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区長就任にあたっての所信

最終更新日:2022年11月25日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

本日、第四回区議会定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、ごあいさつ申し上げます。

私は、去る11月13日の区長選挙におきまして、区民の皆様からのご支持をいただき、引き続き新宿区長としての職責を担うこととなりました。ここに、議会並びに区民の皆様にこれからの区政運営について私の所信の一端を申し上げます。

令和2年1月に新型コロナウイルス感染症の感染者が国内で初めて確認されてから、新たな変異株による感染拡大が繰り返され、いまだ感染の収束には至らず、現在は第8波を迎えたところだと言われています。

また、新型コロナの影響が続く中、ウクライナ情勢の長期化や、円安の影響などにより、原油価格や物価の高騰がおさまらず、区民生活や区内事業者の経営は、非常に厳しい状況にあります。

こうした中、厳しさを増す日々の生活や、先行きへの不安など、この度の選挙を通して、私は、多くの区民や事業者の皆様から、様々な声を聞き、改めて、区政に対する期待の大きさを強く感じました。区政を担う責任の重さを深く認識し、変化の激しい、先行き不透明な時代にあって区政に対する期待に的確に応えることが、私の使命であると決意を新たにしたところです。 


2 区政運営の基本認識

私は、この度の選挙において、『区民とともに新宿の未来を創る』と訴え、まず緊急に取り組むべき身近な新宿区の課題として、「物価高騰対策による区民生活・事業者の支援」と「コロナ禍からの地域活動の再起動と経済の活性化」を皆様にお示ししました。

物価高騰対策については、長引く物価高騰による区民生活や事業者負担等への影響を踏まえ、生活支援臨時給付金、ひとり親世帯支援特別給付金による区民生活の支援を行うとともに、商工業緊急資金(特例)や、公衆浴場運営費助成による事業者支援、社会福祉施設や子育て支援施設、指定管理者等への支援による区民サービスの水準の確保などに取り組んできました。
今回新たに、小学校1年生から中学校3年生までの児童・生徒を対象に、学用品等の費用を支給し家計への負担の軽減を図ってまいります。

今後も、新型コロナの影響や社会経済情勢の不透明な状況が続く中、景気動向を見極めるとともに、区民生活や事業者への支援、区の事業における区民サービスの水準の確保などに的確に取り組んでまいります。

次に、コロナ禍からの地域活動の再起動と経済の活性化についてです。
コロナ禍において、私たちの暮らしや、地域経済活動は大きな影響を受けてきました。一方で、デジタル化の急速な発展や、新たな日常への対応などの取組を着実に進めてきました。現在、新型コロナへの対応と社会経済活動の両立に向けた、新たな段階へと移行されつつあります。区においても、感染拡大に最大限の注意を払いつつ、地域の社会経済活動の本格的な正常化に向けて取組を強化していかなければなりません。
そのため、地域コミュニティ活動の再起動や、「ふれあいフェスタ」をはじめ、多くの区民が集うイベントの再開、国際観光都市・新宿としての魅力の発信など、魅力あふれる賑わい都市の創造に取り組んでまいります。
また、コロナ禍において影響を受けた地域経済活動の活性化を図るため、区内全中小企業を対象に総合的な支援を行う「中小企業経営力強化支援事業」を創設するとともに、プレミアム付き商品券事業を拡充し、商店街等の活性化を推進するなど、区内事業者や商店街の支援に取り組んでまいります。

そして、新宿の将来を見据え、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の実現に向けた取組と、これらを下支えする「健全な区財政の確立」・「好感度1番の区役所」とを合わせた「5つの基本政策」のより一層の推進を区民の皆様にお約束させていただきました。

私は、常に区民の視点、生活者の視点から区政の課題を捉え、皆様とともに区政運営にあたってまいりました。これからも、区民に最も身近な基礎自治体として、地域の実情に即した施策を展開し、区民生活の現場で起きている現実を受け止め、地域課題に的確に対応することで、誰もが住みたい、住み続けたいと思える、持続的に発展する新宿のまちの創造に向けて、今後4年間、全力で取り組んでまいります。


