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平成27年 新年賀詞交歓会・区長年頭の挨拶(要旨)

最終更新日:2015年1月5日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。

写真:あいさつする吉住健一新宿区長
 新年、明けましておめでとうございます。
 新宿区長の吉住健一です。

 皆様方には、すがすがしい新春をお迎えのことと、心からお慶び申し上げます。また、こうして新年を新宿区の各界を代表される方々とご一緒にお祝いさせていただけることに感謝を申し上げます。
 皆様には、日頃より新宿区政に多大なるご尽力、ご協力をいただいておりますことを、この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。

 私は、昨年、11月9日の区長選挙におきまして、区民の皆様のご支持をいただき、新たな区長に選出され、向こう4年間、新宿区政を担わせていただくことになりました。
 私は、このたびの選挙において、前区政を「継承」するとともに、新宿区をさらに「発展」させるため、「区民の皆様と新しい新宿を創ります。」と訴えてまいりました。
 新宿区は、昭和22年3月に四谷区、牛込区、淀橋区が統合して成立以来、進取の気性に溢れたまちとして多くの人をひきつけ、今では、32万の区民が暮らす、交流生活都市へと発展してきました。    
 私は、歴代の区長並びに区議会、区民の皆様が築き上げてきた成果を基盤に、新たな政策を総合的に推進し、新宿区をさらに発展させてまいります。

 昨年を振り返って見ますと、2月の記録的な大雪と暴風雪に始まり、8月には、西日本を中心に記録的な雨量や日照不足になりました。また、相次ぐ台風の上陸、西日本から東日本の広範囲にわたる大雨などにより、全国各地に大きな被害がもたらされました。
 広島県では、1時間に120ミリの猛烈な雨を観測し、住宅地を巻き込む大規模な土砂崩れが発生しています。
 また、9月の御嶽山の噴火、11月の長野県北部を震源とする最大震度6弱の地震など、相次ぐ自然災害により、多くの方が被災し、また、尊い命が失われました。
 さらに、デング熱やエボラ出血熱といった感染症への対応、社会的な問題としては、危険ドラッグなど、自然災害に加え、日常的に新たなリスクに向き合わなければならない時代となっています。

 こうした中、富岡製糸工場と絹産業遺産群のユネスコ世界文化遺産への登録や、「和紙:日本の手漉和紙技術」のユネスコ無形文化遺産への登録が決定されるという喜ばしいニュースもありました。
 また、スポーツ界では、テニスの全米オープンで、アジア男子選手初かつ日本選手初の4大大会シングルス決勝に進出した、錦織圭選手が準優勝に輝きました。
 学術界では、青色発光ダイオードの開発が評価され、名城大学終身教授・名古屋大学特別教授の赤崎勇氏、名古屋大学大学院教授の天野浩氏、米カリフォルニア大学教授の中村修二氏に、ノーベル物理学賞が授与されました。
 今後も世界での日本人の活躍に期待するところです。

 さて、我が国の景気動向を見ると、国は、大胆な金融政策や機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略に取り組み、雇用環境の改善や企業収益の増加などの効果が現れつつあります。
 しかし、昨年4月の消費税増税の反動や夏場の天候不順などから、個人消費の回復が遅れ、また、実質賃金の低下が続くなど、未だその効果が浸透しているとは言えず、為替相場での円安による輸入価格の高騰など、家計への影響も出ています。
 政府の経済政策の効果が賃金上昇へとつながり、消費拡大への好循環が実現するとともに、成長戦略の実行による持続的な成長の実現に期待するところです。
 
 一方、平成26年度税制改正では、法人住民税の一部国税化に伴う地方税の創設とその全額を地方交付税の原資とする見直しが行われました。
 そもそも、法人住民税は、地域での活動やそこで働く人々を支えるための施策の財源とするもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則を歪めるとともに地方分権に逆行するものです。こうしたことから、特別区長会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに国に要望書を提出し、法人住民税の一部国税化に対する反対を主張しています。

