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令和5年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2023年2月16日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和5年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。

本定例会では、令和5年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症は、本年5月8日から「5類感染症」に位置付けられる方針が国の「新型コロナウイルス感染症対策本部」で決定されていますが、いまなお収束には至っておらず、また、季節性インフルエンザとの同時流行についても、引き続き警戒が必要な状況が続いています。
こうした中にあって、医療や福祉の現場で新型コロナ対応にご尽力いただいている関係者の皆様に、深く感謝を申し上げます。
また、区民や区内事業者の皆様におかれましても、感染防止対策の徹底にご協力いただき、ありがとうございます。
引き続き、感染防止対策に取り組むとともに、これまでの新型コロナ対応の経験を踏まえ、感染拡大に備えてまいります。

我が国の景気は、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、持ち直していくことが期待されています。しかしながら、その先行きについては、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクに十分注意するとともに、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や、中国における感染拡大の影響に十分注意する必要があります。

また、昨年から続くウクライナ情勢の長期化などによる原油価格や物価の高騰がおさまらず、電気・ガス等の光熱費の高騰に加え、食料品の値上げが相次ぐ中、本年1月の東京都区部における消費者物価指数は前年同月比4.3%の上昇と、昭和56年5月以来41年8か月ぶりの高い水準となっています。これまでの新型コロナの影響も重なり、区民生活や区内事業者の経営は、非常に厳しい状況が続いています。

区財政においては、一定の財政対応力を保持しているといえますが、原油価格・原材料価格の高騰など社会経済情勢の不透明な状況が続いており、厳しい財政運営が想定されます。

このような状況にあっても、区民生活を支え、感染拡大に最大限の警戒を払いつつ、地域の社会経済活動の本格的な正常化に向けて取り組んでいかなければなりません。

そのため、私は「物価高騰対策による区民生活・事業者の支援」と「コロナ禍からの地域活動の再起動と経済の活性化」に迅速に取り組んでまいります。特に、新型コロナや物価高騰が区民生活や事業者にもたらす影響に対しては、年度途中であっても、補正予算の編成など機動的に対応してまいります。
そして、現場現実を重視しながら、区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、また、未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように、力を尽くしていきます。

2 令和5年度の区政運営の基本認識

次に、令和5年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

はじめに「物価高騰対策による区民生活・事業者の支援」についてです。

長引く物価高騰等による影響を踏まえ、区では、これまでに生活支援臨時給付金や、ひとり親世帯支援特別給付金等による区民生活の支援に取り組んできました。
また、商工業緊急資金(特例)や、公衆浴場運営費助成の拡充等による中小企業者・地域経済活性化への支援を行うとともに、高齢者・障害者、社会福祉施設等の日常生活への支援や、子育て支援施設、指定管理者等への支援、小・中学校の給食費の補助を行うなど、区民サービスの水準の確保にも取り組んでいます。

さらに、子育て世帯の負担軽減を目的として実施する学用品費等の支援については、令和4年度中に対象となる全ての方への支給が完了できるよう、手続きを進めています。

今後も、国や都の物価高騰対策の動向を注視しながら、新型コロナの影響や社会経済情勢の不透明な状況が続く中、景気動向を見極めるとともに、区の財政状況も勘案した上で、区民生活や事業者への支援、区の事業などによる区民サービスの水準の確保などに的確に取り組んでまいります。

次に、「コロナ禍からの地域活動の再起動と経済の活性化」についてです。

新型コロナの感染状況を見極めながら、感染拡大に最大限の警戒を払いつつ、地域の社会経済活動の本格的な正常化に向けた取組を強化していかなければなりません。

そのため、町会・自治会活動をはじめとする地域コミュニティ活動の再起動に向けて取り組んでまいります。また、「ふれあいフェスタ」をはじめとする大規模なイベントを本格的に再開するとともに、今後のインバウンド需要の回復を見据えた海外へのプロモーションの充実に向けて、国際観光都市・新宿としての魅力の発信を強化し、魅力あふれる賑わい都市の創造に取り組んでまいります。

地域経済活動の活性化に向けては、新たに「中小企業経営力強化支援事業」を創設し、これまでのコロナ禍において影響の大きかった店舗を中心とした支援から、区内全中小企業を対象に総合的な支援を行ってまいります。
また、商工業緊急資金(特例)については、引き続き貸付限度額や貸付期間を拡充して実施するとともに、創業資金について補給利率を拡充します。
さらに、金銭面の支援に加えて、事業者の経営力の強化に向けて取り組んでまいります。

このほか、プレミアム付き商品券については発行部数を10万冊から30万冊へと大幅に増やすとともに、新宿応援セールを引き続き実施していくことで、区内事業者や商店街の支援に取り組んでまいります。

次に、区政全般についてです。

令和5年度は、第二次実行計画の最終年度として総仕上げに取り組むとともに、第三次実行計画を策定する極めて重要な年です。
区民生活の現場・現実を踏まえ、直面する区政課題の解決に向けて、着実に前進していけるよう、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の実現に向けた取組と、これらを下支えする「健全な区財政の確立」・「好感度1番の区役所」とを合わせた「5つの基本政策」に、区の総力を挙げて取り組んでまいります。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、基本構想に示す「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。

