(音声読み上げ用)UDまちづくりニュースレター第6号

最終更新日:2022年9月30日

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新宿区UDまちづくりニュースレター

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新宿区
ユニバーサルデザイン
まちづくり
ニュースレター

第6号
2022年9月

ユニバーサルデザイン
UD。とは?

年齢・性別・国籍・コジン、の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、生活環境その他の環境をつくり上げていく考え方です。
新宿区には、多くの外国人をはじめ、様々な人々が生活しています。区では、移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいまちを目指して、令和2年3月に新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定しました。

このニュースレターでは、新宿区の取組や、UDスポットの紹介、利用者の声などをお伝えしていきます。

UDスポット。
京王プラザホテル。

京王プラザホテルの「プラザ」は、スペイン語で「広場」という意味です。この名前には、開業当時からの「老若男女が集い、自由に過ごせる広場のような場にしたい」という思いが込められています。この「プラザ思想」は開業から五十年以上経った現在まで受け継がれ、ユニバーサルルームや補助けん用トイレの設置のほか「心のバリアフリー」の推進など、業界に先駆けた取組につながり、ハード・ソフトの両面で利用しやすいホテルとしてさまざまなお客様に広く利用されています。
ニュース6号では、京王プラザホテルのユニバーサルデザインに対する取組や思いについてご紹介します。

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UD探検隊が行く!。
新宿UDまちづくりスポット。

京王プラザホテル。

京王プラザホテルの探検。

グッドなUDポイント。アジャスタブルなユニバーサルルーム。利用者に合わせて部屋の設備を調節することで、誰にとっても利用しやすい部屋にできます。室内は車椅子でも移動しやすい広々とした空間で、誰もがゆったりと快適な時間を過ごすことができます。

写真1枚目。ユニバーサルルームの室内の写真。モニターの表示、照明の点滅、クッションの振動。聴覚障害者に対していろいろな方法で来客やデバイスの着信をお知らせ。枕元のボタンでカーテンを自動で開閉できる。電動椅子で立ち上がりを補助。

写真2枚目。ユニバーサルルームがある、ホテル30階の廊下の写真。視力が低下した人にも、廊下の端と中央がわかりやすく、歩きやすいデザインの絨毯。

イラスト1枚目。シグナルエイド。視覚障害者向け小型電波送受信機に対応する室内装置により、客室の方向などを音声で案内。

写真3枚目。視覚障害者が触って確認する際も、温度が冷たく感じない客室案内。

写真4枚目。車椅子もはいれる広々としたバスルーム。

イラスト2枚目。バスアメニティ。容器に巻いた輪ゴムの本数でボディーソープ、シャンプー、コンディショナーを区別できる。

写真5枚目。補助けん用のボウルやマットも貸出可能。

写真6枚目。握力が弱い人でも、あけしめしやすいドアノブ。

写真7枚目。車いすユーザーでも利用しやすい高さのミニバー。

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グッドなUDポイント。
UD推進の仕組み、バーズアイ。社員有志が参加する部門横断プロジェクト、バーズアイでは、バリアフリーやユニバーサルデザインに関する活動を進めています。体験イベントやチャリティーバザーなど、さまざまな活動に取り組んでいます。

写真。バーズアイが過去に実施したイベントなどの写真。

運営者インタビュー
京王プラザホテル、営業戦略室企画広報、支配人、杉浦さん。
京王プラザホテルのユニバーサルデザインに関する取組は、1988年にリハビリテーション世界会議の会場となったことがきっかけで始まりました。その会議に参加される車椅子ユーザーの方々のために、入口の幅を広くしたり,室内にスロープを設けたりした客室を15 室設置しました。そのご、「もっとさまざまな障害に配慮できるようになりたい」というスタッフの声もあり、視覚・聴覚障害者に向けた配慮など、ハード・ソフト共に取組を強化してきました。2002 年に誕生したユニバーサルルームは、障害の有無や程度に関わらず、全ての人にとって利用しやすい部屋を目指して作られました。「アジャスタブル(調整できる)」、「アダプタブル(適応できる)」をコンセプトとしており、手すりや機器などをご要望に応じて設置することで、お客様一人一人に合ったお部屋に調節することができます。このような障害者専用ルームではない“ユニバーサルルーム”は、ホテル業界では初めての試みであり、多くの方々からご好評を頂きました。
2018年には、改修を経て新たなユニバーサルルームが誕生しました。設計の際には、高齢者体験キットを関係者に体験してもらうことで、当事者の視点を共有しました。以前のユニバーサルルームで好評だった、部屋の機能の調整が可能という特徴は踏襲しつつ、今までユニバーサルルームを利用されたお客様の声や専門家の知見、ホテルスタッフの接客経験にもとづく意見なども反映して、さらに使いやすく快適なお部屋を目指しました。その際大切にしたことは、ホテルらしさです。あらゆるかたにホテルという非日常空間で過ごす特別な時間を楽しんでもらえるよう、機能的でありながら、より優雅で洗練された空間を作り上げました。
京王プラザホテルには、国内外からさまざまなお客様がいらっしゃいます。宿泊だけでなく、会議や学会、ウエディング、レストランでの食事など、ホテルを訪れるかたの目的は多種多様です。そして、年齢、障害の有無、言葉や文化の違いなど、お客様の事情やバリアは一人一人異なり、それら全てに完璧に対応できる設備を整えることは非常に難しいです。そのため、私たちスタッフは、お客様一人一人に必要に応じてお声がけし、それぞれのバリアを取り除く、「心のバリアフリー」を重視しています。社員研修では、ユニバーサルマナー検定の受講や、サービス介助士の資格取得などを推進するほか、お客様へのお声がけの大切さなどを伝えています。また、有志の社員による部門横断プロジェクト「バーズアイ」では、さまざまな活動を通じてバリアフリーやユニバーサルデザインについて啓発しています。開業当時からの、「老若男女が自由な時間を過ごせる広場(=プラザ)でありたい」という「プラザ思想」を受け継ぎ、あらゆるかたが快適に過ごせるホテルのあり方を今後も追及していきます。

