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平成28年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2016年2月19日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

 平成28年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
本定例会では、平成28年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。
 何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、我が国の景気動向を見ると、雇用・所得環境の改善が続く中で、経済政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されています。しかし、中国をはじめとするアジア新興国等の経済の減速により、景気が下押しされるリスクがあり、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 こうした中、年明け以降の日経平均株価は連日大幅な乱高下を続け、日銀は、わが国初のマイナス金利を導入するなど、その金融政策が景気動向にどのような影響をもたらすかについては、注視していかなくてはなりません。

 区政を取り巻く社会経済情勢が不透明である中、私は、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを全力で創造するために、「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」、「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」の2点を基本に、区政の課題に積極的に取り組んでまいります。

2 平成28年度の区政運営の基本認識

 次に、平成28年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

 本年は、平成28年度から29年度の2年間を期間とする第三次実行計画がスタートする年です。第三次実行計画は、現在の総合計画の総仕上げであるとともに、平成30年度から始まる新たな総合計画への橋渡しとなるものです。
第三次実行計画では、現在の総合計画の着実な推進に向けて、重点的に取り組む施策を5つの基本政策として掲げています。

 基本政策の第一は、「暮らしやすさ1番の新宿」です。
 区民が暮らしやすいまちづくりを行うことは、地域に最も身近な自治体である区にとって重要なことです。
 このため、地域包括ケアシステムの構築や認知症の早期発見・早期診断、待機児童解消や子どもの貧困対策など、子ども、高齢者、障害者の方をはじめ、区民一人ひとりが尊重され、住み慣れた地域で、それぞれの役割を担いながら、誰もが自分らしく心豊かに暮らすことができる地域社会の実現を目指します。

 基本政策の第二は、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、高度な防災機能を備えた「新宿の高度防災都市化」に取り組むことが喫緊の課題です。
 このため、建築物の耐震化の推進や、不燃化による木造住宅密集地域の解消、道路の無電柱化などにスピード感を持って取り組みます。
 また、繁華街の客引き行為への対策の強化や空家対策など、安全で安心なまちを実現します。

 基本政策の第三は、「賑わい都市・新宿の創造」です。
 新宿区は、商業・業務・文化・居住機能などが集積する多様性に富んだまちです。こうした都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿を創造することが必要です。
 このため、魅力的で歩いて楽しいまちづくりを進めるとともに、2020年東京オリンピック・パラリンピックとその開催後も見据え、文化・観光・スポーツ、都市基盤整備、ユニバーサルデザイン、環境にやさしいまちづくり、商店街や産業振興などの施策を総合的に推進し、国際観光都市・新宿としての魅力とブランド力を高め、誰もが愛着と誇りの持てる、やすらぎとにぎわいのまちの実現に向けて取り組んでいきます。

 基本政策の第四と第五は、「健全な区財政の確立」及び「好感度1番の区役所」です。
 「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」及び「賑わい都市・新宿の創造」を実現していくためには、健全な区財政を維持し、将来にわたって安定した行政サービスを提供していくことが必要です。
 このため、新たな行政評価のしくみを確立し、より適切な施策・事業の進行管理に努めるとともに、公共施設等総合管理計画を策定し、今後の区有施設のあり方や役割を見直すなど区有施設のマネジメントの強化に取り組んでいきます。
 また、地域に最も身近な行政サービスである窓口の好感度を高めていくことは、区民視点で、区役所の仕事を改善していくための出発点となります。
 このため、窓口サービスの充実や、区民視点で考える職員の育成、新宿自治創造研究所の研究成果を活かした政策形成能力の向上などに取り組んでいきます。

 これらの基本政策のもと、第三次実行計画を着実に推進するとともに、平成30年度から始まる新たな総合計画の策定に向けて、区政運営体制の強化を図ってまいります。
 このため、本年4月には、副区長を2人制とするとともに、新たに地域振興部と文化観光産業部を設置するなど、区政課題に迅速かつ的確に対応していくための組織改正を行います。

3 基本目標と主要施策の概要

 このような認識を踏まえ、基本構想や総合計画に掲げた目標の実現に向けて取り組む主要な事業の概要を、新宿区第三次実行計画に掲げる5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

 はじめに、基本政策の第一、「暮らしやすさ1番の新宿」についてです。

 生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命を延ばすためには、区民一人ひとりが「自分の健康は自分で守る」という意識を高めるとともに、地域社会全体で健康づくりに取り組んでいくことが必要です。

 このため、平成29年度の「第4期新宿区健康づくり行動計画」の策定に向けて、28年度は「健康づくり区民意識調査」を実施します。

 また、糖尿病の未治療者に対する受診の勧奨と、治療の継続への支援、区内のかかりつけ医と専門医等との連携の促進のほか、食生活の改善や適切な運動習慣に関する普及啓発を展開し、生活習慣病の予防に取り組みます。