はじめに、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組の充実についてです。
コロナ禍において運動不足が課題となっている中、「しんじゅく健康ポイント」における新規参加者数の拡充や、しんじゅく健康スタンプラリーの実施、ウォーキングイベント「しんじゅくシティウォーク」の再開などにより、気軽に健康づくりに参加するきっかけを提供してまいります。

また、長引く外出自粛に加えて、人との関わりが減ることで、フレイルの進行が懸念されています。このため、「新宿いきいき体操」と「新宿ごっくん体操」「しんじゅく100トレ」の普及啓発に積極的に取り組み、高齢期の健康づくりと介護予防・フレイル予防を一層推進してまいります。

さらに、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施については、モデル実施の結果を踏まえ、医療専門職チームを設置し、高齢者総合相談センターや医療機関などの関係機関と連携しながら、フレイルハイリスク者への訪問指導や、通いの場などでの健康教育等を通じて、総合的な支援を実施してまいります。

生活習慣病の予防については、新型コロナに感染した場合に重症化リスクが高いとされる糖尿病治療患者等への食生活の改善、適切な運動習慣の実践などを推進するとともに、国民健康保険のレセプトデータを用いて生活習慣病の治療を中断している方への受診勧奨を実施します。

女性の健康づくりの推進では、女性の健康週間イベント「なるなるフェスタ」のイベントの再開をはじめ、女性の健康意識の向上を図ってまいります。

自殺対策については、本年3月に策定する「第2期新宿区自殺対策計画」に基づき、新たにYouTube広告を活用したインターネットゲートキーパー事業を実施するほか、若者や女性の自殺者が増加している実態を踏まえ、学識経験者や支援団体等からなる検討部会を設置します。また、自殺対応の専門家による区職員向け支援を開始し、相談体制の強化を図ってまいります。
これらの取組を通じて、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指してまいります。

歯科健診については、対象年齢を20歳以上から16歳以上へ引下げるとともに、訪問歯科健診の周知を強化していくことで、より多くの方が受診できる機会を提供してまいります。

また、3歳児健診では、乳幼児の弱視を早期に発見し、適切な治療や支援につなげることができるよう、新たに屈折検査機器を活用した視力検査を実施します。

こうした取組をより一層推進していくため、令和5年度に「第5期健康づくり行動計画」及び「第2次国民健康保険データヘルス計画・第4期特定健康診査等実施計画」を策定し、効果的かつ効率的な保健事業に取り組んでまいります。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進についてです。
「地域支え合い活動」の一層の推進に向けて、「新宿区医療・介護・通いの場情報検索サイト(さがせーる新宿)」を通じた情報の収集・発信を行うとともに、新たに西新宿シニア活動館においても、「地域支え合い活動」を展開してまいります。

また、介護支援ボランティア・ポイントについては、ポイントの付与対象となる活動を増やすことで、より多くのボランティアの参加を促進します。

介護保険サービスの基盤整備では、令和6年度の開設に向けて、払方町国有地における認知症高齢者グループホーム等の整備を進めてまいります。

また、地域の高齢者が安心して暮らし続けることができるよう、令和6年度に開設が予定されている都市型軽費老人ホームの整備費用を補助します。

単身高齢者や障害者の見守りについては、緊急通報システムの機能を拡充し、新たに生活リズムセンサーを導入することで、見守り体制を強化してまいります。

このほか、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、認知症サポーターの養成・支援に取り組むとともに、チームオレンジの活動を通じて認知症高齢者が自分らしく生活できる環境を整備していきます。

こうした高齢者保健福祉施策及び介護保険サービスの体制整備を着実に推進するため、令和5年度は「新宿区高齢者保健福祉計画・第9期介護保険事業計画」を策定します。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
障害者が住み慣れた地域で生活できるよう、払方町国有地では令和6年度の開設、中落合一丁目区有地においては令和7年度の開設を目指し、障害者グループホームの整備を進めてまいります。

また、障害者福祉センターでは、障害の重度化や高齢化などへの対応のため、生活介護事業の定員の拡充を図ります。

このほか、障害者がデジタル技術の発展などの変化に取り残されることの無いよう、新宿区社会福祉協議会内の「視覚障害者・聴覚障害者交流コーナー」において、新たにスマートフォンの使い方やオンライン講座の体験会などデジタル関連講座を開催してまいります。

これらの障害者施策を推進するため、令和5年度は「第3期新宿区障害児福祉計画・第7期新宿区障害福祉計画」を策定するとともに、「新宿区障害者計画」を見直します。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
わが国における昨年の出生数が、初めて80万人を下回るとの推計がされた中、区内の出生数も減少傾向にあります。国においても出産育児一時金の増額などの施策が予定されており、安心して妊娠・出産、子育てができる環境の更なる整備に向けて、区は取組を強化していかなければなりません。

