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平成30年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2018年2月15日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

 平成30年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
 本定例会では、平成30年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 はじめに、我が国の経済状況を見ますと、景気の回復局面は、高度成長期の「いざなぎ景気」を超え、戦後2番目の長さとなっており、デフレ脱却の展望も見えてきたと言われています。しかしながら、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動には、引き続き十分留意する必要があります。さらに、法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直しによる歳入減が懸念されるなど、区財政を取り巻く環境は、依然として楽観視することはできません。

 また、人口の増加による区民税の増収を超える勢いで、扶助費が増加傾向にあります。65歳以上の高齢者人口は、今後も増加すると推計されており、医療費などの社会保障関係費の増大は避けられない状況です。

 こうした中、区民の皆様が新宿のまちで安心して、いきいきと住み続けられるよう、そして、次の世代が夢と希望を持って生活できるよう、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを目指して力を尽くしてまいります。


2 平成30年度の区政運営の基本認識

 次に、平成30年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

 平成30年度は、区政における10年間の施策の方向性を示した総合計画と、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を迎える2020年までを計画期間とする第一次実行計画をはじめ、福祉や健康、産業、環境、教育など様々な分野での計画がスタートする極めて重要な年です。

 基本構想で掲げる“新宿区のめざすまちの姿”「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、新たな総合計画の下、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」を柱とし、これを下支えする「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」を合わせた5つの基本政策を一層推進してまいります。

 基本政策の第一、「暮らしやすさ1番の新宿」では、区民の皆様が生涯にわたり心身ともに健康でいきいきと暮らせるよう、健康寿命の延伸に向けた施策を推進します。
 また、安心して子育てができる環境の整備や、教育の充実、高齢者や障害者など誰もが自分らしく生活できるまちづくり、地域コミュニティの活性化など、区民生活を支える施策に取り組み、誰もが尊重され、心豊かに暮らすことができる地域社会の実現を目指します。


 基本政策の第二、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、区民の皆様が安心して日々の生活を送れるよう、災害に強い、逃げないですむまちづくりと、安全安心な生活環境づくりが重要です。
 このため、建築物の耐震化や不燃化、災害に強い体制づくり、犯罪のないまちづくり、民泊や空家等への対策、感染症の予防、路上喫煙防止などに取り組み、新宿の高度防災都市化と安全で安心なまちの実現を目指します。

 基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」では、持続的に発展する新宿を創造するため、商業・業務・文化・居住機能など多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりに取り組みます。
 東京2020大会の開催とその後も見据え、まちの回遊性や利便性を向上させる都市基盤整備、文化・観光・スポーツの振興、産業振興や魅力ある商店街づくりなどに取り組み、国際観光都市としての魅力とブランド力を高め、誰もが愛着と誇りの持てる、やすらぎとにぎわいのまちの実現を目指します。

 基本政策の第四、「健全な区財政の確立」では、暮らしやすさや、安全安心、賑わいづくりなどの施策を展開するため、財源を担保しつつ、その限りある財源の中で効果的・効率的な区政運営を行うことが重要です。
 このため、税外収入のさらなる確保を図るとともに、行政評価制度の活用や公民連携による効果的・効率的な事業の実施、公共施設マネジメントの強化などに取り組むことにより、健全な財政運営を確保し、将来にわたって安定した行政サービスを提供してまいります。
 基本政策の第五、「好感度1番の区役所」では、区民の皆様とともに地域課題を共有し、解決するための施策を立案・実行できる職員の育成や、能力の向上に取り組んでいきます。
 また、窓口案内の質の向上や、ICTを活用した行政サービスの利便性の向上などに取り組み、区役所の好感度を向上させていくほか、区民に最も身近な基礎自治体として、地方分権を推進してまいります。


3 基本政策と主要施策の概要

 このような認識を踏まえ、基本構想や総合計画に掲げた目標の実現に向けて取り組む主要な事業の概要を、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

 はじめに、基本政策の第一、「暮らしやすさ1番の新宿」についてです。
 生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸のためには、「生活習慣病」の予防と、高齢期に筋力や心身の活力が低下した状態である「フレイル」の予防が不可欠です。
 このため、地域のウォーキングマスターの養成を行うとともに、健康づくりに役立つ情報等を記載したウォーキングマップを活用したイベントを開催します。
 また、多くの方が健康づくりに参加するきっかけをつくるため、健康づくり活動に対してポイントを付与し、景品に交換できる「健康ポイント事業」を開始します。
 平成30年度は日常生活の中で歩いて貯める「ウォーキングポイント」を実施するとともに、健康イベントへの参加など、ポイント対象事業を拡大してまいります。

 さらに、健康的な食生活を実践できる環境づくりに向けて、毎月8日を野菜の日と定め、区内スーパーマーケットや飲食店等と連携して、「食」に関する有益な知識を普及啓発していきます。

 高齢期の健康づくりと介護予防の推進に向けては、東京都健康長寿医療センターと連携して「しんじゅく100歳トレーニング」を開発し、元気に長生きするための筋力アップに向けた取組を地域に広めてまいります。

 このほか、がんの早期発見・早期治療のためのがん検診の受診勧奨の強化、女性の健康支援センターを拠点とした女性の健康づくりサポーターの養成、こころの病気やストレスに対処できる環境づくりを推進するなど、心身の健康施策を総合的に推進してまいります。

