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区長就任にあたっての所信

最終更新日:2018年11月26日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

 本日、第四回区議会定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、ごあいさつ申し上げます。

 私は、去る11月11日の区長選挙におきまして、多くの区民の皆様からのご支持をいただき、引き続き新宿区長としての職責を担うこととなりました。ここに、議会並びに区民の皆様にこれからの区政運営について私の所信の一端を申し上げます。

 この度の選挙を通して、私は、多くの区民の皆様からの様々な声を聞き、改めて、区政に対する期待の大きさを強く感じました。区政を担う責任の重さを深く認識し、変化の激しい、先行き不透明な時代にあって区政に対する期待に的確に応えることが、私の使命であると決意を新たにしたところです。

 私は、この度の選挙において、『区民とともに新宿の未来を創る』と訴え、まず「緊急に取り組むべき身近な新宿区の課題」として、切迫性の高まる首都直下地震等の緊急地震対策と、近年の夏の猛暑を受けた熱中症対策として、区立小中学校体育館等への空調設備の整備を皆様にお示ししました。また、開催を目前に控えた東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会については、スポーツの促進や健康づくり、障害理解をはじめ区民の皆様の記憶に残る有意義な大会としてまいります。

 そして、新宿の将来を見据えた取組として、引き続き、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」を柱とし、これらを下支えする「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」を合わせた「5つの基本政策」を一層推進することを区民の皆様にお約束させていただきました。

 私は、常に区民の視点、生活者の視点から区政の課題を捉え、皆様とともに区政運営にあたってまいりました。これからも、区民に最も身近な基礎自治体として、地域の実情に即した施策を展開し、区民生活の現場で起きている現実を受け止め、地域課題に的確に対応することで、誰もが住みたい、住み続けたいと思える、持続的に発展する新宿のまちの創造に向けて、今後4年間、全力で取り組んでまいります。 


2 5つの基本政策

 次に、私が掲げる「5つの基本政策」について具体的に申し上げます。
 基本政策の第一「暮らしやすさ1番の新宿」では、区民の皆様が、健康でいきいきと暮らし続け、誰もが自分らしく生活できるまちづくりを推進します。
 このため、「健康寿命の延伸」に向け、誰もが気軽に健康づくりに取り組めるよう健康ポイント事業を拡充し、ポイントの付与対象を現行のウォーキングに加え、健康づくり事業への参加などにも拡げていきます。
 また、高齢期の健康づくりとフレイル予防をより一層推進するため、筋力アップを図る「しんじゅく100トレ」を普及啓発してまいります。
 このほか、重大な合併症を引き起こす糖尿病を防ぐため、医療機関と連携し、重症化リスクが高い方への支援を強化します。

 次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進では、2019年7月に、富久町に特別養護老人ホームとショートステイを開設します。また、2022年4月の開設に向け、市谷薬王寺町の国有地では、ショートステイを併設した特別養護老人ホームを、払方町の国有地では、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護並びに障害者のグループホームの整備を進めるなど、介護保険サービスの基盤整備を着実に推進してまいります。
 また、「新宿区立薬王寺地域ささえあい館」を拠点に、地域の支え合いの担い手の育成を推進してまいります。
 さらに、柏木地域に高齢者総合相談センターを設置し、高齢者の皆さんが住み慣れた地域で暮らし続けられるよう支援をより強化してまいります。

 障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備としては、平成31年度から、新宿福祉作業所と高田馬場福祉作業所で、就労継続支援B型事業に加え、生活介護事業を実施します。あゆみの家では、生活介護事業の定員を拡充するとともに、重症心身障害者通所事業を開始します。新宿生活実習所については、その機能の拡充について検討を進めてまいります。

 次に、安心できる子育て環境の整備については、引き続き、待機児童の解消に向け、保育所の整備と定員拡充に取り組みます。また、学童クラブ及び放課後子どもひろば事業の充実を図り、それぞれのニーズに合った放課後の居場所づくりを推進します。
 中町学童クラブについては、近隣の細工町高齢者在宅サービスセンター建物内に移転し、定員を拡充してまいります。
 また、児童相談行政の一元的かつ総合的な実施に向け、2021年の開設を目指し、児童相談所及び一時保護所の整備を進めるとともに、あわせて、専門性の高い人材の確保と育成、運営体制の整備に取り組んでまいります。

