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令和4年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2022年2月22日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和4年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。

本定例会では、令和4年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症の国内での感染者が確認されてから2年が経過しました。この間、区民の皆様や区内事業者の皆様におかれましては、感染防止対策の徹底にご協力いただき、心から御礼を申し上げます。
また、長きに渡り医療現場の最前線で新型コロナの治療にご尽力いただいている医療従事者の皆様に、深く感謝を申し上げます。

新型コロナの状況は、時々刻々と変化しており、年明け以降、爆発的に感染者数が増加し、東京都では、1月21日から2月13日を期限に適用されていた「まん延防止等重点措置」が3月6日まで延長されました。区内の感染者数は依然として高いレベルで推移し、厳しい状況が続いています。
このため、3回目のワクチン接種に迅速に取り組むとともに、これまで蓄積してきた新型コロナ対応の経験を活かし、引き続き、基本的な感染予防を行うことで、一日も早く地域の社会経済活動が安心して行えるよう、区民の皆様とともに取り組んでまいります。

我が国の景気は、感染対策に万全を期しつつ、社会経済活動を継続していく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されています。しかしながら、その先行きについては、感染症による影響や、供給面での制約、原材料価格の動向による下振れリスクに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。

区財政においては、一定の財政対応力を保持しているといえますが、新型コロナの影響を受け、厳しい財政運営が想定されます。

私は、現下の厳しい社会経済情勢の中にあっても、「区民の命と暮らしを守る対応」と「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」に迅速に取り組むとともに、現場現実を重視しながら、区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、そして未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように、力を尽くしていきます。

2 令和4年度の区政運営の基本認識

次に、令和4年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

第一に、「区民の命と暮らしを守る対応」についてです。
3回目のワクチン接種については、医療機関の協力のもと、希望する区民の皆様が速やかにワクチン接種をできるよう、取り組んでいます。

現在、区内の医療機関、薬局、訪問サービス事業者等との連携による「新宿区新型コロナウイルス対策医療介護福祉ネットワーク」を中心に、早期診療や円滑な入院調整・自宅療養の支援、その後の社会復帰に向けた対応などを一貫して行っています。

自宅療養の支援については、高齢者や基礎疾患のある方など、ハイリスク者の重症化を予防するため、昨年12月に整備した入院待機施設を活用し、早期に中和抗体療法を行い重症化を予防する「自宅療養者医療支援施設」として運営を開始しました。

日常生活への復帰支援については、新型コロナの治療完了後も、虚弱状態や基礎疾患を理由に、引き続き入院を必要とする患者を受け入れる医療機関を新たに確保していきます。

また、現行の回復期生活支援サービスの対象者に、新型コロナに感染した高齢者を加え、ヘルパー派遣の利用時間の拡大も行うなど、高齢者の退院後の回復期における生活支援の充実を図っていきます。

さらに、家族が陽性となった場合においても要介護者等の方の自宅療養生活を支えるため、訪問事業者から安定的なサービスを受けられるよう、支援を行っています。

そのほか、新型コロナの影響を受けている区民のくらしを支えていくため、生活困窮者自立支援金や住居確保給付金等の支給を引き続き実施してまいります。

区では、こうした取組を通じて、感染症まん延期においても区民の皆様の命と暮らしを守ってまいります。

第二に、「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」です。
昨年11月に貸付限度額の引き上げや貸付期間の延長等、制度拡充を行った商工業緊急資金(特例)を引き続き実施します。
また、キャッシュレス決済によるポイント還元事業とプレミアム付き商品券を発行する地域商業活性化推進事業を実施することで、消費回復を後押ししてまいります。

そのほか、中小企業者のコロナ禍に対応した業態転換などの支援を行うために、中小企業診断士等の無料派遣を行う「ビジネスアシスト新宿」、店舗での感染拡大防止や、飲食店が新たに宅配・テイクアウトなどの販売促進に取り組むための経費を助成する「おもてなし店舗支援」についても引き続き実施していきます。
さらに、区内商店会への支援として、買い物やサービスの利用者に抽選券を配布する「新宿応援セール」を拡充して実施し、一層の消費喚起を図っていきます。また、令和4年度も引き続き、新宿区商店会連合会が行う加盟店の売上向上キャンペーンを支援します。

区では、こうした取組を通じて、引き続き個人事業主を含む区内中小企業者の事業活動を支えてまいります。

次に、区政全般についてです。

令和4年度は、第二次実行計画2年目の年です。新型コロナが及ぼす社会経済情勢の動向に柔軟に対応するとともに、感染収束後も視野に入れ、安全・安心な区民生活を支えることができるように、実行計画に掲げる各事業を着実に推進してまいります。

基本政策の第一「暮らしやすさ1番の新宿」では、子どもや若者、高齢者、障害者など、全ての区民の皆様がいきいきと暮らし続けられるまちづくりを推進します。
このため、健康寿命の延伸に向けた取組の充実や地域包括ケアシステムの推進、安心して子育てできる環境の整備や教育の充実、地域コミュニティの活性化などに取り組んでいきます。

