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令和6年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2024年2月16日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和6年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。

本定例会では、令和6年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

はじめに、本年1月1日に発生した能登半島地震で被災された皆様に心からのお見舞いを申し上げますとともに、亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。また、支援物資輸送中の事故で、貴重な命を失った海上保安庁の隊員の皆様のご冥福をお祈り申し上げます。新宿区といたしましても、最大限の支援をしてまいります。

昨年5月に、新型コロナウイルス感染症の法律上の分類が5類へと変更されると、地域行事や各種イベントが再開され、地域に以前の賑わいが戻ってきました。国内外からは多くの観光客が新宿のまちを再び訪れるようになり、活況を呈しています。
区民の日常生活が取り戻せているのは、オール新宿で感染症対策に取り組んでくださった医療従事者をはじめとする関係者の皆様と、区民や事業者の皆様の忍耐とご努力のお陰だと考えています。
この場をお借りして、改めて感謝を申し上げます。

さて我が国の経済情勢を見ますと、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。
しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。

区財政においては、一定の財政対応力を保持しているといえますが、長引く原油価格・原材料価格の上昇など社会経済情勢の不透明な状況が続いており、引き続き、景気動向を見極めるとともに、地域経済活性化への支援や物価上昇への対応が求められます。
さらに今後の社会保障関連経費や施設更新需要の増大など、区財政を取り巻く環境は、引き続き予断を許しません。

こうした状況にあっても、区民生活を支え、地域経済活動の活性化を図るとともに、区政課題の解決に向けた取組を着実に進めていかなければなりません。

令和6年度は、平成30年度から令和9年度を計画期間とする総合計画の達成に向けて、第三次実行計画がスタートする重要な1年となります。
現場現実を重視しながら、区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、また、未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように、力を尽くしていきます。 

2 令和6年度の区政運営の基本認識

次に、令和6年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

はじめに、「防災対策の強化」についてです。
今年発生した能登半島地震をはじめ、気候変動に伴う大型台風や、局地的集中豪雨などの災害が日本各地で発生しており、東京もいつ大災害が発生するかわからない状況となっています。
区では、これまで災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりを目指し、避難所防災訓練等による地域防災力の向上や、建物の耐震化、道路の無電柱化による防災都市づくりの取組を推進してきました。

こうした取組をより一層推進していくため、令和6年度は地域住民や消防、警察、ライフライン事業者等と連携した総合防災訓練を実施してまいります。

また、地域交流館等の通所系施設の福祉避難所については、施設ごとの課題を踏まえた避難所の役割の明確化や、運営の具体化の検討などを実施し、福祉避難所の運営体制のさらなる強化を図ります。

マンションの防災対策については、戸別訪問により防災意識の啓発を図るとともに、エレベーター用防災キャビネットの支給や、防災備蓄品購入費助成を新たに開始し、自主防災組織の結成を促進していきます。

災害時における被災者生活再建支援の強化に向けては、罹災証明書発行事務や住家被害認定調査をデジタル化するほか、職員に対する実践的な研修を行ってまいります。

建築物等の耐震性強化については、木造・非木造・特定緊急輸送道路沿道建築物への耐震改修工事費補助を実施するほか、エレベーターの防災対策改修への助成を実施します。
さらに、耐震性が特に十分でないブロック塀等を対象に、専門家のアドバイザー派遣制度を新設するほか、除却工事費に係る助成上限額を40万円から100万円に拡充します。

次に、「物価高騰対策による区民生活・事業者の支援」についてです。
エネルギー価格や食材料費などの物価高騰対策として、「物価高騰対策臨時給付金」の追加給付を、まずは住民税非課税世帯を対象に、昨年末から進めています。
今後は、国が実施する住民税均等割のみ課税世帯への給付や、子どものいる世帯への加算の給付に加え、2月1日の臨時会で議決いただいた区独自の住民税非課税世帯に対する1世帯3万円の追加給付、子どものいる世帯への加算の対象とならない所得300万円未満までの世帯に対する子ども1人につき1万円の追加給付について、1日でも早く区民の皆様へ給付できるよう準備を進めてまいります。また、定額減税とその補足給付についても、国から詳細が示され次第、速やかに対応してまいります。

本年4月からは、区立学校の給食費を無償化するとともに、私立学校就学者等へ給食費相当額を支給することにより、全ての子育て世帯を対象にさらなる負担軽減を図っていきます。

中小企業者・地域経済活性化への支援では、経営力強化支援事業補助金や、公衆浴場運営費助成を引き続き実施するとともに、子育て支援施設や、高齢者・障害者等の日常生活への支援を行うなど、地域の社会経済活動の正常化に向けた取組を進めてまいります。

次に、「地域コミュニティの活性化」についてです。
町会・自治会は、地域の防災・防犯、環境美化、賑わいづくり等、様々な活動を行っており、地域コミュニティになくてはならない組織です。
しかし、近年の生活様式の変化や価値観の多様化等により、町会・自治会の加入率の低下や活動の担い手不足が深刻化しています。
町会・自治会の活動を後押しし、地域コミュニティを活性化させ、暮らしやすいまちを実現するため、「(仮称)町会・自治会活性化推進条例」を制定するとともに、条例の推進に必要な施策を計画的に実行するため、「(仮称)町会・自治会活性化等推進プラン」の策定に向けた検討を行ってまいります。