 次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実については、発達障害等のある生徒が、それぞれの障害の特性に応じた指導を在籍校で受けられるよう、平成31年度までに全中学校に特別支援教室を設置し、支援体制の充実を図ってまいります。
 また、四谷地域をモデル地区として実施している、小中連携型地域協働学校を本格実施することにより、地域に開かれた学校づくりを一層推進してまいります。
 さらに、熱中症対策や災害時の避難所としての機能を向上させるため、2020年度を目途に速やかに区立小中学校体育館等の空調設備の整備を進めてまいります。

 セーフティネットの整備充実については、区民一人ひとりが尊重され、地域の中で自立した生活を営み、その人らしく安心して心豊かに暮らしていけるまちを実現するため、引き続き、ホームレスや生活保護受給者、生活困窮者への自立支援に取り組んでまいります。

 次に幼児教育の無償化についてです。
 区では、これまでも多子世帯やひとり親家庭などの保護者負担軽減について、国基準を引き上げて実施するなど幼児教育の無償化に取り組むとともに、教育・保育の質の維持・向上を図ってきました。引き続き、国や都の動向を注視しながら、限られた財源の中で、幼児教育環境の整備・充実に取り組んでまいります。

 教員の勤務環境の改善と働き方改革については、本年7月に作成した「教員の勤務環境の改善・働き方改革第二次報告書」に基づき、学校の法律相談体制の整備やタイムレコーダー導入などの具体的な取組を行ってきました。今後も、教員の教育活動時間の確保のための留守番電話導入をはじめ、学校現場の実情に応じた取組を実施し、教員が健康でやりがいを持ちながら子どもたちと向き合い、質の高い教育活動を継続できるよう取り組んでまいります。

 次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進では、地域コミュニティづくりの核である町会・自治会の活性化や加入の促進に向けたコンサルティング事業を拡充するなどの支援を行ってまいります。特に、近年増え続けているタワーマンション等の住民とのコミュニティづくりについては、早急な検討が必要だと考えております。
 また、若者の柔軟な発想力や意見を区政に活かせるよう、引き続き、しんじゅく若者会議の開催や、インターネットによる若者意識調査を実施してまいります。

 地域での生活を支える取組としては、成年後見制度の利用を促進するため、関係機関との連携強化を図るとともに、社会福祉協議会による法人後見を推進し、認知症や知的障害、精神障害などにより、判断能力が十分でない人でも地域の中で安心して暮らし続けることができるよう支援してまいります。
 就労支援については、就労を目指す若者への支援や民間企業と連携した高齢者への支援、障害者への就業対策をはじめ、年齢・性別や障害の有無を問わず、だれもが地域の一員として安心して自分らしい暮らしができるよう、総合的な就労支援を行います。

 来年10月に予定されている消費税率の引き上げについては、区民生活や地域経済に対する影響が懸念されていることから、引き続き、低所得者や中小企業への支援を行ってまいります。

 基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、災害に強いまちづくりと、安全安心な生活環境づくりを推進してまいります。
 本年6月に発生した大阪府北部地震では、ブロック塀等の倒壊により通学中の女児と児童の見守りボランティアに向かう途中の80歳の男性が犠牲となりました。大阪府内の自治体では、地震の発生が通勤時間帯であったため、交通機関の停止により、災害対策を行う職員の参集が遅れる事態も生じました。また、多くの帰宅困難者が発生しています。9月の北海道胆振東部地震では、大規模な土砂崩れや家屋倒壊などの甚大な被害が生じました。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、区はこれまで以上にスピード感をもって建築物等の耐震化、木造住宅密集地域の解消、市街地整備による災害に強い都市基盤づくりに取り組まなければなりません。
 このため、建築物等の耐震改修や、ブロック塀並びに擁壁・がけの安全対策への支援に、迅速に取り組んでまいります。
 木造住宅密集地域では、地区計画や新たな防火規制等を導入し、建築物の不燃化を促進するなど防災性の向上を図ります。防災や安全性に課題のある地区では、市街地再開発事業や防災街区整備事業などを活用したまちづくりを推進してまいります。
 また、今年度策定する「無電柱化推進計画」に基づき、道路の無電柱化を推進し、災害に強いまちづくりと都市景観の向上を図ります。平成31年度は、女子医大通りなどの整備に引き続き取り組むとともに、新たな路線の無電柱化にも着手してまいります。