 さらに、がんの早期発見・早期治療のため、引き続き受診勧奨を行うとともに、子宮頸がん・乳がん検診の対象年齢の方に無料クーポンを送付するなど、がん検診の受診率向上を図ってまいります。

 あわせて、区民一人ひとりが、こころの健康を保つことができるよう、講演会の開催やリーフレットの配布、育児・介護等でストレスが多くなりがちな方への相談事業などの支援を行います。
女性の健康に関しては、生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせるよう、女性の健康支援センターを拠点として、さまざまな施策を総合的に推進してまいります。

次に、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の実現に向けて、地域の中心的な相談機関である高齢者総合相談センターの支援体制の充実と、関係機関との連携体制の構築を進めます。
あわせて、在宅医療と介護を一体的に提供できるよう、医療機関と介護サービス事業所等とのネットワークを構築するほか、区内の医療と介護の資源リストを作成します。さらに、地域の中で高齢者を支える担い手の育成と発掘など、多様な主体によるサービス基盤の整備を推進します。

また、介護を必要とする人が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域密着型サービスを充実します。
平成28年度は、西落合都有地を活用した小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホーム、ショートステイの機能を併せ持った施設を開設するとともに、民有地を活用した小規模多機能型居宅介護や認知症高齢者グループホームの開設に取り組みます。
また、平成29年度の開設に向けて、中央図書館跡地を活用した小規模多機能型居宅介護とショートステイの整備、旧戸山第三保育園を活用した小規模多機能型居宅介護の整備を進めます。
あわせて、平成30年度の開設に向けて、大久保特別出張所跡地を活用した認知症高齢者グループホームと高齢者地域交流スペースの整備を進めてまいります。
さらに、在宅による介護が困難になった高齢者の生活を支えるため、平成31年度の開設に向けて、富久町国有地を活用した、ショートステイ併設の特別養護老人ホームの整備を進めてまいります。

このほか、介護人材の確保と質の向上のため、職場見学と面接を兼ねた「ツアー面接会」を引き続き実施するとともに、区内の介護サービス事業者の人材不足を解消し、安定した運営を支援するため、人材確保に関する相談会を新たに開催してまいります。また、介護福祉士の資格取得費用助成の対象人数の拡大、助成額の引き上げ、助成要件の緩和を行います。

本年4月からの介護予防・日常生活支援総合事業の実施に当たっては、これまでと同様のサービスを確保したうえで、住民やNPOなどによる要支援者等への生活支援や、効果的な介護予防への取組みを進めてまいります。

認知症高齢者への支援については、高齢者が認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、高齢者総合相談センターに「認知症初期集中支援チーム」を設置して初期支援を充実させるほか、認知症高齢者への対応方法を示す「(仮称)認知症診療連携マニュアル」を作成し、かかりつけ医をはじめ関係機関で活用することにより、認知症の早期発見・早期診断体制を構築します。
あわせて、相談体制の充実を図るとともに、認知症の状態に応じたサービス提供の流れと、地域ごとの医療・介護サービスを提供する社会資源等をまとめた「地域版認知症ケアパス」を作成します。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備に向けて、基幹相談支援センターが中心となり、区立障害者生活支援センター、区立障害者福祉センター、シャロームみなみ風及び区内障害者福祉施設との連携を強化し、障害者がいつでも相談でき、地域で安心して生活できる支援体制の構築に取り組んでまいります。
また、本年4月施行の障害者差別解消法の趣旨を踏まえ、障害の有無によって分け隔てられることがないよう、障害者の特性に応じたコミュニケーションの支援を推進していくとともに、障害者差別解消支援地域協議会を設置し、地域全体で差別の解消に向けて取り組んでまいります。

さらに、在宅で医療ケアが必要な重症心身障害児等を介護している家族の休養やリフレッシュを図るため、訪問看護師が一定時間見守りを行う、重症心身障害児等在宅レスパイトサービスを、新たに実施してまいります。

次に、成年後見人等による権利の擁護についてです。
高齢者や障害者の人権を守るため、「新宿区成年後見センター」を中心に、成年後見制度の利用促進に向けた普及啓発や相談・支援、地域に密着した市民後見人の育成を引き続き行ってまいります。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
待機児童の解消を図るため、保育園や子ども園などの整備に積極的に取り組むとともに、子育て世帯の多様なニーズに対応していきます。
本年4月には、早稲田南町保育園分園の開設、大木戸子ども園、ポピンズナーサリースクール市ヶ谷、ほっぺるランド神楽坂の定員拡大のほか、認証保育所の認可化による定員拡大などにより、429名の定員の拡大を実現します。
さらに、平成28年度は、「(仮称)にじいろ保育園高田馬場南」、「(仮称)太陽の子新小川町保育園」、「(仮称)都庁内保育所」を開設するとともに、中央図書館跡地の認可保育所や、賃貸物件を活用した私立認可保育園4所を整備し、29年4月までに422名の定員拡大を図ってまいります。