そのため、産婦人科医師による不妊専門相談や、ピア・カウンセラーによる寄り添い型の相談支援を開始し、妊娠を望む方が身近な場所で気軽に相談でき、必要に応じて早期治療につなげられる環境を整備してまいります。
また、低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用を助成することで、経済的負担の軽減を図るとともに、継続的に状況を把握し、必要な支援につなげてまいります。

産前産後の支援については、産後ドゥーラやヘルパーの派遣により、子育て家庭の精神的・身体的負担の軽減を図ります。
また、産後ケア事業については、これまで実施していたショートステイ型に加え、アウトリーチ型とデイサービス型を実施してまいります。
さらに、保護者のリフレッシュや突発的な事情など、多様なニーズに応えるため、新たにベビーシッター利用料の助成を開始します。

子どもショートステイ事業については、親子で宿泊できる「親子ショートステイ」を開始し、子育てや親子での生活に不安を抱える家庭をサポートしていくことで、家庭環境の悪化や児童虐待の予防に取り組んでまいります。

このほか、待機児童ゼロの継続を目指し、再開発事業による就学前人口の増加など、保育ニーズを的確に把握し、保育所の整備を進めてまいります。

放課後の子どもの居場所の充実については、保護者が就労している児童が増加傾向にあることを踏まえ、学童クラブ及び放課後子どもひろば事業の更なる充実を図り、ニーズに合った放課後の居場所を選択できるよう事業を推進してまいります。令和5年度は、四谷第六小学校内学童クラブ及び北山伏学童クラブの定員の拡充を図ってまいります。
また、児童の安全対策として、児童の入退室確認や、保護者への一斉メール連絡等の機能を備えた入退室管理システムを本年4月から導入し、ICTを活用した安全・安心なサービスを提供します。

国立国際医療研究センター病院内で実施している「しんじゅく夜間こども診療室」においては、昨年8月から日曜日及び年末年始を含む祝日の診療を開始し、令和5年度も引き続き夜間における小児初期救急診療を実施してまいります。

また、本年4月から、子ども医療費助成の対象年齢を拡充し、高校生等医療費の無償化を開始します。

このほか、新宿区子ども未来基金の活用については、物価高騰や新型コロナの影響から支援団体等の活動を支えていくため、長期的に安定した活動ができるよう支援を強化してまいります。

増加する児童虐待の予防及び重篤化防止に向けては、東京都と連携し、東京都児童相談センター内に子ども総合センター分室を設置し、都と区の職員が同じ職場で働くことで、個々の相談ケースの連絡・調整を迅速に行い、より早く適切な支援につなげていきます。
また、児童相談所の設置については、令和6年4月以降の開設に向けて、専門性の高い人材の確保と育成、運営体制の整備に取り組んでまいります。

このほか、令和6年度の「第三期新宿区子ども・子育て支援事業計画」の策定に向けて、「子ども・子育て支援に関する調査」を実施します。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
小・中学校の入学時には、様々な出費が見込まれます。そのため、新小・中学校入学相当年齢の児童・生徒に対し、入学祝金を支給し、子どもの健やかな成長を支援してまいります。

ICTを活用した教育の充実については、児童・生徒に1人1台整備したタブレット端末を引き続き活用し、個別最適な学びや、協働学習の一層の充実を促進するとともに、学級閉鎖等の場合にもオンラインによる学習指導に取り組んでいきます。
また、令和5年度は、全区立学校の普通教室に設置しているプロジェクタを「ディスプレイ型電子黒板」に更新し、教員の授業の質や教育効果をより高めるとともに、児童・生徒の学習意欲をより一層引き出していきます。

発達に心配のある児童・生徒への支援については、小・中学校において特別支援教育推進員を増員し、学級内の指導体制の更なる充実を図ります。

また、外国籍等の児童・生徒については、各学校に日本語サポート指導員を派遣し、日本語の習得状況に応じた指導を実施してまいります。

不登校児童・生徒への支援については、タブレット端末を活用した学習支援や、通所を希望しない児童・生徒への訪問型支援などを行うとともに、家庭訪問や面談等により児童・生徒及びその保護者への相談・助言等を行う家庭と子供の支援員の配置校を拡充し、各校における個別支援を更に充実させてまいります。

こうした取組をより推進していくため、東京都との連携により昨年12月から開始したメタバースを活用し、つくし教室や国際学級に通う児童・生徒への交流の機会を創出していきます。

児童・生徒の部活動等の支援については、民間提案制度を活用し、専門的な指導者を安定的に配置することで部活動等の質の向上を図るとともに、教員の勤務環境の改善・働き方改革を推進します。

区内私立幼稚園の特色ある教育の更なる振興に向けては、新たに園外活動等における新型コロナ対策経費への補助を行うことで、幼児教育環境の充実を図ってまいります。

小学校の学級編成については、近年の児童数の増加や、35人学級の段階的な実施に向けて、普通教室の整備を計画的に進めます。四谷小学校及び西新宿小学校については、適切な教育環境を確保するため、校舎の増築に向けて取り組んでまいります。

