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平成28年 新年賀詞交歓会・区長年頭の挨拶(要旨)

最終更新日:2016年1月5日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他に若干の変更があることがあります。

写真:あいさつする吉住健一新宿区長
 新年、明けましておめでとうございます。
 新宿区長の吉住健一です。

 皆様方には、すがすがしい新春をお迎えのことと、心からお慶び申し上げます。また、こうして新年を新宿区の各界を代表される方々とご一緒にお祝いさせていただけることに感謝を申し上げます。
 皆様には、日頃より新宿区政に多大なるご尽力、ご協力をいただいておりますことを、この場をお借りしてあらためて御礼申し上げます。

 本年は、十二支のさる年にあたります。「さる」という字は、もともとは申(もお)すの「申(しん)」という文字で、わかりやすくするために、後から動物の「猿」という文字があてられたものです。この「申(しん)」という字の意味は、草木が伸び、果実が成熟している様子をあらわすということです。
 本年が、皆様のご健康と心豊かな実りある生活を送ることができる年でありますようお祈り申し上げます。
さて、昨年を振り返ってみますと、口永良部島(くちのえらぶじま)新岳の爆発的な噴火など全国各地で活発な火山活動がみられました。また、9月の台風18号の大雨により鬼怒川堤防が決壊し、甚大な被害をもたらすなど自然災害に対する日頃からの十分な備えの重要性を改めて認識したところです。

 こうした中、長崎県の端島(はしま)、いわゆる軍艦島の炭鉱施設や長崎造船所をはじめ、明治日本の産業革命遺産がユネスコ世界遺産へ登録されました。
 スポーツ界では、ラグビーワールドカップ2015において、24年間、勝ち星のなかった日本が世界ランキング3位の南アフリカを相手に劇的な勝利をおさめ、五郎丸選手のポーズが流行し、社会現象にまでなりました。
 学術界では、寄生虫による感染症の治療薬の開発の功績が認められ、大村智(おおむらさとし)北里大学特別栄誉教授にノーベル生理学・医学賞が授与され、また、ニュートリノの質量を発見した梶田隆章(かじたたかあき)東京大学宇宙線研究所長にノーベル物理学賞が授与されました。今後も世界で飛躍する日本人の活躍にますます期待するところです。

 さて、我が国の景気動向を見ると、緩やかな回復基調が続き、先行きについても、雇用・所得環境の改善傾向が続いています。しかし、中国をはじめアジア新興国等の景気の悪化に伴う我が国の景気への影響が懸念されるところです。
 また、税制改正において、地方税である法人住民税を一部国税化し、これを地方交付税の財源とする見直しが行われています。法人住民税は、企業等の地域での活動やそこで働く人々を支えるための施策の財源とするもので、これを地方自治体間の財源調整に用いることは、地方税の原則を歪めるとともに地方分権の流れに大きく逆行するものです。こうしたことから、特別区長会として、「税源偏在是正議論についての特別区の主張」を表明するとともに、国に対し、法人住民税の一部国税化を早期に見直すことを強く要望しています。

 区政を取巻く社会経済情勢は、決して楽観できるものではなく、景気の先行きについても、慎重に見極めていくことが必要です。
 本年は、平成28年度から29年度の2年間を期間とする第三次実行計画がスタートする年です。第三次実行計画は、現在の総合計画の総仕上げであるとともに、平成30年度から始まる新たな総合計画への橋渡しとなるものです。第三次実行計画では、現在の総合計画の着実な推進に向けて、重点的に取り組む施策を5つの基本政策として掲げています。

 基本政策の第一は、「暮らしやすさ1番の新宿」です。
 区民が暮らしやすいまちづくりを行うことは、地域に最も身近な自治体である区にとって重要なことです。
このため、地域包括ケアシステムの構築や認知症の早期発見・早期診断、待機児童解消や子どもの貧困対策など、子ども、高齢者、障害者の方をはじめ、区民一人ひとりが尊重され、住み慣れた地域で、それぞれの役割を担いながら、誰もが自分らしく心豊かに暮らすことができる地域社会の実現を目指します。

