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平成27年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2015年2月20日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

 平成27年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
 本定例会では、平成27年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。
 何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 さて、我が国の景気動向を見てみると、平成26年10月から12月期の実質GDP成長率は、年率2.2%となり、消費税増税後、はじめてプラス成長となりましたが、消費税率引上げに伴う消費の駆け込み需要の反動減や夏の天候不順の影響、また、実質賃金の低下や輸入価格の高騰などから、個人消費の回復はなかなか進んでいません。
 1月に内閣府が発表した、「日本経済2014-2015 好循環実現に向けた挑戦」では、昨年末に決定された緊急経済対策が着実に実施に移されることで、日本経済の脆弱な部分が下支えされるとともに、4月以降の更なる賃上げへの道筋が明確にされる中で、経済の好循環がより強化され、景気の回復基調がはっきりしてくることが期待されるとしています。
 一方、平成26年度税制改正では、法人住民税の一部国税化に伴う地方法人税の創設とその全額を地方交付税の原資とする見直しが行われました。
 そもそも、法人住民税は、地域での活動やそこで働く人々を支えるための施策の財源とするもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則を歪めるとともに地方分権に逆行するものです。こうしたことから、特別区長会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに国に要望書を提出し、法人住民税の一部国税化に対する反対を主張しています。

 区政を取り巻く社会経済情勢は不透明であり、景気の先行きについても、慎重に見極めていくことが必要です。
 私は、区民の皆様に最も身近な基礎自治体の長として、「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」、「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」の2点を基本に、区政の課題に積極的に取り組み、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを全力で創造してまいります。

2 平成27年度の区政運営の基本認識

 次に、平成27年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

 第一に、「暮らしやすさ1番の新宿」についてです。
 私は、区民が心豊かに暮らすことができるよう、一人ひとりが尊重され、それぞれの役割を担いながら、自分らしく生きることができる地域社会の実現を目指します。
 このため、高齢者施策では、健康寿命を延ばすとともに、誰もが住み慣れた地域で、安心して暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの実現をはじめ、在宅介護支援サービスの充実、公有地を活用した特別養護老人ホームの整備、また、今後、増加が見込まれる認知症に対しては、早期発見や早期診断、相談・支援体制の充実を図ります。
 子育て支援では、着実な待機児童の解消と多様化する保育ニーズに対する幅の広い保育サービスの充実に取り組むと同時に、一時保育や預かり保育などの在宅子育て家庭への支援に取り組みます。また、幼児教育の無償化への段階的な取組みや子どもが安心できる居場所づくりを進めます。さらに、子育てと仕事の両立に向けた事業者等への啓発・支援、若者のつどい等の開催を通じて、女性や若者が活躍できる地域づくりを進めます。

 学校教育の充実としては、新地方教育行政制度の下、子どもたちの豊かな心と健やかな体づくりを推進するとともに、いじめや不登校等の防止、特別支援教育の推進など、子ども一人ひとりにきめ細かく丁寧に向き合います。
 障害者施策については、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、日常生活を支える支援の充実を図るとともに、地域で生活するための基盤整備や多様な就労ニーズに対する支援、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりなど、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境を整備します。

 第二に、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」についてです。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、災害に強い高度な防災機能を備えた高度防災都市づくりに取り組むことが喫緊の課題です。
 発災から20年を経過した阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、木造住宅密集地域の解消や、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震化、道路の無電柱化等を進めるとともに、分譲マンションの耐震化の促進など、災害に強いまちづくりにスピード感を持って取り組み、新宿の高度防災都市化の早期実現を図ります。
 また、災害時の安全を確保するため、災害時要援護者名簿への登録勧奨や、家具転倒防止対策の支援強化、また、女性の視点を取り入れ、災害時要援護者にも配慮した避難所運営体制を確立します。
 近年多発する大規模な台風や突発的な集中豪雨に対しては日頃からの備えや啓発に取り組んでいきます。
 こうした災害に対し、初動体制を強化するため、重層的な連絡体制を構築します。
 また、地域の防犯対策や空き家の適正管理、客引き行為等の防止対策、危険ドラッグ対策など、日常生活の安全・安心を高め、暮らしやすい、安全で安心なまちを実現します。感染症などの新たなリスクに対しては、国、都、医療機関等と連携を密にし、万全の体制で対応します。