基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、区民の皆様が安心して日々の生活を送ることができるよう、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりと、暮らしやすい安全で安心なまちの実現を目指します。

このため、建築物の耐震化の促進や、災害に強い都市基盤の整備、避難所運営体制の充実、犯罪のないまちづくりなどに取り組みます。

基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」では、商業・業務・文化・居住機能など、多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりを推進し、持続的に発展する新宿を創造していきます。
このため、バリアフリーの道づくりなど安全で快適な公共空間の整備や、ゼロカーボンシティの実現に向けた取組の推進、産業振興や商店街支援、文化・観光・スポーツ振興などの施策の推進に取り組みます。

基本政策の第四「健全な区財政の確立」では、各施策を着実に推進するため、公民連携やICTの活用による効果的・効率的な行財政運営を行うとともに、公共施設マネジメントの強化などに取り組みます。

基本政策の第五「好感度1番の区役所」では、電子納付の推進や、行政手続きのオンライン化など行政のデジタル化を進め、行政サービスの向上に取り組むとともに、職員の能力開発を推進していきます。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、基本構想に示す「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。

はじめに、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組の充実についてです。
コロナ禍においても、区民の皆様が健康づくりに参加するきっかけとなるよう、日常生活の中で歩いてポイントを貯める「しんじゅく健康ポイント」や、ウォーキング教室等を通じて、個人で気軽に健康づくりができる取組を推進していきます。

また、高齢期の健康づくりとフレイル予防を推進するため、区民の皆様に親しまれている「新宿いきいき体操」と、食べる機能の維持向上を目指す「新宿ごっくん体操」、筋力の低下を防ぐ「しんじゅく100トレ」の普及啓発に取り組んでまいります。

令和5年度からの保健事業と介護予防の一体的な実施に向けて、医療専門職による総合的な支援の準備を進めてまいります。令和4年度は、モデル実施として、健診・医療情報等に基づき要介護に移行しやすい高齢者への訪問指導をはじめ、「通いの場」などでのフレイル予防の普及啓発や個別相談を行ってまいります。

生活習慣病の予防については、糖尿病の正しい知識や食生活の改善、適切な運動習慣などを普及啓発するとともに、治療中断者の受診勧奨を進めてまいります。

女性の健康づくりの推進では、女性の健康支援センターを中心に、健康相談や健康講座などを実施し、各年代の特徴に応じたきめ細かい支援を行ってまいります。
また、子宮頸がん発症予防のためのワクチン接種の個別勧奨を実施します。

自殺対策については、ゲートキーパー等の人材育成や、相談支援体制の充実を図るとともに、近年、女性や若年層の自殺者が増加している実態を踏まえて、さらなる支援体制の強化を図るため、「新宿区自殺対策計画」を改定し、誰も自殺に追い込まれることのない社会を目指してまいります。

また、昨年8月に発生した都市ガス供給停止事故については、夏の暑い時期ということも重なりましたが、新宿浴場組合のご協力により、公衆浴場の無料開放を実施していただきました。
一方、区内公衆浴場については、設備の老朽化、燃料費の高騰等により、厳しい局面にあることから、区内公衆浴場への運営費助成を実施し、経営の安定化を図ります。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進についてです。
高齢者が住み慣れた地域で、健康づくりや介護予防等の活動へ参加することを支援するため、区内の介護事業所や「通いの場」などの情報検索サイトの運用を本年3月から開始します。
また、戸山シニア活動館においても、「地域支え合い活動」の担い手や団体の育成・支援、活動のコーディネート等を新たに行うことにより、「地域支え合い活動」の一層の推進を図ります。
介護保険サービスの基盤整備では、市谷山伏町の民有地における認知症高齢者グループホーム及び小規模多機能型居宅介護の整備を本年5月の開設に向け進めています。また、市谷薬王寺町の国有地の活用によるショートステイを併設した特別養護老人ホームの本年9月の開設に向けて整備を進めています。さらに、払方町の国有地では、認知症高齢者グループホーム等の令和6年度の開設を目指し、整備していきます。

このほか、認知症高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、認知症高齢者やその家族の支援ニーズと、認知症サポーターを中心とした支援をつなぐ「チームオレンジ」の取組を開始し、支援体制の充実を図ります。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
払方町国有地及び旧高齢者いこいの家「清風園」の跡地においては、障害者グループホーム等の整備を進めてまいります。

医療的ケア児及びその家族の支援については、訪問看護師の派遣要件を見直し、従来のレスパイト事業に加え、新たに就労目的での利用を追加し、ご家族の日常生活の支援を充実させていきます。また、区、教育関係者、保健医療関係機関などで構成される「新宿区医療的ケア児等支援関係機関連絡会」において、関係者との情報共有や連携体制の強化を図ってまいります。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
引き続き待機児童ゼロの継続を目指し、再開発事業による就学前人口の増加など、保育ニーズを的確に把握し、保育所の整備を進めてまいります。令和4年度は賃貸物件を活用した私立認可保育所1所を開設し、66名の定員を確保します。

