「尺八『放下着』一式ならびに普化尺八 伝授関連資料」を文化財に指定

最終更新日:2007年8月3日

写真:尺八『放下着』
 8月3日(金)、新宿区教育委員会(教育長:金子良江)は、「尺八『放下着(ほうげじゃく)』一式ならびに普化(ふけ)尺八伝授関連資料」を有形民俗文化財に指定した。

 尺八は江戸時代に諸国を行脚した、半僧半俗(はんそうはんぞく)の虚無僧(こむそう)が使用した法器(ほうき)として知られる。

 今回指定文化財となった尺八「放下着」は、そのなかでも「古管(こかん)」と呼ばれる古い形式のものとされ、江戸時代中期以前の製作と推定されている。通常の尺八(一尺八寸・54.5㎝程度)に比べ短い全長で、管の側面に「放下着」と記され、一部欠損等はあるものの当初の形状をよく伝え、現在でも演奏可能な状態である。

 また、この尺八「放下着」を所蔵している浄土真宗・浄栄寺(じょうえいじ:市谷薬王寺町27)には、この管が伝来した経緯をあらわす伝授関連資料も伝わっている。それらの資料から、この尺八の由来、および普化尺八の伝承上重要な人物であった普化宗(ふけしゅう)・鈴法寺(れいほうじ:江戸時代までは、現・青梅市にあり、松戸の一月寺とともに関東の普化宗本山とされたが、明治維新後に廃寺)の住職・嘯山勇虎(しょうざんゆうこ)から、江戸時代中期に浄栄寺の住職・性圓(せいえん)(白獅:びゃくし)に伝授された経緯がわかる。

 さらに、江戸時代の著名な文人として知られる大田南畝(おおたなんぽ)も、浄栄寺において、この尺八の演奏を聞いたことを自ら記しており、当時から著名な尺八として知られていた。

 江戸時代中期以前の普化尺八の遺品として貴重であるとともに、伝授に関わる資料も併せて現存することは極めて珍しいこととされる。尺八の製作ならびに歴史的変遷を示すものとして非常に重要なものと評価され、指定文化財となった。

 今回の指定により、新宿区指定文化財は98件となった。なお、今回指定文化財となったものは、11月3日(祝)・4日(日)の両日、浄栄寺で特別公開する予定になっている。

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