 第三に、「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
 新宿区は、商業・業務・文化・居住機能などが集積する多様性に富んだまちです。こうした都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿の未来を創るため、「まちづくり長期計画」を策定します。
 新宿駅周辺地域は、新宿のイメージを代表する重要なエリアであり、歌舞伎町は、本年4月に完成するコマ劇場跡地の都内最大級のシネコンをはじめ、日本を代表するエンターテイメントシティとしても期待されています。
 このため、新宿駅東西自由通路や駅前広場の整備により、新宿駅周辺の利便性を向上させ、回遊性が高く魅力的で歩いて楽しいまちづくりを進めます。
 中井駅では、南北自由通路と駅前広場、駐輪場、防災コミュニティ施設等を整備し、良質な歩行空間を創出します。
 一方、景観まちづくりによる快適な都市空間づくり、区道のバリアフリー化、放置自転車対策や受動喫煙防止対策など気持ちよく楽しめるまちづくり、街路灯のLED化の推進など環境にやさしいまちづくりを進めます。
 また、新宿が誇る文化・芸術のまちづくりに向けて、「(仮称)『漱石山房』記念館」の整備や、「新宿クリエイターズ・フェスタ」などを拡充するとともに、一般社団法人新宿観光振興協会を中心に観光イベントや情報の発信、新宿ブランドの創出をはじめ、さらなる賑わいづくりに取り組みます。
 また、魅力ある商店街の活性化として、商店会のイベントや施設整備、空き店舗等の有効活用を積極的に推進するとともに、商店街灯のLED化の推進など、環境にも配慮した商店街づくりを進めます。
 そして、2020年東京オリンピック・パラリンピックの好機を捉え、文化・観光、都市基盤整備、ユニバーサルデザインなどの施策を総合的に推進し、国際観光都市・新宿としてのブランド力の向上を図ります。

 第四に、「健全な区財政の確立」についてです。
 健全な区財政を維持し、将来にわたって安定した行政サービスを提供するため、中期財政見通しを作成し、決算実績や行政評価を踏まえ、事業見直しの徹底と施策の重点化を図ります。
 また、新公会計システムを活用し、職員一人ひとりのコスト意識を高めて資産管理や予算編成、行政評価等に有効活用することで、区政運営のマネジメントを強化します。
 区有施設については、公共施設等総合管理計画を策定して、施設のあり方や役割を見直し、効果的かつ効率的な公共施設のマネジメントに取り組みます。

 第五に、「好感度1番の区役所」についてです。
 住民にとって最も身近な行政サービスである窓口の好感度を高めることは、区民視点で事務事業や組織体制等を改善していく出発点です。
 区民の立場で考え、正確かつ公平、丁寧な応対で、区民の信頼に応え、区民の相談に対しては、適切な窓口対応で速やかに解決することが必要です。
 また、情報の共有化を図るため、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアの活用をはじめ、コミュニケーションツールの研究など多様な手段を活用していきます。
 現在、地方分権の取組みは、「個性を活かし自立した地方」をつくる新たなステージへと移行しており、区民とともに地域の実情にあった区政運営を進めていくことが、より効果的な施策や行政サービスの提供へとつながっていきます。このため、現場・現実に向き合い、町会・自治会、NPOをはじめ区民との連携・協働による地域課題の解決に取り組んでいきます。

3 基本目標と主要施策の概要

 このような認識を踏まえ、基本構想や総合計画に掲げた目標の実現に向けて取り組む主要な事業の概要を、基本構想に掲げる基本目標に沿って申し述べます。


3.1 まちづくりの基本目標と主要事業の概要

 まちづくりの基本目標の一つ目は、『区民が自治の主役として、考え、行動していけるまち』です。

 まず、参画と協働により自治を切り拓くまちの実現に向けて、区民に最も身近な基礎自治体として、国や都からのさらなる権限・財源等の移譲を進め、新宿区の自治権拡充に向けて引き続き取り組んでまいります。
 特に、児童相談所の移管については、区民に最も身近な特別区が総合的に児童相談行政を担うことで、地域の方々や関係機関とのより一層の連携が図られ、迅速できめ細かな支援が可能となることから、早期移管が実現するよう努めてまいります。

 次に、協働の推進に向けた支援の充実のため、「新宿NPO協働推進センター」を拠点として、引き続き、活動場所の提供、交流事業や情報発信などを行い、地域を支える社会貢献活動団体のネットワークづくりを進めてまいります。
 また、区民との協働をいっそう推進するため、協働事業提案制度により、平成26年度に引き続き、ワーク・ライフ・バランスに取り組む企業の事例の収集と発信を行うほか、本年度から新たに、スポーツ体験支援と商店街ホームページ活性化事業の2つの事業を実施します。

 さらに、コミュニティの活性化と地域自治を推進するため、引き続き、新宿区町会連合会と連携し、地域のさまざまな課題に取り組むとともに、地域住民の親睦や地域コミュニティづくりの中心として活動している町会・自治会への加入率の向上を図ってまいります。

 まちづくりの基本目標の二つ目は、『だれもが人として尊重され、自分らしく成長していけるまち』です。

 まず、一人ひとりが個人として互いに尊重しあうまちの実現に向けて、高齢者や障害者の人権を守るため、「新宿区成年後見センター」を中心に、引き続き、成年後見制度の利用促進に向けた普及啓発や相談・支援、地域に密着した後見人の育成を行います。本年度から、後見人への報酬に対する助成要件を緩和するとともに、申立費用に対する助成制度を新たに創設することで、成年後見人制度の利用を促進してまいります。

