区内第5波の振り返りと第6波に備えたワクチン接種の推進

最終更新日:2021年10月10日

第5波では、区内所在者の8月の感染者数の合計が5,763人にのぼり、これまでの累計感染者数の約3分の1がこの1か月で新規に発生しました。
また、区の自宅療養者は、1日1,000人を超える日が1か月以上続き、ピーク時は1日1,400人を超えるなど、感染が急拡大しました。
今回は、現場で患者さんと向き合っている先生方にお話をお伺いし、感染状況の振り返りや第6波の見通し・対策などの意見交換を行いました。
広報新宿令和3年10月10日号 新型コロナCOVID-19ワクチン臨時号掲載)
 
新宿区長 吉住健一の写真  新宿区保健所長 寺西 新の写真
早稲田たけのこクリニック院長(新宿区医師会理事 公衆衛生担当) 松下竹次先生の写真  国立国際医療研究センター病院 国際感染症センター長大曲 貴夫 先生の写真 
 新宿ヒロクリニック院長(新宿区医師会 在宅ケア・介護保険委員会委員)英 裕雄 先生の写真

医療現場から見た第5波

区長:第5波への対応では大病院と開業医、さらには訪問看護・介護の皆さまの連携により、新宿区内のひっ迫した医療体制をギリギリのところでお支えいただきました。改めて御礼を申し上げたいと思います。今日は8月の状
況の振り返りと第6波に備えた意見交換ができればと考えております。

寺西:区内では、8月は感染が急拡大し、まさに異常な状態だったと思います。8月の状況はそれぞれのお立場でいかがでしたか。

大曲:国立国際医療研究センター病院では、8月には重症の方の入院で、あっという間に病床が埋まってしまいました。救急車の受け入れ要請も1日に40~60件、最大6人くらいが同時に運ばれて来たこともありました。ベッドが空いてなくてもひとまず受け入れ、他の医療機関で空いたベッドが見つかればお送りするなどの体制をとり、とにかく医療につないでいきました。それが、2~3週間続き、災害そのものでした。

:自宅療養の現場では、8月は当院で合計で350人くらいの自宅療養者について、往診やオンライン診療・酸素投与などの対応を行いました。最終的に我々は100人くらいの方に酸素投与をしました。
初診時の患者さんの重症度は、中等症2)以上の方が約30%、中等症1)の方が約20%、軽症の方が約30%、残り20%は不明でした。血中酸素飽和度から言えば軽症に分類される方でも、実際には10日間くらい40度の発熱が続きご飯も食べられず、決して軽症ではなかったので、皆さん本当に大変な思いで療養されていました。中等症2)以上の方で酸素投与を始めた方は、入院待機という形をとっていましたが、入院に数日かかるケースが多く、自分で救急車を呼んだものの結局入院できず、そのまま自宅で治療を継続した方も少なからずいました。

松下:私は小児科医ですが、7月の終わり頃から、検査をすると(子どもでも)陽性が出るようになりました。お子さんが保育園や学校で陽性になった場合には、家族の方も陽性になるケースが出てくるようになりました。軽症で自宅療養していた方は、高熱や喉の痛みで食事がとれないとおっしゃっていました。乳児でも入院した方がよいと思われるケースもありました。

重症化した方々に接して実感したワクチン接種の必要性

寺西:ワクチン接種と重症化の関係について、お話を伺います。区では7月27日の時点で、65歳以上の高齢者の7割以上が2回目の接種を終了しています。一方、64歳以下は同時期に7%にとどまっています。第5波を見ると、感染者全体に占める割合は、20代~50代の方が全体の9割を占めています(下図1)。65歳以上の方の感染についてワクチン接種と入院の関係を見ると、2回目の接種を完了した方の入院した割合が低かったことが傾向として分かりました(下図2)。感染者数とワクチン接種率の推移を見ると、ワクチンの効果を感じます(下図3)。第5波でそれぞれお気付きになられた点を教えてください。

図1 区内の所在者の患者発生数(年齢別推移)
図2 ワクチン接種と入院の関係 8月の区内の感染者の接種回数別の入院状況(65歳以上)図3 区内感染者数とワクチン接種率(2回目)の推移


大曲:集中治療室にいらっしゃる方は、ほぼ例外なくワクチン未接種の方でした。若い方も集中治療室に結構いらして、若い方でも重症化するんだなと実感しました。2回打っていない方が感染して重症化するのを見ると、もっと多くの方に接種していただかないといけないのだと痛感しました。

:今回の第5波で対応させていただいたのは20代~50代の方が90%でした。ワクチン未接種の方がり患し、症状が重くなられたという印象を持っています。また、肥満や呼吸器疾患などの基礎疾患のある方が重症化したと感じました(下図4)。
高齢の方でもワクチンを未接種でり患し、大変残念なことにお亡くなりになった例が2件ありました。2人とも普段お元気な80代の方でしたので、ワクチン接種をしていないことが急激な重症化につながることを痛感しました。ワクチンの効果を今回第5波ではすごく実感しました。

図4 重症化の主なリスク因子

松下:私もワクチンの効果を感じています。お子さんと親など家族全員で感染したケースがありましたが、仕事や食事などかなり日常生活に苦労されていましたので、ワクチンを接種した方がいいと感じました。


