「結核=昔の病気」ではありません!!

最終更新日:2024年3月25日

結核は今でも1日に28人の新しい患者が発生し、4人が命を落としている日本の重大な感染症です。

結核とは

結核菌が人から人へとうつることによって起こります。
痰の中に菌を出している患者さんが咳やクシャミをした時に、空気中に放出された「しぶき」に含まれる結核菌を、周りにいる人が吸い込んで感染します(飛沫感染・空気感染)。しかし、結核菌を吸い込んでも必ずうつるわけではありません。多くの場合、体の抵抗力により追い出されます。
体内に菌が残っていても、からだの免疫が働き、結核菌の活動を抑えこんでいる状態を「感染」と言います。「感染」後、結核菌が体内で活動を始めると病巣ができ「発病」します。発病は感染した10人の内1~2人程度で、感染後6ヶ月~2年後位に多く見られます。中には何年、何十年も経ってから発病したり、一生発病しない人もいます。どのような理由で結核菌が増え始めて発病するかは、まだよく分かっていません。免疫が弱まっている時は、結核菌が再び活動を始め、発病しやすい状態と考えられています。

治療と耐性菌について

発病したら治療が必要です。症状がなくなっても6ヶ月から1年程度の内服が必要です。
「発病」しても「排菌」(痰の中に結核菌が大量に存在)していなければ、入院の必要はなく、学校や職場に通いながら通院治療が可能です。「発病」した人も、薬を確実に飲んでいれば、感染性は2週間程度で少なくなります。
「発病」していて「排菌」している場合は、入院して薬を飲みます。しっかり治療を行えば多くの場合1~2ヶ月くらいで菌が出なくなり退院できます。退院後も日常生活の中で、内服を続けることが大切です。内服を中断したり、不規則な内服(薬を飲んだり飲まなかったりすること)は耐性菌(薬の効かない結核菌)の原因となります。一度耐性菌になってしまうと、治療が大変困難になります。主治医から内服終了の指示がでるまで確実に内服を続けましょう。

結核を予防しよう

BCG接種

BCGは結核に対する弱毒生ワクチンです。副反応はほとんどありません。結核性髄膜炎や粟粒結核などの乳幼児期の重症結核に対し、高い予防効果を示します。生後5か月~8か月での接種をお勧めしています(接種期限は1歳未満)。新宿区が指定する医療機関で接種してください。詳しくは、子どもの予防接種のページをご覧ください。

結核を早期に発見しよう

1)年に1度の健康診断

自覚症状がなくても年に1度は健康診断(胸部X線撮影)を必ず受けましょう。

また受けるだけでなく、要精密検査と言われたら、早めに呼吸器科専門医を受診し検査を受けましょう。放置してしまうことで、発見時に重症化している方がいます。

結核は初期には自覚症状はありません。咳・痰等がなければ健康診断を受けなくていいというわけではありません。定期的に受けることが大切です。

  • 学生の方:学校での定期健康診断の中で

  • お勤めの方:職場での定期健康診断の中で

  • 区民の方で学校や職場で受けられない方・・・

  •  65歳以上の方は区で実施している健康診査(医療機関・区民健康センター)で、胸部レントゲンが必須の検査項目となっています。なお、感染症法では高齢者における結核の発病を早期に発見するために、65歳以上の方に結核の健診を受けることを義務付けています。
     40~64歳までの希望される方も、実施医療機関で受けることができます。
     

2)次のような症状があるときは、医療機関を受診しましょう。

長引く咳

倦怠感
微熱                              

肺結核を発病した初期の症状は風邪と同じです。しかし、2週間も続いたり、良くなったり悪くなったりを繰り返したりする場合は要注意です。医療機関を受診し、胸部X線検査等を受けましょう。

もし発病したら

保健所では療養生活を支援しています。

[1]医療費の公費負担制度
 結核の治療費の一部を公費で負担します。保健所に申請してください。

[2]DOTS(直接服薬確認療法)の実施
 治療が確実に行われるよう、入院中も外来治療中も医療機関と保健所が協力して服薬を見守ります。

[3]家族健診、接触者健診の実施
 感染の拡大を予防するために、患者さんの家族や身近な人で患者さんと濃厚に接触した方の健診を行います。

結核Q&A

Q:お年寄りに結核が増えていると聞きましたが?

A:令和4年に日本で結核を発症した人の44.8%が80歳以上の高齢者でした。高齢者の方は、かつて結核が猛威をふるった時代にすでに感染している場合が多いと考えられます。若いときには免疫力が強いため発病せず、年をとって抵抗力が低下すると、冬眠状態だった結核菌が暴れだして発病してしまうことがあります。また以前に治療した病巣の結核菌が再び活動をはじめる「再発」も急増します。
日頃から睡眠はしっかりとり、栄養バランスのとれた食生活を心がけ、適度な運動を楽しみ心身ともにリラックスするなど、抵抗力をつけるような生活を心がけることが大切です。区では無料の健康診査がありますので、是非ご利用ください。何となく体調が悪いと思ったら、早めの受診を心がけましょう。

Q:結核の患者さんと接触がありましたが、どうしたらいいですか?

A:患者さんが、周囲の人に感染させた可能性がある場合、患者さんの住所を管轄する保健所が患者さん本人の病状を確認し、周囲の人の年齢や接触状況などを考え、「接触者健診」を計画して実施します。
健診を実施する方には、保健所からご連絡いたします。ご心配な方は。保健所へご相談ください。

新宿区の状況

令和4年の新宿区の結核罹患率(人口10万対)は14.0であり、全国8.2・東京都8.5と比較すると非常に高く、令和4年には49人の患者さんが新たに報告されています。患者さんのうち70歳以上の高齢者が33%を占めていますが、20~30歳代の若い患者も37%と割合が高いことも新宿区の特徴です。
※結核罹患率とは、1年間に発病した患者数を人口10万対率であらわしたものです。
結核は過去の病気ではありません。
結核についての心配や疑問がある方は下記へお問い合わせください。
新宿区保健所保健予防課保健相談係(第二分庁舎分館1階)TEL(5273)3862へ

本ページに関するお問い合わせ

新宿区 健康部-保健予防課
保健相談係
電話:03-5273-3862  FAX:03-5273-3820

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