(音声読み上げ用)UDまちづくりニュースレター第15号

最終更新日:2024年12月27日

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このページは、「音声読み上げ用」に作成しています。そのため、PDF版のニュースレターとは、文章の表示や表現などが異なっている部分があります。

新宿区UDまちづくりニュースレター

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新宿区
ユニバーサルデザイン
まちづくり
ニュースレター

第15号。
2024年12月。

ユニバーサルデザイン。
UDとは?

 年齢・性別・国籍・コジン、の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、生活環境その他の環境をつくり上げていく考え方です。
 新宿区には、多くの外国人をはじめ、様々な人々が生活しています。区では、移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいまちを目指して、令和2年3月に新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定しました。

このニュースレターでは、新宿区の取組や、UDスポットの紹介、利用者の声などをお伝えしていきます。

UDスポット。
西新宿五丁目中央南地区。
 かつて老朽化した木造住宅が密集していた西新宿五丁目中央南地区に、令和6年11月に新たな建物と広場が完成しました。江戸時代にこの地にじゅうにそうの大滝という滝があったことから、建物の内部や周囲には昔の水景の名残を残しており、老若男女誰もが心地よく快適に過ごすことができる、みどり豊かな空間が広がっています。一方で、災害時には避難スペースとして機能し、炊き出しや消火活動等を行うこともできるようになり、地域の防災性が向上しました。
 ニュース第15号では、西新宿五丁目中央南地区のユニバーサルデザインに関する取組や想いについてご紹介します。

2ページ目、3ページ目。
グッドなUDポイント。段差のない建物周り。
 建物の周りを一周する空間は、周囲の歩道から段差無くアクセスすることができます。また、幅員4mの歩道状空地があり、ゆるやかな勾配のため、車いすの方も利用しやすい道となっています。
歩道状空地とは、道を歩く人のための空地で、だれもが使うことができます。
写真1枚目。広場1号。段差のないフラットな道。
写真2枚目。歩道状空地。道幅が広くみどりのある歩行空間
写真3枚目。広場2号。区画道路1号とつながりのある空間。
写真4枚目。広場3号。貫通通路と壁面緑化の様子。
貫通通路とは、敷地を通り抜ける道路で、だれもが使うことができます。

利用者コメント。
 自宅までの帰り道として利用しています。たくさんの木々があり、良いと思います。あたたかみのある色で幅が広い道は通行しやすいと感じました。(70代・男性)

グッドなUDポイント。色々なデザインの個性的なベンチ。
 各広場に設置されたベンチは、大きさや素材等が異なっており、それぞれに特徴があります。居心地の良い場所を見つけ、思い思いに過ごすことができます。
写真5枚目。広場2号にある背伸ばしベンチ。
写真6枚目。歩道状空地の植え込みに沿ったベンチ。
写真7枚目。広場3号にある、高さが選べる石のベンチ。
利用者コメント。
 犬の散歩でよく歩いています。利便性が向上したと感じており、今後どのように使われるようになるか楽しみです。(50代・男性)

グッドなUDポイント。日常に溶け込む防災機能。
 普段は広場として利用している場所に、災害時に活用できるマンホールトイレやかまどベンチがあるほか、消防水利、防災倉庫、一時滞在スペースとして機能するエントランスホールが面しているなど、防災性の高い地区となっています。
写真8枚目。植栽に設置されたかまどベンチ。
写真9枚目。ウッドデッキの下に整備されたマンホールトイレ。
写真10枚目。広場3号に面している消防団小屋と消防水利。
消防水利とは、消火活動に使う水を貯めておく施設です。
消防団小屋とは、消防団や消防車両を収容する場所です。

まちの歴史を残す。
かつてじゅうにそうの大滝があったことから滝をコンセプトとしたデザインとなっており、内部や周辺に水景が広がっています。以前にあった場所は貫通通路となり、近隣地区とのつながりを保ちつつ、回遊性を向上させています。
じゅうにそうの大滝とは、江戸時代に作られた神田上水じょすいぼりが、熊野神社の崖から落ちるところにできた滝です。

