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平成31年 新年賀詞交歓会・区長年頭の挨拶(要旨)

最終更新日:2019年1月7日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。

写真:あいさつする吉住健一新宿区長
明けましておめでとうございます。
新宿区長の吉住健一です。

区民の皆さまには、穏やかに新年をお迎えのことと、心よりお慶び申しあげます。年頭にあたり、新年のご挨拶をさせていただきます。皆さまには、日頃より区政にご尽力、ご協力いただいておりますことを、この場をお借りしまして、あらためて御礼申し上げます。

今年の干支は「亥」ですが、亥の字はエネルギーを象徴し、何かを生み出す年と言われます。今年は元号が変わる新時代の幕開けの年でもあります。
新宿のまちが将来にわたり発展し続けられるよう、新たな時代を、皆さまと共に創り出す年にしてまいります。

さて、昨年を振り返りますと、6月の大阪府北部地震や9月の北海道胆振東部地震、また西日本豪雨など、多くの自然災害に見舞われた年でした。さらに、夏には、埼玉県熊谷市で最高気温41.1℃を観測し、5年ぶりにこれまでの記録を更新するなど、全国各地で「災害級」の猛暑に見舞われ、熱中症の搬送者も過去最多となりました。
一方、昨年2月には、韓国の平昌において冬季オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、日本勢が金メダル4個をはじめ、過去最多となる合計13個のメダルを獲得するなど明るい話題もありました。男子フィギュアスケートでは、羽生結弦選手が、右足首の負傷を乗り越え、金メダルを獲得し、66年ぶりの五輪2連覇を果たしました。また、女子カーリングチームは、この種目で日本勢として初となる銅メダルを獲得したことに加え、試合中の掛け声「そだねー」が、民間の「2018年新語・流行語大賞」に選ばれ、話題となりました。

昨年は、災害などもございましたが、明るい話題も多くありました。本年も、基本政策である「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」を推進し、新宿の持続的な発展を目指してまいります。
はじめに「暮らしやすさ1番の新宿」では、健康寿命の延伸に向けたフレイル予防事業や、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進、富久町の特別養護老人ホームをはじめ、介護保険サービスの基盤整備などに着実に取り組むとともに、地域の支え合いの担い手の育成を推進してまいります。
また、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、福祉作業所等での生活介護事業の充実に加え、あゆみの家では重症心身障害者通所事業を開始します。
子育て支援では、これまでの取組が功を奏し、子育て家庭向け情報サイト「日経DUAL」による「共働き子育てしやすい街ランキング2018」で、新宿区が総合1位となりました。引き続き、待機児童の解消に向け、保育所の整備と定員拡充に取り組むほか、学童クラブ及び放課後子どもひろば事業の充実を図り、ニーズに合った放課後の居場所づくりを推進してまいります。また、児童相談行政の一元的かつ総合的な実施に向け、児童相談所及び一時保護所の整備を進めてまいります。
教育の充実については、小中連携型地域協働学校の実施など、家庭や地域とともに進める教育に取り組むほか、近年の猛暑をうけ、児童・生徒の安全な教育環境や、災害時の避難所としての機能を向上させるため、区立小中学校体育館等の空調設備を整備してまいります。
また、教員の勤務環境の改善と働き方改革として、教員が健康でやりがいを持ちながら子どもたちと向き合い、質の高い教育活動を継続できるよう取り組んでいきます。
現在、国では、幼児教育の無償化に向けた検討が行われています。こうした動向を注視するとともに、財源の課題を見据え、幼児教育環境の整備・充実を推進してまいります。
また、地域の実情に合ったまちづくりを推進するため、町会・自治会の活性化や加入の促進に向けた支援、若者の柔軟な発想力や意見を区政に活かせる取組を推進するとともに、だれもが安心して自分らしい暮らしができるよう、成年後見制度の利用促進や就労支援の推進などに取り組んでいきます。
本年10月に予定されている消費税率の引き上げについては、区民生活や地域経済に対する影響が懸念されていることから、引き続き、低所得者や中小企業への支援を行ってまいります。

次に2つめの基本政策「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、災害に強いまちづくりと、安全安心な生活環境づくりを推進します。首都直下地震の切迫性が高まる中、市街地再開発事業や防災街区整備事業、木造住宅密集地域の解消などの防災都市づくり、ブロック塀や擁壁・崖の安全化対策、道路の無電柱化に迅速に取り組みます。災害に強い体制づくりとしては、女性や高齢者などに配慮した避難所運営体制の充実をはじめ、要配慮者への支援をより一層推進してまいります。また、マンションの自主防災組織への助成や災害時の活動の担い手の育成を推進してまいります。暮らしやすく安全で安心なまちづくりの実現では、客引き行為等の防止に向けたパトロール活動や特殊詐欺対策、住宅宿泊事業、いわゆる「民泊」の適正指導や取締り、空き家対策などに取り組んでまいります。