 次に災害に強い体制づくりについては、災害対策本部訓練の実施などにより災害応急活動態勢の強化を図るとともに、女性の視点を取り入れた避難所運営体制の充実、避難所における要配慮者専用スペースの確保、要配慮者を支援するためのセルフプランの作成などに取り組みます。
 マンションの防災対策については、中高層マンションの自主防災組織の結成促進を図るため、必要な資器材等の助成制度の新設を検討してまいります。
 また、これまでの防災イベントを活かし、地域防災力の強化を図ることができるよう、内容をより充実させた普及啓発事業を実施するとともに、災害時の担い手の育成に取り組んでまいります。
 さらに、帰宅困難者対策については、引き続き、新宿駅周辺において、区、事業者、交通機関、警察・消防などと連携した訓練を、自助・共助・公助を基本とする震災時の行動ルールにもとづき実施してまいります。

 次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現については、区、地域団体、警察などを構成員とする「(仮称)安全安心推進会議」を設置し、地域課題や情報を共有することで、犯罪被害防止対策を強化してまいります。
 また、区民や来街者が安心して楽しむことができるよう、引き続き、新宿駅周辺において、客引き行為等の防止に向けたパトロール活動を地域団体とともに実施してまいります。
 特殊詐欺対策については、区内4警察署との連携を強化し、警察官による個別訪問を実施し、最新の手口や被害防止対策等の注意喚起を行うとともに、自動通話録音機を貸し出すことで、特殊詐欺被害ゼロを目指してまいります。
 次に、良好な生活環境づくりの推進では、マンションの良好な維持・管理を促進し、居住環境の保全・向上を図るため、マンション管理セミナーの開催回数の拡充と、マンション管理セミナー及びマンション管理相談員派遣制度の対象を賃貸マンションにも拡大して実施します。
 また、民泊については、現地確認や指導監督等を行うなど、違法民泊に対する指導・是正を徹底するほか、届出のあった住宅宿泊事業についても適正に運営されるよう取り組んでまいります。
 ごみの捨て方や不法投棄については、引き続き、不法投棄夜間パトロールを実施することなどにより、生活環境の悪化を防止します。
 受動喫煙対策については、改正健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例の趣旨を十分踏まえながら、受動喫煙の防止に取り組んでまいります。
 また、空家等対策については、「空き家等の適正管理に関する条例」及び「新宿区空家等対策計画」に基づき、管理不全な空家やいわゆるごみ屋敷等の解消と発生の抑制に取り組むとともに、空家等の適正管理を促進してまいります。

 次に、基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
 持続的に発展する新宿を創造するためには、商業・業務・文化・居住機能など多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりが重要です。
 新宿駅周辺地域においては、本年3月に策定した「新宿の拠点再整備方針」にもとづき、駅、駅前広場、駅ビルを一体的に再編し、線路上空を活用した広場空間の創出やユニバーサルデザインを踏まえた利用しやすい駅、快適で魅力ある駅前広場の整備などを進めてまいります。
 また、この整備を契機に、まちの特性や機能更新などのまちづくりを促進し、地域全体として質の高い国際交流拠点の形成に取り組んでまいります。
 2020年に開設予定の新宿駅東西自由通路のほか、新宿駅東南口前の歩道の拡幅やカラー舗装化、新宿駅東口広場の緊急整備を進めます。さらに、新宿通りのモール化の実現に向けて、引き続き、社会実験を実施してまいります。
 このほか、歌舞伎町の東急ミラノ座跡地における複合エンターテイメント施設の整備や、新宿住友ビルの公開空地を活用した「国際会議場施設」と日本最大級となる「全天候型屋内アトリウム広場」の整備、新たなアートの発信拠点となる「(仮称)損保ジャパン日本興亜新美術館」の整備等の開発計画を促進するなど、民間活力を活かしたまちづくりに取り組みます。

 また、地域の特性を活かした地区計画等のまちづくりルールなどにもとづき、新宿にふさわしい、にぎわいと潤いのある景観に配慮したまちづくりに取り組みます。

 さらに、ユニバーサルデザインのまちづくりをより一層進めるため、「(仮称)ユニバーサルデザインまちづくり条例」を制定し、建築等の計画段階からの事前協議制度を創設するほか、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、新宿駅構内及びその周辺へのアクセスルートをよりわかりやすく、利用しやすいものとなるよう案内サインの整備を推進し、利便性と回遊性の向上を図ってまいります。