 次に、男女共同参画社会を実現し、女性が活躍できる地域づくりを進めるため、引き続き、講座や情報誌などによる意識啓発に取り組むとともに、ワーク・ライフ・バランスや男性の育児・介護支援などを積極的に推進する企業への支援を行ってまいります。

 次に、地域において子どもが育つ場の整備と充実を図るため、保育園や子ども園などの整備に積極的に取り組み、待機児童の解消を目指します。
 本年4月には、「(仮称)グローバルキッズ西落合園」、「(仮称)にじいろ保育園高田馬場西」、「(仮称)大久保わかくさ子ども園」を開設するほか、休園中の新栄保育園の再開や、新宿せいが保育園の定員拡大により、301名の定員の拡大を実現します。
 さらに、本年度は、「(仮称)ポピンズナーサリースクール市ヶ谷」、「(仮称)にじいろ保育園高田馬場東」、及び、「(仮称)西富久子ども園」を開設するとともに、賃貸物件を活用した私立認可保育園4所を整備するほか、新たに区の認可の対象となる事業所内保育所1所を整備し、471名の定員拡大を図ってまいります。
 こうした待機児童解消に向けた取組みに加えて、延長保育、休日保育、病児・病後児保育のほか、障害や疾病等により集団保育が著しく困難な乳幼児の居宅を保育士が訪問し、一対一で保育を行うサービスを新たに開始するなど、多様な保育ニーズに応えてまいります。
 さらに、中央図書館跡地での認可保育所を平成28年度中の開設に向けて整備するほか、「新宿区子ども・子育て支援事業計画」に基づき保育施設を計画的に整備するとともに、既存の認証保育所の認可化を支援して受入定数の拡大を図るなど、さらなる待機児童の解消に努めてまいります。

 また、保育園や子ども園で行っている専用室型一時保育や、子ども総合センターや子ども家庭支援センター等でのひろば型一時保育など、在宅で子育てをしている世帯への支援を拡充するほか、定期利用保育を拡充してパート勤務等の多様な就労形態に対応するなど、幅の広い保育サービスの充実に取り組みます。
 また、平成26年度から実施している第2子以降の保育料軽減など、幼児教育の無償化に向けた国の動向を注視しながら、子育て世帯の経済的負担の軽減を図ってまいります。

 次に、学童クラブの対象が小学6年生まで拡大されることに伴い、増加するニーズに対応するため、落合第四小学校内で新たに学童クラブ事業を開始するとともに、すべての学童クラブで利用時間の延長に対応します。また、学校の長期休業期間中のみの利用サービスを新たに開始するなど、家庭や子どもの状況に応じた多様なニーズに応えてまいります。
 あわせて、学童クラブニーズが高い地域の放課後子どもひろばでは、利用時間の延長やおやつの提供、さらに連絡帳の活用など学童クラブに準じたサービスの提供を行い、学童クラブとともに放課後の子どもの居場所づくりを進めてまいります。

 次に、地域における子育て支援の充実を図るため、子ども総合センターを中心とした子育てネットワークづくりや相談事業、子育てにかかわる地域活動への支援に取り組むとともに、ファミリーサポートセンターの預かり時間の延長など、地域で子育てを支え合う仕組みを推進します。
 また、子ども総合センターでの発達支援の拡充や、スマートフォン向けアプリケーションを活用して健診や予防接種等の子育て情報をお知らせするなど、子ども一人ひとりの状況に応じ、きめ細やかに子育て支援に取り組んでまいります。

 次に、若者に対する支援として、子ども・若者総合相談や関係機関との連携によるサポートネットワーク、「若者のつどい」などのイベントを通じて、若者が生き生きと活躍できる地域社会づくりを推進してまいります。

 こうした、子どもや若者に対する施策に総合的かつ計画的に取り組むため、本年度からの5年間を計画期間とする「新宿区第三期次世代育成支援計画」を策定し、さまざまな施策を推進してまいります。

 次に、学校教育の分野についてです。
 本年4月から導入される新地方教育行政制度の下、教育に関する総合的な施策の大綱の策定や、新たに設置する総合教育会議の主宰を通じて、教育行政に主体的に取り組みます。
 まず、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援として、昨年度に引き続き、本年度も特別支援教育推進員を2名増員し、体制の強化を図ります。
 また、情緒障害等通級指導学級については、本年4月、四谷第六小学校と鶴巻小学校に開設し、この2校を拠点に教員が隣接する小学校を巡回することで、障害のある児童が在籍校にいながら支援を受けられる「特別支援教室」を、モデル的に実施します。あわせて、すべての小学校に「特別支援教室」を整備し、平成28年度から、巡回指導を行う新たな特別支援学級の仕組みを区内全域で実施します。
 また、いじめや不登校などを防止するため、よりよい学級集団づくりのためのアンケートを実施し、子どもたち一人ひとりの状況に応じた支援や対応に活用してまいります。