このほか、引き続き感染対策に取り組みながら、子どもたちが安心して学校行事等に参加することができるよう取り組んでまいります。

セーフティネットの整備充実については、新型コロナの影響を受けて収入が減少し生活が困窮している世帯に対し、引き続き住居確保給付金を支給してまいります。
今後も区民一人ひとりが尊重され、地域の中で自立した生活を営み、その人らしく安心して心豊かに暮らしていけるまちを実現するため、ホームレスや生活保護受給者、生活困窮者への自立支援に取り組んでまいります。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画フォーラムの開催や、小中学生向けの啓発誌を配付するなど理解の促進に努めてまいります。
また、令和4年度に実施した男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスに関する調査に基づき、「新宿区第四次男女共同参画推進計画」を策定します。

昨年運用が開始された「東京都パートナーシップ宣誓制度」については、区においても区立住宅にパートナーシップ関係の相手方も入居できるようにするなど取り組んできました。今後もその趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。

このほか、次世代を担う若者に区政に関心を持ってもらうきっかけづくりの場として、「しんじゅく若者会議」を開催し、若者の区政参加を促進します。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
新型コロナの影響により、町会・自治会等の活動や地域行事が制限される中、地域の活性化に向けて、住民同士のつながりや集まりが活発になり、顔の見える関係性を構築していくことが重要です。
そのため、地域コミュニティづくりの核である町会・自治会活動への参加促進に向けて、効果的な情報発信を行ってまいります。
また、コンサルティング事業の拡充や、デジタル化への対応に向けた電子回覧板アプリの活用など、各町会・自治会のニーズに即した効果的な支援に取り組みます。
さらに、タワーマンション内のコミュニティづくりや、近隣の町会・自治会等とのコミュニティづくりに向けて、区公式LINEアカウントを活用したタワーマンション向けの情報発信を行ってまいります。

このほか、誰もが安心していきいきと暮らせるまちづくりに向け、町会・自治会の取組を一層促進していくため、「(仮称)町会・自治会活性化支援条例」の制定に向けて検討を進めていきます。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
成年後見制度の利用を促進するため、「新宿区成年後見制度利用促進基本計画」に基づき中核機関として位置付けた新宿区成年後見センターを中心に、認知症や知的障害などの方が、地域の中で安心して暮らし続けていくことができるよう取り組んでまいります。

新宿区勤労者・仕事支援センターでは、ハローワーク等の関係機関と連携しながら、障害者や高齢者、若年非就業者に対し、総合的な就労支援を推進していきます。
また、デジタル分野への需要が拡大する中、IT関連事業における女性の活躍できる場を広げていくため、スキルアップ講座やセミナーを開催し、女性のデジタル人材の育成を支援します。

高齢者、障害者及び、ひとり親世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、引き続き家賃等債務保証料の助成に取り組むとともに、単身高齢者の死亡に伴う家財の片付け費用等を補償する保険料の助成については、助成対象となる保険を拡充して実施します。また、居住支援協議会を通じて、情報共有や連携体制の強化に取り組んでまいります。

基本政策の第二は「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。

首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性が高まる中、気候変動に伴う大型台風や局地的集中豪雨の発生など、新たな脅威も迫っており、災害に強い、逃げないですむ安全なまちの実現に向けて、これまで以上にスピード感を持って取り組んでいかなければなりません。
そのため、昨年東京都が公表した「首都直下地震等による新たな被害想定」を踏まえ、令和5年度に「新宿区地域防災計画」を修正し、災害対策の一層の強化に取り組んでまいります。

建築物等の耐震性強化については、旧耐震基準の木造住宅に加え、平成12年5月までに着工された木造住宅についても補助の対象として支援してまいります。
また、分譲マンションなどの非木造建築物については、耐震化の促進に向けて、段階的に耐震改修工事を行う場合にも、それぞれに対し補助を行う制度を新たに導入します。
さらに、エレベーター防災対策改修支援については、助成件数及び助成額を拡充して実施します。

擁壁・がけの安全化に向けては、専門技術者の派遣や、改修工事に対する助成を実施するとともに、新たに、土砂災害特別警戒区域内のがけ等について、特別警戒区域の指定解除のための補強工事への助成を実施していくことで、更なる安全化を促進します。

若葉・須賀町地区では、木造住宅密集地域の解消を図るため、地区の防災性と住環境の向上を目指し、地区計画の変更に取り組んでまいります。
再開発による市街地の整備については、防災性の向上や住環境の改善、賑わいの創出を図るため、西新宿五丁目中央南地区及び西新宿三丁目西地区の市街地再開発事業を支援します。
また、高田馬場駅東口地区や新宿三丁目地区などにおいて、市街地再開発の事業化に向けた支援を実施します。

災害に強い都市基盤の整備に向けて、道路の無電柱化を推進することにより、歩行空間のバリアフリー化や美しい都市景観の創出を図ります。令和5年度は、女子医大通り、四谷駅周辺、上落中通り、水野原通りの整備に取り組んでまいります。

