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平成29年 新年賀詞交歓会・区長年頭の挨拶(要旨)

最終更新日:2017年1月5日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。

写真:あいさつする吉住健一新宿区長
 明けましておめでとうございます。
 新宿区長の吉住健一です。

 区民の皆さまには、穏やかに新年をお迎えのことと、心よりお慶び申し上げます。新たな年をこうして皆さまとお祝いできることは、この上ない喜びです。皆さまには、日頃より新宿区政にご尽力、ご協力をいただいておりますことを、この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。

 今年は区長に就任させていただき、3年目となりますが、初心を忘れず、地域の課題に正面から向き合い、将来の新宿区のために力を尽くしてまいります。今年も皆さまのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 今年は、十二支の酉年にあたります。「酉」は、「とりこむ」ということから、商売に縁起のよい年になると言われています。景気の動向には不透明感がありますが、区内の賑わいが増していくよう、皆さまとともに取り組んでまいります。

 昨年を振り返りますと、5月のアメリカ、オバマ大統領の被爆地・広島訪問では、核兵器のない世界に向けての力強いメッセージが発せられました。戦後71年を迎え、戦争や核兵器の恐怖を体験された方の実体験をお聴きすることも難しくなってきました。今後も、平和の大切さや平和への思いを、世代を超えて共有出来るよう、平和を啓発する事業を推進してまいります。

 また、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックでは、新宿区出身の三井梨紗子さんが、シンクロナイズドスイミングで2つの銅メダルを獲得されました。当日は、落合第一地域センターに多くの区民の皆さんが集まって、パブリックビューイングを開催し、三井さん達日本代表の演技を固唾を呑んで、見守りました。ハードな練習を乗り越え、夢を実現した三井さんの活躍は、きっと新宿の子供たちの記憶に残り、希望となったと思います。区は、「スポーツ栄誉賞」を創設し、三井さんに授与させていただきました。

 一方、4月には熊本地震が、また、10月には鳥取県中部地震が発生し、大きな被害をもたらしました。自然災害の脅威を実感し、改めて災害への備えの重要性を意識した出来事でした。
 東京においても首都直下地震は、いつ起きてもおかしくない状況です。建築物耐震化補助制度などの支援制度をご活用いただき、大切な命を守っていただきたいと思います。区としても、災害が発生した時に備え、区役所の機能を維持するための事業継続計画(BCP)の改定や災害対策本部を立ち上げ、地域の被害状況の確認や災害情報の収集伝達、被災者への対応などの一連の動きを確認するための初動対応訓練を実施するなど、全庁を挙げて災害対応力を高めてまいります。

 また昨年は、新宿区政としましては、「暮らしやすさ」、「安全・安心」、「賑わい」の3つをキーワードに様々な取り組みを進めてまいりました。
 「暮らしやすさ」の向上を目指す取り組みとして、高齢者サービスでは、区内の公有地を活用して、特別養護老人ホーム、小規模多機能型居宅介護施設、認知症高齢者グループホームなどの整備に着手しました。
 また、すべての地域型高齢者総合相談センターに、「認知症初期集中支援チーム」を設置しました。保健師や社会福祉士など複数の専門職が認知症を疑われる方やそのご家族をチームで訪問して、初期の段階から支援しました。

 障害者サービスでは、18歳になる前から重度の知的障害と肢体不自由とが重複した状態で在宅生活を送っている方のご家族を支援するために、『重症心身障害児等在宅レスパイトサービス』を開始しました。

 子育て支援では、保育所等の待機児童数を、昨年4月の時点で58名まで減少させることができましたが、さらなる待機児童解消対策を実施し、待機児童ゼロを目指してまいります。