次に、「子育て家庭への切れ目のない支援」についてです。
個々の家庭に応じた切れ目のない支援を充実していくため、本年4月に、妊産婦や子育て世帯に一体的な相談支援を行う「こども家庭センター」を設置し、母子保健部門と児童福祉部門の連携や相談支援体制の強化を図ってまいります。

産後の支援では、ショートステイ型の支援施設として「愛育産後ケア子育てステーション」を新たに追加するほか、バースデーサポート事業について、ギフト金額を拡充するとともに、子育て支援用品だけではなく、家事支援用品を選択できる電子ギフトを導入します。

幼児教育への取組では、私立幼稚園の保育料に係る補助を拡充することにより、区内私立幼稚園全園の保育料を実質無償化してまいります。

学童クラブについては、戸塚第一小学校内学童クラブを新たに開設するとともに、東五軒町学童クラブをはじめとする6所の学童クラブにおいて、学童クラブ専用スペースを拡大し、定員拡充を図ってまいります。
また、夏休みなどの長期休業期間中のお弁当を専用サイトから申し込みいただき、配送するサービスを開始し、学童クラブを利用している保護者の負担を軽減していきます。

高校生に対しては、新宿区子ども未来基金を活用した「高校生全国大会等出場者助成」及び「高校三年生進路支援助成」を新たに実施し、文化・スポーツ、進路や職業選択に対してのチャレンジを支援してまいります。

このほか、子どものスポーツ活動を支える団体に対し、区立スポーツ施設の貸切利用料金を半額にすることにより、子どもたちが気軽にスポーツを楽しめる場や機会を提供します。

次に、「区政全般」についてです。
今後の4年間は現在の総合計画に掲げる目標を達成し、新たな施策の方向性を示す次期総合計画の礎を築く重要な期間となります。
このため、基本構想に掲げる“めざすまちの姿”「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の実現に向けた取組と、これらを下支えする「健全な区財政の確立」・「好感度1番の区役所」とを合わせた「5つの基本政策」の実現に向け、区の総力を挙げて対応していきます。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、基本構想に示す「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。

はじめに、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組の充実についてです。
多くの区民の皆様が健康づくりに積極的に参加できるよう、「しんじゅく健康ポイント」や「しんじゅく健康スタンプラリー」の参加者数の拡充や、「しんじゅくシティウォーク」の定員拡大を図るとともに、初心者向けウォーキング教室の開催回数を増やしていきます。
さらに、ウォーキングマップを改訂し、最新のコース情報を掲載することにより、身近な運動であるウォーキングに取り組みやすい環境を整備していきます。

高齢期の健康づくりと介護予防・フレイル予防については、「新宿いきいき体操」の音源を刷新し、「新宿ごっくん体操」「しんじゅく100トレ」とあわせて住民主体で実践できるよう活動の支援を行っていきます。
高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施では、医療専門職チームの体制を強化し、要介護に移行しやすいフレイルハイリスク者への訪問指導の充実を図るとともに、通いの場等での健康教育や健康相談などの機会をより多く提供してまいります。

女性の健康づくりの推進では、女性の健康週間に合わせたイベントや、健康セミナーを開催することにより、女性が生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせるよう支援してまいります。

がん患者への支援については、治療に伴う外見の変化による悩みを抱えている方が、自分らしく生活できるよう、ウィッグなどの購入やレンタルにかかる費用を助成する取組を新たに開始します。

生涯を通じた歯と口の健康づくりでは、障害者の歯科保健を支援する環境を整備するため、新たに、障害者施設職員や医療従事者向けの研修会のほか、施設利用者への健康教育を実施してまいります。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進についてです。
多様な世代が主体的に地域の担い手となって支え合うしくみづくりを推進するため、大学等と連携した地域支え合い普及啓発イベントや、区がオリジナルで作成した3つの体操・トレーニングの体験会を実施するほか、信濃町シニア活動館において、新たに「地域支え合い活動」を展開してまいります。

さらに、高齢者福祉活動基金助成について、地域支え合い活動を対象とした助成申請の回数制限を撤廃するとともに、申請団体数を拡充することにより、高齢者等支援団体への支援を充実していきます。

介護保険サービスの基盤整備では、令和7年度の開設に向けて、払方町国有地における認知症高齢者グループホーム等の整備を進めてまいります。

また、地域で認知症高齢者を支援する体制を充実していくため、チームオレンジについて、既存のチームの活動支援に加え、新たなチームオレンジの設置に向けた準備を進めていきます。

紙おむつ購入費助成については、在宅重度心身障害者や高齢者への助成限度額を本年1月から引き上げていますが、4月からはさらに、40歳から64歳で要介護認定を受けている方を新たに対象者に加えて実施してまいります。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
障害者が住み慣れた地域で生活できるよう、払方町国有地と中落合一丁目区有地において、令和7年度の開設に向けて、障害者グループホームの整備を進めてまいります。

また、障害者福祉センターにおいて本年4月から生活介護事業の定員を拡充するとともに、引き続き新宿生活実習所の建て替えに向けた整備を進めてまいります。

地域活動支援センターや福祉ホームの運営支援については、安定的な施設運営の確保を目的に、助成制度の見直しを行うとともに、主に聴覚障害者を対象とした身体障害者の方の地域活動支援センターを新たに開設し、障害者の自立した日常生活や社会生活への支援を拡充していきます。

