小泉八雲のシンポジウムと創作劇「青柳」公演
終焉の地・新宿で

最終更新日:2012年8月5日

写真:創作劇「青柳」より
写真:シンポジウムの様子
写真:平川氏の講演
写真:創作劇「青柳」より
今日5日、晩年の8年間を新宿で暮らした文豪・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、1850年~1904年)に関するシンポジウムと、八雲が執筆した「怪談」に収められた「青柳ものがたり」を基にした創作劇「青柳」の公演が、四谷区民ホール(内藤町87)で行われ、約470名が来場した(主催:熊本県の創作劇「青柳」東京公演実行委員会、共催:新宿区等)。

「怪談」「雪女」「耳なし芳一」などを執筆した小説家・随筆家の小泉八雲は、ギリシャのレフカダ島生まれ。日本に魅せられて1890年(明治23年)に来日し、熊本の第五高等学校で英語を教え、その後新宿に住み、東京帝国大学で教鞭をとった。新宿区富久町には旧居跡の碑、区立大久保小学校には終焉の地の記念碑、同校近くには区立小泉八雲記念公園がある。八雲が縁となり、新宿区とレフカダ市は1989年(平成元年)に友好都市を宣言し、児童・生徒の絵画作品交流等を続けている。
 
午前のシンポジウムは、「教育者としてのハーン~熊本・富山発 新発見による小泉八雲新考」がテーマ。西川盛雄氏(熊本大学名誉教授)や、マリ・クリスティーヌ氏(富山観光大使)らが研究成果を発表し、意見を交換した。八雲が訪れたことのない富山で発見された蔵書「ヘルン文庫」について紹介すると、来場者はあまり知られていない話だけに、興味深くうなずいていた。

午後の「青柳」は昨年、八雲の赴任地・熊本で初演された作品の再演で、昼の部・夜の部の2部構成。比較文学の第一人者である平川祐弘・東京大学名誉教授が「怪談」から「青柳ものがたり」などを素材に書いた台本を基にしたオリジナル作品で、熊本に赴任した八雲が学生の三四郎と出会ってから起こるさまざまな奇妙な出来事を、能・日本舞踊・演劇を融合してつくられている。演者が舞台で幽玄な世界観を演じると、来場者はじっと見入っていた。

そのほか、平川氏による講演「八雲と漱石 そのライバル関係」も行われ、新宿ゆかりの文豪・夏目漱石と八雲の共通点を、二人の作品を通じて紹介。ユーモアを交えながら展開されると、会場から笑い声が上がっていた。

来場した女性は、「八雲が好きなので、わざわざ熊本から来ました。今まで知らない八雲のことが聞けて、ためになりました」と話してくれた。

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