新宿区男女共同参画推進条例

目次

前文
第1章 総則(第1条-第8条)
第2章 基本的施策(第9条-第15条) 
第3章 苦情等の申出への対応(第16条・第17条)
第4章 性別に起因する権利侵害の禁止等(第18条・第19条)
第5章 新宿区男女共同参画推進会議(第20条-第22条)
附則

前文

 男女が、すべて人として平等であり、個人として尊重される社会を実現することは、私たち区民の共通の願いである。
 新宿区は、これまで、国際社会や国内の動向と協調しながら、積極的に男女平等の推進に取り組んできた。
 しかし、今なお、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会における制度又は慣行が存在する等多くの課題が残されている。
 一方、少子高齢化、家族形態の多様化等新宿区を取り巻く環境は急激に変化しており、こうした変化に適切に対応していくことも切実に求められている。
 これらの課題を解決し、新宿区がより発展していくためには、新宿のまちにかかわるすべての男女が、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮し、責任も分かち合い、共にあらゆる分野に参画することのできる社会を実現していくことが重要である。
 ここに、私たちは、区、区民、事業者及び地域団体が、それぞれの責務を果たし、協働して、男女共同参画社会を実現し、もって豊かで活力あるまちをつくることを決意し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的) 
第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、新宿区(以下「区」という。)、区民、事業者及び地域団体の責務を明らかにし、並びに区の施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 (1) 男女共同参画 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受し、かつ、共に責任を担うことをいう。
 (2) 区民 区の区域内(以下「区内」という。)に住所を有する者、区内の事務所又は事業所に勤務する者及び区内の学校に在学する者をいう。
 (3) 事業者 区内で事業活動を行う法人その他の団体及び個人をいう。
 (4) 地域団体 町会、自治会その他の区内で地域活動を行う団体をいう。
 (5) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により当該言動を受けた個人の生活の環境を害すること又は性的な言動を受けた個人の対応により当該個人に不利益を与えることをいう。

(基本理念) 
第3条 男女共同参画の推進は、男女が個人として尊重され、性別による差別的取扱いを受けることなく、その個性及び能力を十分に発揮する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度又は慣行が、社会のあらゆる分野における男女の活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女の生き方が制約されることのないように配慮されなければならない。
3 男女共同参画の推進は、男女が、社会のあらゆる分野における活動の方針の立案及び決定の過程に、社会の対等な構成員として、共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。
4 男女共同参画の推進は、男女が、相互の協力及び社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。
5 男女共同参画の推進は、地域における国際化の進展に配慮し、国際理解の下に行われなければならない。

 (区の責務) 
第4条 区は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(以下「男女共同参画推進施策」という。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 区は、男女共同参画推進施策を実施するに当たっては、国及び他の地方公共団体と相互に連携し、及び協力するよう努めなければならない。

(区民の責務)
第5条 区民は、基本理念について理解を深め、区が実施する男女共同参画推進施策に協力するとともに、男女共同参画の推進に努めるものとする。

(事業者の責務)  
第6条 事業者は、基本理念について理解を深め、区が実施する男女共同参画推進施策に協力するとともに、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に努めるものとする。

(地域団体の責務)  
第7条 地域団体は、基本理念について理解を深め、区が実施する男女共同参画推進施策に協力するとともに、その地域活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に努めるものとする。

(区、区民、事業者及び地域団体の協働)
第8条 区、区民、事業者及び地域団体は、協働して男女共同参画の推進に努めるものとする。

第2章 基本的施策

(基本計画)
第9条 新宿区長(以下「区長」という。)は、男女共同参画推進施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定するものとする。
2 区長は、基本計画を策定するに当たっては、区民、事業者及び地域団体の意見を反映することができるよう、適切な措置を講ずるものとする。
3 区長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ第20条の新宿区男女共同参画推進会議の意見を聴かなければならない。
4 区長は、基本計画を策定したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
5 区長は、必要と認めるときは、基本計画を変更するものとする。この場合においては、前3項の規定を準用する。

 (区の施策の立案及び決定の過程への男女共同参画の促進)
第10条 区長その他の執行機関は、附属機関として設置する審議会等の委員を委嘱し、又は任命する場合は、男女が等しく区の施策の立案及び決定の過程に参画する機会が確保されるよう努めるものとする。

