生活保護について
最終更新日:2023年10月10日
また、生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください。
【日本国憲法第25条】 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。 国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。 |
【生活保護法第1条】 この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。 |
生活保護を受けるには
生活保護法では、日本国民を対象として、生活に困っている人が次のようなあらゆる努力をしてもなお、自力で生活を維持できない場合に、差別することなく生活保護を受けられると定めています。
(ただし、外国人の方でも準用できる場合があります)
(1)能力の活用 | 能力に応じて働くこと(働く能力があり、仕事もあるのに働かない人は生活保護が受けられません。) |
(2)資産の活用 | 土地・家屋、預貯金、生命保険、有価証券、貴金属、車などがあれば、売ったり解約して生活費にあてること(一部保有が認められているものもあります。) |
(3)他制度の活用 | 年金や手当など受けられるものは手続きをとること。 |
ご親族などから、仕送りや養育費などの援助を受けることができる場合は、生活保護に優先して活用していただきます。なお、ご親族には、可能な範囲で援助を行っていただくものであり、ご親族がいるというだけで、生活保護を受給できないということはありません。
ご親族に対して、扶養・援助の可否について照会を行うことがありますが、長年の間、音信不通で交流がないと判断できる場合やDVや虐待等の特別な事情がある場合は、照会を配慮しますので、ご相談ください。
生活保護の種類(8種類の扶助)
生活保護にはつぎの8種類の扶助があり、国の定めた基準により世帯の必要に応じて受けることができます。
また、各種加算もあり生活扶助に加えて計算されます。
扶助の種類 | 扶助の内容 |
---|---|
(1)生活扶助 | 食べるもの、着るもの、光熱水費など日常のくらしの費用 |
(2)住宅扶助 | 家賃、地代など |
(3)教育扶助 | 義務教育に必要な費用(給食代、学級費を含む) |
(4)介護扶助 | 介護を受けるための費用のうち、介護保険から支給されない分 |
(5)医療扶助 | ケガや病気の治療をするための費用(通院費、コルセット、眼鏡、看護料を含む) |
(6)出産扶助 | お産をするための費用 |
(7)生業扶助 | 高等学校等就学費用、自立のために技能を身につけるための費用 |
(8)葬祭扶助 | 葬式の費用 |
- 妊産婦加算
- 母子加算
- 障害者加算
- 介護施設入所者加算
- 在宅患者加算
- 放射線障害者加算
- 児童養育加算
- 介護保険料加算
※一時扶助(一時的な需要に応じるための扶助)
- 被服費・・・・学童服・紙おむつ等・ふとん代(再生か新規購入)など
- 家具什器費・・炊事用具・食器代など(新たに自活する場合などで持ち合わせがないとき)
- 移送費・・・・転居、入退院、肉親の葬式に行く交通費など
- 入学準備金・・小学校・中学校入学の際、入学準備のために必要な費用
- このほか、転居する場合の敷金・礼金・運送費、契約更新料や配電設備費と水道・井戸または下水道設備費などがあります。
いずれも支給には一定の条件があります。
生活保護を決めるには(要否判定)
1 生活保護費の決めかた
生活保護費は、世帯全体の収入が国で決めた生活保護基準に足りないときにその不足分だけが支給されます。収入がこの基準をこえるときは、生活保護は受けられません。
2 収入認定
生活保護開始後に収入(臨時収入も含む)があれば毎月申告してもらい、そのつど生活保護基準とくらべて生活保護費を決定します(これを「収入認定」といいます)。
認定の対象となる収入にはつぎのようなものがあります。
(1) 就労に伴う収入 | 給与・日雇収入・農業を営んで得た収入・農業以外の事業により得た収入など |
(2) 就労に伴わない収入 | 恩給・年金・基金・手当・仕送り・贈与・財産収入など |
(3) その他の収入 | 動産または不動産の処分による収入・保険金または解約返戻金など |
臨時収入があった場合は少額でも必ず地区担当員に申告してください。なお、働いて得た収入については、必要経費(交通費・社会保険料及び仕入れ代金など)を除いたほか、その額に応じて勤労控除が認められています。
保護を決めるまで(相談から決定)