また、橋りょうの整備については、計画的な補修・補強の実施により、健全かつ安全な維持管理を推進します。令和5年度は、橋りょう定期点検の結果等を踏まえ、「新宿区橋りょう長寿命化修繕計画」を改定するとともに、妙正寺川にかかる新杢橋及び寺斎橋の補修工事を実施します。

次に、災害に強い体制づくりについてです。
避難所においては、配慮を要する方の安全・安心を確保するために、女性や障害者などの視点を取り入れたワークショップを令和5年度に全地区で完了し、ワークショップの実施結果を踏まえたシンポジウムを開催します。

また、災害用備蓄物資の充実に向けては、乳児用液体ミルクの供給体制を整備するとともに、避難所の機能改善に向けてエアーマットを配備していきます。

マンションの防災対策については、防災訓練や、防災資機材助成などを行うことで、防災力の強化を図ってまいります。

帰宅困難者対策については、新宿駅周辺の事業者、交通機関、警察・消防等と連携した発災対応型訓練等を実施するとともに、民間事業者との協定による一時滞在施設の確保に取り組むなど、大地震発生時における混乱防止のための取組を推進します。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現に向けた取組では、繁華街での深夜帯における安全・安心パトロールを強化してまいります。
また、様々な困難を抱え、歌舞伎町に集まる若者や女性の犯罪被害の防止に向けた活動を行うNPO等を支援してまいります。

特殊詐欺対策については、自動通話録音機の設置を促進するとともに、区内4警察署と連携し、特殊詐欺の撲滅を目指してまいります。

空き家等対策の推進では、令和4年度に実施した「空家等実態調査」の結果を踏まえ、「新宿区空家等対策計画」を修正します。

次に、感染症の予防と拡大防止についてです。
帯状疱疹については、成人の9割以上が帯状疱疹ウイルスを保有しており、加齢などによる免疫力低下が発症リスクとなることから、
50歳以上の方を対象に、新たに帯状疱疹ワクチン接種費用の一部を助成します。

次に、良好な生活環境づくりの推進については、マンション管理組合の運営に関する相談や情報提供を実施するとともに、新たに「新宿区マンション管理適正化推進計画」を策定し、適正な管理を行っているマンションの管理計画の認定や、適正管理のための指導・助言等を通じて、良好な住環境の確保に取り組んでまいります。

路上喫煙対策については、公衆喫煙所等整備費助成事業により、喫煙所の設置を推進していくとともに、区民との協働によるポイ捨て防止等のキャンペーン活動などの周知啓発を通じて、路上喫煙禁止の徹底を図ります。

そのほか、ペット等の飼育環境の向上については、昨年6月から事業者が販売する犬や猫にマイクロチップの装着が義務化されました。区においても引き続き、動物の適正飼育に関する普及啓発に取り組んでいきます。
また、人と猫との調和のとれたまちづくりについては、飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費助成を拡充し、良好な生活環境を維持してまいります。

基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。

はじめに、回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくりについてです。
新宿駅直近地区では、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、駅や駅前広場、駅ビル等の一体的な再編に取り組んでいます。
昨年10月から着工された「新宿駅西口地区開発計画」に続き、令和5年度は京王電鉄株式会社及び東日本旅客鉄道株式会社による「新宿駅西南口地区開発計画」の着工が予定されています。
今後も事業者と連携しながら、新宿グランドターミナルの一体的な再編に向けて取り組むとともに、新宿駅周辺地区においても、地元組織や東京都と連携し、各地区の個性や魅力を活かしたまちづくりを進めてまいります。
また、新宿ゴールデン街地区においては、まちの風情を演出する路地空間を継承し、防災性の向上に向けた検討を進めます。

歌舞伎町地区では、東急歌舞伎町タワーが本年4月に開業します。これを機に、一般社団法人歌舞伎町タウン・マネージメントと連携し、東急歌舞伎町タワー屋外ビジョンとシネシティ広場を一体的に活用したイベント開催や、歌舞伎町PR動画の作成など、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現に取り組んでまいります。

次に、地域特性を活かした都市空間づくりについてです。
高田馬場駅周辺地区では、事業者や地元の皆様と連携しながら、「高田馬場駅周辺まちづくり方針」の実現に向けて、検討を進めていきます。
西早稲田駅前地区では、都営住宅の建て替えを契機としたまちづくりルールの策定に向けた検討を進めます。
神楽坂地区においては、見返り横丁及びかくれんぼ横丁沿道に関わる地区計画の変更に向け、取り組んでいきます。
飯田橋駅前地区では、「飯田橋駅前地区基盤整備ビジョン」の実現に向けて取り組むとともに、東京都や千代田区、文京区、さらには鉄道事業者とも連携し、飯田橋駅を中心とした広域的なまちづくりに取り組んでいきます。
新大久保駅周辺地区における混雑対策では、公園等を活用した来街者の分散化に引き続き取り組むとともに、今後も事業者への混雑緩和に向けた協力の働きかけをしてまいります。