こうした取組みに加えて、保育に必要な人材の確保を図るため、保育の仕事に関する就職面接会で事業所見学会を実施するとともに、保育サービスの質の向上を目的とした保育士への研修を実施するほか、保育従事職員用の宿舎借上げ経費への助成や、保育人材のキャリアアップの支援に引き続き取り組んでまいります。
また、子育て世帯の多様な保育ニーズに応えるため、延長保育、一時保育、障害児保育、定期利用保育の定員を拡充してまいります。

さらに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るため、多子世帯及びひとり親世帯等における保育料軽減策として、国の制度に加えて、区独自に所得制限を引き上げるとともに、対象世帯を認証保育所にも拡大して実施してまいります。

小学生の放課後の居場所づくりについては、放課後子どもひろばのうち、津久戸小、四谷第六小、落合第三小、淀橋第四小の4か所の開設時間を延長するほか、学童クラブ機能付き放課後子どもひろばを、江戸川小、市谷小など16か所に拡充します。さらに、学童クラブについても、土曜日のみ一時利用ができるサービスを開始するなど、多様なニーズに応えてまいります。

また、地域における子育て支援サービスの充実を図るため、子ども総合センターを中心とした子育てネットワークづくりや相談事業、子育てにかかわる地域活動への支援に引き続き取り組むとともに、小学校低学年への学習支援を、子ども家庭支援センターを含む3か所で展開してまいります。
さらに、保護者の強い育児疲れ等が見られる要支援家庭を対象としたショートステイ事業や、夜間に家庭において小学生以下の子どもを養育することが困難になった場合等に、生活指導や食事の提供を行うトワイライトステイ事業を実施します。

発達に心配のある幼児期の子どもへの支援としては、区内の子育て支援施設の拠点である子ども総合センターにおいて、心理指導員等による保育所等訪問支援を新たに実施するほか、障害幼児一時保育を土曜日にも利用できるようにし、利用可能日数も月2回から月3回に拡大します。
あわせて、発達障害児の子育て経験のある保護者が自らの経験を活かして相談や助言を行うペアレントメンターの体制を整備するなど、心身の発達に心配のある幼児期の子どもが、家庭や地域で健やかに成長できるように支援を推進します。

このほか、妊婦が抱える不安の軽減と、リスクの早期発見に向けて、平成27年10月から行っている出産・子育て応援事業「ゆりかご・しんじゅく」を引き続き実施し、すべての妊婦が保健師等に相談できる機会を設けるとともに、必要な方には継続的な支援を行うことにより、妊娠期から子育て期にわたって切れ目のない支援を行ってまいります。

また、平日の夜間における子どもの発熱や腹痛などの小児科診療に対応するため、本年7月から、国立国際医療研究センター病院内に「(仮称)しんじゅく平日夜間こども診療室」を開設するほか、新宿区医師会区民健康センターで実施している内科・小児科の休日診療について、祝日と年末年始の人員を増加し、待ち時間を短縮するなど、診療体制の充実を図ってまいります。

子どもの貧困対策としては、特に貧困に陥りやすいと言われているひとり親家庭のニーズや課題に対応した支援を図るため、ひとり親家庭生活支援相談会を実施するなど、個々の世帯の状況に応じたきめ細かな支援を総合的に推進してまいります。

また、子育て家庭の福祉の向上を図り、子どもたちの生きる力を育むため、新宿区子ども未来基金を創設し、未来を担う子どもの育ちを支援する区民等の自主的な活動に対し助成を行います。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす学校教育の充実についてです。
平成27年11月に、「次代を担う新宿区の子どもたちがのびのびと健やかに育ち・学び・自立できるまち」と、「子どもたちの成長を地域でしっかり応援するまち」の実現に向けて、新宿区教育大綱を策定しました。教育大綱に基づき、教育委員会とより一層連携して、教育施策の充実を図ってまいります。

このため、学校の教育力の向上を目指して、学習指導支援員の配置など学校支援体制の充実のほか、学校評価や特色ある教育活動を推進してまいります。
あわせて、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援として、全小学校に特別支援教室を設置し、3校~4校に1校設置する拠点校の教員が小学校を巡回し指導を行うことで、発達障害の児童が在籍校で指導を受けることができる新たな体制に移行します。
さらに、外国籍等の生徒のうち学年相当の学習言語が不足している中学校3年生を対象に、「話す・聞く・書く・読む」に特化した日本語サポート指導を行い、進学等を支援するほか、特別支援教室及び日本語学級においてタブレット端末を活用した授業の充実にも取り組んでまいります。

このほか、区独自の学力調査を引き続き実施し、一人ひとりの学力の状況を経年で的確に把握することにより、児童・生徒の学力の向上と指導の改善を図ってまいります。

時代の変化に応じた学校づくりとしては、学校選択制度についての検証を進め、より適切な就学制度と教育環境の整備につなげていきます。

また、区立小学校の通学路への防犯カメラの設置については、平成27年度の10校に続いて、28年度は9校を対象とし、登下校時における児童の安全の確保を図ってまいります。