3 5つの基本政策

次に、私が掲げる「5つの基本政策」について具体的に申し上げます。
基本政策の第一「暮らしやすさ1番の新宿」では、区民の皆様が生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けて、誰もが気軽に健康づくりに取り組める施策を推進していきます。
コロナ禍において運動不足が課題となっている中、「しんじゅく健康ポイント」や「健康アクションポイント」の実施、ウォーキングイベントの再開など、区民の皆様が気軽に健康づくりに参加するきっかけを提供してまいります。
また、フレイル予防を一層推進するため、医療専門職チームを設置し、高齢者総合相談センターや医療機関など関係機関と連携しながら「高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施」に取り組んでまいります。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進に向けて、地域の高齢者の身近な相談窓口である高齢者総合相談センターを中心に、関係機関との連携を強化し、地域ネットワークの構築を進めるとともに、払方町国有地における認知症高齢者グループホーム等の整備を進め、介護保険サービスの基盤整備を着実に推進してまいります。
また、地域支え合い活動をさらに推進していくため、シニア活動館において、地域支え合い活動を展開していきます。
さらに、緊急通報システムの機能を拡充し、新たにICTを活用した見守りサービスを提供することで、単身高齢者や障害者の見守り体制の強化を図ってまいります。
そのほか、高齢者などが発症しやすい帯状疱疹の予防に向けて、新たに帯状疱疹ワクチン接種費用の助成に向け準備を進めてまいります。

障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備に向けては、生活介護事業の定員拡充を図るほか、中落合一丁目区有地における障害者グループホームにおいて、事業者からの提案を受け、利用する障害者だけでなく、地域の方々が集い、共に交流できる場として整備を進めてまいります。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
新型コロナが流行する中で、区内の出生数は減少傾向にあります。新型コロナが子育て世代に与える影響を注視し、安心して妊娠・出産、子育てができる環境整備に取り組んでいかなければなりません。
そのため、妊娠を望む夫婦が気軽に産婦人科医の相談を受けることができるよう支援を強化するとともに、産後ケア事業を拡充し、ショートステイ型に加えて、新たにデイサービス型とアウトリーチ型を導入してまいります。
また、保育所待機児童数ゼロを維持するとともに、保護者が就労している児童が増加傾向にあることを踏まえ、学童クラブ及び放課後子どもひろば事業のさらなる充実を図ります。
さらに、大規模建築物の建設の際には、学童クラブ等の子育て支援施設の設置が適切に誘導されるよう、条例の制定に向けて検討してまいります。

そのほか、令和6年4月以降の児童相談所の開設に向けて、専門性の高い人材の確保と育成、運営体制の整備に取り組んでまいります。
高校生等医療費助成については、令和5年4月から完全無償化の実施に向けて取り組んでまいります。

これらの施策に取り組むとともに、小・中学校の入学時には、準備のための様々な出費が見込まれることから、入学祝金を給付し、子どもの健やかな成長を支援してまいります。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実として、「新宿区版GIGAスクール構想」の実現に向けて、タブレット端末を活用し、児童・生徒一人ひとりの個別最適な学びを充実させるとともに、学習効果の高い授業につなげていきます。
また、中学校の部活動への支援については、民間提案制度の活用により、部活動指導の質の向上を図るとともに、教員の勤務環境の改善・働き方改革を推進していきます。
さらに、35人学級の段階的な実施に向けて、児童数の将来予測に基づく計画的な普通教室の整備を進めてまいります。四谷小学校及び西新宿小学校については、適切な教育環境を確保するため、校舎の増築に向けて取り組んでまいります。

また、セーフティネットの整備充実として、区民一人ひとりが尊重され、地域の中で自立した生活を営み、その人らしく安心して心豊かに暮らしていけるまちを実現するため、ホームレスや生活保護受給者、生活困窮者への自立支援に取り組んでまいります。