 次に、地域に開かれた学校づくりを目指した地域協働学校については、本年度は、市谷小学校など小学校8校と、牛込第一中学校など中学校3校を指定します。
 また、登下校時における児童の安全確保のため、本年度から順次、区立小学校の通学路に防犯カメラを設置してまいります。

 次に、生涯学習の分野についてです。
 誰もが生涯を通じてスポーツに親しむことができるよう、「スポーツ環境整備方針」に基づき、スポーツの力で新宿のまちを元気にする取組みを進めてまいります。本年度は、協働提案事業として「新宿スポーツ環境推進プロジェクト」を実施し、トップアスリートや各種スポーツ団体等との連携により、子ども達がスポーツを楽しめる場や機会づくりに取り組みます。

 次に、図書館機能の充実のため、国立国会図書館が所蔵する絶版図書などの電子データを、中央図書館で閲覧・複写できるサービスを開始するほか、すべての図書館に利用者向けの公衆無線LANを設置し、インターネットによる情報収集がより手軽にできる環境を整備します。
 また、区民健康センターの廃止により生じたスペースを、中央図書館の書架や閲覧席として活用するための改修工事を行うほか、旧中央図書館の跡地には、平成28年度の開設に向けて「(仮称)下落合図書館」の整備を進めるとともに、新中央図書館については、引き続き検討を進めてまいります。

 次に、心身ともに健やかにくらせるまちの実現に向けて、生活習慣病の代表である糖尿病についての正しい知識や、食生活の改善、適切な運動習慣などについて普及啓発を行うとともに、レセプトとの突合により未治療者に対して受診を勧奨することで、重症化の予防に取り組みます。
 また、いつまでも健康な歯を維持していくため、8020運動を推進するとともに、新たに20歳の方に歯科健診の案内を通知するなど、歯周疾患の早期発見や治療を勧奨することで、生涯を通じた歯の健康づくりを支援してまいります。
 さらに、「女性の健康支援センター」を中心に、女性の健康に関するさまざまな施策を総合的に推進することにより、女性が生涯を通じて、健康で明るく充実した日々を過ごせるよう支援してまいります。
 また、自殺予防対策として、若者向けに相談窓口等の案内冊子を作成して配布するなど、区民の心の健康づくりに向けた施策を推進してまいります。

 次に、感染症の予防や拡大防止のため、新型インフルエンザ対策に引き続き取り組むほか、昨年流行したデング熱対策としては、蚊の発生源となる道路や公園の雨水枡等への薬剤投与やしゅんせつ作業を行うとともに、蚊の駆除や蚊のサンプル調査等を行います。
 このほか、先天性風しん症候群の予防のため、平成26年度に引き続き、風しん抗体検査を実施してまいります。

 まちづくりの基本目標の三つ目は、『安全で安心な、質の高いくらしを実感できるまち』です。

 まず、だれもが互いに支え合い、安心してくらせるまちの実現を目指し、本年度からの3年間を計画期間とする「新宿区高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業計画」に基づき、地域包括ケアシステムの実現に向けて、地域の活力を活かした高齢者を支える仕組みづくりと多様な主体によるサービス基盤の整備を推進します。
 そのため、地域包括ケアシステムの拠点である高齢者総合相談センターの相談支援機能を強化するとともに、医療機関やNPO、地域活動団体などの地域資源の把握と、新たなネットワークの構築による支援体制の充実、ボランティアをはじめ地域を支える担い手の育成を図ります。あわせて、地域安心カフェの充実などにより、高齢者やその介護者の孤立予防と、地域における支え合いの充実を図ります。
また、認知症の早期発見に向けて、本年度は、若年性認知症のリーフレットを作成し、周知・啓発を強化してまいります。
 このほか、さまざまなサービスや窓口などの情報をよりわかりやすく周知するため、「高齢者くらしのおたすけガイド」を、65歳以上の高齢者がいる全世帯に配布します。

 次に、介護を必要とする人が住み慣れた地域で暮らし続けられるように、地域密着型サービスを充実します。本年度は、民有地を活用し看護小規模多機能型居宅介護を1所開設するほか、認知症高齢者グループホームなどを3所整備します。
 また、平成28年度の開設に向けて、中央図書館跡地を活用した小規模多機能型居宅介護と、西落合都有地を活用した認知症高齢者グループホームについては、家族の介護負担を軽減するためのショートステイと併せて、引き続き整備を進めます。
 さらに、在宅による介護が困難になった高齢者の生活を支えるため、下落合駅前国有地を活用した特別養護老人ホームの整備を進め、デイサービスやショートステイなど在宅介護を支援する機能も併せ持った施設として、本年6月に開設します。