幼児教育については、津久戸幼稚園、早稲田幼稚園及び余丁町幼稚園で新たに3年保育を実施するほか、現在3年保育を実施している区立幼稚園11園の3歳児学級の定員を17人から20人に拡大します。
また、預かり保育については、現在実施している市谷幼稚園と西戸山幼稚園に加え、新たに鶴巻幼稚園と花園幼稚園において実施することにより、子育て世帯のニーズに対応してまいります。
さらに、多子世帯及び、ひとり親世帯等における保育料軽減策については、保育園と同様に、区独自に対象世帯を拡大して実施します。

そして、オリンピック・パラリンピックを契機として、小学校での伝統文化体験教室や中学校での和楽器体験により伝統文化理解教育のさらなる充実を図るほか、障害者理解教育として、ブラインドサッカーなどの障害者スポーツの体験を通じて、児童・生徒が障害への理解を深める機会をつくります。
また、体力の向上を図る取組みとして小学校で実施している「スポーツギネス新宿」に加え、中学生の運動への関心を高めるため、授業や休み時間に実施できるダブルダッチを導入し、中学校版「スポーツギネス新宿」事業を展開します。
さらに、児童・生徒が英語でのコミュニケーションの楽しさを体験できるように、希望者を対象とした2泊3日の英語キャンプを実施してまいります。

次に、セーフティネットの整備充実についてです。
平成27年度に策定した「第3)期ホームレスの自立支援等に関する推進計画」に基づき、ホームレス対策について区民の理解と協力を深めるとともに、支援活動を行うNPO等の支援団体との連携をより一層強化しながら自立支援を推進していきます。

生活困窮者の自立支援としては、「生活支援相談窓口」において、経済的に困っている方からの相談に的確に対応し、自立相談支援事業、住居確保給付金の支給、就労準備支援事業及び家計相談支援事業の各種支援事業を引き続き実施してまいります。平成28年度は、高校進学・定着を目的とした学習支援を拡充します。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりについてです。
平成29年度の「新宿区第三次男女共同参画推進計画」の策定に向けて、28年度は男女共同参画やワーク・ライフ・バランスに関する事業者の取組みや区民の意識の変化などを把握するための調査を実施します。

また、平成27年9月に成立した「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」の趣旨を踏まえ、講座や情報誌などによる意識啓発に引き続き取り組むとともに、ワーク・ライフ・バランスや男性の育児・介護支援などを積極的に推進する企業への支援を行い、子育てしながら安心して働ける職場環境づくりを支援してまいります。

また、ドメスティック・バイオレンスの防止と被害者支援体制の充実を図るため、啓発講座を開催するほか、新宿区配偶者暴力相談支援センターの、平成29年度の設置に向けた検討を進めてまいります。

次に、だれもが地域で働きつづけられるしくみづくりとして、「新宿区勤労者・仕事支援センター」において、ハローワーク等の関係機関と連携しながら、障害者、高齢者、若年非就業者に対する総合的な就労支援を引き続き推進してまいります。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合った区政運営を推進するため、引き続き、新宿区町会連合会と連携し、地域のさまざまな課題に取り組むとともに、新たにマンション向けの地元町会を紹介するパンフレットを作成、配布し、地域住民の親睦や地域コミュニティづくりの中心として活動している町会・自治会への加入促進を図っていきます。

また、地域を支えるNPOや地域活動団体などの多様な主体との協働を推進するため、引き続き協働事業提案制度を実施します。

次に、基本政策の第二、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」についてです。

災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに向けて、平成32年度までに住宅の耐震化率95%を達成することを目標に、木造住宅耐震改修工事の所得要件をなくすことにより、助成対象者を拡大します。
また、震災時の避難や救助活動等に重要な役割を持つ特定緊急輸送道路沿道建築物については、引き続き除却及び建替えへの助成を行うとともに、木造住宅密集地域など震災時に危険度が高い地区においては、戸別訪問対象戸数を増やしていきます。
あわせて、擁壁やがけについても、コンサルタント派遣による指導と啓発を行うとともに、平成28年度から改修費用の助成対象を拡大し、建築敷地の耐震化への取組みをさらに推進してまいります。

また、木造住宅密集地域の解消に向けて、新たな防火規制と地区計画の導入による建築物の不燃化促進や道路状空間等の確保などに取り組みます。
特に、不燃化特区や防災再開発促進地区、新たな防火規制や地区計画の地区整備計画が導入されている地域において、既存木造建築物の耐火建築物等への建替えと、除却に対する助成を平成28年度から実施します。
このほか、西新宿五丁目北地区の市街地再開発については、防災街区整備事業への助成と支援を行ってまいります。

さらに、道路の無電柱化については、本年3月に三栄通りの整備が完了するほか、平成29年度の完成に向けて聖母坂通りの工事を進めていきます。また、補助第72号線の整備や、新たに甲州街道脇南側道路の整備に向けて、取り組んでまいります。
細街路の拡幅整備については、建物の建替えにともなう事前協議を進めるとともに、拡幅した敷地に隣接する方への協力を呼びかけることにより、災害に強いまちづくりを推進してまいります。