写真11枚目。エントランス付近の水盤。
写真12枚目。幅員が3mある貫通通路。

運営者インタビュー。
株式会社 熊谷組 設計本部設計第2部 高橋さん。
 かつての西新宿五丁目中央南地区は、木造住宅が密集しており、建物の老朽化や防災拠点が無いこと、オープンスペースやみどりが足りないことが課題となっており、平成4年から西新宿五丁目中央北、中央南地区の権利者がまちづくりに取り組んできました。安全に生活し、子育てできる環境をつくることを目的としており、現在は古い木造住宅から高層マンションへと居住空間を一転させたほか、保育所や店舗などが入る施設とうが整備されています。
 建物の周りは歩行空間が4m以上確保され、歩道状空地として整備されており、段差の無い歩きやすい空間となっています。
 また、新たに3つの広場が整備されました。広場1号には5つのマンホールトイレと3台のかまどベンチがあり、災害時に炊き出しを行うことも可能です。広場2号は隣接する公園と自由に行き来できる空間となっており、健康増進器具を兼ねた背伸ばしベンチがあります。また、広場3号に面する住宅とう内には消防団小屋があり、地下には40トンの消防水利が設置されています。各広場に設置されたベンチの形や高さには様々なバリエーションがあり、訪れる人が思い思いの好きな場所に座れるようになっています。
 敷地の中心部には、広場1号から広場3号に抜ける貫通通路があり、回遊性も向上しました。また、近隣地区と樹種を揃え、中央公園と神田川をつなぐ「みどりの散歩道」を形成し、人々の憩いの場となっています。さらに、住宅とうのエントランスホールは一時滞在施設となっており、災害時には帰宅困難者の受け入れが可能です。このように、西新宿五丁目中央南地区は、防災拠点と日常的な憩いの場を兼ね備えた空間を創出しています。
 今回、設計するにあたって、「ユニバーサルデザイン」の難しさを実感しました。「様々な人が使いやすいもの」を目指していても、「様々な人」の中には身体、知的、精神障害がある方、高齢者、子ども、妊婦さんなど様々な特徴がある方がおり、誰かに特化して使いやすい形にすると、ほかの誰かにとっては使いづらくなってしまうことがあります。そういった中で、誰もが使いやすいデザインとは何なのか、まだ手探り中ではあります。しかし、今後も考えを深め、デザインを試行錯誤しながら、より誰もが使いやすい場所を設計していきます。

4ページ目。
コラム、題名: 歴史から学ぶ その3「国際シンボルマークとその普及」

日本女子大学、建築デザイン学部、建築デザインがっか、助教。植田 みずよさん。

建築物や駐車スペースなどでよく目にするマークの意味をご存知でしょうか。
車椅子のマークなので車椅子使用者のためだけのものに思われますが、正式名称は「国際シンボルマーク(International Symbol of Access)」といって、全ての障害のある人が利用できる建築物や施設であることを示しています。
1960年代、建物へのアクセスを求めた運動がヨーロッパと北米に広がり、市民権の考え方として建築物についてより配慮が求められるようになりました。そのため、各国でさまざまなシンボルが急増し、象徴的なものから説明的なもの、目的地へのアクセス可能なルートに人々を案内することを目的としたもの、バリアフリー施設や設備に標識を付けることを目的としたものもありました。多様なシンボルが出始め、混乱も見られたため、国際リハビリテーション協会は、統一されたシンボルの開発に動き出しました。その結果、1969年にアイルランド・ダブリン市で開催された国際リハビリテーション協会の総会で、正式に現在のマークが採択され、世界共通のマークとして普及しました。
このマークの基礎となったデザインは、1968 年に、デンマークの学生スザンヌ・コーフォード氏によってデザインされました。もともとは象徴化された車椅子が表現され「あたま」を表す丸の部分がなかったそうです。公表前に改変が加えられ、丸がつくことで「ひと」を表現し、その後の障害者の権利運動の象徴にも用いられるなど飛躍的な使われ方をしていきました。一方、このマークの主旨は、障害者の利用を考慮した建物・施設を示す国際シンボルマークであり、少なくとも「建築物へのアプローチに支障がないこと」、「入口が利用できること」、「施設が利用できること」が条件となります。
このマークの主旨を改めて理解し、建築物やまちがすべての人にとって利用しやすい空間となるとよいですね。
写真。国際シンボルマーク

新宿区からのお知らせ。
新宿区UDまちづくり条例施設整備マニュアルの改定を進めるため、令和6年8月19日に第8回新宿区UDまちづくり条例施設整備マニュアル改定検討部会を設置しました。
詳しくは、新宿区ホームページをご確認ください。

お問合せ先。新宿区、景観まちづくり課

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