障害福祉サービスなどを行う事業所の情報については、介護事業所や通いの場などの情報検索サイトである「さがせーる新宿」に新たに掲載し、暮らしに役立つ情報を発信してまいります。

また、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」の改正に伴い、本年4月から障害者への合理的配慮の提供が義務化される民間事業者向けのパンフレットを作成し、周知を図ってまいります。

失語症者の支援では、失語症者の自立生活及び社会参加を支援している団体に対し、会話のサポートを行う言語聴覚士などの支援者を派遣する取組を本年4月から開始します。

このほか、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に向け、医療・保健・福祉の分野における関係機関で構成される検討会を新たに設置します。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
産婦人科医やピア・カウンセラーによる不妊相談を実施し、妊娠を望む方に寄り添った支援を行うとともに、妊婦健診における超音波検査の助成回数を拡充し、すこやかな妊娠と安全な出産への支援を行います。また、産前産後の支援では、産後ドゥーラやヘルパーの派遣を実施し、養育者の精神的・身体的な負担を軽減していきます。

多胎児家庭に対する支援では、タクシーを利用する際の移動経費の補助制度を新たに開始し、多胎児家庭が母子保健事業等に参加し、困りごとを相談しやすくなる環境を整えていきます。

保育基盤の整備については、待機児童ゼロの継続を目指し、再開発事業による就学前人口の増加など、保育ニーズを的確に把握し、保育所の整備を進めてまいります。

さらに、区立保育園・子ども園を対象に、保育業務支援システムや一時保育システムを導入し、職員の業務負担を軽減するとともに、利用者の利便性の向上を図っていきます。

また、区内10所の認可保育所及び認定こども園において、「在宅子育て家庭への相談支援」を新たに開始し、在宅子育て家庭が孤独・孤立に陥らないよう、相談体制を充実していきます。

児童虐待の予防及び重篤化防止に向けては、東京都児童相談センター内に設置した子ども総合センター分室の効果を踏まえながら、引き続き、個々の相談ケースに応じた適切な支援へ迅速につなげていきます。あわせて、職員の更なる専門性の向上を図りつつ、児童相談所の設置について検討してまいります。

こうした取組に加え、昨年実施した「新宿区子ども・子育てに関する調査」の結果を踏まえ、令和7年度からの5年間を計画期間とする「新宿区子ども・子育て支援事業計画」(第三期)を策定します。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
ICTを活用した教育の充実については、タブレット端末の機器更新や、特別教室への「ディスプレイ型電子黒板」の導入により、各小・中学校のICT機器やデジタル教材を活用した教育活動の一層の充実を促進していきます。

発達に心配のある児童・生徒への支援については、各小・中学校において特別支援教育推進員を増員し、学級内の指導体制の更なる充実を図ります。

不登校児童・生徒への支援については、タブレット端末を活用した学習支援や、東京都との連携によるメタバースを利用した支援を引き続き実施するほか、児童・生徒への訪問型支援の実施場所を拡充し、多様な教育の機会の確保に向けて取り組んでまいります。

さらに、家庭訪問や面談等により児童・生徒及びその保護者への相談・助言等を行う家庭と子供の支援員の配置校をさらに拡充し、各校における個別支援を一層充実させてまいります。

このほか、タブレット端末を活用した相談窓口を開設し、より気軽に相談できる体制を整えることで、学習面や進路を含めた様々な悩みを受け付け、児童・生徒の小さなSOSを把握し、早期に対応していきます。

教員の勤務環境の改善・働き方改革に向けては、昨年より実施している民間提案制度を活用した部活動指導員の配置数を拡充し、更なる部活動の質の向上を図ります。
また、教員の授業準備などの業務支援を担う「スクール・サポート・スタッフ」を全区立学校に新たに配置するとともに、小学校1年生から3年生には、副担任相当の業務を担い、担任を補佐する職として、「エデュケーション・アシスタント」を全区立小学校に新たに配置することにより、教員の負担軽減に取り組んでまいります。

小学校の学級編成については、近年の児童数の増加や、35人学級の段階的な実施に向けて、普通教室の整備を計画的に進めます。
また、校舎の増築については、四谷小学校は令和7年度2学期から、西新宿小学校は令和8年度1学期からの使用開始に向け、整備を進めていきます。

さらに、昨年11月から実施している私立幼稚園における未就園児の預かり保育への助成を引き続き実施するとともに、区立幼稚園では、教育時間終了後に実施している遊びを通じた学びのプログラムの実施回数を拡充し、特色ある幼児教育の更なる充実を図ります。

このほか、児童のより安全・安心な登下校環境を整備するため、全区立小学校の通学路に配置している学童擁護員の追加配置を行ってまいります。

次に、セーフティネットの整備充実です。
生活困窮世帯の子どもへの学習支援の充実を図るため、本年4月から訪問等による個別支援を新たに実施するほか、「新宿進学さぽーと教室」の対象を高校卒業まで拡大することにより、大学等への進学も含めた多様な進路を選択できるよう支援を充実します。

また、ひきこもりへの支援については、昨年11月に総合相談窓口を開設し、悩みごとを気軽に相談できる環境を整備しました。
引き続き、総合相談窓口を入り口として、相談内容を踏まえ、関係機関と連携して適切な支援に繋げてまいります。