次に、災害に強い体制の構築についてです。
防災活動に日頃接する機会の少ない若者をはじめ、広い世代が参加しやすいイベントを、協働事業提案制度により実施し、災害発生時に備えた共助の担い手を育成するとともに、防災に対する意識を高め、地域全体の防災力を強化してまいります。
特に、マンションが多く立地する新宿区の特性を踏まえ、マンション防災対策ガイドラインの策定に向けた検討や、防災訓練の実施など、マンションにおける防災対応力の向上を図ります。

避難所については、女性をはじめ配慮を要する方の視点を取り入れ、避難所の管理運営体制の強化を図るとともに、避難所生活に必要な物品を購入します。
また、被災した高齢者や障害者等が安心して安全に避難できるよう、区内民間福祉施設5所と協定を締結し、福祉避難所を、区の福祉施設に加えて民間施設にも広げてまいります。平成28年度は、避難者への支援を行う人材の確保とあわせて、福祉避難所への備蓄物資の配備や更新、避難所開設・運営訓練の実施等により、災害時応急体制の強化を図ります。

さらに、「新宿区多文化防災ネットワーク」と連携した外国人向け防災訓練やワークショップ等を実施するとともに、外国語版のSNSによる情報発信を行い、災害時には多言語で災害情報を発信するなど、災害時における外国人支援の仕組みづくりに取り組んでまいります。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
区民や来街者が安心して楽しむことのできる、賑わいのあるまちづくりに向けて、繁華街の客引き対策として、「新宿区公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」を改正し、客引き行為等を用いた営業の禁止、勧告に従わない場合などの公表、過料や両罰規定により、客引きの撲滅に努めます。また、地域団体との連携により、客引き行為が多くみられる新宿駅周辺の防犯パトロール活動を強化するなど、客引き行為の防止に向けて取り組んでまいります。

また、空家等の対策の推進については、平成29年度の「空家等対策計画」の策定に向けて、28年度は空家等の実態調査を行い、データベースを整備するとともに、空家等の適切な管理の促進や有効活用のあり方等を検討してまいります。

さらに、平成29年度の「第4次新宿区住宅マスタープラン」の策定に向けて、28年度はこれまでの住宅施策の検証と、分譲マンション実態調査を実施し、安心して住み続けられる住環境の整備に取り組んでまいります。

次に、基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」についてです。

新宿駅周辺では、交通ターミナルとしての機能と高度な商業・文化・業務の集積機能を併せ持つ魅力を活かし、歩行者の回遊性の向上を軸とした都市基盤の整備を進め、より魅力的で賑わいあふれる、歩きたくなるまちづくりを進めてまいります。このため、新宿駅直近地区の地区計画等を策定して、まちの再整備を進めるとともに、新宿通りのモール化に向けて、周辺道路等への影響や、地区内の荷さばき集約化の検証などを行います。あわせて、東西駅前広場の再整備やサブナード延伸の検討を進めてまいります。
東西自由通路については、平成32年の供用開始に向けて、着実に工事を進めてまいります。

中井駅周辺については、平成28年度中に南北自由通路の供用を開始し、歩行者の利便性の向上を図ります。さらに、北側と南側の駅前広場、駐輪場、(仮称)防災コミュニティスペース、歩行者専用橋等については、29年度までの整備に向けて取り組んでまいります。

次に、歌舞伎町地区のまちづくりについては、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現に向けて、平成28年度にリニューアルオープンする歌舞伎町シネシティ広場において、オープンカフェやさまざまなイベントを開催します。

また、「歌舞伎町街並みデザインガイドライン」に基づいて、一番街通りのまちづくり自主ルールの策定を支援するとともに、シネシティ広場の整備に続いて、新宿東宝ビル東側道路の整備に向けて取り組んでまいります。

さらに、歌舞伎町をはじめ、新宿駅周辺の公道上の観光バス滞留対策として、観光バスの駐車場を確保し、外国人観光客等の誘致によるまちのにぎわいを創出します。

次に、地域特性を活かしたまちづくりを推進するため、地域との協働により、地区計画やまちづくりの構想、ガイドラインなど、まちづくりルールを定めてまいります。平成28年度からは新たに、飯田橋駅東口から、現在、整備が進められている放射25号線にわたる津久戸町周辺地区のまちづくりの支援を行うほか、高田馬場駅周辺地区においては、駅周辺建物の建て替えにあわせたまちづくりの検討を行います。また、信濃町駅周辺地区においては、新国立競技場への玄関口にふさわしいまちづくりの検討を進めてまいります。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりの実現に向けて、ワークショップを通じて作成したユニバーサルデザインガイドブックを活用し、普及啓発を行ってまいります。
また、外国人旅行者をはじめとした来街者が安心して快適に新宿の観光を楽しめるよう、新宿駅周辺の案内サインの整備や、無料公衆無線LAN環境「新宿フリーWi-Fi」を整備するとともに、Wi-Fi用ポータルサイトを新宿観光振興協会と連携して整備してまいります。
「新宿フリーWi-Fi」については、本年3月までに整備が完了する新宿駅周辺に続いて、平成28年度は、高田馬場駅や新大久保駅、大久保駅の各駅周辺への整備を進め、魅力的な観光情報の提供により、区内各地への回遊を促進します。

