歌舞伎町のにぎわいの中で歴史と文化のやすらぎを

最終更新日:2007年9月11日

写真:稲荷鬼王神社の境内と映画資料展示
写真:映画資料展示
写真:會田春燕さんの書
 区役所近くの稲荷鬼王神社(歌舞伎町2-17-5)に、書や版画作品、昭和の時代の映画資料が展示されている。神社では、例大祭(今年は16日(日)・17日(祝))に合わせて4年前からこうした催しが行われ、16日には作品の題材となった詩や小説の朗読会もある。

 映画資料の展示は、戦前、神社に隣接して、新宿の映画館の草分けの1つである「大久保館」があったことにちなむもの。展示内容は毎年変わり、先代と現在の宮司が集めた3,000点近くの資料の中から、今年は昭和20年代後半~30年代の作品を中心に、懐かしい映画のチラシやプログラムなど250点以上が展示されている。

 また、神社付近は、島崎藤村、小泉八雲の二人が一時住んでいた、ゆかりの地である。今年初めての試みとして、書家の會田春燕さん(区内在住・日展入選者)の筆による書、藤村の詩「新潮」の一節を展示。また、版画家の山口菜摘さんが、八雲の小説「安芸之助の夢」の世界を表現した2枚の版画も展示している。山口さんが八雲の小説をテーマに版画を制作するのは今年で3回目になる。
 展示は18日(火)まで。書と版画は12時~18時(14日~17日は21時まで)、映画資料は終日、境内で見ることができる。

 「新潮」「安芸之助の夢」の朗読会は、16日(日)20時30分(予定)から仮設の神楽殿で。展示、朗読会とも無料。
 稲荷鬼王神社は、毎年4月に、宮司とご家族が丹精込めて育てたさくら草を展示することでも知られている。また、雨水などがかめに落ちる音を楽しむ水琴窟を設置するなど、歌舞伎町のにぎわいの中で、静けさとやすらぎが感じられる場所。

 地域の方とともに催しを企画し、事務局を務める宮司の大久保直倫(なおとも)さんは、「この地にゆかりの文学者や映画館のあった歴史に少しでも触れて、新宿のまちをより好きになってもらえばうれしい」と期待を寄せている。

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稲荷鬼王神社 電話(3200)2904