 次に、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の推進についてです。
 地域の中心的な相談機関である高齢者総合相談センターに、副管理者を配置し、相談体制の充実を図ります。
 また、一人ひとりの状態に合った支援の検討や地域課題の整理、解決策の検討を行う「地域ケア会議」を活用して、より強固な地域ネットワークを構築してまいります。


 さらに、65歳以上の高齢者を対象に、高齢者総合相談センターの連絡先等を表示した見守りキーホルダーを配布し、徘徊や外出先で倒れたときの身元確認を迅速に行うことで、地域での見守りの輪を広げていきます。

 今月開館した「新宿区立薬王寺地域ささえあい館」では、愛称を「ささえーる 薬王寺」として、高齢者を支援する団体の発掘・育成や、高齢者と一緒に地域の方々も参加できる講座の開催など、多世代による「地域支え合い活動」を推進していきます。

 また、大久保特別出張所跡地に認知症高齢者グループホームと高齢者地域交流スペースを併設した「あんじゅうむ大久保」を開設するとともに、民有地を活用した地域密着型サービスの整備に取り組みます。

 さらに、平成31年度の開設に向けて、富久町国有地を活用した特別養護老人ホームの整備を着実に進めるとともに、4年後の開設を目指して、市谷薬王寺町国有地を活用した特別養護老人ホームとショートステイの整備に向けて取り組んでまいります。

 こうした施設整備のほか、区内介護サービス事業者の安定運営を支援するため、職場見学と採用面接を兼ねた「ツアー面接会」や、人材確保に関するセミナー及び個別相談会、介護福祉士の資格取得費用助成を実施してまいります。

 認知症高齢者への支援については、引き続き、高齢者総合相談センターの「認知症初期集中支援チーム」による初期支援や、関係機関における「認知症診療連携マニュアル」の活用、認知症サポーターの養成と活動の推進を図るほか、認知症サポート医が専門的助言を行う体制を整備してまいります。

 次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
 障害理解の促進に向けて、「障害者福祉施設共同バザール・障害者作品展」の開催規模を拡大するとともに、障害理解のための映像を制作し、区の施設やイベント、街頭ビジョン等で放映するなど啓発活動を充実します。

 また、障害の重度化・高齢化への対応や特別支援学校卒業生の進路先確保のため、区内の生活介護事業の充実を図ります。
 福祉作業所では、平成31年度から既存の就労継続支援B型事業に加え、生活介護事業も実施できるよう、高田馬場福祉作業所の改修工事を実施します。

 あゆみの家においては、2020年度からの生活介護事業の定員拡充と、医療的ケアを必要とする方の受入体制の強化に向けて取り組んでまいります。

 次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
 引き続き、待機児童の解消に向けて、私立認可保育所の開設により、本年4月には394名の定員を拡大し、5月には80名の定員拡大を実現します。
 加えて賃貸物件等を活用した私立認可保育所7所の整備により、455名の定員拡大を目指すことで、合計929名の定員拡大を図ってまいります。

 こうした取組に加え、保育人材の確保と離職防止を図るため、保育士の就職相談・面接会や、キャリアアップの取組に対する支援を引き続き実施します。
 また、平成30年度は、保育従事職員用の宿舎借上げ経費の補助対象を拡大します。

 小学生の放課後の居場所づくりでは、遊びと学びの支援を行う放課後子どもひろばの特徴を活かしながら、「ひろばプラス」を、23か所に拡充し、子どもの成長や家庭の状況に応じて活用いただけるよう充実してまいります。
 また、定員を大きく上回る学童クラブについては、児童館スペースの活用等による専用スペースの拡大を進めていきます。

 親と子の育ちを支える環境づくりに向けては、子ども総合センター及び子ども家庭支援センターで、子育ての悩みや不安に関する相談に応じるとともに、子育て支援サービスのコーディネートや、子育て支援講座の充実により、在宅子育て家庭を含めたすべての子育て家庭を支援してまいります。
 あわせて、子どもショートステイやトワイライトステイ、学習支援教室を引き続き実施していきます。

 また、貧困の連鎖を防ぐため、子どもの貧困対策等に資する事業を展開するとともに、支援を必要とする家庭が、学習支援や経済的支援など区の施策の情報を確実に得られるよう、周知してまいります。

 さらに、平日の夜間の子どもの急病に対応するため、国立国際医療研究センター病院内に開設している診療室では、平成30年度から土曜日診療を実施し、子どもの初期救急医療体制をさらに充実します。

 児童相談所については、児童福祉法の改正を受け、2021年4月の開設を目指します。
 基礎自治体である区が児童相談行政を一元的かつ総合的に担うことができるよう、児童相談所及び一時保護所の設置に向けて取り組んでまいります。あわせて、専門性を高めるための人材の確保と育成に取り組み、運営体制の整備を進めてまいります。

 次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
 教育を取り巻く社会状況が大きく変化している中、教育委員会では、子どもたちが自らの豊かな知性と感性を働かせ、生涯を切り開いていける力を伸ばすことを目標として、新たな教育ビジョンを策定しました。
 これに合わせ、教育シンポジウムの開催などを通して、区が目指す教育の姿を示すとともに、教育ビジョンに対する理解を促進し、学校、家庭、地域が一体となり、子どもたちの「生きる力」を育んでまいります。