こうした新宿らしい個性的で多様なまちづくりを推進していくため、本年改定する「新宿区まちづくり長期計画・まちづくり戦略プラン」や、「新宿区景観まちづくり計画」及び「新宿区景観形成ガイドライン」に基づき、取り組んでいきます。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりについてです。
誰もが利用しやすく、わかりやすい質の高い都市空間を創出するため、建築等の計画段階から協議を行い、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めていきます。
また、「新宿区移動等円滑化促進方針」に基づき、区内のバリアフリー整備を一層促進するため、高齢者や障害者の皆様との意見交換を実施していくとともに、民間事業者とも連携しながらバリアフリーの道づくりを進めてまいります。令和5年度は、区役所通りと新宿通りにおいて整備を進めます。

次に、道路環境の整備についてです。
道路の改良については、早大通りの車道の改良工事に引き続き取り組んでいくとともに、江戸川橋通りの歩道の拡幅や点字ブロックの設置などに向けた取組を進めます。

また、本年3月からLINEを活用した道路通報システムの導入により、道路の損傷や不具合について写真や位置情報を活用し、区民や事業者の皆様から手軽にご連絡いただける環境を整備することで、安全な道路の維持管理を図ってまいります。

このほか、街路灯のLED化を着実に推進していくとともに、遮熱性舗装を実施することで、道路の環境対策を進めます。

次に、交通環境の整備についてです。
歩行者、自転車、自動車それぞれが、安全かつ安心して通行できる道路空間の創出に向けて、「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、自転車通行空間を整備してまいります。
また、本年3月に改定する「新宿区自転車等の利用と駐輪対策に関する総合計画」に基づき、自転車の更なる安全・快適な利用と活用を推進していくとともに、民間駐輪サービスを活用した駐輪場の確保を進めてまいります。

さらに、区民の利便性の向上や多様な生活を支える交通手段として、AIオンデマンド交通の導入に向けた実証実験を行い、交通事業者の意見等を踏まえながら、新たな地域交通の導入に向けて検討を進めていきます。

このほか、西武新宿線の高田馬場駅から西側の開かずの踏切の解消に向けては、令和4年度に実施した踏切等交通量調査を踏まえ、鉄道立体化をはじめとする改良方法の検討を行うとともに、それらの概算事業費と事業効果の比較検討を行い、今後の地域の皆様との沿線のまちづくりに向けた準備を進めます。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、「花のもり」の整備を進めてまいります。また、新たな自転車駐輪場を整備し、公園を訪れる方がより快適に過ごすことができるよう取り組んでいきます。

みんなで考える身近な公園の整備では、令和5年度は「東五軒公園」について、地元の皆様からの意見を聞きながら、再整備に向けた計画の作成に取り組みます。
こうした公園の整備を通じて、地域のニーズを反映したみどりあふれる憩いの場を提供してまいります。

次に、地球温暖化対策の推進についてです。
「第三次環境基本計画」に基づき、ゼロカーボンシティの実現に向けて、地球温暖化対策の取組を一層推進していくことが必要です。
そのため、区民向け省エネルギー機器の設置助成の補助件数を拡充するとともに、事業者向けには、新たに高効率空調設備の設置に係る補助を開始します。

また、新型コロナの影響により中止していた「新宿の森」での自然体験ツアーを再開するとともに、区有施設におけるCO₂排出量削減に向けて、産業会館など新たに23施設で再生可能エネルギー電力等への切替を進めていきます。
さらに、歌舞伎町清掃センター、西早稲田リサイクル活動センター及び新宿中継・資源センターでは、LED化を実施します。

次に、資源循環型社会の構築についてです。
リサイクルの推進やごみの減量を促進するため、区民、事業者、区の意見交換の場として、3R推進協議会を運営し、相互に理解を深めながら取組を推進してまいります。

また、令和3年6月に公布された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき、令和6年度からのプラスチック使用製品の回収と再資源化に向けた準備を進めてまいります。

食品ロス削減については、「新宿区食品ロス削減推進計画」に基づき、食品ロス削減協力店登録制度を実施するとともに、新たに区内2店舗のスーパーマーケット内にフードドライブの常設窓口を設置します。
また、日常生活の各場面における食品ロス削減のための実践行動について、区民の皆様にわかりやすく伝えていくため、啓発動画やガイドブックを作成します。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
しんじゅく逸品や、区の地場産業である染色と印刷・製本関連団体によるデザインプロジェクト「Azalée」の普及に向けて、しんじゅく逸品マルシェの開催等による周知に取り組んでいきます。
また、地域の金融機関及びコンサルティング会社と連携した販路拡大支援に取り組んでいくことで、区内のものづくり産業を振興してまいります。

中小企業の活性化と産業の活性化に向けて、多くの若者の創業を促進してきた「新宿ビジネスプランコンテスト」については、年齢制限や創業年数の要件を撤廃し、より多くの方々の創業支援につなげてまいります。
また、新たに区と金融機関等からなる中小企業支援ネットワークを立ち上げ、中小企業の創業から経営、事業承継など各段階における現状や課題に対する情報交換とノウハウの共有を図り、さらには区の施策にも反映させていきます。
これらの取組を通じて、区内中小企業者の経営力の強化につなげてまいります。