さらに、本年4月に、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」が施行されることを踏まえ、女性相談支援員を増員し、相談体制を充実させるとともに、新たに支援調整会議を設置し、関係機関との連携強化を図ってまいります。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画フォーラムを開催するとともに、若者の区政参加を促進するため、「しんじゅく若者会議」を開催します。

また、働きやすい職場環境づくりを支援するため、「新宿区ワーク・ライフ・バランス推進企業認定制度」などの取組を実施するほか、企業における育児支援の強化を検討していきます。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
地域コミュニティ活性化に向けた取組を一層推進していくため、各町会・自治会の実情やニーズに合わせて専門家による相談やデジタル化の支援等を行う「プログラム型コンサルティング」を実施するとともに、区公式LINEを活用したマンション向け地域情報・防災情報等の配信やタワーマンションへの個別訪問による地域との接点づくりに取り組んでまいります。

大久保通り周辺では、オーバーツーリズムによる様々な課題が生じており、地域や関係機関が一体となり、混雑対策や生活環境の向上に取り組む必要があります。
そのため、町会や商店街などの関係機関で構成される「大久保通り周辺の混雑・環境対策等推進協議会」を新たに設置し、課題解決に向けた対策を推進していきます。
また、新大久保ルールのPR強化や飲食・滞留スペースの利用促進を図るとともに、大久保通り周辺の交通量調査を実施します。
さらに、路上のポイ捨て防止等の環境美化活動のほか、まちの魅力再発見に向けて、「大久保つつじ」の普及啓発等を図っていきます。
こうした取組により、「暮らしやすく快適に過ごせる大久保のまち」の実現を目指してまいります。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
新宿区勤労者・仕事支援センターを中心に、就労意欲のある障害者や高齢者、若年非就業者などに対し、総合的な就労支援を実施していきます。
障害者就労支援事業において、ハローワークなどの関係機関と連携した「就労選択支援」の実施に向けた準備を進めるほか、若年者等就労支援事業では、事業のPR動画を新たに作成し、利用の促進を図ります。
また、高年齢者無料職業紹介事業においては、新たに「求人者向けセミナー」を実施することにより、求職者と求人者の適切なマッチングを図っていきます。

さらに、女性や外国人留学生等の就労と中小企業の人材確保を推進するため、マザーズハローワーク東京と連携したセミナーを実施し、女性のデジタル人材の育成支援を強化するほか、外国人雇用にあたり中小企業が抱える課題解決に向けた支援を行います。

このほか、高齢者や障害者、ひとり親世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、家賃等債務保証料の助成や、単身高齢者の死亡に伴う家財の片付け費用等を補償する保険料の助成を実施するとともに、助成制度の見直しについて検討を行ってまいります。

基本政策の第二は「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。

東京都が公表した「首都直下地震等による東京の被害想定」を踏まえ、本年3月に「新宿区地域防災計画」を修正するとともに、令和6年度に「新宿区事業継続計画(地震編)」及び「新宿区災害時受援応援計画」を改定し、防災対策のより一層の強化に取り組んでまいります。

擁壁・がけの安全化に向けては、所有者に対する安全化指導及び啓発を行うとともに、専門技術者の派遣や、土砂災害特別警戒区域の指定解除が見込まれる土砂災害対策工事等への助成を行うことで、安全化を促進していきます。

若葉・須賀町地区では、地区計画の変更や新たな防火規制の導入により、老朽化した木造住宅の建替えや共同化を推進し、木造住宅密集地域における防災性の向上と住環境の改善を図ります。

再開発による市街地の整備については、西新宿五丁目中央南地区の市街地再開発事業が本年10月に竣工を予定しています。
西新宿三丁目西地区については、令和7年度の権利変換計画認可を目指し、権利者の合意形成などを進めています。
また、高田馬場駅東口地区などにおいて、市街地再開発の事業化に向けた支援を実施します。

このほか、概ね3年ごとに検証、見直しを行うこととしている「新宿区耐震改修促進計画」について、改定を行ってまいります。

災害に強い都市基盤の整備については、道路の無電柱化を推進することにより、歩行空間のバリアフリー化や美しい都市景観の創出を図ります。令和6年度は、女子医大通り、四谷駅周辺区道、上落中通り、水野原通りの整備に取り組んでまいります。

また、橋りょうの整備については、本年3月に「新宿区橋りょう長寿命化修繕計画」を改定し、計画的な補修・補強の実施により、健全かつ安全な維持管理を推進します。
令和6年度は、榎橋及び長町橋1号の補修工事を実施します。

次に、災害に強い体制づくりについては、避難所の開設・運営訓練の実施や災害用備蓄物資の計画的更新、帰宅困難者対策の推進等により、災害時における体制の充実を図ってまいります。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
悪質売掛被害防止に向けては、昨年11月にホストクラブとの連絡会を立ち上げ、被害防止に向けた話し合いを重ねてきました。
また、12月には地域団体や警察、東京都と合同で被害防止キャンペーンを実施するとともに、高額売掛による借金を抱えた本人や家族からの法律相談窓口を設置しました。
引き続き、関係機関と連携し、被害を受けた方への支援を実施してまいります。