次に、道路環境の整備についてです。
安全で快適な歩行環境を整備し、暮らしやすい道づくりを進めるため、新宿区通学路交通安全プログラムと連携し、下落合地区において、学校・公園周辺や子どもの多いエリアの道路整備計画を、地域との協働で策定してまいります。

また、道路の節電対策とCO2の抑制を進めるため、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、改修可能な小型街路灯約4,500基をすべてLED街路灯に改修するほか、環境に配慮した道路舗装等を進めてまいります。
さらに、誰もが使いやすいバリアフリーの道づくりを進めるため、高田馬場駅に繫がるさかえ通りと、信濃町駅周辺の区道について、整備に向けて取り組んでまいります。

次に、交通環境の整備についてです。
歩行者、自転車、自動車、それぞれが安全に安心して通行できる道路空間を創出するため、神宮球場前、はごろも児童遊園エリア及び早大通りの外苑東通りから江戸川橋通りまでの区間について、自転車走行空間の整備に向けて取り組んでまいります。

また、自転車を安全に活用できる環境整備を行うため、平成29年度の「自転車等に関する総合計画」の策定に向けて、28年度は現況調査を行います。
さらに、区民の新たな移動手段や観光振興、まちの回遊性の確保などの視点から、シェアサイクルの導入についても検討します。

自転車の適正利用の推進については、交通安全教室の開催やチラシ、ホームページなどを通じてルールやマナーの周知に引き続き取り組んでいくほか、放置自転車の解消に向けて、中井駅と西早稲田駅の駐輪場整備、新宿駅と都庁前駅の時間利用駐輪場整備を行うとともに、内藤町自転車保管場所の収容台数を拡充します。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
平成29年度の「みどりの基本計画」の改定に向けて、27年度に実施したみどりの実態調査などに基づく検証及び課題整理を行います。
また、新宿らしい都市緑化を推進するため、新宿中央公園とおとめ山公園で生き物調査を実施し、生物多様性に配慮した緑化の推進や、花の名所づくりを進めていくほか、保護樹木の健全度調査を実施し、適切な維持管理の支援を行ってまいります。

さらに、新宿中央公園については、魅力的で賑わいのある公園づくりに向けて、民間活力の導入や、地域のまちづくりと連携した公園整備に取り組んでまいります。
このほか、西落合二丁目の葛ヶ谷公園については、魅力ある身近な公園づくりに向けて、地元の方々とのワークショップなどにより作成した改修計画案に基づく改修工事を実施してまいります。

次に、地球温暖化対策を着実に推進するため、新宿エコ隊の活動や、新宿の森での環境保全体験への参加の促進、太陽光発電設備などの導入経費の補助、省エネ診断の支援、省エネルギー意識の啓発など、さまざまな施策に引き続き取り組んでまいります。

次に、資源循環型社会の構築に向けて、平成28年度から、資源・ごみ集積所に排出される蛍光灯などの水銀使用製品を適切に回収し、安全かつ確実な処理に取り組むほか、使用済み小型電子機器の回収拠点を拡充するなど、引き続きごみの減量と資源化率の向上を図ってまいります。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現のため、「(仮称)産業と観光展」を開催し、「新宿ものづくりマイスター」などの新宿のものづくり産業や観光都市としての新宿の魅力を、新宿観光振興協会と連携して国内外に発信してまいります。
このほか、ビジネス交流会や商談会の開催により、中小企業等の新たなビジネスチャンスを支援してまいります。

さらに、観光と一体となった産業振興を推進するため、オリンピック・パラリンピックの開催とその後も見据え、平成29年度の「新宿区産業振興プラン」の策定に向けて、平成28年度は産業実態調査を実施してまいります。

次に、魅力ある商店街の活性化に向け、区内商店会等が実施するまちのにぎわいや交流を創出するためのイベントの開催や、街路灯の設置・改修等を引き続き支援するとともに、「新宿フリーWi-Fi」公衆アクセスポイントの設置を支援してまいります。

また、新たに商店会、商店主に向けた情報誌を発行し、商店街活動や商店経営の参考となる区内外の魅力ある活動事例などの情報を提供することにより、商店街の魅力づくりを推進します。

次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
夏目漱石生誕150周年に当たる平成29年9月の開設に向けて、本年4月より(仮称)「漱石山房」記念館の建設に着手します。
また、漱石作品にまつわる読書感想文と絵画のコンクールなどの情報発信イベントを継続して開催すると同時に、記念館の建設とあわせて、文化の薫る道づくりとして、周辺道路の整備を行います。
さらに、友好都市提携10周年を迎える伊那市との交流事業、漱石に関わる縁(えにし)を起点とする熊本県や熊本市、松山市との相互協力を活発化してまいります。

