(音声読み上げ用)UDまちづくりニュースレター第13号

最終更新日:2024年6月28日

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新宿区UDまちづくりニュースレター

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新宿区
ユニバーサルデザイン
まちづくり
ニュースレター

第13号。
2024年6月。

ユニバーサルデザイン。
UDとは?

 年齢・性別・国籍・コジン、の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、生活環境その他の環境をつくり上げていく考え方です。
 新宿区には、多くの外国人をはじめ、様々な人々が生活しています。区では、移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいまちを目指して、令和2年3月に新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定しました。

このニュースレターでは、新宿区の取組や、UDスポットの紹介、利用者の声などをお伝えしていきます。

UDスポット。
都立明治公園。

「スパイラルアップ」という言葉を知っていますか。多様な関係者が議論しながら、常に新しい解決策の検討を行い、実際に反映するという流れを繰り返し続けることで、常に前の段階よりも良い状態をつくっていくという考え方です。今回紹介する「都立明治公園」では、実際にこの考え方を取り入れた公園づくりを目指しています。2023年10月に、東京都初のPark-PFIを活用した公園としてオープンしたこの場所は、豊かな自然の中でのんびりとくつろぐ人、イベントに参加する人、遊具で遊ぶ人、ショッピングや飲食を楽しむ人でにぎわっています。
  多様性を大切にし、よりよい場所にするための工夫を重ねる都立明治公園とは、いったいどんな施設なのでしょうか。一緒に探ってみましょう。

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UD探検隊が行く!。
新宿UDまちづくりスポット。

都立明治公園。

グッドなUDポイント。様々な楽しみかたができる3つの広場。
 た世代の交流の場となる「希望の広場」、子どもも安心して遊ぶことができる「インクルーシブ広場」、ゆったりと座って花々とすいけいを楽しめる「みち広場」など、自分に合った場所を見つけて過ごすことができます。

写真1枚目。渋谷川のすいけいをイメージしたみち広場。

写真2枚目。多様なイベントにも耐えられる耐圧仕様の天然芝がある希望の広場。

写真3枚目。可動式の遊具が設置されているインクルーシブ広場。

利用者コメント。
 天気が良い日はよく利用しています。解放感があって心地よく、過ごしやすいです。今後は子どもをはじめとした多様な人が楽しめるイベントが開催されることを期待しています。(40代・男性)

グッドなUDポイント。柔軟な対応ができる可動式の遊具。
 全て可動式のインクルーシブ遊具であるため、老朽化したときやニーズが変化したときなど、時代の流れに合わせて変えていくことができます。

写真4枚目。インクルーシブ広場の周囲にある、滑って遊んだり座ったりできる傾斜。
利用者コメント。
家が近いので毎日利用しています。子どもが安心して遊べる場所のほか、犬が散歩できる場所やペットOKのカフェがあり、子どもやペットに優しい公園だと感じています。(20代・女性・親子2人組)

グッドなUDポイント。多様な人に配慮された設備。
 オールジェンダートイレや多機能トイレ、点字付きの案内ばんや、た言語対応可能なデジタルサイネージの案内図など、多様な人が快適に利用できる工夫が各所に施されています。

写真5枚目。公園内のインクルーシブルートを点字と凹凸で表した案内ばん。

写真6枚目。必要に応じて臨機応変に表示内容を変更できるデジタルサイネージ。

写真7枚目。オールジェンダートイレのピクトグラム。

写真8枚目。男女それぞれのトイレとオールジェンダートイレがある管理事務所。

写真9枚目。車いす使用者対応トイレのピクトグラム。

利用者コメント。
 ウォーキング会の下見で訪れました。トイレが使いやすく、座れる場所や緑の多い、とても癒される空間です。木々が成長し、暑い日でも快適に過ごせるようになる数年ごを楽しみにしています。(70代・女性4人組)


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グッドなUDポイント。。周囲との境界が無く、アクセスしやすいでいりぐち。
 公園に複数あるでいりぐちは、隣接する敷地と自然につながり、周りの施設や道路からアクセスしやすくなっています。高低差のある公園内は、車いすでも利用できるゆるやかな傾斜の道でつながっています。
写真9枚目。100年ごを目指して成長中の木々や、回遊できるゆるやかな傾斜の道がある「誇りの杜」。
写真10枚目、11枚目、12枚目。隣接する敷地と自然につながるでいりぐち。写真提供、Tokyo Legacy Parks株式会社。
写真13枚目。杜の中を散策できる通路。
利用者コメント。
 以前からこの場所を知っており、テレビ番組で「誇りの杜」の木を植えているところを観ていました。都立明治公園になってから初めて来ましたが、緑が多く、見晴らしがよくて良い所だと思います。(60代・男性)


