(音声読み上げ用)UDまちづくりニュースレター第5号

最終更新日:2022年6月30日

このページは、「音声読み上げ用」に作成しています。そのため、PDF版のニュースレターとは、文章の表示や表現などが異なっている部分があります。

新宿区UDまちづくりニュースレター

1ページ目

新宿区
ユニバーサルデザイン
まちづくり
ニュースレター

第5号。
2022年6月。

ユニバーサルデザイン。
UD。とは?

年齢・性別・国籍・コジン、の能力等にかかわらず、できるだけ多くの人が利用できるよう、生活環境その他の環境をつくり上げていく考え方です。
新宿区には、多くの外国人をはじめ、様々な人々が生活しています。区では、移動しやすく、利用しやすく、わかりやすいまちを目指して、令和2年3月に新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例を制定しました。

このニュースレターでは、新宿区の取組や、UDスポットの紹介、利用者の声などをお伝えしていきます。

UDスポット。
そんぽ美術館

世界的に有名な絵画であるゴッホの『ひまわり』の一つが、新宿にあることをご存知ですか?
そんぽ美術館は、損保ジャパン本社ビル42階から場所を移し、2020年7月に新しくオープンしました。出入口の前には、美術館のシンボルである『ひまわり』を忠実に再現したとうばん画が設置されており、誰でも触ってアートを体感することができます。館内は明るく広々としていて、誰にとっても使いやすく居心地の良い空間です。
そのほかにも、館内にはユニバーサルデザインの考えを反映したポイントがいくつもあります。第5号では、生まれ変わったそんぽ美術館のユニバーサルデザインについて取材しました。
 
───────────────────────────────────
2ページ目。

UD探検隊が行く!。
新宿UDまちづくりスポット。

そんぽ美術館

写真1枚目。展示室ないの、実物のひまわりの写真。
反射しにくいガラス。
カーペット敷きの床は、静かで滑りにくい。

グッドなUDポイント。
柔らかい床材。屋内展示室にはカーペットが敷かれ、静かで疲れにくく、雨の日にも滑りにくい配慮がされています。

写真2枚目。屋外の、とうばん画のひまわりの写真。
手でふれられる。
絵具の凹凸まで忠実に再現。

グッドなUDポイント。
見て、触れて、体感できるアート。
ゴッホのひまわりの展示には、反射しにくいガラスが使用され、小さい子どもや車いすユーザーも、鑑賞しやすい高さに設置されています。美術館の出入口前には、本物を忠実に再現したとうばん画が設置され、ふれることで絵具の厚みを体感できます。

利用者コメント。
30代、男性、ふたりぐみ。
最近配信で観た映画に、ひまわりが出てきたので、友人と一緒に本物を見に来ました。入口のとうばん画は凹凸があって、触ってみるとおもしろかったです。展示室では、絵を近くから見ることができて満足できました。

写真3枚目。美術館2階のショップと休憩スペース。
大きな窓から明るい光が差し込む。
ゆっくり休める広々スペース。

グッドなUDポイント。
まちとつながる休憩スペース。
展示室からおりてくると、木材をふんだんに使った開放感のある場所でのんびり過ごせます。チケットがなくても、外から自由に利用できます。

利用者コメント。
20代、女性。
インターネットで、今回の展覧会のことを知って、初めて来ました。展示室の入口が自動ドアで、動線がスムーズでした。この美術館全体も、きれいでいいなと思いました。

利用者コメント。
30代、女性。
友人にさそわれて初めて来たのですが、2階は窓が多くて明るいし、天井も高くて気持ちいいですね。有名なひまわりを実際に見れて良かったです。
 
 
───────────────────────────────────
3ページ目。
           
写真4枚目。美術館1階ロビー
開放的で、どこからでもみえる受付。
椅子やベンチがあってひと休みしやすい。

グッドなUDポイント。
外から良くみえる玄関ロビー。
明るく開放感のある空間に、椅子や腰かけがたくさん置かれていて、ひとやすみにも、入館準備にも、とても使いやすい場所となっています。

利用者コメント。
40代、女性、親子、ふたりぐみ。
インターネットで、今回の展覧会の情報を知りました。展示室は広々としていて見やすかったですが、各階の移動に階段を使いました。エレベーターの案内がわかりやすいといいなと思いました。

利用者コメント。
60代、女性。
もう、5回ほど、ここに来ています。オープン当初と比べると、より見やすく、より使いやすい美術館になってきていると感じています。これからも、今よりさらに、良くなっていくといいですね。

