四谷駅周辺地区は、江戸城の城郭であり、貴重な水辺空間や豊富なみどりを有する外濠に隣接しています。また、江戸時代から四谷御門を基点に賑わいが発展してきた町人地であり、三栄通りに玉川上水が通るなど、江戸の歴史を有する場所です。明治時代には、四ツ谷駅が開設となり、赤坂離宮(現迎賓館)や文教施設群の建設が進み、さらに賑わいが形成されてきました。その後も、鉄道の複線化や四谷見附橋の架け替えなど、多くの歴史を積み重ねてきました。 そして、現代、鉄道や幹線道路が交差する交通の要所となり、しんみち通りや三栄通りなど個性的な通りによる賑わいのある景観が形成されています。また、外濠や外堀通りの街路樹の豊かなみどりが潤いのある景観を形成しています。さらに、迎賓館や四谷見附橋などによる歴史的なおもむきある景観が地区周辺に広がっています。 本地区では、平成16年に「四谷駅前まちづくり協議会」が、そして、平成21年には「四谷一丁目北地区協議会」が発足し、まちづくりの推進に向けた積極的な活動が行われました。その活動の成果は、平成24年の「四谷駅前地区まちづくり誘導方針」、また、平成25年「四谷駅周辺地区地区計画*」策定へと繋がりました。平成26年には第一種市街地再開発事業の都市計画決定が行われ、令和2年度に事業が完了し、業務・商業機能の強化と文化・交流機能の導入により、駅前の新たな賑わいの交流拠点が形成されました。また、しんみち通りでは賑わいの連続性を増進し、魅力ある街並み形成を図るとともに、快適な歩行者空間の拡充を進めています。 「歴史あるおもむき外濠地区」と合わせた広域的な景観の形成を推進していくとともに、地区内のまちなみの変化を踏まえ、歴史性に配慮した賑わいの創出と継承、自然的・歴史的なおもむきを保全するため、以下の方針に基づき景観の形成を推進します。 迎賓館や四谷見附橋、外濠などの歴史的資源との調和を図り、多くの乗降客で賑わう四ツ谷駅前や新宿通りの玄関口として、訪れる・住む・働く人の多様な活動が映える賑わいの拠点の顔にふさわしい、東京を代表する魅力的な駅前景観の形成を推進します。 駅周辺のおもむきのある豊かなみどりを保全していきます。潤いあふれるまとまったみどりの創出、小さくても質の高い緑化を促し、みどりの拡充を図ります。 四ツ谷駅前の賑わいと通りごとに個性のあるまちなみを創出し、新しい交流の場、緑陰のある街路樹や道路沿いの緑化、たたずむことができる空間、地域に継承される景観資源*を相互に結びつけ、安全で快適な歩きたくなる空間の整備を推進します。 外濠周辺における景観の歴史あるおもむきや水とみどりの連続性を意識しながら、風格ある賑わいの都市景観を形成していきます。〈景観法第8条第3項の規定に基づく良好な景観の形成に関する方針とする〉 新宿区景観まちづくり計画 新宿区景観まちづくり計画 | 第2章 景観法を活用した景観まちづくり(8潤いと歴史かおる四谷駅周辺地区) (2)景観形成方針①賑わいの拠点にふさわしい駅前景観の形成②豊かなみどりの保全と創出③まちの魅力を相互に結び付ける歩行者空間の整備④外濠周辺における景観の連続性を意識した景観誘導*
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