 道路環境の整備については、引き続き、人にやさしい、バリアフリーの道づくりに取り組むとともに、高齢者の休憩場所として利用できる腰掛防護柵等の設置を進めます。
 また、ヒートアイランド現象の抑制を図るために、遮熱性舗装を東京2020オリンピック競技大会のマラソンコース周辺道路などにおいて実施します。

 次に交通環境の整備では、放置自転車の減少・解消に向け、民間活力を導入した駐輪場の整備を進めるとともに、区民ニーズの高い時間利用の駐輪場を拡充し、より多くの方が利用できるよう取り組んでまいります。また、自転車シェアリングについては、他区との広域相互利用を促進し、区民や来街者の利便性やまちの回遊性の向上を図ります。
 さらに、鉄道駅の安全性の向上と快適な利用空間を整備するため、ホームドア及びエレベーターの設置を進めてまいります。

 次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、ポケットパークと芝生広場などの整備に取り組むとともに、カフェ・レストランなどの誘致を進め、新宿中央公園の魅力をさらに高めてまいります。

 また、地球温暖化対策を着実に推進するため、LED照明など、省エネルギー機器の設置助成、「新宿の森」での環境保全体験への参加の促進、中小事業者への省エネルギー対策など、引き続き、区民・事業者への啓発や省エネルギーへの取組を促進してまいります。
 また、食品ロス削減協力店登録制度や、家庭で余った食品を寄付する「フードドライブ」の実施により、食品ロス削減など、ごみの減量に向けた意識の醸成を図るほか、引き続き、リサイクルの推進に取り組みます。

 活力ある産業が芽吹くまちの実現では、区内企業の商品・製品を「しんじゅく逸品」として広く普及するほか、「新宿ビジネスプランコンテスト」を開催し、新たな事業創出を奨励します。また、区内中小企業者が行う新製品・新サービスの開発に対する助成や「新宿ビジネス交流会」の開催により、新事業創出のための支援を行うなど、新宿ブランドの創出に向けて取り組んでまいります。

 商店街の活性化に向けた支援については、区内大学等との連携により商店街支援を広げるなど、商店街の魅力づくりに取り組んでまいります。

 次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造では、多様な文化芸術イベントを集約した「新宿フィールドミュージアム」や、気軽にアートを体験できる「新宿クリエイターズ・フェスタ」を開催し、新宿ならではの魅力を創造、発信してまいります。
 さらに、開館1周年を迎えた漱石山房記念館では、漱石にゆかりのある文化人の紹介、オリジナルグッズの作成や各種イベントの開催などにより、多くの方に訪れていただけるよう取り組んでまいります。

 次に国際観光都市・新宿としての魅力の向上については、観光資源情報検索システムを運用し、新宿観光案内所を拠点に、区内の各エリアの観光資源を紹介するほか、ピクトグラムなどによる、わかりやすい観光案内標識の整備を進めてまいります。
 また、新宿区と渋谷区の飲食店などで使える「TOKYOナイトタイムパスポート」により、外国人観光客に東京のナイトライフを楽しんでもらいます。

 次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のメインスタジアムとなる新国立競技場が位置する自治体として、この大会が、将来を担う子ども達をはじめ、多くの区民の記憶に残り、地域の活性化につながるような取組を行ってまいります。
 大会開催の500日前と250日前に気運醸成イベントを実施するほか、区有施設のラッピングやボランティアの育成、大会パブリックビューイングの開催に向けた準備を進めるとともに、大会後のレガシーとして引き継ぐため、スポーツ施設整備基金を活用した区内のスポーツ施設の改修等を進めてまいります。
 また、大会の開催に向けて、地域の伝統芸能や歴史的な行事などを発信するため、区民の自主的な活動を支援する「(仮称)東京2020オリンピック・パラリンピック区民参画基金」を創設します。

 さらに、子どもから高齢者まで、ライフステージに応じて多様なスポーツに親しむことができるよう、スポーツ体験教室やトップアスリートを迎えたイベントを実施してまいります。特に、小中学生全員が、学校でボッチャやゴールボールなどの障害者スポーツ体験を通し、障害者スポーツを身近に感じ、競技を応援する気持ちを高めるとともに、相互理解による「心のバリアフリー」を推進してまいります。2020年に制定を目指している「(仮称)ユニバーサルデザインまちづくり条例」とともに、ソフト面においての東京2020大会のレガシーとして遺せるよう取り組んでまいります。
 平和都市の推進では、新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業、今年度作成した「戦争体験継承DVD」等を活用し、戦争の悲惨さと平和の尊さを多くの方々に末永く発信してまいります。
 さらに、世界最大のスポーツと平和の祭典である、東京2020大会の開催にあわせ、被爆者による講演など、平和の大切さを次の世代に引き継ぐ事業を展開してまいります。

