人工地盤新宿駅西口の超高層ビル群一帯は人工地盤により、地下と地上が二層(場所によっては三層)構造となっています。そのため、元々の地形を感じることはできませんが、立体交差している道路の景観や地上と地下がつながりお互いの賑わいを感じられる魅力的な場所などもあります。地域西側の台地と坂道地域の西側一帯は、台地と低地が複雑に入り組んでいる地形となっており、台地と低地をつなぐ坂道は、歩行者にその高低差を強く感じさせます。また、遠景*となっている超高層ビル群と住宅密集地の折り重なる景観は特徴的です。宿場町や行楽地としての賑わい当該地域は、江戸時代は内藤新宿として栄えた宿場町でした。戦後にかけて盛り場として発展し、その後も大衆文化の拠点としての役割をはたしています。また熊野神社周辺は、「十二社の池」、「熊野の滝」などがある江戸西郊の景勝地として知られ、料亭や茶屋などが軒を連ねていました。先駆的な都市計画歌舞伎町の戦災復興区画整理事業や超高層エリアの新宿副都心計画など、先駆的な街路や広場の計画、大規模開発が実施されました。また、新宿駅西口では、副都心建設事業などにより、先進的な立体的駅前広場の整備が行われ、新宿駅西口のシンボルとなっています。一方で、戦後形成されたヤミ市は、思い出横丁としてその歴史を継承しています。水の跡現在では、地域の西端に位置する神田川のみですが、江戸時代までさかのぼると、淀橋・十二社周辺には「熊野の滝」や玉川上水を引き込むための「助水堀」があり、また、歌舞伎町周辺ではカニ川などがありました。現在では埋め立てられたり、暗渠となっています。連続したみどり淀橋浄水場の跡地の一部には豊かなみどりを有する新宿中央公園があり、都心部における貴重な憩いの空間となっています。近年ではPark-PFI*の活用により公園内に新たな交流拠点が誕生し、地域にみどりと調和した活気ある風景を生んでいます。また、超高層エリアでは公開空地や歩道状空地における豊かなみどりがあり、新宿駅東口ではモア街におけるケヤキの中央列植など特徴的なみどりがあります。エリア別景観形成ガイドライン 10 新宿駅周辺地域【10-3 新宿駅西口エリア】立体的な景観の魅力をもつ立体交差【10-7 淀橋・十二社エリア】起伏のある地形を感じさせる坂道【10-2 新宿駅東口エリア】【10-3 新宿駅西口エリア】ヤミ市の歴史を残す思い出横丁【10-7 淀橋・十二社エリア】地域住民の手によって植樹された賑わいのあるまちなみが継承される新宿駅東口周辺助水堀跡の柳の木【10-4 超高層エリア】新たな交流拠点を備えた新宿中央公園地域の概要変化に富んだ地形新宿駅周辺地域の地形まちの記憶や文化江戸時代の土地利用緑被現況分布図1856年(安政3)年10 新宿駅周辺地域水とみどり
元のページ ../index.html#243