 特別な支援を必要とする児童・生徒への支援については、特別支援教育推進員を増員し、指導体制を充実するとともに、リーフレットの作成により、特別支援教育に関する啓発に努めます。

 また、発達障害等のある生徒が、障害の特性に応じた指導を在籍校で受けられるよう、中学校にも特別支援教室を設置します。平成31年度の全中学校への設置に向け、平成30年度は、西早稲田中学校、西新宿中学校、新宿中学校の3校で先行して開設します。

 学校図書館については、平成31年度からの全小学校での放課後等開放の実施に向けて、モデル校を5校から15校に拡大し、自学自習や調べ学習ができる環境を整備してまいります。

 また、学校トイレの洋式化を進め、平成30年度は小学校14校で改修工事を行います。

 地域に開かれた学校づくりでは、四谷地域をモデル地区として、小中連携型地域協働学校を実施します。地区内の小中学校が連携して活動するとともに、学校運営協議会と地域団体や企業等との連絡会を開催することにより、地域が一体となって子どもたちを育む環境づくりを強化します。

 ICTを活用した教育の充実については、区立小・中・特別支援学校の特別教室等のICT機器の更新を行うとともに、新学習指導要領に対応したデジタル教材やプログラミング教育などの効果的な指導方法を検討します。

 また、新学習指導要領では、小学校3・4年生で外国語活動が導入されるとともに、小学校5・6年生で英語が教科化されることを踏まえ、デジタル教材の全小学校導入に向けた検討を2校で実施し、効果的な学習につなげます。
 さらに、外国人英語教育指導員の配置を充実し、英語教育と国際理解の促進を図ります。あわせて、区立中学校2年生を対象として、英検受験にかかる費用を補助します。

 東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした教育の推進では、英語キャンプや日本伝統文化の体験教室を引き続き実施し、子どもたちの国際感覚を養うとともに、自国の伝統文化に対する理解を深めます。また、障害者に対する理解と思いやりの心を育むとともに、スポーツへの関心を高め、体力の向上を図ってまいります。

 教員の勤務環境については、平成29年度に実施した実態調査の結果等を踏まえ、改善に取り組むとともに、教員の働き方に対する意識改革を進めます。
 また、生徒の部活動を支えるために、国が示すガイドラインを踏まえ、部活動指導員のあり方や休養日の設定など、環境の整備について検討を行い、方針を決定します。

 次に、セーフティネットの整備充実についてです。
 ホームレスの自立支援については、引き続き支援団体との連携を一層強化しながら、きめ細かな対応を行います。

 また、生活困窮者の自立支援としては、関係機関と連携し、生活困窮者を早期に発見する体制を強化します。「生活支援相談窓口」において、一人ひとりの生活状況を的確に把握し、自立相談支援事業、就労準備支援、学習支援などの各種支援事業を行います。

 次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
 男女共同参画社会の実現に向けて、引き続き「男女共同参画フォーラム」や啓発講座を開催するとともに、小学校高学年向けの意識啓発誌を配布し、理解の促進を図ります。

 また、ドメスティック・バイオレンスに対する正しい知識や理解を促進するため、啓発講座等の開催や街頭ビジョンでの啓発動画の放映、女性への暴力廃絶を訴える「パープルリボン運動」の周知等により、普及啓発に取り組んでまいります。

 ワーク・ライフ・バランスの推進に向けては、引き続き推進企業の認定を行うほか、働きたい職場環境づくりのためのセミナーを、より企業ニーズに即した内容に充実するとともに、企業の取組及び成功事例の情報共有や企業間のネットワークづくりを進めます。

 次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
 地域の課題の解決のためには、長期的な将来展望を視野に入れた区民参加が不可欠であり、とりわけ次世代を担う若者の参加が重要です。
 日頃、区政との関わりの少ない若者世代の意見やアイデアを区政に反映させるため、しんじゅく若者会議の開催やインターネットによる、しんじゅく若者意識調査を実施します。
 また、地域コミュニティづくりの核である新宿区町会連合会と連携しながら、地域課題に引き続き取り組んでまいります。平成30年度からは新たに、町会・自治会の活性化や加入の促進に向けた講演会を実施するとともに、町会・自治会の現状の把握と課題の分析や、解決策の提案を行うためのコンサルティングを実施してまいります。

 さらに、多様な主体とのさらなる協働の推進に向けて、NPO等の多様な団体が実施する地域課題の解決に向けた事業に対して助成を行います。

 このほか、新たに「地域コミュニティ事業助成金」を創設し、地域活動団体が行う、地域の課題解決や安全安心なまちづくり等の取組に対して支援を行い、地域コミュニティの活性化や絆づくりを推進してまいります。

 次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
 今後、成年後見制度の利用が必要な方の増加が見込まれることから、多様な関係機関や団体とのネットワークを活かして、新宿区社会福祉協議会による法人後見を開始します。

 また、年齢・性別や障害の有無を問わず、地域の一員として安心して自分らしい暮らしができるよう、総合的な就労支援を行います。
 平成30年度からは、課題を抱えている若者が社会とのつながりを持てるよう、居場所の提供や、図書館等の身近な地域施設でのセミナー及び個別相談を実施します。