多彩な観光資源を活かした区内回遊の促進に向けては、新宿文化観光資源案内サイト「温故知しん!じゅく散歩」を活用して、区内の様々なスポットにまつわるクイズを掲載し、住んでいる方や訪れる方が楽しみながら散策することができる仕組みを導入します。

また、新宿観光振興協会と、区内の様々な企業等との連携による協議会を新たに立ち上げ、区内の観光資源を発掘するとともに、既存の観光資源の魅力を、より一層高めていきます。
魅力ある商店街の活性化に向けた支援については、区内大学等と連携し、商店街の魅力づくりを行うとともに、商店会情報誌「新宿商人」を発行し、商店の経営や商店会活動の参考となる情報を提供していきます。
また、区内商店会においてデリバリー事業の実施や共同での販売促進事業の実施等により、売上拡大に繋がる継続的な取組を行った際の経費の補助上限額を拡充し、商店会への支援を行ってまいります。

次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
新宿の歴史や文化の魅力を向上させるため、多様な文化芸術イベントを集約した「新宿フィールドミュージアム」を開催し、新宿のまちの魅力を発信していきます。

また、林芙美子記念館では、漱石山房記念館に続き、収蔵資料の紹介のため、スマートフォンアプリで楽しむことができるミュージアム展示ガイドアプリを導入します。

国際観光都市・新宿としての魅力の向上に向けては、「新宿plus」やSNS等を活用して新宿の魅力を広く発信していくとともに、海外へのプロモーションの充実を図るため、インバウンドメディアを活用した情報発信を強化します。

このほか、ふるさと納税については、返礼品として、区内の地場産品のほか、ホテルの宿泊をはじめ、寄附していただいた方が新宿区を訪れ体験・観光をしていただく「コト消費」を含めた返礼品について、本年10月からの設定に向けて準備を進めてまいります。
次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
スポーツ環境の整備については、子どもから高齢者までライフステージ等に応じて様々なスポーツを楽しむことができるよう、スポーツ体験教室を開催します。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーを継承し、ゴールボールや車いすハンドボールなどのパラスポーツ体験会を実施します。

さらに、「新宿区スポーツ環境整備方針」の策定から10年が経過し、区民を取り巻くスポーツ環境も大きく変化しています。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会後、これからの時代に合った「新宿区スポーツ環境整備方針」の改定に取り組んでまいります。

このほか、子ども読書活動の推進に向けては、「第六次新宿区子ども読書活動推進計画」を策定し、自ら読書を楽しみ、学び、成長する新宿の子どもたちの実現を目指してまいります。

次に、多文化共生のまちづくりの推進についてです。
多文化共生まちづくり会議や多文化共生連絡会を通じ、地域の日本人と外国人がともに区政に参画できる取組を進めるとともに、外国人向け生活情報ホームページをリニューアルすることで、外国人の方に効果的に情報を発信していきます。
また、地域で共に生活する日本人と外国人の現状を把握し、今後の多文化共生施策の更なる推進に向けて、「多文化共生実態調査」を実施します。

次に、平和都市の推進についてです。
新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業を引き続き実施してまいります。

基本政策の第四は「健全な区財政の確立」です。

はじめに、効果的・効率的な行財政運営についてです。
公民連携の更なる推進に向けて、令和4年度から導入した民間提案制度では数多くの提案をいただきました。その中から採択させていただいた部活動の民間委託などについては、現在、実施に向けた準備を進めています。今後も様々な分野において民間との連携を強化していきます。

効果的・効率的な業務の推進に向けては、RPA及びAI-OCR等のICTの導入・運用を進めていきます。
また、住民記録・税等の区の基幹業務システムについては、国が整備するクラウドサービスを活用するとともに、標準準拠システムの導入により運用の効率化と経費縮減に向けて準備を進めてまいります。

次に、公共施設マネジメントの強化についてです。
区有施設については、新宿区公共施設等総合管理計画に基づき、施設マネジメントの強化を図ってまいります。

旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地については、地域の皆様からいただいた意見を踏まえ、施設の整備に向けた準備を進めてまいります。

基本政策の第五は「好感度1番の区役所」です。

はじめに、行政サービスの向上についてです。
公金の納付については、電子マネー等による新たな決済手段により区民の利便性の向上を図ってまいります。

また、区民の皆様が窓口に来庁することなく、申し込みができるよう行政手続きのオンライン化を進めていきます。
令和5年度には、中強羅区民保養所や区民健康村、女神湖高原学園の宿泊利用者の受付について、インターネット予約を導入し、利用者の利便性の向上を図ります。

区民の皆様への情報発信については、本年3月から、区ホームページ及び区LINE公式アカウントにおいて、新たにチャットボットを導入し、区民の皆様に必要な情報を迅速かつ分かりやすく案内してまいります。

