漱石山房の発信事業「漱石枕流」を開催

最終更新日:2008年12月7日

写真:牧村健一郎さん 半藤末利子さん 茂木健一郎さん
写真:満員の会場
写真:講演する茂木健一郎さん(第1部)
写真:弦楽四重奏のコンサート
 今日7日(日)、新宿区(区長:中山弘子)は、四谷区民ホール(内藤町87)で、漱石山房の発信事業「漱石枕流」を開催した。

 「漱石山房」は、夏目漱石が晩年の9年間、執筆活動を行った場所。区では、今年2月、その跡地の一部にある区立漱石公園をリニューアルオープンしたほか、漱石に関する情報発信や、漱石山房の復元に向けた取り組みを行っている。
 今回の催しは、講演・クラシックコンサート・座談会を通して、さまざまな角度から漱石の魅力に触れてもらおうと開催したもので、会場には約400人の漱石ファンが詰め掛けた。

 第1部は、漱石ファンとして知られる脳科学者の茂木健一郎さんが「わたしのなかの漱石」と題して講演。子どもの頃から親しんでいるという漱石の作品を挙げながら、作品に隠された漱石の人柄についてユーモアを交えて解説し、「漱石には、他人からの評価に惑わされない「自己本位」の精神があり、人間として魅力的。この精神はこれからの時代を生きるわたしたちにも必要なもの」と話した。

 第2部は、弦楽四重奏のコンサート。東京フィルハーモニー交響楽団がシューベルトの弦楽四重奏曲第14番「死と乙女」など3曲を演奏した。観客は、漱石の作品にも描かれているクラシック音楽の世界を味わっていた。

 第3部の座談会「漱石よもやま話」には、エッセイストで漱石の孫にあたる半藤末利子さん、朝日新聞社記者の牧村健一郎さん、茂木健一郎さんが登場。
 牧村さんが「漱石は、小説家としてだけでなく、英文学者・俳人・新聞記者としても一流。たくさんの弟子もいて、教育者としても一流だったのでは」と話すと、半藤さんが「漱石の人柄の魅力が、たくさんの弟子を引き寄せたのでは」と答えるなど、漱石の人柄について、さまざまなエピソードとともに意見が交わされた。

 このほか、会場のロビーでは漱石グッズの販売に多くの人が列を作るなど、来場者は漱石に思いをはせながら、催しを楽しんでいた。催しに参加した女性は「イギリス留学など、さまざまな苦労や経験がある漱石の作品には深みを感じます。茂木さんの「自己本位」という考え方はとても的を射ていると思いました」と満足そうに話してくれた。

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