 次に、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられように、本年度からの3年間を計画期間とする「第4期新宿区障害福祉計画」に基づき、日常生活を支える支援の充実や、生活するための基盤整備を推進してまいります。
 まず、障害者とその家族を支える施策として、本年3月に、知的障害者や知的・身体の重複障害者を対象に、入所支援や日中活動支援などを行う「シャロームみなみ風」が開設します。あわせて、施設内のカフェレストランでの接客・販売など、障害者への就労機会の提供と技能向上のための支援を行います。
 また本年7月には、高田馬場福祉作業所の移転後の跡地に、精神障害者が地域生活へ円滑に移行し、安定した生活を営めるよう「新宿区立障害者生活支援センター」を開設します。

 次に、セーフティネットの整備・充実として、生活困窮者自立支援法の施行に伴い、就労などの自立に関する相談支援、離職により住居を失った方への給付金の支給、貧困の連鎖を断ち切るための子どもへの学習支援など、生活困窮者の自立の促進を図ってまいります。

 次に、だれもがいきいきとくらし、活躍できるまちの実現に向けて、「新宿区勤労者・仕事支援センター」において、ハローワーク等の関係機関と連携しながら、障害者、高齢者、若年非就業者に対する総合的な就労支援を引き続き推進してまいります。

 次に、だれもが安心して住み続けられる住まいづくりとして、老朽化した早稲田南町地区の区営住宅を、「(仮称)弁天町コーポラス」へと再編整備し、居住水準の向上を図ります。

 次に、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに向けて、地震発生後に避難や救助活動等に主要な役割を果たす特定緊急輸送道路が、沿道建築物の倒壊により閉塞することのないよう、沿道建築物の耐震診断実施率100%を目指し、戸別訪問等を行うとともに、改修経費に対する助成を拡充します。
 このほか、建築物の耐震化を促進するための助成を引き続き行うとともに、分譲マンションの耐震化促進のためのアドバイスを行います。また、木造住宅の耐震化を促進するためモデル地区を増やして普及啓発にいっそう取り組むほか、がけや擁壁についても、改修工事に関するコンサルタントの派遣や改修経費に対する助成を行ってまいります。
 さらに、災害に強いまちづくりと美しい都市景観の創出を目指した道路の無電柱化については、本年度は三栄通りの無電柱化が完了するほか、平成29年度の完成に向けて聖母坂通りの工事を進めてまいります。

 次に、木造住宅密集地域の解消に向けて、西新宿五丁目地区において、東京都の不燃化推進特定整備事業を活用したまちづくりに取り組むとともに、若葉地区では、若葉鉄砲坂西地区と若葉2-11地区の共同建て替えを支援してまいります。
 また、西新宿五丁目北地区の市街地再開発については、防災街区整備事業の都市計画決定に向けた支援を行ってまいります。
 さらに、災害時の避難路や緊急車両の進入路を確保するため、細街路の拡幅整備を進め、災害に強いまちづくりを推進してまいります。

 次に、災害に強い体制づくりに向けて、災害時における初動体制の強化を図り、的確かつ円滑に救出救護活動や避難誘導を行うため、防災行政無線や、平成26年度に整備が完了する災害情報システム等により、重層的な連絡体制を構築し、発災時の区民や来街者への迅速な情報提供と、関係機関との情報共有の手段を強化します。
 また、初期消火用スタンドパイプについては、火災危険度2から5までの地域の防災区民組織に対して配備したのに続き、本年度は火災危険度1の地域にも配備します。
 さらに、災害時に支援が必要な方に災害時要援護者名簿への登録を勧奨するとともに、民生委員や防災区民組織等による支援体制づくりを進めます。
 また、家具転倒防止器具の無料取付けを、これまで1世帯につき3点までとしていましたが、本年度からは制限をなくすことにより、家具転倒防止対策の強化を図ってまいります。
 このほか、女性の視点を取り入れ、災害時要援護者にも配慮した避難所運営体制や、避難所への災害用備蓄物資の充実を図るほか、中学生の避難所運営管理訓練への参加を学校との連携により推進していくとともに、小・中学校のPTAなど若い世代への参加を働きかけ、地域防災力の向上に努めてまいります。
 また、洪水ハザードマップの作成・配布等を通じて、防災意識の向上を図ります。

 次に、日常生活の安全・安心を高めるため、地域の防犯対策や空き家の適正管理の強化、繁華街の客引き行為等の防止対策などに、関係機関や地域と連携して取り組みます。
 また、危険ドラッグ販売店舗の排除に向けて、警察や不動産業界等との連携を強化するとともに、危険ドラッグなどの危険薬物の撲滅を目的とした条例を制定してまいります。服用することによって、自らが死に至ることもあると同時に、他人に危害を加えたり、事故を起こす原因となる危険な薬物を撲滅することに全力を尽くします。
 次に、消費者が安心して暮らせるまちづくりに向けて、消費者教育の推進や消費者の安全確保を図るため、「新宿区消費生活地域協議会」を設置して関係団体等との協議の場を設けるとともに、消費生活に関する正しい知識の普及などを目的として、消費生活展を開催します。