このほか、区市町村単位での専用の周波数を利用したデータ通信サービスである地域BWAシステムを活用した無料公衆無線LAN環境を区有施設に整備してまいります。

次に、職員の能力開発、意識改革の推進についてです。
団塊世代とそれに続くベテラン職員の退職により、職員の年齢や職務経験年数の構成は大きく変化しつつあります。世代交代によって、蓄積された知識や経験、ノウハウが途絶えることの無いよう、着実に若手職員へ継承することが必要です。
そのため、職場内のコミュニケーションの活性化や、OJT等の機会を通じて、知識・技術を学ぶことができる職場づくりを推進していきます。
行政のデジタル化を推進していく中では、ICTを活用したより質の高い区民サービスの提供や、更なる業務の効率化を実現していくことができるよう、ICT人材の育成に取り組んでいきます。
また、職員の自由な発想で業務改善等の提案ができる仕組みをつくり、区政の更なる発展と区民サービスの向上につなげてまいります。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望していきます。

3.2 令和5年度予算の概要

次に、令和5年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和5年度予算案についてです。

政府の令和5年度予算案は、「歴史の転換期を前に、我が国が直面する内外の重要課題に対して道筋をつけ、未来を切り拓くための予算」として編成されました。具体的には、足元の物価高を克服しつつ、経済再生の実現に向け、人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX、DXといった成長分野への大胆な投資、少子化対策・こども政策の充実等を含む包摂社会の実現等による新しい資本主義の加速や、防災・減災、国土強靱化等の国民の安全・安心の確保など重要な政策課題への対応に必要な予算となっています。
一般会計予算は114兆3,812億円で、前年度と比較して
6兆7,848億円増となり、11年連続で過去最大を更新しています。
税収は69兆4,400億円で、前年度と比較して4兆2,050億円増となっています。

また、東京都は令和5年度予算を「明るい『未来の東京』の実現に向け、将来にわたって『成長』と『成熟』が両立した光り輝く都市へと確実に進化し続ける予算」として編成しました。
都税は6兆2,010億円で、前年度と比較して5,702億円、
10.1%の増となっています。一般会計の予算規模は8兆410億円で、前年度と比較して2,400億円、3.1%の増となっています。

続いて、区の令和5年度予算案についてです。
令和5年度予算は、編成の基本方針を「第二次実行計画の総仕上げとともに、区民生活の現場・現実を踏まえ、直面する区政課題の解決に向け着実に前進する予算」と位置付け、第一に、社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、限られた財源を戦略的、重点的に配分すること、第二に、行政評価や直近の状況分析に基づく事務事業の見直しと、デジタル技術等を活用した事業転換等を進め、効果的・効率的な事業構築を図ること、この二点を基本に編成しました。
そして、新型コロナの感染対策を行いながら、地域の社会経済活動の本格的な正常化に向けた取組を強化するため、これまで培った財政対応力を活かし積極的に事業の予算化を図った結果、一般会計は1,695億円で、前年度と比較して30億円、1.8%の増で、過去最大規模となりました。3つの特別会計は、合計751億円で、前年度と比較して32億円、4.5%の増となりました。一般会計と合わせた令和5年度予算案の総額は2,446億円で、前年度と比較して63億円、2.6%の増となりました。

一般会計は、IT関連経費や物価高騰対策、施設更新経費の増などにより物件費や普通建設事業費が増となり、歳出総額が対前年度30億円、1.8%の増となりましたが、特別区税や地方消費税交付金などの一般財源の増が見込まれることから、財源不足額は60億円と前年度に比べ24億円、28.4%の減となりました。
今後も、原油価格・原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の長期化など社会経済情勢の不透明な状況が想定されるなか、人口減少・少子高齢化における社会保障関連経費の増加、デジタル化への対応、脱炭素化への取組、災害リスクへの備え、公共施設の老朽化に伴う更新・改修需要など、必要経費は将来に向かってさらに増加することが見込まれます。
このような中、将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、社会経済情勢を慎重に見極めながら、将来需要を的確に捕そくし、基金や起債の活用とあわせ、限られた財源の効果的な配分と効率的な予算の執行が求められます。
常に区民サービスの向上に資するデジタル化を進めるとともに、不断の行財政改革に徹底して取り組み、区政を取り巻く環境の変化に対応した持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりましたが、ここで、区内のある町会が地元の繁華街でのごみ問題に取り組んできたお話をさせていただきます。
その地域では、飲食店や事業所が多く、年末年始をはじめとして路上に分別のされていない状態のゴミや不法投棄の粗大ごみなどが多く放置されていました。長年にわたって、無秩序なゴミの廃棄が続いていましたが、環境を良くしようという地域住民とその情熱や行動に賛同した商店主達の協力によって、劇的に改善をすることが出来ました。
私は、自らのまちの課題を自ら改善していこうという区民の存在は貴重だと思いますし、地域のコミュニティの大切さを実感いたしました。コロナ後を見据えて、こうした区民の皆様と共に、区内の活気を取り戻せるよう、地域コミュニティの再起動に力を入れてまいります。

今後も、現場現実を重視し、区民の皆様の声をお聴きし、誰もが安心して住み続けられる新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。
 

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