(音声読み上げ用)UDまちづくりニュースレター第12号

最終更新日:2024年3月6日

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新宿区UDまちづくりニュースレター

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新宿区
ユニバーサルデザイン
まちづくり
ニュースレター

第12号。
2024年3月。

ユニバーサルデザイン。
UDとは?

 年齢・性別・国籍・コジン、の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、生活環境その他の環境をつくり上げていく考え方です。
 新宿区には、多くの外国人をはじめ、様々な人々が生活しています。区では、移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいまちを目指して、令和2年3月に新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定しました。

このニュースレターでは、新宿区の取組や、UDスポットの紹介、利用者の声などをお伝えしていきます。

UDスポット。
早稲田アリーナ。

 早稲田大学戸山キャンパスの正門を通り、右手にあるつづら折りのスロープをのぼると、「戸山の丘」が現れます。武蔵野の雑木ばやしらしさを感じる自然豊かなこの空間は、休日も開放されており、人々のくつろぎの場となっています。そして、その地下部分にあるのがメインアリーナです。平成30年11月に記念会堂から生まれ変わったこの早稲田アリーナには、からだの不自由な人も、LGBTQプラスの人も、様々な国籍の人も、安心して利用できるような工夫が施されています。
 今回は、そんな早稲田アリーナのユニバーサルデザインに関する取組について、一緒に探っていきましょう。

2ページ目、3ページ目。
グッドなUDポイント。自然を感じるフリーアクセスな空間。
 「戸山の丘」を中心に広がる自然豊かな空間は、学生の憩いの場であり、知的創造性の向上や交流・活動のきっかけとなっています。
写真1枚目。屋外で自然を眺められる椅子とテーブル
写真2枚目。戸山の丘。
写真2枚目、3枚目、4枚目。人数や気分に合わせて選べる様々な形のベンチ。
写真5枚目。ラーニングコモンズ。
写真6枚目。早稲田スポーツミュージアム。

グッドなUDポイント。だれでもどこにでも移動しやすい動線。
 敷地内の高低差による移動のしづらさを解消するため、エレベーターや緩やかなスロープが各所に設置されています。
写真7枚目。37号館から36号館につながるスロープ。
写真8枚目。施設全体の断面図。早稲田大学提供。
写真9枚目。スロープになっている通路。
写真10枚目。戸山の丘に続く緩やかなスロープ。
写真11枚目。エレベーターがあり、車いすや松葉づえでも上下の移動がしやすい。
学生コメント。
上のかいにも隣の建物にも移動しやすく、部室、競技スポーツセンター、学生会館など用事のある場所にすぐに行けます。スロープを伝えば、階段を使わずに別棟の図書館にたどり着くこともできます。
また、窓際で自然を感じながらオンラインミーティングをしたり、天気が良い日には戸山の丘でお昼寝をしたりと、いちにち過ごすことができます。(Iさん)

グッドなUDポイント。多様な人々への配慮が行き届いた設備。
 からだの不自由な方、LGBTQプラスの方、様々な国籍の方も使いやすい工夫が施設内の様々な箇所に施されています。
写真12枚目。メインアリーナ。早稲田大学提供。
写真13枚目。車いす専用の客席スペース。
写真14枚目。だれでも更衣室のピクトグラム。
写真15枚目。だれでも更衣室。性別に関わらず利用できる。個室や車いすで届く高さのロッカーがある。
写真16枚目。車いすの高さに合わせた冷水器。
写真17枚目。だれでもトイレのピクトグラム。
写真18枚目。だれでもトイレ。手すり、オムツ交換台、オストメイト用の流しなどがある。
利用者コメント。
部活でほぼ毎日利用しています。エレベーターやスロープが多く、キャンパス内のどこにでも簡単に移動でき、また、低い位置にある冷水器や、「だれでもトイレ」「だれでも更衣室」等の整備が整っていることから、部活でけがをして突然松葉づえや車いすを使うことになった部員からも、利用しやすかったという声を聞きました。(Kさん)