(啓発活動及び教育による普及)
第11条 区は、基本理念に関し、啓発活動及び学校教育をはじめとする教育を通じて、区民、事業者及び地域団体の理解を深めるよう努めるものとする。

(調査研究等) 
第12条 区は、男女共同参画の推進に関し、必要な調査及び研究並びに情報の収集及び分析に努めるものとする。

(関係事業者からの報告)
第13条 区長は、雇用の分野における男女共同参画を促進するため必要があると認めるときは、区と契約を締結している事業者その他区とかかわる事業者に対して、当該事業者の雇用の分野における男女の参画状況等に関し、報告を求めることができる。

(関係地域団体からの報告)
第14条 区長は、地域活動における男女共同参画を促進するため必要があると認めるときは、次の各号のいずれかに該当する地域団体に対して、当該地域団体における男女の参画状況等に関し、報告を求めることができる。
 (1) 区の補助金を受けている地域団体
 (2) 区の施設を拠点とする地域団体
 (3) 前2号に掲げるもののほか、区とかかわる地域団体

(拠点施設の整備) 
第15条 区は、区民、事業者及び地域団体の男女共同参画の推進に関する取組を支援するため、その拠点となる施設を整備するものとする。

第3章 苦情等の申出への対応

(苦情の申出への対応) 
第16条 区長は、区が実施する男女共同参画推進施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関する区民、事業者又は地域団体からの苦情の申出に対し、適切に対応するよう努めるものとする。
2 区長は、前項の場合において、必要と認めるときは、第20条の新宿区男女共同参画推進会議の意見を求めることができる。

(相談の申出への対応)
第17条 区長は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画の推進を阻害する要因による人権の侵害に関する区民からの相談の申出に対し、関係機関と協力し、迅速かつ適切に対応するよう努めるものとする。

第4章 性別に起因する権利侵害の禁止等

(性別に起因する権利侵害の禁止) 
第18条 何人も、あらゆる場において、性別による差別的取扱いをしてはならない。
2 何人も、あらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
3 家庭内等において、配偶者等に対する身体的又は精神的な苦痛を著しく与える暴力的行為は、これをしてはならない。

(区民等に対して表示する情報に関する配慮)
第19条 何人も、区民等に対して表示する情報において、性別に起因する人権の侵害を助長することのないよう配慮しなければならない。

第5章 新宿区男女共同参画推進会議

(設置)
第20条 男女共同参画の推進に関する基本的事項について調査審議するため、区長の附属機関として、新宿区男女共同参画推進会議(以下「推進会議」という。)を設置する。

(所掌事務)
第21条 推進会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
 (1) 区長の諮問に応じて次に掲げる事項について調査審議すること。
  ア 基本計画の策定及び変更等男女共同参画推進施策に関する基本的又は重要な事項
  イ 第16条第2項の規定により区長が意見を求めた事項
  ウ その他男女共同参画の推進に関し、区長が必要と認める事項
 (2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画に関し調査及び研究を行い、区長に意見を述べること。

(組織)
第22条 推進会議は、15人以内の委員で組織する。
2 推進会議の委員は、男女いずれか一方の性が委員の総数の4割未満とならないように選任しなければならない。
3 推進会議の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、欠員が生じた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 推進会議の委員は、男女共同参画について学識経験を有する者、区民、事業者(法人その他の団体にあっては、その構成員)及び地域団体の構成員のうちから、区長が委嘱する。
5 前各項に定めるもののほか、推進会議の組織及び運営に関し必要な事項は、新宿区規則(以下「規則」という。)で定める。

附則

 (施行期日)
1 この条例は、平成16年4月1日から施行する。ただし、第5章及び次項の規定は、公布の日から起算して8月を超えない範囲内において規則で定める日から施行する。
 (新宿区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 新宿区附属機関の構成員の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和34年新宿区条例第9号)の一部を次のように改正する。
  別表新宿区特別職報酬等審議会の項の次に次のように加える。

新宿区男女共同参画推進会議
委員のうち学識経験者:日額 20,000円
その他の委員:日額 10,000円
条例中助役相当額

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