 また、平日夜間に、子どもの急な発熱などの病気に対応する「しんじゅく平日夜間こども診療室」を国立国際医療研究センター病院内に開設しました。

 「安全・安心」では、客引き防止条例に罰則規定を盛り込み、新宿区安全安心パトロール隊を編成して、指導を行い、対策を強化しました。
 また、快適な歩行空間を確保するため、問題となっている繁華街の路上に置かれた看板、商品陳列台などを除去できるよう、「路上等障害物による通行障害防止条例」を、昨年12月1日に施行しました。
 「賑わい」では、都市の回遊性を高め、国内外からの多くの来街者の方に新宿のまちを楽しんでいただけるよう、自転車シェアリング事業を開始しました。新宿駅周辺や観光スポットなど区内20か所に、自由に乗り降りのできるサイクルポートを設置しました。また、12月には、9カ国語対応の『新宿観光案内所』を新宿駅東南口広場の近くにオープンしましたので、多くの皆さまにご利用いただきたいと思います。

 ここで、今年の新宿区政の抱負を述べさせていただきます。
 私は、区民に最も身近な自治体の長として、できるだけ現場に赴いて、区民の皆さまの声を聞かせていただきたいと思っています。
 そして、区民生活が直面するさまざまな課題の解決に向けて、今年も施策の充実や区民サービスの向上を図り、皆さまに暮らしやすさ、安全安心、賑わいを実感していただけるまちづくりをしてまいります。
 具体的に申し上げますと、29年度は、現在の総合計画の最終年度として、各施策の充実・強化を図ってまいります。
 「暮らしやすさ1番の新宿」では、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向け、新たなウオーキングなどの取り組みを通じ、健康づくりをより一層身近に感じることができるようにしていきたいと考えています。
 また、地域包括ケアシステムを推進するために、在宅医療ネットワークの構築や地域ケア会議における医療と介護の連携強化を図り、認知症高齢者や介護者の皆さまを支援してまいります。

 将来を担う子供の施策では、引き続き、待機児童解消対策や子供の貧困対策、女性や若者が活躍できる地域づくりや生活困窮者の自立支援に力を注ぎます。

 「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、震災対策として、建物の耐震化や不燃化を推進してまいります。また、木造住宅密集地区を対象に大規模地震発生時における火災対策として、新たに感震ブレーカー設置の助成制度や普及啓発の検討を進めるなど、区内の火災と建物倒壊の危険度の高い地区の解消に向けて、より一層強力に推進していきます。
 また、民泊については、現在国が民泊新法の法制化を進めていますが、昨年10月に立ち上げました「新宿区民泊問題対応検討会議」での検討を踏まえ、地域の安全安心を確保できる適正なルールづくりに取り組んでいきます。

 「賑わい都市・新宿の創造」では、新宿駅周辺の整備や新宿通りのモール化に向けての社会実験の実施、ユニバーサルデザインの視点に立った観光案内標識の整備やターミナル駅への新宿フリーWi-Fiの整備を行ってまいります。

 また、夏目漱石生誕150年の今年は、漱石山房記念館がオープンします。文豪漱石の作品だけではなく、魅力的な人柄に触れられる展示なども実施していきたいと考えています。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まで、あと3年となりました。大会終了後に、区民の皆さまにとって、良い思い出として感じられることが大切だと考えています。世界最大のスポーツと平和の祭典に、どのような形で関わることが出来るのかを、区民の皆さまと話し合っていきたいと思います。

 新宿区は、地域ごとにさまざまな顔をもち、歴史や伝統と先進性をあわせもった魅力あふれるまちです。また、地域の皆さまが、自分たちのまちを自分たちで良くしようと活動する強い絆が、新宿区の大きな財産でもあります。

 こうした強みを原動力に、本年12月に策定する新たな総合計画では、新宿区の将来を見据え、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」を柱としながら、これを下支えする「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」を推し進め、「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組んでまいります。
 中国の歴史書「春秋左氏伝」に、「良い農夫はよい種を蒔き、全力をつくして育てる。穀物は百倍の実りをもたらす。」という記述があります。私は、新宿区政を推進するにあたって、限りある予算や人員をいかに活かしていくか、先人の英知によって積み上げられてきた区の制度を如何にして効率的に運用していくかに心を砕きながら、より良い新宿区を目指してまいります。
 結びにあたり、この一年が皆さまと皆さまのご家族にとりまして、幸多き年となりますよう、改めてお祈り申し上げまして、年頭のあいさつといたします。

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