 加えて、障害者就労施設等での仕事内容の充実や工賃向上のため、施設間のネットワークを強化し、共同製品の開発や販路拡大などの取組を支援します。

 さらに、保証人が見つからず、民間賃貸住宅への入居が困難となっている高齢者や障害者、ひとり親世帯に対しては、協定保証会社以外を利用した場合も助成対象とするとともに、助成件数を拡大し、入居を支援します。

 このほか、平成30年度から新たに、親世帯とその子世帯が近居もしくは同居を目的に住み替える際の初期費用の一部を助成するとともに、子育てファミリー世帯に対して、居住環境の改善を目的とした区内転居に伴う費用の一部を助成することで、親世帯と子世帯が互いに支え合える住環境の整備やファミリー世帯の居住支援を進めてまいります。

 次に、基本政策の第二、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」についてです。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりを進めるためには、区内全域でスピード感をもって耐震化を進めていくことが重要です。

 このため、平成30年度からは、木造住宅の耐震改修工事への補助上限額について、区内全域を重点地区と同等に引き上げるほか、耐震改修工事の前提となる耐震診断や補強設計への補助上限額を引き上げ、耐震化に係る負担を軽減します。

 また、木造住宅密集地域の解消に向けて、若葉・須賀町地区において、木造住宅の共同建替えを促進するとともに、西新宿五丁目地区南側エリアと南榎地区において、新たな防火規制及び地区計画の導入に取り組んでまいります。

 さらに、四谷駅前地区と西新宿五丁目中央南地区の市街地再開発事業、西新宿五丁目北地区の防災街区整備事業を支援するとともに、西新宿三丁目西地区及び高田馬場駅東口地区の都市計画決定に向けた支援を行い、市街地整備による防災や住環境の向上と、賑わいの創出を図ります。

 細街路の拡幅整備については、建物の建替えにともなう事前協議を進めるとともに、拡幅した敷地に隣接する方への協力を呼びかけることにより、災害時の避難路の確保など、まちの安全性の向上を図ります。

 道路の無電柱化では、平成30年度の完成に向けた聖母坂通り、補助第72号線及び甲州街道脇南側道路の整備と、平成31年度の完成を目指した信濃町駅周辺区道の整備を着実に進めてまいります。また、新たに女子医大通りと四谷駅周辺区道の整備に取り組むとともに、無電柱化推進計画を策定します。

 さらに、避難場所内の公園及び周辺区道や、災害時に医療救護所を設置する避難所の周辺区道にバッテリー内蔵型LED灯を整備し、災害停電時の避難経路の安全確保や、災害時応急体制の強化を図ります。


 このほか、橋りょうの計画的な補修・補強の実施により、健全かつ安全な維持管理を行うため、北新宿の柏橋、中落合の大正橋、西新宿の柳橋の補修に着手します。

 次に、災害に強い体制づくりについてです。
 避難所における配慮を要する方への更なる支援のため、新たに、防寒用具として寝袋を備蓄するなど、災害用備蓄物資の充実を図ります。
 また、女性や高齢者などの視点で考えるワークショップを実施し、避難所運営体制の充実を図ってまいります。

 さらに、災害時に支援が必要な方が生活を継続するための「要配慮者災害用セルフプラン」のひな形を作成し、公開するとともに、福祉避難所の開設・運営訓練を実施し、災害時応急体制を強化します。

 加えて、医療救護所等に備蓄している医薬品・医療資器材等を計画的に更新し、機能維持を図るとともに、新宿区災害医療運営連絡会の開催や災害時における看護師確保策の検討を行い、災害医療体制を充実させます。

 また、マンションの防災対策については、引き続き、地震動シミュレーターを活用した防災訓練の実施による啓発を行うとともに、中高層マンションの防災対策に必要な防災資器材等に対する助成制度の新設に向けて検討してまいります。

 次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
 区民の皆様が安心して暮らすことができるよう、(仮称)安全安心推進会議を設置し、区民・警察・区が地域課題や情報を共有しながら活動を強化します。また、地域の防犯ボランティアグループが相互に連携・協働した防犯活動を促進します。

 さらに、区民や来街者が安心して楽しむことができるよう、新宿駅周辺の防犯パトロール活動を地域団体との連携により行い、引き続き客引き行為等の防止に向けて取り組んでまいります。

 このほか、不法投棄や分別されていないごみの排出は夜間に多いことから、改善が必要な集積所を対象に、夜間パトロールを実施します。

 また、マンションの良好な維持・管理を促進し、居住環境の保全・向上を図るため、マンション管理セミナーの開催回数の拡充と、マンション管理セミナー及びマンション管理相談員派遣制度の対象を、分譲マンションのみではなく賃貸マンションにも拡大して実施します。

 民泊に関しては、本年6月15日の「住宅宿泊事業法」施行に備え、「新宿区住宅宿泊事業の適正な運営の確保に関する条例」を制定しました。
 本年3月15日からの事前届出の開始に当たっては、ルールブックや外国語版を含めたリーフレットを作成・配布し、制度を周知するとともに、届出住宅の現地確認や指導監督等を適切に行い、違法な民泊の潜在化を防ぐため、民泊対応の窓口となる組織の職員体制を強化し、事業の適正な運営を確保してまいります。