運営者インタビュー。
早稲田大学。キャンパス企画部。北野さん。中里さん。
早稲田大学ダイバーシティー推進室。藤田さん。かど村さん。
 早稲田アリーナ(早稲田大学37号館)は、入学式や卒業式などの会場として利用されていた記念会堂の老朽化に伴い建替えられました。早稲田大学は以前から、大学はまちの一部としてまち全体を豊かな空間にする場所であるべきと考えていたものの、キャンパス内の空地の少なさ、敷地内の移動のしづらさといった課題を抱えていました。
 そこで、それらの解決策として、メインアリーナのグラウンドレベルを下げ、その上に「戸山の丘」と名付けた広場を設けるとともに、周りにある既存の建物とつながる通路を設けました。それによって、敷地内に、人々が集まり、くつろぐことができる緑化された空間が生まれ、建物間の移動もスムーズになりました。さらに、だれでも見学できるよう配慮されたスポーツミュージアムや、学生が日常的に使えるラーニングコモンズ、多目的運動施設が作られ、より機能が充実したキャンパスになりました。施設内には、スロープや点字ブロック、車いす専用のスペースや、「だれでもトイレ」等を設けており、だれもがどこにでも行けるようになったと感じています。
 さらに、早稲田大学ダイバーシティー推進室では、施設内のどこにどのような設備があるのかがひとめでわかる「UDマップ」の作成や環境整備をはじめとした、ダイバーシティーに関する取組を進めています。教員や学生等様々な人からの要望が寄せられる度に、一人ひとりの意見を聞きつつ、現地の視察等を通して検討することで、より多くの人にとって利用しやすい場所となるよう心掛けています。また、大学として誰でも働きやすい環境を目指した取組を行っていることなどから、PRIDE指標で2年連続ゴールド評価を得たほか、くるみん認定を受けるなど、外部から高い評価を得ています。
 早稲田アリーナは今後も、利用者の使い方や要望に応じて変化していきます。これからもここが様々な人のコミュニケーションの場所、誰もが安心して過ごせる空間であり続けられるよう、今後もキャンパスづくりに取り組みます。

PRIDE指標とは、LGBTQプラスなどのセクシュアル・マイノリティーへの取組の評価指標。
くるみん認定とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証。


4ページ目。
コラム、題名:「シェアード・スペース 道路のユニバーサルデザイン」
東京大学、経済学研究科、特任研究員、にわ太一さん。
シェアード・スペースは、歩道と車道の段差をなくしてフラットにつなぐことで歩行者と車両が同じ路面を共有し、道路全体を歩行者が自由に往き来できるようにする公道設計の考え方です。歩行者を優先して安全性を考えながら、縁石ではなく、色や舗装方法で歩道と車道を区別し、標識、信号機なども最小限にして、空間を最大限に楽しむためのデザインにします。ひとが自由に移動できるようにすることで、場所の雰囲気を改善し、経済的活力の高い歩行スペースを創り出すことができます。歩道と車道を同じ平面上で共有するので、シェアード・スペース(共有空間)、あるいはシェアード・サーフェス(共有路面)と呼ばれます。
歩道と車道の間に物理的な境界がないと、歩道に車が入ってきて危ないと思うかも知れませんが、シェアード・スペースではドライバーの安全運転の意識が信頼されています。車両スペースをせまくし、視覚的に境界を認識できる路面デザインや、植栽などの効果的な配置によって、車の運転手は速度を落とし、歩道に入らないよう慎重な運転をすることが調査でわかっています。
しかし縁石がないことは、縁石で歩道と車道の境界を認識する視覚障害者にとっては問題です。彼らの不安をなくすためには、しっかりと境界を示す警告ブロックなど、安全が確保されていることが重要です。一方、ベビーカーや高齢者、車いすなど、移動に障害がある人は、歩行や横断が容易になります。
歩行者は、よりダイナミックに歩きまわれるので、自由に往来し、立ち止まったり、おしゃべりしたりできる環境が生まれます。社会的交流が促進され、公共空間としての多様な機能が促進されます。
公道の設計には、法律による様々な基準や規制があるため、実現するのは困難です。それでも道路空間をまちづくりに活かそうという試みはひろがりつつあります。
車社会の都市から人中心のまちへ、住民も参画した民主的なプロセスを通して、多様な人がアクセスしやすく、楽しむことのできる歩行環境をつくることも、インクルーシブなまちづくりの重要な要素です。



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お問合せ先。新宿区、景観まちづくり課

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