次に3つめの基本政策「賑わい都市・新宿の創造」では、商業・業務・文化・居住機能など、多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりに取り組みます。
新宿駅周辺地域においては、昨年3月に策定した「新宿の拠点再整備方針」にもとづき、駅、駅前広場、駅ビルを一体的に再編してまいります。また、歌舞伎町での、東急ミラノ座跡地の複合エンターテイメント施設の整備、西新宿での、新宿住友ビルの公開空地を活用した「国際会議場施設」と日本最大級となる「全天候型屋内アトリウム広場」、「(仮称)損保ジャパン日本興亜新美術館」の整備など、民間活力を活かしたまちづくりを推進します。
新宿は多様な地域特性を持った懐の深いまちです。こうした、それぞれの地域の特性や個性を生かし、まちづくりに積極的に取り組んでまいります。
さらに、ユニバーサルデザインのまちづくりを一層進めるため、条例を制定し、建築等の計画段階からの事前協議制度を創設します。
また、歩く人にやさしい歩行者空間と道路・交通施設等の充実を図るため、高齢者が休憩できる腰掛防護柵の設置や、自転車通行空間の整備に取り組んでまいります。昨年開園50周年を迎えた新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、カフェ・レストランなどの誘致を進め、公園の魅力をさらに高めてまいります。
さらに、省エネルギー機器の設置助成などの地球温暖化対策を進めるとともに、食品ロス削減などごみの減量に向けた意識の醸成、リサイクルの推進に取り組んでまいります。
こうしたまちづくりに加え、新宿区の多様な魅力を発掘・創造・発信し、さらなる賑わいづくりに取り組むことが必要です。昨年12月には、全国各地で発行されている情報誌を表彰する、民間の「日本タウン誌・フリーペーパー大賞2018」の自治体PR部門で、新宿観光振興協会発行の「新宿plus」が最優秀賞を受賞しました。今後も、漱石山房記念館の各種事業や新宿フィールドミュージアムなどの文化芸術イベント、外国人観光客に東京のナイトライフを楽しんでもらうための取組を実施し、国際観光都市・新宿としての魅力を国内外に広く発信してまいります。
また、新宿のブランド力の向上と新たなものづくり人材の創出を図るため、「しんじゅく逸品」の普及や新事業創出支援、新製品・新サービスの開発支援などに取り組んでまいります。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けた取組としては、この大会が将来を担う子ども達をはじめ、多くの区民の記憶に残り、地域の活性化につながるような様々な取組を実施するとともに、大会後のレガシーとして引き継ぐため、スポーツ施設整備基金を活用した区内のスポーツ施設の改修等を進めます。また、大会の開催に向けて、地域の伝統芸能や歴史的な行事などを発信するため、区民の自主的な活動を支援する「(仮称)東京2020オリンピック・パラリンピック区民参画基金」を創設します。
さらに、障害者スポーツ体験イベントなどを通して、障害者スポーツを身近に感じ、競技を応援する気持ちを高めるとともに、相互理解による「心のバリアフリー」を推進していきます。

世界最大のスポーツと平和の祭典を通じて、まちづくりと心のレガシーづくりに取り組んでまいります。そうした思いを実現する平和事業として、新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などを実施します。また、戦争体験者の貴重な証言を将来にわたる記録として、語り継ぐために作成した「戦争体験継承DVD」等を活用し、戦争の悲惨さと平和の尊さを多くの方々に末永く発信してまいります。
最後に、今年の大河ドラマの主人公、金栗四三についてお話をさせていただきます。夏目漱石の小説「草枕」は、熊本県玉名市の温泉が舞台として登場していますが、金栗さんは、その玉名市出身の人物です。金栗さんは、日本が初めてオリンピックに参加をしたストックホルムオリンピック大会に、マラソン競技の日本代表として出場をしました。
当時の日本には、マラソンの知識や情報もなく、トレーニング方法を知る人もなく、すべて手探りの状況での出場をしました。日本国内での予選では、足袋を履いて走り、走り終わる頃には、足袋が破けて裸足になっていたそうです。
代表に選ばれた金栗さんは、恩師であり、現在のJOCの役割を果たす大日本体育協会初代会長の嘉納治五郎氏に、何度か出場を辞退する申し出をしました。当時の日本は、学生が学校を休んで外国に走りに行くなど、とんでもないという風潮であり、政府も運動会に出場するからといって支援はできないという時代でした。また、マラソン競技の知識や訓練もしたことがない状態で、国民の期待を裏切ることになると、躊躇ったと伝えられています。
その時、嘉納治五郎会長は「何ごとも初めはつらい。捨て石となり、礎となるのは苦しいことだ。だが、誰かがその任を果たさなければ、日本は永久に欧米諸国と肩を並べることはできないのだ。日本スポーツ界のために『黎明の鐘』となれ」と説得したそうです。
区も、新たな事業に取り組む際には、効果が出るまでに、苦労をする時もあります。しかし、現実の社会の中で、区でなければ出来ない事業もあります。区立漱石山房記念館も、郷土の偉人を顕彰し、新宿の魅力を形成する情報発信施設の一つです。おかげ様で、無事に2年目を迎えること出来ましたが、引き続き、資料の収集や、展示の工夫などに取り組み、グレードアップしてまいりたいと考えております。

区民の皆さまにおかれましては、引き続き、区政にご理解とご協力を賜りますようお願い申しあげます。
結びにあたりまして、この一年が皆さまと皆さまのご家族にとりまして、幸多き年となりますよう、お祈り申し上げまして、年頭のごあいさつとさせていただきます。

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