 

社会復帰できない人もいる新型コロナの後遺症の恐さ

寺西:若い方は軽症で済むと甘く見ている方も多いですが、コロナが治っても後遺症に苦しむ方もいらっしゃいますよね。

大曲:後遺症は年代に関係なく発症するので、20代・30代の方にも後遺症はあります。若い方に目立ったのは、味がしないとか匂いがしないという症状でした。ご飯の味もしなくて、すごく気が滅入っているという話も聞きました。最近気になっているのは、新型コロナはインフルエンザと比較して神経細胞を傷つけやすいのではと、精神科の先生方や神経内科の先生方が懸念していることです。若い方でも気分の問題が出てきたり、強い倦怠感で動けなくなることがあります。

:倦怠感が強く1回シャワーを浴びると一日何もできなくなる、社会生活もままならず、仕事に復帰できないという方も少なくないです。コロナは単なる風邪ではなく、大変な後遺症が残ったり認知症が悪化したという印
象を持った人も少なからずいます(右下図5)。

図5 新型コロナ(COV1)D-19)の後遺症の例

大曲:ワクチンを2回接種してからコロナにかかった方のほうが後遺症が出たとしても軽く済むといわれています。ワクチンはそういう意味でも意義があると思います。

松下:コロナにかかると、子どもでも、数は少ないですが臓器障害の可能性が言われています。できる限りのことを行い、病気にかからないようにする、防ぐということが大事です。

今後の感染再拡大の見通しと課題

寺西:冬には第6波が来て、感染が再拡大すると言われています。

大曲:冬にはある程度の流行が来るだろうと思っています。インフルエンザのワクチンをきちんと打っていただくのも大事だと思います。また、しばらくは恐々と日常を過ごした方がいいのではと思います。

:秋から冬にかけてコロナ・インフルエンザなど発熱者が増えることは想定しておかなければいけないと思います。第4波までと異なり、第5波では期せずしてコロナ医療を地域で支えることになりました。これからはやはり医師会を中心にさまざまな先生方と協同し、地域で介護や福祉の方々も含めて、みんなで自宅療養者を支えながらコロナ医療に繋げていくことが地域包括ケアの礎になるととても良いのかなと思っています。第6波に備えた今後の体制づくりこそが一番大事だと思っています。
また、ワクチンや治療薬もあり、重症化予防もできる中で体制を作っていくという新たな局面では、自宅療養の医療提供体制を適切に作っていくことで、行動制限だけに頼るような感染対策ではなく複合的な感染対策をとるべき時なのだと思います。そういう準備をしていくことで、いざ何が起こっても対応できるという安心感を区民の皆さんが得ることができれば、本当にウィズコロナの時代にようやく到達するのだと思います。

松下:第6波は来ると思います。インフルエンザについても心構えをしておいた方が良いと思います。新型コロナの収束は今までのウイルスとは違う新しい形になる可能性があるので、いろいろな準備をしておくことが重要だと思います。

第6波へ向けて ワクチンの推進とインフラ整備

大曲:すぐに相談できるようなオンライン診療等があると不安解消につながります。また、まずどこかの医療ができる施設に入っていただき酸素や点滴などの応急処置的な対応ができる場があることが重要だと思います。

:自宅療養する中で小児・高齢者に自分が感染させたり、友人同士で生活している中で集団感染を起こして一番初めのり患者が犯人扱いされるなど、加害者・被害者のような関係になり人間関係まで崩れてしまうような事例がありました。その場合の精神的なサポート・社会的な支援が必要だと思います。
療養する中で、生活や介護、小児の成育の問題などコロナのり患はさまざまな課題を引き起こすと感じました。精神的・社会的な、公的な支援体制が必要なのだと思います。

松下:あらゆる年齢の方が利用できるような在宅医療の充実が求められています。あらゆる年齢層の方が病気になる可能性があり、それぞれどう対応をしていくかや、ある程度集中的な対応ができる施設が必要なのではと議論しています。ワクチン接種やマスク着用など気を付けて行動する一方で、医療体制など社会のシステム、社会のインフラをきちんと作るのがとても大事だと思います。

区長:実際に新型コロナ患者の治療にあたられた先生方のお話を聴いて、ワクチンの接種が重症化をかなり防いでいたことが分かりました。少しでも接種率を高めて第6波に備えたいと思います。今後に備えるという面では、一時的な滞在型療養施設の検討を進めています。一時的な滞在型療養施設を開設し、重症化のリスクがある感染者の方に開発が進んでいる治療薬を早期に投与すれば重症化を防げます。少しでも基幹病院の負担抑制につなげるとともに、患者さんご本人にとっても後遺症が残るような症状が治まってくれればいいと思っています。
そうした環境を実現するためにも、医療・介護・行政が一体となって対応する“オール新宿”の体制が大切だと感じています。今日の意見交換会を生かし、さまざまな職種の皆さまとの協議を進めてまいります。

本ページに関するご意見をお聞かせください

本ページに関するアンケート
本ページの情報は役に立ちましたか?以下の選択肢であてはまるものにチェックを入れてください。
本ページは見つけやすかったですか?以下の選択肢であてはまるものにチェックを入れてください。

区政についてのご意見・ご質問は、ご意見フォームへ。