 まちづくりの基本目標の四つ目は、『持続可能な都市と環境を創造するまち』です。

 まず、資源循環型社会の実現に向けて、びん・缶・ペットボトルなどの資源については、区内の一部でモデル実施をしている資源・ごみ集積所での回収を、本年4月から区内全域に拡大し、ごみの減量と資源化率の向上を図ります。
 また、ごみの不法投棄が多発している繁華街や、住宅街など人目の行き届かない集積所にビデオカメラを設置し、不法投棄の監視や適切な指導を行うことにより、清潔で暮らしやすい環境づくりを推進してまいります。

 次に、地球温暖化対策を着実に推進するため、新宿エコ隊の活動や、新宿の森での環境保全体験への参加の促進、太陽光発電設備などの導入経費の補助、省エネ診断の支援、省エネルギー意識の啓発など、さまざまな施策に引き続き取り組んでまいります。
 また、子どもたちが環境問題を身近に感じ、学習する場である、エコスクールの整備については、本年度は、東戸山小学校の校庭の一部天然芝生化、落合第五小学校と四谷中学校への太陽光発電設備の設置などを行います。
 このほか、道路の節電対策を進めるため、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに、改修可能な小型街路灯約4,500基をすべてLED街路灯に改修します。

 次に、良好な生活環境づくりを推進するとともに、受動喫煙による健康被害を防止するため、区民や来街者、事業者に対する普及啓発活動やパトロールの強化などにより、路上喫煙の防止に取り組んでまいります。

 次に、都市を支える豊かな水とみどりを創造するまちの実現に向けて、本年度は、5年おきに実施している「みどりの実態調査」を実施し、これまでの緑化推進施策を検証するとともに、新たな施策を策定するための基礎資料として活用してまいります。

 次に、持続的に発展する新宿の未来を創るため、「めざす都市の骨格」や「まちづくり方針」等を見直し、都市マスタープランとして「まちづくり長期計画」を策定するとともに、平成30年度から始まる新たな総合計画の中に位置づけます。本年度は、計画策定の前提となる土地利用等の基礎調査や、区民アンケート調査などを実施します。

 次に、だれもが自由に安全に行動できる都市空間づくりについてです。ユニバーサルデザインのまちづくりについては、ハードとソフトの両面での充実を図るため、ワークショップの開催により利用者の視点を取り入れるとともに、ガイドブックの配布等を通じて普及啓発を行います。
 また、新宿駅周辺地域の回遊性や利便性を向上させるため、「新宿駅周辺地域まちづくりガイドライン」及び、東・西駅前広場の再整備方針を策定します。あわせて、サブナード延伸の検討を進めるとともに、新宿通りのモール化に向けた社会実験に取り組みます。東西自由通路については、平成32年の使用開始に向けて、工事を着実に進めてまいります。
 また、中井駅周辺においては、バリアフリー化と良質な歩行者空間を実現するため、南北自由通路を平成28年度の完成に向けて整備を進めます。北側と南側の駅前広場、駐輪場、防災コミュニティ施設等の整備については、平成29年度までに完了することとしており、本年度は人道橋の整備などに着手してまいります。

 次に、自転車の適正利用を推進し良好な交通環境を整備するため、民設民営による駐輪場を、新宿駅東南口、都庁前駅、新宿三丁目駅などに整備するとともに、百人町自転車保管場所を2階建て構造に改修して収容台数を拡大することなどにより、放置自転車の減少に取り組みます。
 また、ルールやマナーを守った安全で適正な自転車利用がなされるよう、交通安全教室の開催やチラシ、ホームページなどを通じて周知してまいります。
 このほか、早大通りにおいては、ユニバーサルデザインのまちづくりに配慮するとともに、歩行者と自転車の通行帯を区分した歩道整備などの改良工事を、本年度中の完成に向けて引き続き進めてまいります。

 まちづくりの基本目標の五つ目は、『まちの記憶を活かした美しい新宿を創造するまち』です。

 まず、歴史と自然を継承した美しいまちを目指し、「景観まちづくり計画」と「景観形成ガイドライン」の改定により、建築物のほか屋外広告物も景観事前協議の対象に加えることで、地域の特性に応じた良好な景観づくりを推進してまいります。

 次に、地域の個性を活かした愛着を持てるまちの実現に向け、四谷駅周辺地区においては、新たな賑わいの創出に向けた市街地再開発事業に引き続き取り組むとともに、地区計画を四谷一丁目南地区に拡張し、まちづくりを推進します。
 また、主要ターミナル駅である高田馬場駅の周辺地区においては、大久保三丁目西地区の再開発や駅周辺建物の建替えに合わせたまちづくりを検討します。さらに信濃町駅周辺地区においては、東京オリンピック・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場への玄関口にふさわしいまちづくりを検討してまいります。

 次に、魅力ある身近な公園づくりのため、本年度は、西落合二丁目の葛ヶ谷公園について、地元の方々とのワークショップなどにより改修計画案を作成してまいります。
 また、新宿中央公園のさらなる賑わいの創出に向けて、本年3月、公園内の多目的運動広場にフットサルコートを開設します。