運営者インタビュー
そんぽ美術財団、事務局長、おおたさん。
そんぽ美術館は、損保ジャパン本社ビルの42階から、地上に新たに建設した建物へと場所を移し、2020年7月にオープンしました。その際、美術館の名前も「東郷青児記念損保ジャパン日本興亜美術館」という長い名前から、現在の「そんぽ美術館」というシンプルで覚えやすい名前に変更し、新たな一歩を踏み出しました。
もともとそんぽ美術館は、美人画で有名な画家の東郷青児から作品の提供をうけ、1976年に設立されました。そのため、新しい美術館の外観には東郷青児の絵を想起させる曲線を取り入れ、優美でスタイリッシュなデザインにしました。外観以外にも、ロゴやフラッグ装飾など随所に東郷青児の要素をちりばめています。
美術館の内部は居心地の良いゆとりのある空間となっています。1階のロビーと2階のショップ・休憩スペースには、曲線を描く大きな窓から明るい光が差し込みます。床や天井に木材を多く使った空間は、訪れた人に安らぎを与えてくれるので、展示を見終わった後の休憩にぴったりです。
保険会社である損保ジャパンが所有する美術館として、そんぽ美術館は安心・安全でバリアフリーな建物となるように設計されています。建物は頑丈で災害に強く、トイレやエレベーターなどの館内設備はユニバーサルデザインを意識して作られています。車椅子の貸出や、車椅子ユーザーのために駐車スペースの提供も実施しています。また、館内のエレベーターはゆとりのある作りなので、コロナかで密を避ける傾向にある現在のニーズとマッチしており、多くのかたからご好評をいただいています。来館者の方々からはアンケート等を通じてさまざまな意見や感想が寄せられており、それらを反映させてハード面・ソフト面ともによりよいものになるよう日々改善を図っています。
損保ジャパン本社ビルの42階に美術館があったころは、来館者は比較的高齢のかたが多かったように感じます。独立した美術館として地上に新規オープンすることで、来館のハードルが下がり、より幅広い層の方々が訪れることを想定していました。実際に、オープン後は若い世代や家族連れの方々の来館が増えました。SNSでの情報発信に力を入れていることも影響しているでしょうね。来館者全体としては女性が多いですが、若い男性が一人で来館されることも増えており、変化を感じています。
当かんはアジアで唯一、ゴッホの『ひまわり』を常設展示している美術館です。当かんの誇りである『ひまわり』が、この新宿という街にあることをもっと多くの人に知ってもらえるように、油絵具の厚みや筆の跡まで本物を忠実に再現したとうばん画を美術館の入口前に設置しました。『ひまわり』に実際にふれて、作品が持つ魅力や迫力を感じることができます。
そんぽ美術館は、新宿西口のアートランドマークとして、幅広い世代に美術や芸術を発信することを目標としています。そのために、新進作家への支援や、区内の小中学校への美術鑑賞体験の提供など、さまざまな取組みを積極的に実施しています。そんぽ美術館の存在をさらに多くのかたに知ってもらい、幅広い世代が気軽に訪れる美術館となることを目指して、今後も積極的に発信していきます。
 
 
───────────────────────────────────
4ページ目。

UDまちづくり、まめちしき。
今回のコラムは、UDに詳しい専門家のかたからご寄稿いただきました。
コラムタイトル、インクルーシブなユニバーサルデザインへ。
東京大学、経済学研究科、特任研究員、丹羽太一さん。

まちは、人間社会の基盤を支える社会的インフラストラクチャーです。経済学者宇沢弘文は、「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」を社会的共通資本と呼び、それらが果たしてきた社会的、経済的な役割を考えるとともに、その目的が達成され、持続的な経済発展が可能になるための制度的前提条件を考えました。
安定的かつ持続的な教育、医療・介護などの制度資本の充実と、まちのじゅう環境としての、社会的インフラストラクチャーの整備においては、社会的安定性、公正、平等という社会的基準をもとに考えた、ほうせつ的(インクルーシブ)なまちづくりが実現されなければなりません。
インクルーシブなまちづくりとは、ユニバーサルな、つまり多くの人が住みやすいことに加え、それでもバリアを感じている人がいるときに、より多様なひとりひとりの意見を聞きながら、デザインを進化させ、どんどんまちづくりに活かしていこう、というものです。
イギリスでは、障害者・高齢者などがさまざまな活動に参加しやすい地域づくりのために、実際にその人たちが参加する、インクルーシブな手法によるバリアフリー化を進める、ライフタイムネイバーフッズの考え方が進んでいます。ロンドンの地域づくりでは、それぞれの地域の特徴を反映し、魅力的なデザインにしながら、彼らの意見を聞いて建物や道路、公園などの施設や設備をわかりやすく、移動しやすいものにしています。
バリアフリー法改正に基づいて、区が策定する、移動等円滑化促進方針により、区全域が、移動等円滑化促進地区となった新宿でも、多様な人たちの地域での自立のために、それぞれがその能力に応じて、地域で社会的なあらゆる活動に参加できるよう、さまざまなひとが参加できる、インクルーシブなUDまちづくりの実践を通して、バリアフリー化をさらに具体化していかねばなりません。
これからも新宿区と一緒に、実際の利用者のことを理解して、より良い解決方法を実行していく「UDの考え方」をまちづくりに活用していきたいと思います。

参考。『宇沢弘文の経済学。社会的共通資本の論理』。宇沢弘文。日本経済新聞出版社。『社会的共通資本』。宇沢弘文。岩波書店。

写真。インクルーシブデザインで改修された。ロンドンのエキシビションロード

新宿区からのお知らせ。

ニュースレターのバックナンバーをぜひご覧ください。
創刊号から第4号までの、これまでのUDまちづくりニュースレターは、新宿区のホームページからPDFファイルで閲覧できます。新宿区内の公園や広場などの紹介のほか、UDについてのコラムも掲載しています。

詳しくは、2次元バーコードにより、新宿区ホームページをご確認ください。

新宿区ユニバーサルデザインまちづくりニュースレター、第5号、令和4年6月発行。
お問い合わせ先、新宿区景観・まちづくり課。
電話番号、03-5273-3843。

取材、編集は、株式会社、ぼんまちつくり研究所。
 
 
 
 

本ページに関するお問い合わせ

本ページに関するご意見をお聞かせください

本ページに関するアンケート
本ページの情報は役に立ちましたか?以下の選択肢であてはまるものにチェックを入れてください。
本ページは見つけやすかったですか?以下の選択肢であてはまるものにチェックを入れてください。

区政についてのご意見・ご質問は、ご意見フォームへ。