都区制度改革

最終更新日:2020年3月20日

 特別区は市町村と同じ地方自治法上の「基礎的な地方公共団体」に位置付けられていますが、事務分担や税財政制度が通常の市とは一部異なっています。
 例えば、特別区の区域内では、市が行う事務の一部(上水道、下水道、消防、都市計画決定に関する一部の事務)を東京都が行っています。また、地方税法の特例により市税の一部(市町村民税法人分、固定資産税、特別土地保有税)を都税として東京都が徴収し、このうち一定割合を特別区に配分する仕組み(都区財政調整制度)が設けられています。
 これらのように、現在の都区制度は、人口が高度に集中する大都市地域の一体性を重視した集権的な制度となっています。
 特別区では、これからの分権時代にふさわしい新たな都区制度の実現を目指し、自治権の拡充と自主性・自立性の強化に取り組んでいます。

都区制度改革のあゆみ

 現在の23区は昭和22年に発足しました。このとき多くの事務が東京都に留保されるなど、特別区の自治権はさまざまな制約を受けたものでした。さらに昭和27年には区長公選制の廃止のほか、区が都の内部団体に位置付けられるなど、特別区の自治権は大きく後退しました。
 しかし、その後の特別区の自治権拡充に向けた長年の努力により、昭和39年の地方自治法の改正(昭和40年施行)では都から特別区へ権限が大幅に移譲され、昭和49年の法改正(昭和50年施行)では区長公選制が復活し、さらに平成10年の法改正(平成12年施行)では特別区が「基礎的な地方公共団体」に位置付けられ、財政自主権の強化や清掃事業の移管が実現しました。
 このようにして特別区は都の内部団体の位置付けから脱却し、新たな都区制度のもとで区政運営を行うことができるようになりましたが、一方で、都区間の事務配分や財源配分をめぐる課題が依然として残っており、現在も都区のあり方に関する検討が続いています。

新たな都区のあり方等をめぐる動き

都区のあり方検討委員会

 平成12年施行の都区制度改革においても都区間の財源配分などをめぐる課題は積み残されたままとなりました。そこで、今後の都区のあり方について、(1)都区の事務配分、(2)特別区の区域のあり方、(3)税財政制度などを根本的かつ発展的に検討するため、平成18年11月、都区協議会のもとに「都区のあり方検討委員会」(委員は都側と区側を合わせて8名。会長は都副知事。)が設置されました。
 同委員会では平成19年1月から順次検討が進められています。

(1)都区の事務配分については、都から特別区への事務移管の検討対象とした444項目の方向付けは終了し、このうち53項目が「区へ移管する方向で検討する事務」として位置付けられました。
 なお、53項目のうち、児童相談所のあり方等の児童相談行政に関する検討については、都 区のあり方検討委員会とは切り離して検討を行うこととされました。
(2) 特別区の区域のあり方については引き続きの課題であり、「東京の自治のあり方研究会」(平成21年11月設置)において、都区だけでなく学識経験者や都内市町村も交えて将来の都制度や東京の自治のあり方に関する調査研究を行い、その結果を踏まえて必要に応じ議論することとされました。
(3)税財政制度については、具体的な議論を行う状況に至っておらず、今後の検討課題の議論の推移を踏まえて整理することとされました。

東京の自治のあり方研究会

 都区のあり方検討委員会の議論の中で、将来の都制度や東京の自治のあり方を明らかにしていくことが重要であり、学識経験者も含め、都と区市町村共同で調査研究することが必要であるとの認識が、都区双方から示されました。
 その後、平成21年2月に開催された第6回都区のあり方検討委員会において、「特別区の区域のあり方については、引き続きの課題とするが、当面、都区のあり方検討とは別に、将来の都制度や東京の自治のあり方について、学識経験者を交えた、都と区市町村共同の調査研究の場を設けることとし、その結果を待って必要に応じ議論する」こととされました。 
 これを受けて、平成21年11月、東京都、特別区長会、東京都市長会、東京都町村会の4団体共同による「東京の自治のあり方研究会」(座長・辻琢也一橋大学大学院教授)が設置されました。

 平成25年3月にとりまとめた中間報告(外部リンク)では、予測される東京の将来の姿として、「2100年までの東京の将来人口推計の結果、少子高齢化の急激な進展など、東京が将来、非常に厳しい環境下におかれること」を前提に、「都と区市町村の役割分担のあり方」「住民自治(自治の担い手)のあり方」「効率的・効果的な行財政運営のあり方」の3つの観点から、これまでの議論を整理しています。

 平成25年6月には、同研究会のもとに行政実務者を中心とした部会(部会長は東京都総務局行政部長)を設置し、さらなる検討が必要な事項等についての議論や、東京の自治をめぐる国の最新の動向等についての情報収集、調査研究が進められ、平成27年3月に最終報告(外部リンク)が出されました。
 最終報告では、人口動向を踏まえた地域ごとの将来の姿と課題を明らかにするとともに、中間報告であげられた3つの観点から、東京の自治のあり方の方向性が示されています。 今後は、この方向性を踏まえて、東京の自治のあり方について引き続き検討を行っていきます。

都区制度改革への区の取り組み

児童相談所のあり方等について

 都内における児童虐待死事件等の発生や、児童虐待相談対応件数の急増など、児童を取り巻く状況は非常に憂慮すべき事態となっています。
 そのため、平成23年12月の都区のあり方検討委員会において、児童相談行政については、都区のあり方検討委員会とは別の場を設け、優先的に検討する方針が出されました。
 これを受けて、平成24年2月に都区の実務者で構成する「児童相談所のあり方等児童相談行政に関する検討会」を設置し、児童相談所における都区間の連携や体制についての協議が進められています。
 また、児童相談所の都から区への移管に係る検討については、特別区としての受け入れ態勢や方向性について考え方の統一を図るため、平成26年3月に「特別区児童相談所事務移管モデル」をまとめ、特別区長会にて、23区が一致して取り組むこととしました。引き続き、区において児童相談所移管に向けての検討を行いながら、特別区が連携して都との協議を進めていきます。

※令和2年1月に開催された都区協議会において、児童相談所の運営に関する都区の連携・協力を一層円滑に進めていく観点から、都区財政調整交付金の特別区の配分割合を令和2年度から0.1%増やし、55.1%としています。
  また、今回の特例的な対応により変更した分も含め、令和4年度に、配分割合のあり方について、改めて協議することとしています。

※「区へ移管する方向で検討する事務」として整理された他の事務についても具体的な検討に入ることを特別区から東京都へ働きかけていますが、移管に向けた協議は実現していません。これらの事務についても移管に向けた具体的な協議を始めるよう引き続き働きかけていきます。

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新宿区 総合政策部-企画政策課
電話:03-5273-3502
ファクス番号:03-5272-5500

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