写真、ホテル3階メインロビー。
 
補助けん専用トイレ。
2007年、ホテル南館ロビーの外側に補助けん用トイレが設置されました。「外出先で補助けんが安心して排泄できる場所がほしい」という利用者の要望にこたえた、ホテル業界では初めての試みです。丈夫な木材と犬の足に優しい人工芝を使用し、車椅子ユーザーでも片づけやすい高さの段も設置されています。

写真、補助けん用トイレ

図、補助けんマーク

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UDまちづくり、まめちしき。
今回のコラムは、UDに詳しい専門家のかたからご寄稿いただきました。
コラムタイトル、ひとりひとりに合った心地よい空間づくりを目指して
 
日本女子大学、家政学部、住居学科、じょ教。
一級建築士・福祉じゅう環境コーディネーター1級。
植田みずよさん
 
住み慣れた地域に安心して住み続けることができるよう、また、障害のある子供も障害のない子供も共に学び、共に遊び、共に育つよう、インクルーシブな環境づくりが重要です。
今回ご紹介したいのは、そもそも「障害」とは何かについてです。かつて世界保健機関(WHO)は「障害」を3つに分類し、定義していました。例えば、病気のために手や足が麻痺するといった医学的な「機能障害」、手や足が動かせないために歩くことができないといった「能力障害」、さらに歩くことができないために仕事や学校に行けないなどといった「社会的不利」といった考え方です。この考え方は、「障害」があるために何かができないといったマイナスにとらえられ、一方通行に理解されてきました。そこで、整理し改訂されたのが、国際生活機能分類(ICF)という考え方です。人が生きていくうえでの困難さや困りごとは、いろいろな要素が複雑に絡み合っていて、例えば、仕事や学校に行くために歩くことができなければ車椅子を使えばよいですし、階段を上ることができなければエレベーターを使うこともできます。まちや建物などの周りの環境をととのえることで、困難さや困りごとを解消していくことが可能です。その他にも、健康状態や個人因子も、ひとの心やからだの働き、生活に必要な食事や入浴などの活動、趣味や仕事などへの参加といった生活機能に、影響を与え合っていると言えます。
インクルーシブな環境づくり・まちづくりを考えるうえで、「障害」は個人の問題とするのではなく、環境によってもたらされることがあることを十分に理解する必要があります。一方で、多種多様な困りごとや困難さをなくすために、まちや建物といった公共の空間を一人一人に合わせて構成していくことは、とても難しいことです。様々な人が暮らす街だからこそ、多様性に配慮し選択肢を増やし、その子・その人・その時に合った環境を選択できるという考え方が、これからのまちづくりには大切ではないでしょうか。写真は、ドイツの街並みを映した何気ないひとコマですが、ちょうど車椅子を使用した人たちが楽しそうに食事をしていました。店先に並べてあった机やいすは高さも形も様々で、自分に合った机を選んで、好きな位置に座ることができるって、あたりまえのことですが素敵ですね。

参考。ICF 国際生活機能分類―国際障害分類改定版、中央法規出版、2002、8

図。国際生活機能分類(ICF)の概念図。

写真。ドイツの街並みと車椅子ユーザー。

新宿区からのお知らせ。

都立新宿山吹高校の高校生に、UDまちづくりについての授業を行いました。
昨年度からUDまちづくりニュースレターの作成にご協力いただいている、都立新宿山吹高校の高校生に向けて、授業を行いました。
今回の授業では、新宿区UDまちづくり事前協議アドバイザーの岡村正昭相談員に、UDの考え方について簡単なワークショップをまじえながらわかりやすく教えていただきました。

新宿区ユニバーサルデザインまちづくりニュースレター、第6号、令和4年9月発行。
お問い合わせ先、新宿区景観・まちづくり課。
電話番号、03-5273-3843。

取材、編集は、株式会社、ぼんまちつくり研究所。
 

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