このほか、新宿フィールドミュージアムの展開や、新宿クリエイターズ・フェスタなど、「文化芸術創造のまち新宿」の実現に向けた取組みを推進していきます。

また、新宿駅東南口の甲州街道高架下に、文化観光情報の発信拠点となる観光案内所とイベントスペースを一体的に整備していきます。
四谷駅前地区市街地再開発事業の権利床として取得する公益棟では、文化国際交流やスポーツができる機能を持たせることにより、新たな賑わいの創造に取り組んでまいります。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
区立図書館では、区民の知の拠点として、デジタル化資料を含めた図書館資料の充実を図り、区民や地域の課題解決を支援するとともに、情報発信機能を強化します。
また、区立図書館の月曜日の一斉休館を見直し、本年10月から区立四谷図書館の休館日を月曜日から火曜日に変更することにより、利用機会の充実を図ります。
さらに、中央図書館跡地に、新たな地域図書館として、(仮称)下落合図書館を、平成29年3月の開館を目指して整備を進めてまいります。

このほか、区民の誰もが生涯を通じて、さまざまな目的やレベル等に応じた多様なスポーツ活動に親しむことができるよう、「新宿区スポーツ環境整備方針」に基づき、スポーツの力で新宿のまちを元気にする取組みを進めてまいります。
平成28年度は、スポーツ人口をより増やしていくため、トップアスリートによるスポーツイベントの実施や、パラリンピック正式種目を取り入れたスポーツ体験事業等を行い、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、区民の気運醸成を図っていきます。

また、戸山公園箱根山地区多目的運動広場については、利用者ニーズを踏まえた、より快適で、多種目・多目的に使用できる総合的な多目的運動場としての整備検討を行うとともに、引き続き東京都へ積極的な働きかけを行っていきます。

次に、多文化共生のまちづくりを推進するため、国籍や、文化、言語の異なる人々が互いを認め、理解し合い、ルールを守り、相手を思いやることのできる地域社会を創り出していくための取組みを、一層推進してまいります。

次に、平和都市の推進についてです。
新宿区平和都市宣言から30周年を迎える本年3月に、新宿区平和都市宣言30周年記念事業を実施します。同時に、記念誌を発行し、戦争を実際に体験された方の戦争体験を記録して、戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代へと伝えてまいります。

次に、基本政策の第四、「健全な区財政の確立」についてです。

「新宿区基本構想」で示した“めざすまちの姿”「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、平成30年度から10年間を展望する新たな「新宿区総合計画」の策定に取り組んでまいります。29年度の策定に向けて、28年度は、基本構想審議会や区民討議会を開催し、各行政分野の課題や方向性について広くご意見をお伺いし、骨子を取りまとめてまいります。

また、行政評価については、新たな総合計画における、より適切な施策・事業の進行管理を行うため、行政評価のしくみの検討を行います。

次に、区有施設のあり方については、平成27年度に作成する施設白書において整理した課題や分析結果を踏まえ、施設類型ごとの管理や、施設の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針を定める「公共施設等総合管理計画」を策定します。
計画の策定にあたっては、施設利用者へのアンケート調査、ワークショップやシンポジウムなどを通じて、広くご意見をお伺いしながら進めてまいります。

次に、施設の有効活用についてです。
まず、中央図書館跡地には、地域図書館や工事事務所などを平成28年度の開設に向けて整備するほか、民設民営による介護保険施設と保育所を29年度の開設に向けて整備を進めてまいります。

薬王寺児童館等合築施設については、建物のバリアフリー対応として、段差解消工事やエレベーターの設置、誰でもトイレの設置等を行い、施設を利用する乳幼児親子や高齢者等の利便性向上を図ります。
また、改修工事に併せて、地域の待機児童解消対策として私立認可保育所を整備するとともに、薬王寺ことぶき館を、従来の地域交流館に新たな機能を付加し、健康寿命の延伸に向けた体力向上の取組み等を実施する施設に機能転換します。

次に、基本政策の第五、「好感度1番の区役所」についてです。

「好感度1番の区役所」の実現に向けて、職員一人ひとりが区民と区役所との接点であるという意識を持ち、職務にあたることが不可欠です。このため、区民起点で考え、区民と協働し、職場や仕事を改善する職員の育成に引き続き取り組んでいきます。
また、新宿自治創造研究所では、平成28年度から「新宿区の魅力」をテーマに研究を進め、施策立案に活用していくとともに、これまでの研究成果を生かし、職員の政策形成能力の向上に取り組んでまいります。