本人か家族が福祉事務所(新宿区の場合は生活福祉課)に相談に来てください。やむをえない場合は、親類等事情のよくわかる方が来てください。
申請は、本人、その扶養義務者(直系の~祖父母・父母・子・孫)または同居の親族により、おこなうことができます。
2 家庭訪問
生活保護の申請を受けますと、くらしむきなどについて具体的に知るために、福祉事務所の地区担当員が家庭訪問をします。地区担当員は保護を決めるために必要なことがらをお聞きしますので、ありのままをお話しください。
秘密は固く守ります。
※生活保護が受けられるかどうかについては、原則として申請の手続きをした日の翌日から14日以内に(特別の場合でも30日以内に)、理由をつけて通知します。
生活保護を受けた場合のきまり(権利と義務)
1 生活保護を受けた場合のあなたの権利
生活保護を受けた場合、決定された保護金品は正当な理由がなければ、止められたり減らされることはありません。
また、支給された保護金品や、これらを受ける権利を差押えられることはありません。なお、税金はかかりません。
2 生活保護を受けた場合のあなたがすること、守ること(義務)
(1) 生活保護を受けている権利を、他人にゆずりわたすことはできません。
(2) 働ける人は、能力に応じて働いてください。
(3) 活用できる資産、年金、手当等他の法律制度は活用してください。
恩給や年金は、まず生活費にあてるものです。生活保護を受けている間に恩給や年金を担保にして、貸付を受けないでください。
貸付を受けた場合は、収入とみなし保護は廃止または停止になります。
(4) 家庭に変わったことがあったときは届け出てください。
・住所や家賃がかわるとき
・一緒に生活する人が増えたり、減ったりしたとき
・一緒に生活する人が入院したり、退院したとき
・収入が増えたり、減ったりしたとき
・就職したり、転職したとき
・そのほか生活の状態が変わったとき
(5) 自ら健康管理や金銭管理に十分注意して生活することを守ってください。
(6) 生活の維持、向上のために行う福祉事務所の指導、指示には従ってください。
生活保護費の支払いと返還について
生活保護費は、毎月福祉事務所の窓口で直接支払う場合と指定された銀行に支払う場合があります。
入院して家族のいない方の場合は、病院へ送金いたします。
2 返してもらう場合
(1) 収入が増えたり、一緒に生活する人が減ったり入院したりして生活保護費が払いすぎになってしまったときは、払いすぎたお金を返していただきます。
(2) 資力がありながら生活保護を受けたときは、生活保護費を返還していただきます。たとえば年金・手当などがさかのぼって支給されたときや、生命保険を解約したときなどです。(生活保護法第63条)
(3) 不正な方法で生活保護を受けたり、収入の申告をしなかったときは、不正受給としてそれまでの生活保護費を返還していただきます。不正が悪質、巧妙である場合は返還額が上乗せされる場合があります。(生活保護法第78条)
また、法律によって罰せられることがあります。
決定に不服があるとき
日本国籍のない方はできません。
<決定の取消しの訴え>
また、この審査請求に対する裁決を経た場合に限り、その審査請求に対する裁決があったことを知った日の翌日から起算して6ヶ月以内に、新宿区を被告として(訴訟において新宿区を代表する者は、新宿区長となります。)この決定の取消しの訴えを提起することができます。(なお、裁決があったことを知った日の翌日から起算して6ヶ月以内であっても、裁決があった日の翌日から起算して1年を経過すると決定の取消しの訴えを提起することができなくなります。)ただし、次の[1]から[3]までのいずれかに該当するときは、審査請求に対する裁決を経ないでこの決定の取消しの訴えを提起することができます。
[1] 審査請求をした日(行政不服審査法(平成26年法律第68号)第23条の規定により不備を補正すべきことを命じられた場合にあっては、当該不備を補正した日)の翌日から起算して50日(50日以内に行政不服審査法第43条第3項の規定により通知を受けた場合は70日)を経過しても裁決がないとき。
[2] 決定、決定の執行又は手続きの続行により生ずる著しい損害を避けるため緊急の必要があるとき。
[3] その他裁決を経ないことにつき正当な理由があるとき。
生活保護を受けると変わること
保護を受けると、国民健康保険証、後期高齢者医療証等は使えなくなります。
医者にかかる時は福祉事務所においでください。「医療券」をお渡ししますので、それを持って受診すると治療を受けられます。
ただし、治療を受けられる医者は原則として、生活保護の指定医療機関です。休日、夜間、急病などで「医療券」を持たずに医者にかかった場合は、できるだけ早く福祉事務所へ連絡してください。