 区政を取巻く社会経済情勢は不透明であり、景気の先行きについても、慎重に見極めていくことが必要です。
 私は、区民の皆様に最も身近な基礎自治体の長として、「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」、「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」の2点を基本に、区政の課題に積極的に取り組み、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを全力で創造してまいります。
 このため、まず、現在の総合計画の総仕上げとして、平成28年度から29年度の2年間を期間とする第三次実行計画を策定します。
続いて、新宿区の今後のまちづくりの道筋を明らかにするため、平成30年度から始まる新たな総合計画と、それを具体化する実行計画を策定してまいります。

 次に、年頭にあたり、区政運営の所信の一端を申し上げます。

 はじめに、「暮らしやすさ1番の新宿」についてです。
 私は、区民の皆様が心豊かに暮らすことができるよう、一人ひとりが尊重され、それぞれの役割を担いながら、自分らしく生きることができる地域社会の実現を目指します。
 このため、身近なところで健康づくりに取り組む環境を整備し、健康寿命を延ばすとともに、誰もが、住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域包括ケアシステムの実現、介護が必要な方のための小規模多機能居宅介護などの地域密着型介護サービスや在宅サービスを充実します。
 あわせて、在宅介護が困難になった高齢者の生活を支えるため、公有地を活用して特別養護老人ホームの整備を進めていきます。
 また、今後、増加が見込まれる認知症の早期発見や早期診断、相談・支援体制の充実を図ります。
 子育て支援については、着実に待機児童の解消を進め、多様化する保育ニーズに対する幅の広い保育サービスの充実を図ります。また、放課後子どもひろばの拡充をはじめ、子どもが安心できる居場所づくり、幼児教育の無償化への段階的な取組み、一時保育や預かり保育などの在宅子育て家庭の支援、子育ての悩みや不安の相談・支援体制の充実、女性や若者が活躍できる地域づくりを進めます。
 学校教育の充実としては、新地方教育行政制度の下、教育行政に主体的に取り組み、子どもたちの豊かな心と健やかな体づくりを推進するほか、いじめや不登校等の防止、特別支援教育の推進など、子ども一人ひとりにきめ細かく丁寧に向き合います。
 障害者施策については、障害者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるように、日常生活を支える支援の充実を図るとともに、地域で生活するための基盤整備を進めます。
 また、保健、医療、福祉、教育等の連携強化、多様な就労ニーズに対する支援、ユニバーサルデザインを基本としたまちづくりなど、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境を整備します。
 次に、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」についてです。
 首都直下地震に備え、災害に強い高度な防災機能を備えた高度防災都市づくりを行うことが喫緊の課題です。このため、木造住宅密集地域解消や、特定緊急輸送道路の沿道建築物の耐震診断の100%実施、道路の無電柱化等を進めるとともに、分譲マンションの耐震化の促進など、災害に強いまちづくりにスピード感を持って取り組み、新宿の高度防災都市化の早期実現を図ります。
 また、災害時の安全を確保するため、災害時要援護者の安全確保に向けた家具転倒防止対策の支援強化、女性や災害時要援護者の視点を取り入れた避難所運営体制を確立します。
 近年多発する大規模な台風や突発的な集中豪雨に対しては日頃からの備えや啓発に取り組むとともに、こうした災害に対する初動体制を強化するため、重層的な連絡体制を構築します。
 また、地域の防犯対策や空き家の適正管理、客引き行為等の防止対策、危険ドラッグ対策など、日常生活の安全・安心を高め、暮らしやすい、安全で安心なまちを実現します。感染症などの新たなリスクに対しては、国、都、医療機関等と連携を密にし、万全の体制で対応します。

