「漱石山房跡 猫塚 復元記念」フィルムを発見
19年度特別展 漱石生誕140年記念「夏目漱石と新宿の文学者たち」で上映

最終更新日:2007年10月30日

フィルム画像:タイトル「漱石山房跡猫塚復元記念」 鏡子夫人と長男の純一氏 スピーチする小宮豊隆氏
フィルム画像:スピーチする安倍能成氏
フィルム画像:スピーチする純一氏
写真:復元された猫塚
 新宿歴史博物館(三栄町22)で、同博物館の学芸員により漱石山房跡に猫塚を復元したときの様子を写した貴重なフィルムが見つかった。
 同博物館では19年度から、郷土の映像資料を未来へ継承するとともに、より積極的に事業活用するため、博物館にある16ミリフィルム等のデジタル化に取り組んでいる。

 平成20年度1月に開催する特別展「三百年祭記念 関孝和と和算の世界」を前に、「関孝和先生250年祭~昭和33年(1958年)10月20日」と題されたフィルムの映像をチェックしていたところ、巻頭約7分弱に、昭和28年に行われた「漱石山房 猫塚 復元記念」の式典の様子が収録されているのを発見した。

 これは、当時、区と区教育委員会が漱石山房跡(早稲田南町7)に夏目家ゆかりの猫塚を復元し、漱石の37年目の命日である12月9日に遺族等を招き盛大な披露式を行ったときの様子を写したもの。当時の広報紙(昭和28年12月15日号)にも、そのことが掲載されている。

 フィルムには、式典が始まる前の場景にナレーションがしばらく入った後、漱石の未亡人である鏡子夫人、長男の純一氏、そして一番弟子と呼ばれた小宮豊隆氏や門下生の安倍能成氏のスピーチの様子が収められている。スピーチの音声は録音されていなかったものの、当時の様子を知る上で歴史的価値の高い映像資料といえる。

 同博物館では11月3日(祝)~12月16日(日)に、特別展 漱石生誕140年記念「夏目漱石と新宿の文学者たち」を開催する。これは、新宿区で生まれ没した文豪夏目漱石愛用の文具・書簡・書画等を通して「漱石山房」と呼ばれた早稲田南町の家での暮らしや弟子たちとの交流を振り返るとともに、尾崎紅葉・小泉八雲・坪内逍遥など新宿区にゆかりのある文学者たちを併せて紹介する展示会。

 今回発見されたフィルムは、デジタル化等の保存処理を行い、この特別展会期中、地下1階のホワイエでモニター上映を行う。今年は漱石の生誕140年にあたるうえに、漱石に関する展示会を行う直前にこのフィルムが発見されたことは、単なる偶然と思えないほどタイムリーである。

 博物館では、「ぜひ多くの方にご覧いただき、この資料映像を通して、夏目漱石をはじめ日本の近代文学を育んだ新宿区の歴史を感じてもらいたい。」と話している。

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