区政を取り巻く環境の変化に対応した持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

今後も、現場現実を重視し、区民の皆様の声をお聴きしながら、誰もが安心して住み続けられる新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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