 また、住宅宿泊事業法との均衡を踏まえた改正旅館業法への対応について、区として具体的な検討を進めてまいります。

 次に、基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
 新宿駅周辺地域において、歩行者の回遊性の向上を軸とした、より魅力的で賑わいのあるまちづくりの体制を強化するため、新たに新宿駅周辺整備担当部を設け、事業者と連携しながら、新宿駅や駅前広場、駅ビルの一体的な再編整備や、快適で魅力ある駅前空間の創出を促進します。
 また、新宿駅東西自由通路については、JR東日本と連携して事業の推進を図るほか、快適な歩行者空間の創出に向けて、新宿駅東南口前の歩道の拡幅やカラー舗装化、新宿駅東口広場の緊急整備を進めます。さらに、新宿通りのモール化に向けて、引き続き社会実験を実施してまいります。

 このほか、東急ミラノ座跡地における複合エンターテイメント施設の整備や、新宿住友ビルの公開空地を活用した「国際会議場施設」と日本最大級となる「全天候型屋内アトリウム広場」の整備、新たなアートの発信拠点となる「(仮称)損保ジャパン日本興亜新美術館」の整備等の開発計画を促進してまいります。

 歌舞伎町地区のまちづくりについては、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現に向けて、大久保公園やシネシティ広場などを活用した賑わいづくりや新たな文化の創造と発信に取り組むとともに、客引き行為の撲滅や、不法看板・放置自転車の撤去、「歌舞伎町クリーン作戦」など、安全・安心対策や環境美化に取り組みます。
 あわせて、平成30年度は、一番街通りの「まちづくり自主ルール」の策定を支援するとともに、道路整備に向けた取組を進め、健全で魅力あふれるまちづくりを推進してまいります。

 さらに、信濃町駅周辺地区で、新国立競技場や関連施設の整備に合わせた賑わいと活力のあるまちづくりを進めます。
 また、飯田橋駅周辺地区においては、放射第25号線の開通や駅ホームの移設などへの対応を行い、高田馬場駅周辺地区においては、安全性と利便性の高い駅の実現に向けて検討するなど、地域との協働により、商業・文化・教育・住宅・自然の調和のとれたまちづくりルールを定めてまいります。

 このほか、景観に配慮したまちづくりの取組として、新宿駅西口地区において、地域の特性を踏まえた景観づくりの検討を行うとともに、神楽坂地区においては、屋外広告物に関する地域別ガイドラインを策定します。

 次に、国内外から新宿の街を訪れる方々が増加していることから、新宿駅及びその周辺へのアクセスルートがわかりやすく利用しやすくなるよう、引き続き案内標識の整備やターミナルマップの作成など、ユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりを進めてまいります。

 次に、道路環境の整備についてです。
 都市計画道路等の整備では、補助第72号線第1)期区間の平成31年度の開通を目指して整備を進めるとともに、百人町三・四丁目地区の一部で快適な歩行空間を形成します。
 また、暮らしやすい安全で快適な道路空間の確保に向けて、信濃町駅周辺の区道、新大久保駅西側区道、小滝橋通り及び旧青梅街道における車道や歩道の整備に取り組みます。
 あわせて、戸山地区、百人町地区の歩道を中心に、高齢者が休憩場所として利用できる腰掛防護柵やベンチ等の設置に着手します。

 さらに、誰もが使いやすいバリアフリーの道づくりを進めるため、高田馬場駅に繫がる「さかえ通り」と「新宿通り」において、視覚障害者誘導用ブロックの設置等の整備を行います。

 このほか、東京2020大会の開催までに、改修可能な小型街路灯すべてをLED街路灯に改修し、CO2の発生抑制と省エネルギー化に取り組むとともに、マラソンコース周辺道路の遮熱性舗装を実施し、ヒートアイランド現象の抑制を図ります。

 次に、交通環境の整備についてです。
 早大通りと神宮球場前における自転車通行空間の整備を進めるほか、安全で快適な自転車通行と近隣区との自転車ネットワーク化を図るため、自転車ネットワーク計画を策定します。

 また、自転車の適正かつ安全な利用の推進に向けて、高田馬場駅前における駐輪場整備に向けた取組を進めるほか、内藤町自転車保管場所の収容台数を拡大し、放置自転車の解消を図ります。
 さらに、自転車シェアリングについては、他区との広域相互利用を促進し、区民や来街者の利便性やまちの回遊性の向上を図ります。


 このほか、鉄道駅の安全性向上や快適な利用空間を整備するため、ホームドア及びエレベーターの設置促進を進めてまいります。平成30年度は、京王新線新宿駅、西武新宿線高田馬場駅及び西武新宿駅のホームドアの設置補助を行うとともに、JR新大久保駅のエレベーターの設置補助を行います。

 次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
 新宿らしい都市緑化の推進に向けて、引き続き花の名所づくりの整備を行うほか、都市部における貴重なみどりの保存を図るため、保護樹木の生育を支える土壌改良等を行います。
 また、神田川、外濠、小滝橋通りの街路樹診断を実施し、適切な更新に向けて検討してまいります。