 まちづくりの基本目標の六つ目は、『多様なライフスタイルが交流し、「新宿らしさ」を創造していくまち』です。

 まず、新宿のもつ「まちの記憶」を受け継ぎ、貴重な文化・歴史資源を継承・発展・発信するため、漱石山房の復元を含む「(仮称)『漱石山房』記念館」の整備については、漱石生誕150周年に当たる平成28年度の開設に向けて、本年度から建設工事を行います。
 また、全国の漱石愛好家や、文化芸術の振興に理解の深い企業・団体をはじめ、より多くの方に記念館整備に参画していただくため、「夏目漱石記念施設整備基金」へのご協力をさらにお願いするとともに、イベントの開催やホームページなどにより情報発信を行うほか、記念館を中心としたまちの散策も楽しむことができるよう、周辺道路の整備に向けた調査・設計を行ってまいります。

 次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現に向け、区内の中小企業の経営力を強化するため、販路の開拓に向けた支援やメールマガジンによる産業振興情報等の提供を行うほか、区内の伝統産業やものづくり産業への支援を引き続き行い、新宿ならではの産業の活性化を図ってまいります。

 次に、新宿のまちの多様な魅力を発信するため、「新宿クリエイターズ・フェスタ」や、「新宿フィールドミュージアム」を拡充するほか、一般社団法人新宿観光振興協会を中心として、地域や企業の枠組みを超えたオール新宿により、観光情報の発信やイベントなど、さらなる賑わいづくりに取り組みます。
 また、新宿駅周辺の賑わいづくりのため、東南口の甲州街道高架下に、文化・観光情報の発信拠点となる観光案内所等を整備するほか、外国人旅行者をはじめとする多くの来街者が楽しくまち歩きができるよう、無料で利用できるWi-Fiスポットの整備を民間との連携により推進し、災害時には各種防災情報の発信手段として活用してまいります。
 さらに、「歌舞伎町街並みデザインガイドライン」に基づき、コマ劇場跡地の再開発に合わせて、本年度は、シネシティ広場とその周辺道路の整備により、歩行者空間を創出し、安心して楽しめる歌舞伎町地区のまちづくりを推進してまいります。

 次に、誰もが訪れたくなる活気と魅力あふれる商店街づくりのために、協働提案事業によりホームページを活用した商店街の活性化に取り組むとともに、商店会主催のイベントや施設整備事業等への助成を行うほか、商店街灯のLED化を支援するなど環境にも配慮した商店街づくりを進めます。
 また、商店街の空き店舗を活用するための融資を引き続き行うとともに、融資制度の利用を促進するため、本年度から、区内商店街の空き店舗情報を区のホームページを通じて提供するほか、今後の商店街振興施策に活用するため、商店街の賑わい創出に向けた調査を実施します。

 次に、多文化共生については、昨年8月、「新宿区多文化共生まちづくり会議」の答申において、外国にルーツを持つ子どもの教育環境の向上、災害時における外国人支援の仕組づくりについていただいた提言を踏まえ、外国人区民への防災体験の機会の提供や、日本語サポート指導など教育環境の充実に取り組みます。なお、本年度は「多文化共生実態調査」を実施してまいります。

 次に、平和事業について申し上げます。本年度は、終戦から70年、「新宿区平和都市宣言」から30周年を迎えます。戦争というものがもたらす悲惨さを時間の経過によって風化させることがないよう、平和のつどいの開催や平和記念誌の発行などを通じて、平和の大切さや平和への思いを、世代を超えて共有していきたいと考えています。

3.2 区政運営の基本目標と主要事業の概要

 次に、区政運営にあたっての取組みについてです。まちづくり事業を推進し下支えするとともに、区民起点の区政運営を進めるために、『好感度一番の区役所の実現』と『公共サービスのあり方の見直し』の、二つの基本目標をもって、区政運営に取り組んでまいります。

 一つ目は、『好感度一番の区役所の実現』についてです。

 まず、窓口サービスの利便性を高めるため、戸籍住民課の窓口発券システムの更新に併せて、待ち人数の状況をインターネットで公開する新たなサービスを開始します。携帯電話やスマートフォンなど、外出先でも窓口の状況が分かるようにすることで、待ち時間の短縮と窓口の混雑解消を図ります。
 また、医療保険年金課では、繁忙期の混雑解消を図るため、外国人留学生向け専用窓口を設置します。

 次に、区民の視点に立ち自治の実現に努める職員を育成するため、研修や自己啓発の支援、OJT支援を通じて、職務を遂行する上で欠かせない知識・法令等の習得や、政策形成能力、課題解決能力などの向上を図ります。
 また、職員の政策形成能力の向上を図るため、新宿自治創造研究所では、人口・世帯にかかる研究の集大成に取り組むとともに、次期総合計画の策定に向けて、これまでの研究成果等を整理・分析し、新宿区の全体像や将来像を明らかにしてまいります。