 多文化共生のまちづくりの推進では、「新宿区多文化共生連絡会」並びに「新宿区多文化共生まちづくり会議」などの運営を通じ、国籍や文化、言語の異なる人々が互いを認め、理解し合い、ルールを守り、相手を思いやることのできる地域社会づくりを推進します。

 基本政策の第四「健全な区財政の確立」については、効果的、効率的な区政運営に向け、本年度新たに導入した施策単位での行政評価手法とともに、新公会計システムの活用などにより、各事業の見直しや次年度予算編成への反映をより一層徹底し、行財政運営におけるPDCAサイクルを強化していきます。

 区有施設については、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づき、区有施設の維持管理・更新・統廃合・長寿命化などを総合的かつ計画的に行い、施設マネジメントの強化を図ります。区立小中学校等の個別施設計画については、2020年度までの策定を目指して取り組んでまいります。
 また、ネーミングライツや公的不動産の活用、広告による税外収入の確保に努めてまいります。

 次に、基本政策の第五「好感度1番の区役所」についてです。
 行政サービスの向上については、2020年度から「クレジット納付」と「ペイジー納付」を実施し、公金納付の機会拡充による利便性の向上に取り組みます。

 また、区の公共サービスの調達にあたっては、労働者の適正な労働環境の確保や事業者の人材確保、また地域経済の活性化に向けて、公契約条例制定の検討を進めてまいります。

 職員の能力開発、意識改革の推進については、職員一人ひとりの資質向上に向け、実務を遂行するうえで欠かせない知識や法令等の基礎的能力を向上させるとともに、新宿自治創造研究所や人材育成センターを活用した研究や研修を充実し、区民起点で考え、区民と協働し、職場や仕事を改善する職員の育成に引き続き取り組み、区民視点に立った自治の実現を目指します。
 地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望してまいります。

3 おわりに

 以上、私が向こう4年間、区長として区政を担当するにあたっての基本姿勢並びに基本政策等所信の一端を申し上げました。
 現在の我が国の経済情勢をみますと、企業収益は好調で、雇用・所得環境が改善するなど、景気は緩やかな回復基調にあります。
 区財政においても、特別区民税をはじめとする一般財源が堅調に推移したこともあり、一定の財政対応力を確保しています。しかし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や金融資本市場の変動の影響等には十分留意していく必要があります。さらに、地方消費税の清算基準の見直しや法人住民税の一部国税化、ふるさと納税などによる減収が懸念されるなど、区財政を取り巻く環境は依然として不透明であり、予断を許しません。
 こうした中、区は、高齢者や子育て世代への支援など誰もが安心して住み続けられる環境の整備、災害に強い安全なまちづくり、長期的視点に立った区の魅力をより高めるまちづくり、さらには、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた最終的な準備などを確実に進めなければなりません。
 今後とも、私の区政に対する2つの基本姿勢である「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」と「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」のもと、総合計画並びに第一次実行計画を着実に推進し、基本構想に掲げる「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。

 結びに、漱石山房記念館について申し上げます。選挙戦を通じ、区政の課題として、漱石山房記念館と無関係な事故や、開館準備中に発生した事案について記載された文書が大量に配布されました。結果として、区民を始め、記念館開館にご協力をいただいた多くの方々にご心配をおかけし、残念な状態にあると考えています。夏目漱石の日記に、「誠実に語れ。摯実に行え。汝の現今に播く種は、やがて汝の収むべき未来となって現わるべし。」とあります。これは、「誠意を持って議論し、誠実に実行すべきである。今の工夫や努力が、未来の結果をもたらすだろう。」と、私は解釈しています。新たな事業が、はじめから全て上手くいき、評価される訳でもなければ、上手くいっているからといって、将来にわたって成功を約束されるものでもありません。真剣に検証し、丁寧に実施していくことが、未来の成果を生み出していくと思っています。いつの時代に発生した事件や事故であれ、行政府の長である私の責任となります。しかし、そこで立ち止まることなく、今後も信頼回復や、魅力ある資料の収集や借り受けの為に、積極的な活動を展開してまいります。

 区議会並びに区民の皆様には、引き続き、ご指導とご鞭撻を心からお願い申し上げます。
 

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