運営者インタビュー。
東京建物株式会社。新規事業開発部。 黒田さん、松村さん。
日本工営都市空間株式会社。都市整備部。吉成さん。
 都立明治公園は、2023年10月に、Park-PFIを取り入れた初の都立公園として開園しました。より多くの人に公園で遊具で遊ぶ以外のことも楽しんでもらえるよう、カフェやアウトドアショップ、スパなど様々な民間施設を導入しており、場所や時間ごとに日々多様な人々が訪れるパブリック空間となっています。
 都立明治公園では、公園によって都市をシームレスにつなぎたいという思いのもと、隣の敷地と公園が自然につながるように整備しています。そのため、この公園に訪れた際には「いつのまにか公園に入っていて、いつのまにかまちに戻っていた」という感覚になります。また、「みち広場」では、通常は境界としてさくや植え込みを設置する場所に、すいけいやガーデンを設けることで、にぎわいや憩いの場になるよう整備しました。さらに、公園内にある8.5メートルの高低差の解消については、しぜんに、誰もが利用でき、そしてまちの回遊性につながるよう、「誇りの杜」の中を大きくうねらせた緩やかなスロープでつなぎ、でいり口を複数箇所設ける等の工夫を施しました。
  近年、固定式のインクルーシブ遊具をよく見かけるようになりましたが、私達は「インクルーシブ」の重要なポイントは「時代の流れに柔軟に対応できるもの」だと考えています。そのため、「インクルーシブ広場」の遊具は全て可動式となっており、広場の用途に合わせた取り外しや、利用者のニーズに沿った新たな遊具との入れ替え等、柔軟な対応をすることが可能です。
 また、公園内には5本のスマートポール(じんりゅう計測システム)が設置されており、常に利用者の属性や人数等の情報収集をおこなっています。今後は収集したデータをもとに公園の運営について改善をおこなっていきます。
この公園は施設が完成して終わりではありません。これからが公園としての始まりであり、利用者の声にどれだけ対応できるかが大切だと考えています。私たちはPark-PFIで企画から維持管理まで一つのチームでおこなっているからこそ、様々な事柄への柔軟な対応が可能です。今後も「この公園はまたここが変わったぞ」と思ってもらえるよう、「スパイラルアップ」の考え方のもと、改善を重ねてより多くの人にとって利用しやすい公園づくりを進めていきます。

Park-PFIとは、飲食店、売店等の公園利用者の利便性を向上させる施設の設置と、そこから生じる収益を活用して公園利用者が利用できる公園施設の整備・改修当を行う者を応募で選定する「公募設置管理制度」のこと。
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コラムタイトル。歴史から学ぶ「バリアフリーデザイン」 という言葉の始まりは?

日本女子大学、建築デザイン学部、建築デザイン学科、じょきょう。植田みずよさん。

「ユニバーサルデザイン」や「バリアフリーデザイン」、近年では新たに「インクルーシブデザイン」という言葉を耳にするようになりました。
令和4年内閣府の調査1)では、「バリアフリー」という言葉の認知度は96.4%、同様に「ユニバーサルデザイン」という言葉の認知度は60.6%でした。
さて、多くの人に知られるようになった「バリアフリー」という言葉は、いったい、いつどのようにして生まれたのでしょうか。
今から65年以上前、国連欧州会議にて「建築的障壁(Architectural Barriers)が障害者の行動を大きく阻害している」という共通認識がなされました。とき同じくして、アメリカ基準協会内に当事者団体を含むチームを発足し、研究が始められたといわれています。その中心人物がイリノイ大学リハビリテーション教育研究所長のTimothy J Nugent教授です。
その研究をまとめて1961年に発表されたのが「American Standard Specifications for Making Buildings and Facilities Accessible to, and Usable by, the Physically Handicapped」(身体障害者が建物や施設を利用しやすくするための米国標準しようしょ)になります(写真1)。そこには、車椅子使用者が利用できる「スロープの勾配」や「出入り口の幅」等の基準が記載してあり、これらの基準は、世界各国に大きな影響を与えました。
そのご、1974年に国連障害者生活環境専門家会議が各国の10年間のとり組みをとりまとめ、刊行したパンフレットのタイトルが「Barrier Free Design」です。日本では1990年ころからようやく法制度が整い「バリアフリーデザイン」という言葉が広がっていきました。
現在では、「バリアフリーデザイン」とは物理面だけではなく、社会的、制度的、心理的、情報面での障壁などをとり払い、さまざまな障害者や高齢者、子ども連れや妊婦等が不便なく生活することができるようにするという考え方として周知されています。
長い歴史の中で「バリアフリーデザイン」は「ユニバーサルデザイン」へと受け継がれていきますが、元々は、ひとりひとりがふつうの暮らしをしたいという願い(ノーマライゼーションの理念)が根幹にあり、そのために必要な環境の整備は私たち一人一人がつくり、繋げていくものです。新宿区UDまちづくりニュースレターVol.6(2022)でお伝えしたように、「障害」は個人の問題とするのではなく、「環境」によってもたらされることがあることを忘れないでほしいと思います。私たちが住むまちが、誰もが共に住みやすいまちになるようにできることから始めましょう。

写真1。身体障碍者が建物や施設を利用しやすくするための米国標準仕様書。
参考文献:野村かん:「バリアフリーの足跡」日本生活支援工学会誌Vol.3 No.2,2004
1) 内閣府「令和4年度バリアフリー・ユニバーサルデザインに関する意識調査報告書」,2023


新宿区からのお知らせ。
ニュースレターのバックナンバーをぜひご覧ください。
創刊号から第8号までの、これまでのUDまちづくりニュースレターは、新宿区のホームページからPDFファイルで閲覧できます。新宿区内の公園や広場などの紹介のほか、UDについてのコラムも掲載しています。
詳しくは、2次元バーコードにより、新宿区ホームページをご確認ください。

新宿区ユニバーサルデザインまちづくりニュースレター、第13号、令和6年6月発行。
お問い合わせ先、新宿区、景観・まちづくり課。
電話番号、03-5273-3843。

取材、編集は、株式会社、ぼんまちつくり研究所。

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