繁華街における安全安心パトロールについては、午後3時から翌午前5時までの体制を維持するとともに、歌舞伎町に集まる若者や女性の犯罪被害防止に向けた活動を行うNPO等を支援してまいります。

ハロウィン等における路上飲酒対策については、「(仮称)新宿駅周辺地域における路上飲酒の制限に関する条例」の制定に向け、準備を進めていきます。

このほか、昨年12月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」の趣旨を踏まえ、今後の空家等対策の方針を検討するため、令和6年度は区内の空家等の全数調査を実施します。

次に感染症の予防と拡大防止についてです。
区では、感染症発生から3年以上にわたり、全庁を挙げて実施した様々な取組をまとめた「新宿区新型コロナウイルス感染症対応記録」を本年3月の公開に向けて作成しています。この対応記録を区民や関係機関等と共有し、次代に継承するとともに、将来発生しうる新たな感染症に備えてまいります。

また、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」の趣旨を踏まえ、本年3月に、感染症予防のための基本的な指針となる「新宿区感染症予防計画」を策定します。

さらに、感染症の蔓延時において、地域の保健師等の専門職が保健所などの業務を支援する仕組みであるIHEATについて、登録要員向けの研修を新たに実施し、感染拡大時における保健所体制の強化を図っていきます。

HIV・性感染症については、都内における梅毒の感染者報告数が平成11年の調査開始以来、最多となった状況を踏まえ、既存の通常検査に加え、新たに即日検査を実施し、性感染症対策を強化します。

また、本年4月から、小学6年生から高校1年生を対象としたHPVワクチンの男性接種を自己負担無料で実施することにより、HPVの感染予防を図っていきます。

次に、良好な生活環境づくりの推進については、本年2月に策定した「新宿区マンション管理適正化推進計画」に基づき、「マンション管理計画認定制度」を実施しています。
本年4月からは、認定に向けた支援として、長期修繕計画の作成費や管理計画認定支援サービス手数料の補助を開始するとともに、認定を受けた管理組合に対しては、宅配ボックス設置費補助を実施し、マンションの良好な維持管理を促進していきます。

このほか、コロナ禍を契機としたライフスタイルの変化をはじめ、急速に進展するデジタル化、環境負荷の軽減などへの対応や、定住人口と住宅ストックの充足を踏まえた住宅供給に向けて、令和7年3月に「(仮称)新宿区マンションまちづくり方針」を策定します。

繁華街におけるねずみ対策については、歌舞伎町周辺地区において、事業者等へのごみの排出指導や不法投棄ごみの収集に加え、ねずみの環境調査や、殺鼠剤等を使用した一斉駆除を一体的に実施しています。
また、建物の所有者等からの個別相談に対して、専門相談員の派遣を行っています。
引き続き、歌舞伎町周辺地区での取組を継続し、その効果を検証するとともに、大久保・百人町地区に対策を拡大します。

人と動物が共生するまちづくりについては、昨年11月から開始した犬猫等の保護譲渡などに係る費用の助成を引き続き実施し、ボランティア団体等の活動を支援します。

狂犬病予防対策では、動物病院で予防注射を接種した際に、注射済票を合わせて交付できる取組を新たに実施し、区民の利便性向上を図ってまいります。

基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。

はじめに、回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくりについてです。
新宿駅直近地区では、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、駅や駅前広場、駅ビル等の一体的な再編に取り組んでいます。
令和6年度は、西新宿一丁目地区と新宿南口西地区の地域冷暖房施設における都市計画変更の決定を行います。
今後も事業者と連携しながら、新宿グランドターミナルの整備に取り組むとともに、新宿駅周辺地区においても、地元組織や東京都と連携し、各地区の個性や魅力を活かしたまちづくりを進めてまいります。

歌舞伎町地区では、東急歌舞伎町タワーに設置された屋外ビジョンとシネシティ広場を一体的に活用したイベントの実施や、歌舞伎町PR動画の放映による来街者への情報発信など、さらなる賑わい創出に向けた取組を実施しています。
こうした地域活性化プロジェクトをより一層推進するため、新たなエリアマネジメント活動方針を策定し、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現に取り組んでまいります。

次に、地域特性を活かした都市空間づくりについてです。
高田馬場駅周辺地区では、事業者や地元の皆様と連携しながら、「高田馬場駅周辺まちづくり方針」の実現に向けた検討を進めていきます。

西早稲田駅周辺地区においては、地元におけるまちづくり機運の高まりを受け、昨年11月に設立した西早稲田駅前地区まちづくり協議会とともに、まちづくりのルール策定に向けて取り組んでまいります。

飯田橋駅周辺地区では、「飯田橋駅前地区基盤整備ビジョン」の実現に向け、地域住民が主体となったまちづくりの機運醸成を図りつつ、東京都や千代田区、文京区、鉄道事業者などの関係者で策定した「飯田橋駅周辺基盤整備方針」に基づき、都市基盤整備の事業手法について検討を進めていきます。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりについてです。
誰もが利用しやすく、わかりやすい質の高い都市空間を創出するため、建築等の計画段階から協議を行い、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めていきます。

また、「新宿区移動等円滑化促進方針」に基づき、高齢者や障害者の皆様との意見交換を実施していくとともに、民間事業者とも連携しながらバリアフリーの道づくりを進めてまいります。令和6年度は、新宿通りと社会福祉協議会前区道を整備します。