 新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、ポケットパークと芝生広場の整備やカフェ・レストランの誘致を進めるとともに、公園内のトイレにネーミングライツを導入するなど、新宿中央公園の特色や魅力をさらに高めてまいります。

 また、なんど児童遊園においては、地元の方々と作成している改修計画を踏まえ、魅力ある身近な公園となるよう整備します。

 さらに、区立公園の大型複合遊具等を計画的に更新するため、公園施設等の維持管理計画を策定し、安全で快適な公園づくりを進めてまいります。

 このほか、区内の貴重な水辺とさくらの魅力を多くの方に感じていただけるよう、3月下旬から4月上旬頃にかけて、夜間のライトアップを行います。本年は、神田川の曙橋から仲之橋の区間に加え、妙正寺川の西落合公園付近、外濠の新見附橋から市ヶ谷橋の区間においてもライトアップを行います。
 今後も、さくらの名所を多くの方に散策していただけるよう、パンフレットやポスターのほか、ドローンを活用した動画を制作し、区内のさくらの名所の魅力を広く発信してまいります。

 次に、地球温暖化対策を着実に推進するため、区民・事業者への啓発や省エネルギーへの取組を促進してまいります。
 省エネルギー機器の設置助成の対象として、集合住宅共用部分のLED照明の設置を新たに追加するほか、みどりのカーテンの普及や、「新宿の森」での環境保全体験への参加の促進、中小事業者への省エネルギー対策支援、省エネルギー意識の啓発などに引き続き取り組んでまいります。

 また、資源循環型社会の構築に向けて、ごみ発生抑制を基本とするごみの減量とリサイクルの推進を図ります。
 このため、食品ロス削減協力店登録制度を実施し、食品ロス削減に取り組む事業者の活動を広く周知してまいります。
 あわせて、普及啓発イベントの開催、リーフレットの作成のほか、家庭で余った食品を持ち寄り、必要とする施設等へ寄付する「フードドライブ」をイベント等で実施することにより、食品ロス削減の意識の醸成を図ります。


 次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
 新宿の産業や国際観光都市としての魅力を国内外に広く発信するため、新宿観光振興協会と連携して「しんじゅく逸品マルシェ」を引き続き開催するとともに、出展企業の商品・製品を「しんじゅく逸品」として登録・紹介する取組を進めるほか、新宿ブランドの開発に向けた支援を行います。

 また、東京商工会議所新宿支部と連携して、「新宿ビジネスプランコンテスト」を開催し、起業予定者等の事業計画策定のブラッシュアップや表彰を行い、支援することで新たな事業創出を奨励します。

 さらに、区内中小企業者が行う新製品・新サービスの開発に対する経費への助成制度を新設するとともに、共通の目的を持った中小企業者が交流する場として、新宿ビジネス交流会を開催することにより、新事業創出のための連携支援を行っていきます。

 あわせて、後継者問題を抱える中小企業・小規模事業者を対象として、事業承継準備支援セミナーを開催し、円滑な事業引継ぎや事業承継に向けた支援を行います。

 このほか、若者向けしごと探しサイトの運営による企業の魅力発信や、合同企業面談会・就職支援セミナー、大学1・2年生を対象としたワークショップ形式の企業交流会の開催などにより、中小企業の人材確保と就業環境の整備を支援します。

 また、就職・復職を希望しているものの、離職期間の長さや家庭との両立に不安がある女性の方を対象に、セミナーの開催や、個別相談、マッチングイベント等を行い、家庭との両立支援に積極的な企業への就職を支援します。

 次に、魅力ある商店街の活性化に向けた支援についてです。
 商店会等が実施する、イベント事業や活性化事業、省電力化事業等に対して、引き続き必要な費用の助成を行うとともに、商店会情報誌「新宿(しんじゅく)商人(あきんど)」の発行や、区内大学等との連携による商店街支援事業を実施し、各商店街がもつ特性を活かした魅力づくりを支援します。

 次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
 文化芸術イベントを集約し、発信する新宿フィールドミュージアムでは、新宿文化センターで、音楽イベントを新たに実施するほか、ホームページの多言語化による情報発信を実施し、認知度と集客力の向上を図ります。

 また、外国人観光客を含む来街者を対象とした、華道、茶道等を体験できる「和のプログラム」の実施回数を拡充し、繰り返し訪れたくなるまちづくりを進めます。

 昨年9月に開館した漱石山房記念館では、開館1周年記念イベントや、スタンプラリーの実施、記念切手シート・記念メダルなどのオリジナルグッズの作成により、記念館としての更なる魅力の向上と来館の促進を図ってまいります。

 次に、国際観光都市・新宿としての魅力の向上についてです。
 「新宿フリーWi-Fi」については、西新宿駅、東新宿駅、新宿中央公園周辺への整備を進めるとともに、新たに、データやコンテンツを自動的に配信する「プッシュ情報配信機能」や、実在の風景に仮想の視覚情報を重ねるAR機能を導入・活用することにより、Wi-Fi用ポータルサイトを活用した魅力的な観光情報を提供してまいります。

 また、新宿ならではの新しい観光資源を発掘するとともに、まちの記憶である文化歴史資源、イベントやグルメなどの新宿の持つ多様な魅力を、マップやホームページ、広報紙等を活用して情報発信していきます。
 さらに、平成31年度からの運用を目指し、観光資源情報検索システムの構築に取り組み、新宿の多彩な観光資源を活かした区内回遊を促進します。