 基本政策の第二は、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、高度な防災機能を備えた「新宿の高度防災都市化」に取り組むことが喫緊の課題です。
 このため、建物の耐震化の推進や、不燃化による木造密集地区の解消、道路の無電柱化などにスピード感を持って取り組みます。また、繁華街の客引き対策の強化や空き家対策など日常生活の安全・安心を高め、暮らしやすい、安全で安心なまちを実現します。
基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。
 新宿区は、商業・業務・文化・居住機能などが集積する多様性に富んだまちです。こうした都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿を創造することが必要です。 
 気持ちよく楽しめ、魅力的で歩いて楽しいまちづくりを進めるとともに、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックとその後も見据え、文化・観光・スポーツ、都市基盤整備、ユニバーサルデザイン、環境にやさしいまちづくり、商店街や産業振興などの施策を総合的に推進し、国際観光都市・新宿としての魅力とブランド力を高め、誰もが愛着と誇りの持てる、やすらぎとにぎわいのまちの実現に向けて取り組んでいきます。

 基本政策の第四と第五は、「健全な区財政の確立」及び「好感度1番の区役所」です。
「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」及び「賑わい都市・新宿の創造」を実現していくためには、健全な区財政を維持し、将来にわたって安定した行政サービスを提供していくことが必要です。
 このため、新たな行政評価のしくみを確立し、より適切な施策・事業の進行管理に努めるとともに、公共施設等総合管理計画を策定し、今後の区有施設のあり方や役割を見直すなど区有施設のマネジメントの強化に取り組んでいきます。
 また、住民にとって最も身近な行政サービスである窓口の好感度を高めていくことは、区民視点で、区役所の仕事を改善していくための出発点となります。このため、窓口サービスの充実や、区民視点で考える職員の育成、新宿自治創造研究所の研究成果を活かした政策形成能力の向上などに取り組んでいきます。

 本年4月には、組織改正を行い、第三次実行計画を着実に推進するとともに、平成30年度から始まる新たな総合計画の策定に向けて、区政運営体制の強化を図ります。
 
 今月からは、マイナンバー制度の運用が始まっています。マイナンバー制度は、行政手続きなどにおける区民の利便性の向上と行政の効率化を図るものです。また、社会保障制度を持続していくための適切な給付と負担による公正・公平な社会を実現していくための社会基盤となるものです。
 一方、個人番号カードの取扱い、個人情報の漏えいの懸念などに関する区民の皆様の声を耳にします。こうしたことから、区では、相談窓口を開設し、電話及び窓口でのお問い合わせに対応するなど、マイナンバー制度が円滑に運営されるようしっかりと取り組んでまいります。

 以上、区政運営の一端を申し上げましたが、最後に、2点申し上げます。
 新宿区平和都市宣言から30周年を迎える本年3月には、戦争の悲惨さと平和の尊さを次世代に継承するため、新宿区平和都市宣言30周年記念事業イベントを実施します。
 新宿区は、国内外の多様な人々が住み、働き、学び、集う、懐の深い魅力的なまちです。出身地や国籍、民族の異なる人々が互いを認め、理解し合い、ルールを守り、相手を思いやることのできる社会の一員として共に生きていくことが、平和な社会を築いていく礎となるものです。多くの人々が共生する平和な社会を新宿のまちから創り出していくための取組みを一層推進してまいります。

 2020年オリンピック・パラリンピック東京大会まであと4年となりました。招致が成功したあの瞬間を思い出したいと思います。東日本大震災以降に覆われていた日本の閉塞感を打破したい、昭和のオリンピックが戦災からの復興のシンボルとなったように、平成のオリンピック・パラリンピックが大震災からの復興のシンボルとなるに違いない。私たちは必ず立ち直ることができると確信できた瞬間だったと思います。
 新宿区も、メインスタジアムを地元に持つ自治体として、区民の記憶に残る大会として実行できるよう、最大限の努力をしていきたいと考えています。オリンピック・パラリンピックを通じて、区民が共有できる思い出を創ってまいります。

 この一年が皆様と皆様のご家族にとりまして、幸多き年となりますよう、改めてお祈り申し上げまして、私のあいさつといたします。

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