次に、道路環境の整備についてです。
道路の改良については、早大通りの車道の改良工事に引き続き取り組んでいくとともに、江戸川橋通りの道路改良工事に着手し、歩道の拡幅や点字ブロックの設置などに向けた整備を進めます。

また、街路灯のLED化を着実に推進するほか、道路の遮熱性舗装の実施や、環境に配慮したアスファルト舗装等の検討を進め、道路の環境対策を推進していきます。

次に、交通環境の整備についてです。
歩行者、自転車、自動車それぞれが、安全かつ安心して通行できる道路空間の創出に向けて、「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、自転車通行空間を整備してまいります。
また、自転車用ヘルメットの購入費用の助成を引き続き実施するとともに、交通安全への啓発活動にも一層取り組んでいくことで、自転車等の安全利用を促進していきます。

さらに、商業施設等に対して施設の規模に応じた駐輪場の設置を義務付ける「駐輪場附置義務制度」について、自転車利用の調査を実施し、実態に応じた制度となるよう見直すことで放置自転車対策の強化を図っていきます。

新たな地域交通の導入に向けては、アンケート調査を実施し、ご意見やニーズを把握するとともに、「地域公共交通会議分科会」において、区内の交通事業者等との導入に向けた検討を進め、高齢者や子育て世帯、障害者の方などをはじめとする区民の利便性の向上や移動する際の負担軽減を目指します。

西武新宿線の高田馬場駅から西側の開かずの踏切対策については、地域住民の皆様と情報共有を図るとともに、鉄道立体化等に向けた検討を進めていきます。

また、京王線新宿駅のホーム中央やJR新宿駅と接続する地下連絡通路では、混雑により歩行者の円滑な移動が妨げられているなどの課題を解決するため、東京都や鉄道事業者と連携し、バリアフリーに配慮した乗換え経路の新設等、京王線新宿駅の総合的な整備を促進していきます。

このほか、飯田橋駅近くに立地する飯田濠緑地部について、地元の意見や外堀の景観に配慮し、公衆トイレや駐輪場等の整備の検討を進めてまいります。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、令和7年度の工事完了に向けて「花のもり」の整備を進めるほか、着替えや授乳等ができる新たな休憩施設を整備し、公園を訪れる方がより快適に過ごすことができるよう取り組んでいきます。

みんなで考える身近な公園の整備では、2か年に1か所であった公園整備を毎年度実施し、住民参加による公園の再整備や地域と連携した公園管理を一層促進していきます。令和6年度は、「東五軒公園」の再整備を行うとともに、中落合の「西坂公園」について、地元の皆様からの意見を聞きながら再整備に向けた計画を作成します。

また、区立公園におけるみどりを保全し、倒木等の重大事故を防止するため、新たに公園樹木の健全度調査を計画的に実施し、利用者や近隣住民の方の安全・安心の確保に取り組みます。

さらに、区道全体における「新宿区街路樹管理指針」の見直しを行うとともに、リーディングプロジェクトとして、貴重な観光名所である神田川の桜並木を次世代に承継していくため、桜並木の健全度調査や、アクションプラン作成に向けた準備を進めてまいります。

次に、地球温暖化対策の推進についてです。
「第三次環境基本計画」に基づき、地球温暖化対策の取組を一層推進し、ゼロカーボンシティ新宿の実現を目指します。
そのため、区有施設のLED化を実行計画に位置付け、推進するとともに、区民や事業者向けの省エネルギー機器等の設置助成について、補助件数を拡充し、更なるCO₂排出削減に取り組みます。
また、新たな「新宿の森」の展開によるカーボン・オフセット事業の拡充やJクレジットを活用した他自治体との連携をはじめ、環境学習や環境教育をより一層推進するための小・中学生向け普及啓発読本の作成や、大学と連携した若者の環境意識啓発事業の実施に向けた検討を行ってまいります。
さらに、環境活動を行う区民や団体等の人材登録と会員活動のコーディネートを行う「(仮称)環境活動人材ネットワーク」の創設や、従来の「新宿エコ自慢ポイント」を「(仮称)新宿環境アクションポイント」としてアプリ版を導入することにより、区民の皆様の環境に配慮した行動を後押ししていきます。

次に、資源循環型社会の構築についてです。
区民、事業者、区の意見交換の場である「3R推進協議会」を運営し、相互に理解を深めながらごみの減量とリサイクルの促進に取り組むとともに、区内の資源循環をより一層推進するため、民間事業者との新たな連携事業を検討してまいります。

また、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」に基づき、本年4月から単一素材でできたプラスチックを容器包装プラスチックと併せて回収し、プラスチックの資源循環を促進します。
本年3月には、プラスチック使用製品廃棄物の分別方法等を記載した冊子を全戸配布し、区民の皆様へ広く周知してまいります。

食品ロス削減については、「食品ロス削減協力店登録制度」やフードドライブの取組を推進するとともに、啓発動画やハンドブックなどを活用し、家庭や事業所で実践できる取組の普及を図ります。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
しんじゅく逸品については、金融機関と連携した販路開拓等支援に取り組むことで、新宿ブランドの発信や地域経済の活性化を推進します。