 次に、「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
 新宿区は、商業・業務・文化・居住機能が集積する魅力ある都市です。こうした多様性に富んだ都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿の未来を創るため、「まちづくり長期計画」を策定します。
 新宿駅周辺地域は、新宿のイメージを代表する重要なエリアであり、歌舞伎町では、コマ劇場跡地に都内最大級のシネコンや商業施設の建設が進められ、エンターテイメントシティとしても期待されています。
 このため、新宿駅東西自由通路や駅前広場の整備を進め、新宿駅周辺の利便性を向上させ、回遊性が高く、魅力的で歩いて楽しいまちづくりを進めます。
 また、中井駅では、南北自由通路と駅前広場、駐輪場、防災コミュニティ施設等の整備により、良質な歩行空間を創出します。
 さらに、屋外広告物ガイドラインの策定、地域特性を生かした広告物のルールづくりなどにより、さらに快適な都市空間づくりを行います。
 このほか、区道のバリアフリー化、自転車走行レーンの設置、放置自転車対策や受動喫煙防止対策など、気持ちよく楽しめるまちづくりや、街路灯のLED化の推進など、環境にやさしいまちづくりを進めます。
 一方、新宿のまちは、時代の世相を反映させた多様な文化を育み、文化・芸術はまちの重要な要素となっています。
 このため、夏目漱石生誕150周年の開館をめざし、「漱石山房」記念館を整備するとともに、イベントや、多彩な活動、交流などを促していくほか、新宿クリエイターズ・フェスタの拡充などにより、新宿区の多様な魅力を発掘・創造・発信していきます。
 さらに、一般社団法人新宿観光振興協会を中心に観光情報の発信や新宿ブランドの創出、観光イベントなどを開催し、さらなる賑わいづくりに取り組みます。
 また、魅力ある商店街の活性化として、商店会が実施するイベント、施設整備事業への助成や、空き店舗等を有効活用した賑わいを創出するための融資を積極的に推進するとともに、商店街灯のLED化の推進への支援など、環境にも配慮した商店街づくりを進めます。
 そして、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催という好機を捉え、文化・観光、都市基盤整備、ユニバーサルデザインなどの施策を総合的に推進し、国際観光都市・新宿としてのブランド力の向上を図ります。
 
 次に、「健全な区財政の確立」についてです。
 将来にわたって安定した行政サービスを提供し続けていくためには、区財政が健全であることが不可欠です。決算実績や行政評価を踏まえ、事業見直しの徹底と施策の重点化を図るとともに、区民の皆様にわかりやすく財政状況を公表するとともに、職員一人ひとりのコスト意識を高めていくなど、区政運営のマネジメントを強化します。
 区有施設については、公共施設等総合管理計画を策定して、統廃合や集約化、多機能化など施設のあり方や役割を見直し、効果的かつ効率的な公共施設のマネジメントに取り組みます。

 次に、「好感度1番の区役所」についてです。
 住民にとって最も身近な行政サービスである窓口の好感度を高めることは、区民視点で、事務事業や組織体制等を改善していく出発点です。
 区民の立場で考え、正確かつ公平、丁寧な応対で、区民の信頼に応え、区民の相談に対しては、適切な窓口対応で速やかに解決することが必要です。
 また、情報の共有化を図るため、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアの活用をはじめ、コミュニケーションツールの研究などを進めるとともに、町会・自治会、NPOをはじめとする多くの区民の皆様との連携・協働による地域課題の解決に取り組んでまいります。
 以上、区政運営の一端を申し上げましたが、最後に、大切なことは、平和であることです。平和な社会を新宿のまちから創りだしていくためには、顔の見える温かい関係を地域から築いていくことが必要です。そして、戦争というものの悲惨さを理解するための取り組みも進めていかなくてはなりません。
 私は、「新宿区平和都市宣言」の精神を実践している従来の区政を継承してまいります。
 新宿区は、国内外の多様な人々が住み、働き、学び、集う、懐の深い魅力的なまちです。出身地や国籍、民族の異なる人々が互いの持つ多様性を認め、理解し合い、ルールを守り、相手を思いやることのできる社会の一員として共に生きていくことが、平和な社会を築いていく礎となるものです。こうした多くの人々が共生する社会の実現と平和な社会づくりに向けた取り組みを一層推進してまいります。

 この一年が皆様と皆様のご家族にとりまして、幸多き年となりますよう、あらためてお祈り申し上げまして、私のあいさつといたします。

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