 次に、平成24年度から実施している経常事業評価については、引き続き事業別行政コスト計算書の作成により、見えないコストを含めた事業別の総行政コストを明らかにしながら実施し、本年度で全ての経常事業の評価が終了します。また、計画事業については、まちづくり編の全ての事業について外部評価を行い、その結果を平成28年度からの第三次実行計画に反映させてまいります。

 次に、社会保障・税番号制度については、本年10月に区民の皆様一人ひとりに、個人番号をお知らせします。このため、制度の円滑な導入に向けて、システム整備や情報保護・情報セキュリティ対策などについて、適切に対応してまいります。

 二つ目は、『公共サービスのあり方の見直し』についてです。

 まず、公共サービスの提供体制の見直しとして、本年度は中井児童館に指定管理者制度を導入します。また、高田馬場第二ことぶき館については、指定管理者制度の導入と併せて、地域での仲間づくりや介護予防などの場となる地域交流館に機能転換してまいります。

 次に、区有施設の管理・運用については、建物の長寿命化を図るとともにアセットマネジメントを推進するほか、今後の施設全体のあり方や役割を見直し、行政需要や地域需要に応えられる施設を目指します。このため、効果的かつ効率的な公共施設のマネジメントの強化に向けて、公共施設等総合管理計画を策定することとし、本年度は、基礎データの収集と課題分析を行い、施設白書として取りまとめてまいります。

 次に、各地区の施設活用についてです。
 まず、旧中央図書館移転後の跡地には、地域図書館や工事事務所などのほか、民設民営による介護保険施設と保育所を整備し、平成28年度に開設します。
 次に、大久保第二保育園の跡地は「(仮称)大久保わかくさ子ども園」として活用し、高田馬場福祉作業所の跡地は「新宿区立障害者生活支援センター」として活用します。
 また、新宿第二保育園の移転後の跡地や、早稲田南町地区の区営住宅の再編整備後の活用については、区有施設全体のあり方の検討と併せて、活用方針を検討してまいります。
 このほか、旧戸山第三保育園は高齢者福祉施設として平成28年度の開設を目指すとともに、旧四谷第三小学校の活用については、財務省跡地等と一体となった四谷駅前地区市街地再開発事業の推進を図ってまいります。

3.3 平成27年度予算の概要

 次に、平成27年度の予算編成にあたっての基本的な考え方を申し述べます。

 平成27年度の政府の一般会計予算案は、「経済対策・26年度補正予算や27年度税制改正とあわせ、経済再生と財政再建の両立を実現する予算」として、税収が対前年度比9.0%増の54兆5,250億円で、予算規模については、対前年度比0.5%増の96兆3,420億円となり、平成26年度予算を上回り、過去最大となりました。

 東京都の平成27年度の一般会計予算案は「東京を『世界一の都市』へと飛躍させる予算」と位置づけ、都税が対前年度比7.5%増の  5兆216億円で、予算規模については、対前年度比4.3%増の  6兆9,520億円となり、3年連続の増となっています。

 そして、新宿区の平成27年度の一般会計予算案は、「将来にわたり安定した財政基盤を確立し、区民生活を支えるとともに、基本構想の実現に向けて、第二次実行計画を仕上げる予算」と位置づけ、第一に、限られた財源を効果的に活用し、第二次実行計画を達成するとともに、社会経済情勢の変化に機動的かつ的確に対応すること、第二に、歳入確保を図るとともに、行政評価や決算実績に基づき徹底した経費削減を行い、安定した財政基盤の確保に努めること、を基本に編成しました。
 その結果、予算の規模は1,429億円となり、前年度に比べ30億円、2.1%の増となりました。

 現下の経済情勢は、国の大胆な金融政策や機動的な財政政策、成長戦略により、企業業績や雇用情勢の改善などの効果が現れつつあります。しかし、昨年4月の消費税増税の反動などから個人消費などに弱さがみられ、また為替相場での円安による輸入価格の高騰など、区民生活への影響も出ています。区財政を取り巻く環境は依然として不透明であることから、引き続き、景気の先行きについて、慎重に見極めてまいります。
 こうした中、区は、第二次実行計画の総仕上げとなる平成27年度予算において、その計画目標の達成に向けた取組みを推進するとともに、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の実現に向けた取組みについて、重点的に予算を配分しました。
 良質な区民サービスを提供し続けるには、区財政が健全であることが不可欠であり、区税や保険料等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取組みをさらに進めていくことで、財政基盤の強化を図ることが必要です。常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営の確保に努めてまいります。

4 おわりに

 以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

 私は、社会経済情勢の先行きが不透明な中、区民に最も身近な基礎自治体の長として、現場・現実に向き合い、区民の皆様との信頼関係を築きながら、将来を見据え、区政課題に積極的に取り組んでまいります。
 次の世代が夢と希望を持って心豊かに生活できる、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを目指し、「新宿力で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、全力で取り組みます。

 議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げます。

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