染色業、印刷・製本関連業の地場産業の振興では、新宿区染色協議会が製作した晴れ着をはたちのつどい会場で貸し出すほか、ふれあいフェスタでの和綴じ本の体験教室の実施や、新宿観光案内所での「Azalée」柄商品の販売などを通じて、地場産業の魅力を発信していきます。

中小企業の支援では、「経営力強化支援事業補助金」の補助メニューに、求人コンテンツの作成やコンサルティングに係る経費を補助する「人材確保・定着支援」を新たに追加することにより、中小企業等の事業継続と経営の安定化を図ってまいります。

また、地域経済の活性化と区民の生活応援をより一層推進するため、プレミアム付商品券の発行総数を30万冊から36万冊に拡充します。

次に、新宿の多様な魅力による賑わいの創造についてです。
「新宿フィールドミュージアム」のコアイベントとして開催している都市型音楽フェス「SHIN-ONSAI」については、新宿文化センターの改修工事に伴い、複数の区内ライブハウスと連携した取組を行います。また、文化情報の発信を強化するため、ICTのさらなる活用について検討を進めていきます。

さらに、新宿の魅力を体感できる体験型ツアーを企画し、専用WEBサイトでの販売を開始するほか、新たにインバウンド向けの観光プロモーション動画を制作することにより、新宿の魅力を国内外に発信します。

このほか、ふるさと納税の返礼品については、引き続き、しんじゅく逸品の品物などの「モノ消費」と併せて、新宿の魅力を体験できる「コト消費」を用意することにより、多くの方が新宿を訪れるきっかけづくりを推進してまいります。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
スポーツ環境の整備については、スポーツ体験教室や、パラスポーツ体験会の実施回数を増やすとともに、新たに障害者向け運動教室を開始し、全ての人がライフステージ等に応じて、様々なスポーツ活動に親しめる環境の充実を図ります。

また、新宿区スポーツ施設整備基金の活用による甘泉園公園庭球場の人工芝の張替えを行うとともに、落合中央公園野球場おいては、照明のLED化及び人工芝の張替えを行うための調査・設計を実施します。

さらに、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーの継承や、パラスポーツを通じた「共生社会」の実現など、スポーツ施策に求められる新たな課題を踏まえ、「新宿区スポーツ環境整備方針」を改定します。

このほか、区立図書館に電子書籍貸出サービスを導入し、パソコンやスマートフォンでの図書の貸出や返却を可能にすることで、いつでもどこでも読書を楽しめる環境を整備してまいります。

次に、多文化共生のまちづくりの推進では、「新宿多文化共生まちづくり会議」の運営をはじめ、外国人への情報提供や外国人相談、日本語学習支援、しんじゅく多文化共生プラザを拠点としたネットワーク事業などに総合的に取り組んでまいります。

次に、平和都市の推進においては、新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業を引き続き実施し、戦争の悲惨さと平和の大切さを次世代に伝えてまいります。

基本政策の第四は「健全な区財政の確立」です。

はじめに、効果的・効率的な行財政運営についてです。
民間提案制度については、民間事業者から企画提案を募集し、提案された事業の実証実験の場の提供や、資金の補助、事業周知による支援を新たに実施することにより、民間との連携をより一層推進していきます。

また、GovTech東京の人材プールを活用したDX推進支援員を新たに配置し、業務手順の見直しやRPA、文章生成AI等のICTの利活用による庁内DXを一層推進してまいります。

さらに、窓口における申請書作成の負担軽減や待ち時間の短縮を図るため、「書かない窓口」について検討を進めていきます。

住民記録・税等の区の基幹業務システムについては、国が整備するクラウドサービスを活用するとともに、標準準拠システムの導入により運用の効率化と経費縮減に向けて、引き続き準備を進めてまいります。

このほか、住民税・軽自動車税と国民健康保険料の滞納整理業務を一元化することにより、業務の効率化や収入率の向上につなげていきます。

次に、公共施設マネジメントの強化についてです。
区有施設については、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づき、引き続き区有施設の更新・統廃合・複合化などを計画的に行い、施設のマネジメントの強化に向けて取り組みます。

旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地等の整備については、施設設計に対する区民の皆様からいただいた意見を踏まえ、地域ニーズに沿った施設の整備を進めてまいります。

新庁舎の整備については、設備の老朽化や行政需要の拡大に伴う事務室などの狭あい化、庁舎機能の分散化など様々な課題に対応していくため、コンサルティング事業者による専門的見地に立った詳細な調査・分析を行っています。

基本政策の第五は「好感度1番の区役所」です。

はじめに、行政サービスの向上についてです。
公金の納付については、新たに地域センターの使用料について、電子マネーやクレジット、コード決済等を導入します。今後も、納付手段の拡充による区民の利便性の向上を図ってまいります。

また、区民の皆様が窓口に来庁することなく、行政手続きができるよう引き続き、電子申請を推進するほか、税証明や住民票の電子申請に係る手数料について、本年10月からコード決済等の電子納付を導入していきます。

次に、職員の能力開発、意識改革の推進についてです。
職員一人ひとりが使命感や責任感を持って区政を担っていくため、「新宿区人材育成基本方針」に基づき、多様化する地域の行政課題への対応や、行政のDXを推進する人材の育成を強化してまいります。