若者の区政参加の促進に向けては、「しんじゅく若者会議」の開催により、今後も若者世代の意見やアイデアを区政に反映させていきます。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりを推進するため、コロナ禍において大きな影響を受けた地域コミュニティ活動の再起動に向けて、地域コミュニティづくりの核である町会・自治会活動への参加促進や、デジタル化への対応に向けた電子回覧板アプリの活用など、各町会・自治会のニーズに即した効果的な支援に取り組んでまいります。
また、タワーマンション内のコミュニティづくりや、タワーマンションと近隣の町会・自治会とのコミュニティづくりの支援、防災力の向上や良好なマンションの維持管理のため支援を強化してまいります。
さらに、こうした町会・自治会の取組をより一層促進していくための条例の制定に向けて検討してまいります。

また、11月1日に運用が開始された「東京都パートナーシップ宣誓制度」を活用し、区立住宅にパートナーシップ関係の相手方も入居できるようにするなど取り組んできました。今後もその趣旨を踏まえ、適切に対応してまいります。

基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、災害に強いまちづくりと、安全安心な生活環境づくりを推進してまいります。

本年5月に公表された「首都直下地震等による東京の被害想定」では、区内の被害想定は多くの項目で減少する結果となりました。この間取り組んできた、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに向けた取組の成果が着実に表れているものと考えています。

一方で、首都直下地震や南海トラフ地震の切迫性が高まる中、気候変動に伴う大型台風や局地的集中豪雨の発生など、新たな課題も生じており、引き続き安全なまちづくりに取り組まなければなりません。
このため、特定緊急輸送道路沿道建築物等の耐震改修や、マンション耐震化支援の拡充、ブロック塀並びに擁壁・がけの安全対策への支援に、迅速に取り組んでまいります。
また、擁壁・がけのさらなる安全化に向けて、新たに、土砂災害特別警戒区域における補強工事への助成を実施してまいります。
さらに、地区の防災や安全性、住環境の向上を推進するため、西新宿五丁目中央南地区や西新宿三丁目西地区における市街地再開発事業の支援に取り組むとともに、細街路の拡幅整備や、道路の無電柱化を着実に進めてまいります。

次に、災害に強い体制づくりに向けては、女性や障害者などの視点を取り入れたワークショップや、シンポジウムの開催を通じて、配慮を要する方の安全・安心の確保の充実を図ります。
また、防災区民組織と連携しながら地域の防災力の強化を図るとともに、防災ラジオを災害時要援護者等にお配りし、災害時の安全確保に向けて必要な情報を発信できる環境の整備を進めてまいります。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現に向けて、繁華街では深夜帯における安全・安心パトロールの強化をはじめ、様々な困難を抱え、歌舞伎町に集まる若者や女性の犯罪被害の防止に向けたNPO等の活動の支援を行うなど、様々な取組を実施してまいります。

次に、良好な生活環境づくりとして、マンション管理適正化推進計画を策定し、管理計画認定制度の運用や、管理が不適切なマンションに対する指導・助言等を通じて、良好な住環境の確保に取り組んでまいります。

また、新大久保駅周辺地区の良好な生活環境づくりに向けて、引き続き、西大久保公園等を活用した来街者の分散化と事業者への混雑緩和に向けた協力の働きかけによる混雑対策に取り組むとともに、不法投棄対策夜間パトロール等により環境美化を推進してまいります。

次に、基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
新宿駅周辺地域では、新宿駅西口地区の開発が本年10月から着工され、いよいよ本格的な再編に向けて動き出しました。駅、駅前広場、駅ビル等が一体となった新宿グランドターミナルとして再編するため、今後も「新宿の拠点再整備方針」に基づくまちづくりを進めてまいります。

また、高田馬場駅周辺地区では本年7月に高田馬場駅周辺エリアまちづくり方針を策定したほか、飯田橋駅東口周辺地区では飯田橋駅前地区基盤整備ビジョンを本年8月に策定しました。
その他の地域においても、区民や地元組織との協働により、地区計画をはじめ、まちづくり構想やガイドライン等のまちづくりルールを定め、各地域の個性や魅力を活かしたまちづくりを一層推進していきます。

さらに、歌舞伎町では、令和5年4月に東急歌舞伎町タワーが開業予定です。これを機に、一般社団法人としてスタートしたTMOと連携した東急歌舞伎町タワーとシネシティ広場の一体的な活用により、にぎわいを創出してまいります。

