新宿区自治フォーラム2015『人口減少時代の単身社会を考える』

最終更新日:2015年3月30日

 新宿自治創造研究所は、平成27年3月14日(土)午後、新宿区自治フォーラム2015「人口減少時代の単身社会を考える」を新宿文化センター小ホールで開催しました(参加者75名)。
 フォーラムでは、金安岩男・研究所長の挨拶の後、平井研究所副所長が平成26年度の研究成果である「新宿区の人口移動」、「新宿区の単身世帯の特徴~単身世帯意識調査結果から」について研究所レポートを基に概要を報告しました。

 次に、研究所アドバイザーであり都市人口学の専門家である大江守之・慶應義塾大学教授が、「新宿区における人口移動の新局面」をテーマに講演を行いました。大江氏は、「新宿区は近年、自然減を上回る社会増による人口増加が続いている。20代前後では外国人の影響もあり、転出入数が極めて多く、転入超過となっているが、30代後半以上では転出入数は均衡し、居住期間も長くなっている。流動層と定住層が混在しているのが新宿区の居住特性である。また、転入元、転出先とも隣接区が多く、『副都心居住生活圏』が形成されつつある」と話されました。

 続いて、家族社会学の専門家である宮本みち子・放送大学副学長が、「新宿区の単身化・未婚化の実像から見えること」をテーマに講演を行いました。宮本氏は、「日本社会が単身化の道を歩んでおり、新宿区はその最先端にいる。特に壮年期の単身者が増えており、その最大の原因は未婚化であり、離婚の増加も大きい。新宿区は利便性が高く、単身生活を楽しむ環境が整っている一方、一人暮らしの不安も大きい。男性、地方出身者、低所得者は高齢期の無縁化につながりやすい。現在の高齢者は家族生活を経験した人が多いが、今の壮年期の未婚化の状況を見ると、20年後の新宿区の高齢単身者の姿は大きく変わってしまうのではないか」と話されました。

 その後、金安所長をコーディネーターとし、「人口減少時代の単身社会を考える」をテーマに、大江氏、宮本氏に加え、地域政策の専門家である牧瀬稔・地域開発研究所主任研究員とNPO法人全国地域結婚支援センター代表の板本洋子氏によるパネル・ディスカッションを行いました。牧瀬氏は「単身化にはメリットもあり、何が問題かをしっかり見据えて政策を考える必要がある」、板本氏は「地方でも東京でも、そこで働いて、結婚して子どもを産み育てながら自己実現できるというモデルを出していくことが望まれる」と話されました。さらに、大江氏は「たとえ離婚しても子どもが不幸な環境に置かれることなく、社会の中で育っていければ『子育ても安心』と感じられる」、宮本氏は「新宿は便利すぎて、家族離れ、子ども離れが進むのが心配。『家族で子育てしやすいまち』というメッセージを発信すべき。また、収入が不安定で家族を持てないという男性のサポートも必要」と話されました。最後に会場との意見交換を行い、吉住区長の挨拶の後、閉会となりました。

 

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