 あわせて、新宿を訪れる多くの方々に、区内の各エリアの魅力を提供できるよう、新宿観光案内所のスタッフの充実を図るほか、観光案内標識を神楽坂、四谷、高田馬場へ整備します。
 さらに、区を訪れる外国人旅行者の動線分析を実施し、効果的な観光情報の発信方法について検討してまいります。

 次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
 「区民にやさしい知の拠点」として、図書館の休館日の変更による利用機会の拡充や、電子書籍等を含む魅力ある情報資源の整備に向けて検討してまいります。
 また、子どもから高齢者まで、ライフステージに応じて多様なスポーツに親しむことができるよう、スポーツ体験教室や、トップアスリートを迎えたイベントを実施します。あわせて、障害者スポーツ体験イベントを開催し、障害者スポーツを身近に感じ、競技を応援する気持ちを高めてまいります。

 さらに、戸山公園箱根山地区多目的運動広場については、引き続き、区民が優先的に使用できる多目的運動場としての整備を東京都へ要望してまいります。

 あわせて、(仮称)新宿区スポーツ施設整備基金を設置し、東京2020大会の開催を契機としたスポーツへの参加意欲を促進するとともに、大会後のレガシーとして引き継ぐため、スポーツ施設を整備します。
 平成30年度は、新宿スポーツセンターの設備工事を行い、スポーツを楽しめる環境を向上してまいります。

 次に、多文化共生のまちづくりの推進については、窓口等でのタブレット端末を利用したテレビ通訳システムを充実するほか、地域における日本人と外国人の交流会・コミュニケーションの場を活用し、相互理解のさらなる推進を図ってまいります。

 次に、平和都市の推進についてです。
 昨年は、北朝鮮が6回目となる核実験を強行しました。私は、新宿区民を代表し、核実験実施に対し厳重な抗議文を送付しました。世界で唯一の核被爆国民として、核実験は断じて許すことはできません。

 今後も、国際社会の平和と安全に寄与するため、「新宿区平和都市宣言」の趣旨に基づき、「平和コンサート」や、「親と子の平和派遣」等を通して、戦争の悲惨さと平和の尊さを共有し、次世代に伝えてまいります。

 次に、基本政策の第四、「健全な区財政の確立」についてです。
 区が行う施策や事業を客観的に評価し、評価結果を区の政策形成の基礎とすることを目的として、行政評価を実施しています。
 新たな総合計画のスタートに伴い、施策単位での評価手法を導入するとともに、新公会計システムの活用などにより、各事業の見直しや次年度予算編成への反映をより一層徹底し、行財政運営におけるPDCAサイクルを強化します。

 さらに、区有施設等におけるネーミングライツ導入の促進や、広告掲載の拡大による新たな税外収入の検討、民間との様々な分野にまたがる包括連携協定の検討など、民間活力の効果的な導入について、庁内横断的に検討し、行財政改革に取り組んでいきます。

 あわせて、特別区民税、国民健康保険料等、行政サービスの提供に要する費用の財源については、高い収納率を目指して負担の公平性を確保し、基礎自治体としての自主性・自立性を高めていくとともに、受益者負担の適正化を図ってまいります。

 区有施設については、新宿区公共施設等総合管理計画に基づき、区有施設の維持管理・更新・統廃合・長寿命化などを総合的かつ計画的に行い、マネジメントの強化を図ります。

 あわせて、地域拠点の充実や民間との連携強化、公的不動産の活用による一般財源の確保など、様々な取組を通して、区民の皆様にとって必要な機能やサービスの確保を目指します。
 区が策定するべき、区立小中学校等の個別施設計画については、2020年度の策定を目指して取り組んでまいります。

 次に、基本政策の第五、「好感度1番の区役所」についてです。
 区が保有する公共データを誰もが利用できるよう、平成28年度からオープンデータカタログサイトを運用しています。
 今後は、利用者のニーズに応じて、公開するデータを増やすとともに、オープンデータを活用した官・民・学の連携による地域課題の解決に向けて取り組んでまいります。

 また、納付機会の拡充による利便性の向上に向けて、パソコンやスマートフォンから24時間公金の納付手続きが可能となる「クレジットカード納付」について、2020年度からの実施を目指します。

 さらに、全国のコンビニエンスストア等において、マイナンバーカードを利用して住民票の写しや課税・納税証明書等の取得が可能となる「コンビニ交付」を本年12月から開始します。
 窓口への来庁や、申請書等への記入が不要となり、利便性の向上を図るとともに、窓口の混雑緩和や待ち時間の短縮につなげ、窓口サービスを向上してまいります。

 また、職員一人ひとりの資質向上に向け、実務を遂行するうえで欠かせない知識や法令等の基礎的能力を向上させるとともに、新宿自治創造研究所や人材育成センターと連携して、「公民連携」をテーマに研究を進め、研究成果を施策立案に活用し、職員の政策形成能力のさらなる向上に取り組みます。
 こうしたことを通じて、区民起点で考え、区民と協働し、職場や仕事を改善する職員の育成に引き続き取り組み、区民視点に立った自治の実現を目指します。