こうした、大規模開発等によるまちの現況の遷り変わりなど、景観行政を取り巻く環境の変化に対応するため、今年度改定する景観まちづくり計画及び景観形成ガイドラインに基づき、新宿らしい個性的で多様な景観を適切に誘導してまいります。

このほか、誰もが利用しやすく、わかりやすい質の高い都市空間を創出するため、建築等の計画段階からの協議により、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めていきます。
また、区内のバリアフリー整備を一層促進するため、「新宿区移動等円滑化促進方針」に基づき、区内全域において、民間事業者とも連携しながらバリアフリーの道づくりを進めてまいります。
さらに、鉄道駅の安全性の向上と快適な利用空間を整備するため、ホームドア及びエレベーターの設置を促進してまいります。

交通環境の整備では、西武新宿線の高田馬場駅から西側の新宿区内の踏切が、いわゆる開かずの踏切となっており、地域の暮らしや交通に支障をきたすなど、大きな課題となっています。そのため、地元の皆様とともに、開かずの踏切の解消に向けて検討を進めてまいります。

また、区民の皆様の移動手段のさらなる充実を図るため、新たにAIオンデマンド交通の導入に向けた実証実験を行います。

豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、令和6年度の花のもりの整備完了に向けて工事を進め、新宿中央公園の特色や魅力をさらに活かした公園づくりに取り組んでまいります。また、地域の公園の整備にあたっては、区民の皆様と協働で魅力ある公園づくりに取り組んでいます。こうした公園の整備を通じて、地域のニーズを反映したみどりあふれる憩いの場を提供してまいります。

次に、地球温暖化対策の着実な推進についてです。
区では、2050年までに区のCO?排出量実質ゼロを目指し、省エネルギー機器の設置助成件数の拡充や、新宿再エネオークションの普及を行うとともに、区有施設における再生可能エネルギー電力等への切替など、様々な取組を推進してきました。
今後も、今年度改定する第三次環境基本計画に基づき、ゼロカーボンシティの実現に向けて、地球温暖化対策の取組を一層推進してまいります。

令和3年6月に公布された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき、新たに家庭から排出されるプラスチック使用製品の回収と再資源化に取り組んでまいります。

食品ロス削減の推進では、新たに「新宿区食品ロス削減推進計画」を策定し、食品ロス削減協力店登録制度やフードドライブの実施、フードシェアリング事業者との連携を図り、区民、事業者、区が一体となって食品ロス削減を推進してまいります。

活力ある産業が芽吹くまちの実現に向けては、しんじゅく逸品の普及に向けて、「しんじゅく逸品マルシェ」等のPRイベントを開催するとともに、紹介冊子や、新宿文化観光資源案内サイト「温故知しん!じゅく散歩」に掲載することにより、広く情報を発信し、幅広い世代にPRしていきます。

また、地場産業の振興では、区の地場産業である染色と印刷・製本関連団体による「Azalee」プロジェクトで企画、開発した商品がより広がっていくよう周知活動を支援していきます。
さらに、ふるさと納税については、区内で生産された商品を送るモノ消費と、新宿ならではの体験をしていただくコト消費を含めた返礼品を設定し、新宿の多様な魅力を広く発信するとともに、新宿に訪れていただく機会を提供することで、地域経済の活性化に寄与していきます。

まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造に向けては、音楽・美術・演劇・伝統芸能など幅広いジャンルのイベントからなる「新宿フィールドミュージアム」を開催し、新宿のまちの魅力を創造、発信してまいります。

次に、国際観光都市・新宿としての魅力の向上のため、「新宿plus」やSNS等を活用し、広く世界に向けて新宿の魅力を発信していくとともに、インバウンドの回復を見据え、プロモーションの充実を図るため、インバウンドメディアを活用した情報発信を行ってまいります。

そのほか、新宿の歴史や文化を知り、住んでいる方や訪れる方に、より愛着を持ってもらえるよう、区内の様々なスポットにまつわるクイズを楽しみながら散策することができる機会を提供してまいります。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
多様なスポーツを紹介・体験することにより、子どもから高齢者までライフステージ等に応じた様々なスポーツに親しめる機会を創出してまいります。
また、障害者の方が継続してスポーツに親しむことができるよう、令和4年度から新宿スポーツセンターなどの区立スポーツ施設において、障害者の利用料を免除しました。今後もボッチャ等障害者スポーツの普及を推進してまいります。