本年1月からは、マイナンバー制度の運用が始まり、すでに個人番号カードの交付も始まっています。
マイナンバー制度は、社会保障制度を持続していくための適切な給付と負担による公正・公平な社会を実現していくための社会基盤となるものであり、また、行政手続きなどにおける区民の利便性の向上と行政の効率化を図るものです。
一方、個人情報の管理や新制度導入に対する区民の皆様の懸念の声を耳にします。区では、個人情報の安全確保のために、外部からの不正アクセス防止やコンピューターウイルス感染防止などさまざまなセキュリティ対策をさらに強化していきます。また、マイナンバーに関するお問い合わせには相談窓口で丁寧に対応していくなど、マイナンバー制度の円滑な運営に取り組んでまいります。

地方分権の推進については、区民に最も身近な基礎自治体として、国や都からのさらなる権限・財源等の移譲を進め、新宿区の自治権拡充に向けて、引き続き取り組んでまいります。
特に、23区で取り組んでいる児童相談所の移管については、特別区が総合的に児童相談行政を担うことで、地域の方々や関係機関とのより一層の連携が図られ、迅速できめ細かな支援が可能となることから、早期移管が実現するよう努めてまいります。

さて、2020年東京オリンピック・パラリンピックまであと4年となりました。第三次実行計画では、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えた取組みとして、ただいま申し述べてまいりました事業の中から、オリンピック・パラリンピック教育の推進やユニバーサルデザインまちづくりの推進、スポーツ環境の整備など、30の事業を位置付けています。
新宿区も、メインスタジアムを地元に持つ自治体として、大会の成功はもとより、区民の記憶に残る大会を実現できるよう、最大限の努力をしていきたいと考えています。 

3.2 平成28年度予算の概要

 次に、平成28年度の予算編成にあたっての基本的な考え方を申し述べます。

 平成28年度の政府の一般会計予算案は、「一億総活躍社会」の実現に向け、子育て支援や介護サービス等の充実、また地方創生の本格実施などに、重点的に予算を配分する一方、国債発行額を前年度から2兆4,000億円削減するなど、「経済再生と財政健全化の両立する予算」として、税収が、対前年度比5.6%増の57兆6,040億円で、予算規模については、対前年度比0.4%増の96兆7,218億円となり、平成27年度予算を上回り、過去最大となりました。

 また、東京都の平成28年度の一般会計予算案は「『世界一の都市』の実現に向けた取組を加速化・深化させ、力強く前進させる予算」と位置づけ、都税が対前年度比3.7%増の5兆2,083億円で、予算規模については、対前年度比0.8%増の7兆110億円となり、4年連続の増となっています。

 新宿区の平成28年度の一般会計予算案は、「不透明な財政環境の中、将来にわたり安定した財政基盤を確立し、新たな総合計画への橋渡しとなる第三次実行計画を着実に進め、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちの創造に向け、確かな一歩を踏み出す予算」と位置づけ、第一に、社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、区民生活に影響を与える課題に重点的に財源を配分し、解決に向け確実に取り組むこと、第二に、より一層の歳入確保を図るとともに、行政評価や決算実績等を踏まえ、徹底した事業見直しと経費の削減に取り組み、将来にわたり安定した財政基盤を確立すること、この二点を基本に編成しました。
 予算の規模は1,454億円となり、前年度に比べ25億円、1.7%の増となりました。

 我が国の景気動向は、緩やかな回復基調が続いていますが、中国をはじめアジア新興国等の景気の減速に伴う影響が懸念されるところです。

 また、平成28年度税制改正では、法人住民税の一部国税化がさらに拡大されており、特別区分だけでも1,000億円を上回る規模の影響が見込まれるなど、区財政を取り巻く社会経済情勢は、決して楽観視できるものではありません。法人住民税は、企業等の地域での活動やそこで働く人々を支えるための施策の財源とするもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則を歪めるとともに地方分権の流れに大きく逆行するものです。こうしたことから、特別区長会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに、国に対し、法人住民税の一部国税化を早期に見直すことを引き続き強く要望しています。

 こうした中、区は、社会経済情勢の変化に迅速かつ的確に対応し、区民生活を支えていくことが求められています。

 平成28年度予算は、現在の総合計画から新たな総合計画への橋渡しとなる第三次実行計画の着実な推進に向けた予算として、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」等の基本政策に取り組み、誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現、災害に強いまちづくり、新宿のまちの魅力向上と賑わいの創造などに、重点的に予算を配分しています。

 良質な区民サービスを提供し続けるには、将来にわたり安定した財政基盤の確立が不可欠です。引き続き、区税等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取組みをさらに進めることで、財政基盤の強化を図ることが必要です。
常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営の確保に努めてまいります。

4 おわりに

 以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

 区政を取巻く環境は決して見通しの良い状況にはありません。景気の先行きについても、慎重に見極めていかなくてはなりません。私は、現場・現実に向き合い、区民の皆様との信頼関係を築きながら、将来を見据え、区政課題に取り組んでまいります。
 次の世代が夢と希望を持って生活できる、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを目指すことが使命だと考えております。「新宿力で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、全力で取り組みます。

 議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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