そのため、管理監督者向け研修や、一般職員向けの研修を実施するほか、eラーニングを導入することにより、職員一人ひとりの意識改革やスキルの向上を図り、区政の更なる発展と区民サービスの向上につなげてまいります。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望していきます。

3.2 令和6年度予算の概要

次に、令和6年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和6年度予算案についてです。

政府の令和6年度予算案は、「歴史的な転換点の中、時代の変化に応じた先送りできない課題に挑戦し、変化の流れを掴み取る予算」として編成されました。具体的には、こども未来戦略に基づく加速化プランの迅速な実施、我が国周辺の厳しい安全保障環境等への的確な対応や防衛力の着実な強化、医療・福祉分野の現場で働く方々の処遇改善をはじめとした物価に負けない賃上げの実現に向けた取組の推進等に必要となる予算となっています。また、令和6年1月1日に発生した能登半島地震で被災された方々の命を守り、被災地の復旧・復興に至るまで切れ目なく対応できるよう、一般予備費の増額も盛り込まれています。
一般会計予算は112兆5,717億円で、前年度と比較して1兆8,095億円の減となっています。
税収は69兆6,080億円で、前年度と比較して1,680億円増となっています。

また、東京都は令和6年度予算を「変化する社会情勢の中、東京・日本の輝かしい未来を切り拓くため、産業や経済、社会の構造転換に挑み、一人ひとりが輝く明るい『未来の東京』を実現する予算」として編成しました。
都税は6兆3,865億円で、前年度と比較して1,855億円、3.0%の増となっています。

一般会計の予算規模は8兆4,530億円で、前年度と比較して4,120億円、5.1%の増となっています。

続いて、区の令和6年度予算案についてです。

令和6年度予算は、編成の基本方針を「第三次実行計画を的確に始動させ、区民生活を支えるとともに、区政課題の解決に向け確かな歩みを進める予算」と位置付け、第一に、社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、限られた財源を優先的に配分すること、第二に、行政評価に加えて徹底した状況分析を行った上で、デジタル技術等を活用して、効果的・効率的な事業に再構築するなど、事務事業の更なる見直しを図ること、この二点を基本に編成しました。

そして、引き続き物価上昇に対して、的確に対応するよう機動的な対策を講じるとともに、現下の課題に対して、これまで培った財政対応力を活かし積極的に事業の予算化を図った結果、一般会計は1,845億円で、前年度と比較して150億円、8.9%の増で、過去最大規模となりました。3つの特別会計は、合計745億円で、前年度と比較して6億円、0.8%の減となりました。一般会計と合わせた令和6年度予算案の総額は2,590億円で、前年度と比較して144億円、5.9%の増となりました。

一般会計は、退職手当やイントラネット関連経費、用地買収経費の増などにより人件費や物件費、普通建設事業費などが増となり、歳出総額が対前年度150億円、8.9%の増となりました。

特別区税や特別区交付金などの一般財源の増が見込まれるものの、それを大幅に上回る歳出の増により、財源不足額は105億円と前年度に比べ44億円、73.1%の増となりました。
長期的な区財政の運営を念頭に置くと、将来の財政需要への対応力を確保し続ける上で、警戒すべきタイミングに差し掛かっていると考えています。

今後も、社会経済活動の正常化が進みつつある一方、エネルギー・食料品価格の高騰や、金融資本市場等の変動など社会経済情勢の不透明な状況が想定される中、人口減少・少子高齢化における社会保障関連経費の増加、デジタル化への対応、脱炭素化への取組、災害リスクへの備え、公共施設の老朽化に伴う更新・改修需要など、必要経費は将来に向かってさらに増加することが見込まれます。

このような状況においても、将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、社会経済情勢を慎重に見極めながら、将来需要を的確に捕そくし、更なる歳入の確保と歳出の削減を図ることが不可欠です。

区民サービスの向上に資するデジタル化を進めるとともに、不断の行財政改革に徹底して取り組み、区政を取り巻く環境の変化に対応した持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりましたが、ここで、昨年発生した不祥事等への対応についてご説明させていただきます。

まず、区民の信頼を損ねる不祥事が発生しましたことについて、深くお詫び申し上げます。

職員による不正残業・不正勤務への対応については、昨年実施した実態調査により、同様の不正行為がないことを確認しました。
本年3月からは出退勤管理のためのタイムレコーダーを新たに導入し、再発防止と勤怠管理の適正化を図るとともに、職員の服務規律の遵守の徹底に組織全体で取り組んでまいります。

業務委託契約及び指定管理施設における人員配置の虚偽報告への対応については、これまで区が締結している委託契約の緊急点検や、委託契約の約款の改正、各指定管理施設への状況調査などを実施してきました。令和6年度は、指定管理者の実地調査に、公認会計士が同行し、アドバイス等を行う取組を新たに開始します。

区役所は区民からの信頼があってこそ区政を推進することができます。一つ一つの業務を適切かつ丁寧に行っていくことで、区民からの信頼を取り戻せるよう、区役所一丸となって取り組んでまいります。

そのうえで、新宿の未来を担う子供たちの健やかな成長を育み、物価高騰や自然災害から区民生活を守るとともに、新宿のまちがさらなる発展を遂げられるよう、区政を推進してまいります。

今後も、現場現実を重視し、区民の皆様の声をお聴きしながら、誰もが安心して住み続けられる新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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