ダイオキシン類

最終更新日:2022年9月21日

ダイオキシン類とは

ダイオキシン類は、塩素を含む有機化学物質で、ものを燃やす時に発生しやすく、毒性が強いことから、環境への汚染と人体への影響が大きな問題となっています。
ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)、コプラナポリ塩化ビフェニル(コプラナPCB)の3種類をダイオキシン類と呼んでいますが、通常は無色無臭の固体で、水にはほとんど溶けませんが脂肪に溶けやすく、粒子などに付着しやすい性質があります。
また、他の化学物質や酸、アルカリにも容易に反応せず、安定した性質をもっていますが、太陽光の紫外線で徐々に分解されるといわれています。
ダイオキシン類は、基本的に炭素で構成されるベンゼン環の1~4と6~9(コプラナPCBは2.2’.6.6’)の位置に塩素がついた構造をしています。塩素の数や付く位置によっても形が変わるので、PCDDは75種類、PCDFは135種類、コプラナPCBは10数種類の仲間(異性体)があります。これらのうち、毒性があるとみなされているのは29種類です。
画像:ダイオキシン類の構造図ダイオキシン類の構造図

ダイオキシン類の発生

ダイオキシン類は、炭素・酸素・水素・塩素が熱せられる過程で意図せずできてしまうものです。発生源の大半は、廃棄物の焼却施設によるものですが、そのほか金属精錬の燃焼工程や紙などの塩素漂白工程など、様々なところで発生します。
発生源の大半をしめる廃棄物の焼却施設ですが、特に、ごみの燃やし始めや焼却を止めていく段階の焼却温度が低いときに不完全燃焼が起こり、ダイオキシン類の生成量が多くなります。
しかし、高度な排ガス処理装置を備えた焼却施設で800℃以上の高温で完全燃焼することにより、その発生を抑えられることがわかっています。

ダイオキシン類の毒性

ダイオキシン類には多くの異性体がありますが、中でも最も毒性の強い2.3.7.8-TCDDを用いた動物実験では強い急性毒性があることがわかっています。
ダイオキシン類は「青酸カリよりも毒性が強く、人工的生成物質としては最も強い毒性を持つ物質である」といわれることがありますが、これは日常生活の中で摂取する量の数十万倍の量を摂取した場合の急性毒性のことです。実際に環境中や食品中に含まれる量は超微量なので、日常生活の中で摂取する量により急性毒性が生じることは考えられません。   
また、ダイオキシン類は発がん性や催奇形性(奇形を発生させる可能性)があるといわれておりますが、わが国の汚染レベルではダイオキシン類によりがんや奇形が生じるほどではないとかんがえられています。
さらに、ダイオキシン類は環境ホルモンのひとつといわれ、正常なホルモン作用をかく乱し、甲状腺機能の低下、生殖器官の重量や精子形成の減少、免疫機能の低下を引き起こすことなどが動物実験により報告されていますが、不明な点も多く人に対してどのような影響があるかはいろいろな機関で研究が進められています。

ダイオキシン類の汚染経路

ダイオキシン類は、主に焼却施設で発生し、大気中に排出されます。大気中の粒子などに付着したダイオキシン類は時間の経過とともに地上に落下してきます。水に溶けにくく粒子に付着しやすい性質のため、雨が降っても地下にはあまり浸透せず、土壌の表面に蓄積されると考えられています。土壌の表面に付着したダイオキシン類の一部は雨などによって河川や海に流れ込み環境を汚染します。
河川や海域に広がったダイオキシン類は、プランクトンなどに取り込まれ、食物連鎖を通じて、生物を含めた自然界全体に広がっていきます。

安全のための基準

平成10年にWHOは「健康への影響を考慮し、人の健康を保護するために維持されることが望ましいレベル」として、ダイオキシン類の耐用1日摂取量(TDI)を当面の目標値として4pg-TEQ/日/kg、最終的な目標を1pg-TEQ/日/kgとしました。これにより、わが国でも平成11年にダイオキシン類の耐用1日摂取量を当面の目標値として4pg-TEQ/日/kgとすることとしました。

耐用1日摂取量

4pg-TEQ/日/kg(1日体重1kg当たり4ピコグラム)

*体重60kgの人なら1日当たりの摂取量を60kg×4pg=240pg以下とする。

また、ダイオキシン類特別措置法(平成12年1月)により、大気、水質、土壌に関する環境基準が定められるとともに、1時間当たりの焼却能力50kg~200kg未満の小型焼却炉についても規制対象としています。

環境基準

大気・・・0.6pg-TEQ/立方メートル (1立方メートル当たり0.6ピコグラム)
水質・・・1pg-TEQ/リットル (1リットル当たり1ピコグラム)
土壌・・・1000pg-TEQ/グラム (1グラム当たり1000ピコグラム)

用語解説

TDI(ダイオキシン類の耐用1日摂取量)
ダイオキシン類を人が生涯にわたって取り続けても健康に影響がない量

pg
(ピコグラム)
重さの単位で1兆分の1グラム

TEQ
(毒性等量)
ダイオキシン類の量を表す単位。最も毒性の強い2.3.7.8の位置に塩素が付いたもの (2.3.7.8-TCDD)の毒性を1として、他の異性体の毒性の強さをこれに換算して表します。このときに使用される係数は毒性等価係数(TEF)と呼ばれ、1998年にWHOが定めた値が用いられています。

新宿区の取組

新宿区では、平成10年度から大気中のダイオキシン類調査を開始し、平成11年度には「新宿区ダイオキシン類の発生抑制に関する条例」を施行しました。この条例は小型焼却炉の設置者に排出指導基準を遵守することや、焼却物の量と種類を記録することなどを義務付け、区民や事業者の方には、廃棄物の分別や減量などに努めることを定めています。
なお、大気中のダイオキシン類測定結果は、下記からご覧いただけます。

ダイオキシン類測定結果

本ページに関するお問い合わせ

新宿区 環境清掃部-環境対策課
環境計画係
電話:03-5273-3763
FAX:03-5273-4070

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