漱石山房記念館の整備に伴う諸課題に関する再発防止対策について

　平成29年9月24日に開館した新宿区立漱石山房記念館については、その整備過程で、関連資料や研究成果等を集積している県立神奈川近代文学館、東北大学附属図書館、日本近代文学館のほか、全国の博物館・文学館・大学等の機関に協力を仰ぎ、資料やデータをご提供いただきました。
　後発で、資料をあまり所蔵しない新宿区にとって、漱石山房の一部再現や常設展示の構築には、これら各機関の資料や先行研究なくしては到底成し得ないものであり、ご理解、ご協力に対し、あらためて深く謝意を表します。
　しかし、整備過程において、ご協力いただいた各機関からご提供いただいた資料やデータについて、その取り扱いや保管、機関名の表示等に不備があり、ご迷惑をおかけする事例が発生しました。その後、是正を図るとともに、ご迷惑をおかけした機関には経過説明とお詫びをさせていただきましたが、このような事例は、漱石山房記念館の整備にご理解、ご協力いただいた各機関の信頼を裏切る行為であり、大変重大な問題であったと認識しております。
　今回、特に大きな問題であったと認識している「夏目漱石情報検索システム」でのデータの誤公開と、県立神奈川近代文学館から借用した写真資料の紛失の両事案について、あらたな調査も行い、原因の究明を行うとともに、再発防止対策を策定しましたので、ご報告するものです。
　あらたな調査については、平成30年12月に、関係した職員を対象とした聞き取り調査を実施しました。調査は、区以外の第三者により行うこととし、また、文学館や博物館の運営に通じた専門知識も必要であることから、新宿区立漱石山房記念館運営学術委員会の学識経験者3名(会長・副会長)の協力により実施しました。
　新宿区では、今回の教訓を無駄にすることなく、この再発防止対策に則り、漱石山房記念館をはじめとする新宿区の博物館施設を適正に運営していくことで、ご協力いただきました皆さまの信頼を回復し、夏目漱石をはじめとする新宿の歴史・文化の継承と発信に努めてまいりたい所存です。
　今後とも、ご指導、ご鞭撻を、何卒よろしくお願い申し上げます。