多文化共生のまちづくりの推進では、新宿区多文化共生まちづくり会議や新宿区多文化共生連絡会を通じ、地域の日本人と外国人がともに区政に参画する体制整備を進めるとともに、多言語による情報発信の充実に取り組んでまいります。

新宿区では、昨年3月に新宿区平和都市宣言35周年を迎えました。今後も、様々な平和啓発事業を行うことで、戦争の悲惨さと平和の大切さを共有し次世代に伝えていきます。

基本政策の第四「健全な区財政の確立」については、公民連携のさらなる推進を図るため、令和4年度から導入した新宿区民間提案制度を活用し、民間のノウハウやアイデアを区政運営に活かしていくため、民間事業者との連携をより一層強化していきます。

また、効果的・効率的な業務の推進に向けて、業務手順や執行体制の見直し、RPA等のICTの利活用など、窓口サービス・業務の見直しを進め、さらなる区民の利便性・サービスの向上や職員の働き方改革、経費の削減等につなげてまいります。

区有施設については、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づき、マネジメントの強化に取り組んでまいります。

次に、基本政策の第五「好感度1番の区役所」についてです。
行政サービスの向上については、手数料等について交通系電子マネー決済の導入や、特別区民税等についてコード決済を導入するなど、区民の利便性の向上を図ってきました。
また、マイナポータル・ぴったりサービスや、電子申請を進め、区民の皆様が窓口に来庁することなく、24時間申請手続を可能とするため、行政手続きのオンライン化を進めてきました。
今後も、区有施設において無料公衆無線LAN環境を整備するなど、行政のデジタル化を進め、区民の利便性とサービスの向上に向けた取組を推進してまいります。

こうした施策を一層推進していくには、職員の能力開発、意識改革が必要です。そのため、地域の変化に柔軟に対応し、自ら政策を立案できる職員を育成するとともに、スマートワーキングや、ハラスメントのない職場づくりを継続して推進するほか、業務等に対する職員の声を直接聴く仕組みづくりを検討し、区政の発展と区民サービスの向上につなげてまいります。


4 おわりに

以上、私が向こう4年間、区長として区政を担当するにあたっての基本姿勢並びに基本政策等所信の一端を申し上げました。
現在の我が国の経済情勢をみますと、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、物価高騰の影響が区民の暮らしや区財政へ与える影響の大きさが懸念されます。

区財政は一定の財政対応力を確保していますが、原油価格・原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の長期化など社会経済情勢の不透明な状況が続いており、さらに今後の社会保障関連経費や施設更新需要の増大など、区財政を取り巻く環境は、引き続き予断を許しません。

こうした中、区は、健康寿命の延伸や、災害に強い安全なまちづくり、長期的視点に立った区の魅力をより高めるまちづくりなどを確実に進めなければなりません。

今後とも、私の区政に対する2つの基本姿勢である「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」と「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」のもと、基本構想に掲げる「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

結びに、新型コロナ対応の中で感じてきたことを申し述べます。感染拡大の初期の段階では、繁華街の飲食店の皆様と連携し、共に行動することで、感染拡大の防止に効果を上げることが出来ました。また、繰り返される大規模感染と入院病床の逼迫時には、新宿区新型コロナウイルス感染症対策医療・介護・福祉ネットワーク会議との連携により、医療現場や介護の現場で起きている状況をタイムリーに把握し、現実的な対応を選択することが出来ました。困難な状況にあって、現場の皆さまと協力し合うことは、課題解決の大きな力となり、まさに『新宿力』を実感することが出来ました。当面は、感染症対応と物価高騰対策という大きな課題と向き合うことになりますが、区民の皆様との連携により新宿の未来に明るい展望を持つことが出来るよう、取り組んでまいります。

区議会並びに区民の皆様には、引き続き、ご指導とご鞭撻を心からお願い申し上げます。

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