病院や診療所のほか、調剤薬局で薬を処方してもらったときも福祉事務所へ連絡してください。
会社の健康保険証の人も自己負担分の「医療券」が出ます。
自立支援医療制度、難病医療費助成制度に該当する病気の医療は制度の活用をしてください。
原爆被爆者、公害健康被害者の医療公費負担を受けている方は継続して利用してください。
2 介護が必要なとき
65歳以上の方で介護が必要な場合は、要介護認定申請をし、認定を受ける必要があります。
介護が必要と認められると、必要の度合に応じて受けられる介護の内容を決めます。介護サービスにかかる費用のうち、介護保険から支給されない分が、介護扶助の対象となりますので、介護扶助の申請をしてください。
3 資格がなくなるもの
(1) 国民健康保険証、後期高齢者医療証、国民健康保険組合の保険証(大工、美容師、理容師等の保険証)
(2) 高齢受給者証、身体障害者、ひとり親等の医療証
(3) 都・区営住宅の使用料(家賃)減免
4 免除されるもの
(1) 地方税・・・・・・・住民税、固定資産税等
(2) 国民年金・・・・・・保険料
(3) 上・下水道・・・・・基本料金
(4) 放送・・・・・・・・NHK放送受信料
(5) 都営住宅・・・・・・入居時の保証金及び共益費
このほかにも制度によって免除制度がありますので、地区担当員に聞いてください。
5 支給されるもの(法外援護)
該当する方には都や区から下記のものを支給します。
(1) 健全育成費(小、中学生)
(2) 中学校卒業就職支度金
(3) 都電・都営地下鉄・都営バス共通無料パス(世帯に1枚)
(4) 公衆浴場の入浴券(風呂の無い世帯)~ 入院・施設入所中の方は対象外です。
(5) 自立支援に要する費用の一部
(6) 消火器
基準と級地
生活保護基準には衣類などいわゆる日常生活に必要な基本的、経常的経費について最低生活費を表示した生活扶助基準があります。生活扶助基準には、第1類費(個人的経費)と第2類費(世帯共通的経費)の他に加算(特別な需要のある者だけに認められている上乗せ経費分)があります。住宅扶助基準は、世帯人員別に住宅扶助の限度額が認定されており、単身世帯のみ床面積別の限度額が定められています。
最低生活費の計算のしかた
1 居宅生活の場合(単身の場合) | 第1類費+第2類費+加算+住宅費+介護費+医療費=最低生活費となります。 |
2 入院生活の場合(単身の場合) | 入院患者日用品費+加算+住宅費+医療費(+食費)=最低生活費となります。 |
3 保護施設入所の場合(単身の場合) | 施設基準費+加算+医療費=最低生活費となります。 |
4 介護施設入所の場合 | 介護施設入所者基本生活費+加算+介護費+医療費=最低生活費となります。 |
5 その他施設及び複数世帯について | 相談してください。 |
※ 介護費は自己負担金分ですが、限度額があります。限度額は介護サービス費15000円、食事代9000円の計24000円です。(H27.4.1現在)
※ 医療費は低所得世帯に適用される高額療養費と食事代が上限となります。(70歳以上は高額療養費の額が異なります。)
収入認定の計算のしかた
過去3ヶ月間の平均収入-勤労控除-実額控除=収入認定額となります。
2 事業収入の場合
過去3ヶ月間の平均収入-勤労控除-実額控除(仕入れ代+原材料費)=収入認定額となります。
3 年金収入の場合
月額年金額-実額控除(所得税+手続き代+介護保険料控除)=収入認定額となります。
4 援助収入の場合
月額援助額=収入認定額となります。
5 その他の場合
相談してください。
福祉事務所(生活福祉課・保護担当課)の職員と民生委員について
相談者が初めて生活福祉課の窓口に来所された時や、電話での相談には面接員が相談に応じています。相談が重なった時はお待ちいただくこともありますので、ご了承ください。
入院中で来所できない場合は相談支援係にご連絡ください。
面接員の仕事は相談の内容をお聞きし、生活保護の申請を受け付けたり、他の制度の活用について助言を行うことです。
2 地区担当員
相談支援係で受理した生活保護申請書や救急隊等からの連絡により直接家庭訪問または病院等に訪問します。地区担当員は生活保護の申請内容の確認及び関係先調査等、保護の決定に必要な調査を行います。
また、地区担当員は生活保護を受けている世帯の生活状況を把握するため定期的に家庭訪問をしています。
3 民生委員
民生委員は地域ごとにおかれ、福祉事務所の仕事に協力していただく方です。家庭のことや子どものことなどについて、よき相談相手となっていろいろな問題の解決に協力してくれます。
相談の内容は秘密を守りますから、困ったことがありましたら気軽に相談してください。