 地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望してまいります。

 さて、東京2020オリンピック・パラリンピックまで、あと2年となりました。
 区では、新国立競技場を有する自治体として、東京2020大会の開催とその後を見据えた本格的な取組を開始しました。

 平成30年度も引き続き、区民や関係団体、大学等を交えた「新宿区東京2020大会区民協議会」を中心に、区民の皆様が生涯忘れ得ぬ、また、次世代に記憶と感動が継承できるよう、大会開催までの気運醸成と普及啓発を図ってまいります。

 また、東京2020大会の開催777日前と500日前を記念したイベントを開催し、オリンピアン・パラリンピアンによる講演会や、新国立競技場を会場として行われる競技種目を中心とした体験イベントを実施します。
 体験イベントでは、最新技術を用いたパラリンピック陸上競技用車椅子をVRで体験できるコーナーや、近未来的なボッチャ体験ブースなどを設置し、パラスポーツの楽しさや魅力を伝えていきます。
 あわせて、トリックアートを活用したフォトブースの出張展示を実施し、区民の皆様にご協力いただき撮影した画像を、区役所本庁舎など区有施設13か所と、新国立競技場の玄関口であるJR信濃町駅に設置するデイカウンターでカウントダウンの表示とともに放映するなど、東京2020大会の気運醸成を図ってまいります。


3.2 平成30年度予算の概要

 次に、平成30年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
 最初に国及び都の平成30年度予算案についてです。
 政府は、平成30年度予算を「『経済・財政再生計画』の集中改革期間の最終年度の予算として、経済再生と財政健全化を両立する予算」と位置づけ、人生100年時代を見据え、社会保障制度を全世代型社会保障へ転換し、人への投資を拡充する「人づくり革命」や、持続的な賃金上昇とデフレからの脱却に向け、生産性向上のための施策を推進する「生産性革命」をはじめ、現下の重要課題に重点的に予算を配分しています。
 一般会計予算は97兆7,128億円で、前年度と比較して2,581億円増となり、6年連続で過去最大を更新しています。
 税収は59兆790億円で、前年度と比較して1兆3,670億円増となっています。

 また、東京都は平成30年度予算を「将来を見据えて財政の健全化を堅持しつつ、東京2020大会の成功とその先の未来に向け、東京が持続的成長を続けていくため、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」と位置づけています。
 都税は5兆2,332億円で、前年度と比較して1,040億円、2.8%増となり2年ぶりの増収となっています。一般会計の予算規模は7兆460億円で、前年度と比較して920億円、1.3%の増となっています。

 続いて、区の平成30年度予算案についてです。
 平成30年度予算は、編成の基本方針を「次の10年を展望する新総合計画の達成に向け、新たな一歩を踏み出す第一次実行計画を確実に推進する予算」と位置付け、第一に、良質な区民サービスを提供し続けるために、積極的な施策の重点化を図るとともに、社会経済情勢の変化にも機動的かつ的確に対応できる行財政運営を確保すること、第二に、行政評価や決算実績などに基づくPDCAサイクルによる事務事業の見直し、内部管理経費の精査など、徹底した経費削減に取り組むとともに、特別区税をはじめ、より一層の歳入確保を図ること、この二点を基本に編成しました。
 一般会計予算は1,464億円で、前年度と比較して18億円、
1.3%の増となりました。3つの特別会計は合計695億円で、前年度と比較して78億円、10.1%減となり、一般会計と合わせた平成30年度予算案の総額は2,159億円、前年度と比較して60億円、2.7%の減となりました。




 良質な区民サービスを提供し続けるためには、将来にわたり安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、引き続き、区税等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取組を、さらに進めることが重要です。
 常に区民の視点で、不断の行財政改革に引き続き徹底して取り組み、持続可能な行財政運営に努めてまいります。


4 おわりに

 以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

 区政を取巻く社会経済情勢は、今後も刻一刻と変化していきます。その変化を慎重に見極めながら、迅速かつ的確に対応し、区民生活を支えていくことが求められます。
 そのため、これまで以上に、効果的・効率的な区政運営を行うとともに、区民の皆様をはじめ、様々な主体との連携・協働に一層積極的に取り組むことにより、持続可能な行財政基盤を確かなものにしていきます。

 発言の冒頭で、区民税の増収を超えた扶助費の増加傾向、高齢者人口の増加傾向について言及いたしましたが、私は、新宿の未来に、決して悲観的な思いは持っておりません。課題は山積しても、若者から高齢者まで、幅広い世代の皆様との協働によって乗り越えられるものと考えています。各々が、無理のない範囲で自らの役割を果たす、支え合いの社会の実現を目指してまいります。

 1月に行われた文化財防火デーの防火訓練に、自衛消防隊として一昨年に放火火災に見舞われたゴールデン街の皆さんが参加されました。助けられる側から、助ける側になった瞬間であったと思います。互いに支え合い、助け合う区民の力こそが『新宿力』の象徴であると考えています。

 本年も、現場・現実に向き合い、区政課題を的確に見極めながら、「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、すべての区民の皆様が心豊かに暮らすことができるよう生活を支え、誰もが住みたい、住み続けたいと思えるまちづくりの推進に全力で取り組んでまいります。

 議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。
 

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