放課後の子どもの居場所の充実については、引き続き民間学童クラブの誘致を進めていくとともに、学童クラブ専用スペースの拡充に向けて検討を行っていきます。また、新たに戸塚第三小学校の放課後子どもひろばにおいて、学童クラブ機能付き放課後子どもひろば「ひろばプラス」を実施します。

産前産後の支援については、産後ドゥーラとヘルパー派遣の利用可能な曜日を追加し、利用時間も午後8時まで延長するほか、多子家庭や多胎児家庭に対しては、利用対象や利用時間の拡大を行うなど、支援の充実を図ります。
また、産後の母体の回復や、育児の不安に対する支援が必要な方には、ショートステイ型の産後ケア事業を実施しており、令和4年度からは、新たな支援施設を追加します。
多胎妊娠の方の妊婦健康診査費用の上乗せ助成については、継続して実施していきます。
引き続き、出産を控えている方や子育て中の方が、安心して子育てできるよう支援体制の充実を図ります。

児童相談所の設置については、他自治体や、都が区有施設で運営する一時保護所への派遣研修を通じて、引き続き開設後の運営を担う職員の育成を行い、令和6年度以降の開設に向けて取り組んでいきます。
子どもの貧困の連鎖を防ぐため、学習支援や経済支援の取組を推進するとともに、支援が必要な家庭に確実に情報が行き渡るように、周知に取り組んでまいります。

また、ひとり親家庭への支援については、相談員を配置し、就労や育児、家事などの相談を行っているほか、子どもが健やかに成長するために必要な養育費の確保に向けて、弁護士への相談費用など諸手続きに係る経費の助成を開始します。

新宿区子ども未来基金の活用については、活動を始めようと考えている方や、既に活動している団体に対して、助言や相談を通じて安定した運営につながるよう、新たにコンサルタント派遣を開始します。また、子ども食堂などの地域活動団体が、民間スペースを活用する際の会場費を対象とした助成を新設します。引き続き、子どもの育ちを支える活動に対する支援の充実を図っていきます。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
昨年は、新型コロナの感染拡大により、様々な学校行事の中止や変更が余儀なくされました。感染対策を万全に行いながら、子どもたちが安心して学校行事等に参加することができるよう取り組んでまいります。

ICTを活用した教育の充実については、タブレット端末のさらなる活用を推進するため、ICT支援員を増員し、学校への巡回体制を強化することで、学習効果の高い授業につなげていきます。
また、感染症による学校の臨時休業等が生じた際にも、オンラインによる学習指導や、児童・生徒と教員との通信手段としても活用していきます。

発達に心配のある児童・生徒への支援については、小・中学校において特別支援教育推進員を増員し、学級内の指導体制の充実を図ります。
また、昨年9月に施行された「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」の趣旨を踏まえ、新宿養護学校では、医療的ケア児専用のスクールバスを増車するほか、看護師を配置することで保護者の付き添いにかかる負担の軽減を図ります。
さらに、希望する医療的ケア児が、通常学級等で教育・保育を受けられるよう、区立小学校や幼稚園、保育園、子ども園に看護師を配置し、安全な受け入れ環境の確保を進めます。

外国籍等の児童・生徒については、各学校に日本語サポート指導員を派遣し、日本語の習得状況に応じた学習指導を実施していくとともに、タブレット端末を活用することで、より効果的に、児童・生徒の理解促進につなげていきます。

不登校児童・生徒への支援については、家庭に引きこもりがちな児童・生徒や、新型コロナの不安等により登校を控えている児童・生徒に対する、タブレット端末を活用した学習支援を行うとともに、通所を希望しない児童・生徒への図書館などを活用した訪問型支援を実施するなど、多様な教育の機会の確保に向けて取り組んでまいります。

小学校の学級編制については、35人学級を段階的に実施する法改正への対応や、近年の児童数の増加を踏まえ、普通教室の不足が見込まれる学校について計画的に普通教室の整備を進めてまいります。また、早急な対応が必要となっている四谷小学校については、隣地を確保し、増築に向けた準備を進めてまいります。

このほか、昨年開催された東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、障害者理解教育の推進を図るとともに、伝統文化体験教室や、英語キャンプについても実施してまいります。

セーフティネットの整備充実については、新型コロナの影響の長期化に伴い、総合支援資金の再貸付けが終了した世帯等に対する生活困窮者自立支援金の再支給のほか、住居確保給付金の支給等を通じて、安定した住居と就業機会の確保に向けた支援を行います。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
男女共同参画社会の実現に向けて、男女共同参画フォーラムの開催や、小中学生向けの啓発誌を配付するなど、理解の促進を図るとともに、令和4年度に実施する、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランスに関する区民・企業等の意識や取組を把握するための調査に基づき、令和5年度に「新宿区第四次男女共同参画推進計画」を策定します。
多様な生き方を認め合う社会づくりに向けては、LGBTなどに関する正しい知識や、基本的な考え方を示した職員向けハンドブックを作成し、性の多様性の理解促進と意識啓発を図ります。
また、東京都が導入を予定している同性パートナーシップ制度については、その動向を踏まえ適切に対応してまいります。

このほか、次世代を担う若者に区政に関心を持ってもらうきっかけをつくり、若者の柔軟な発想や意見を区政に活かせるよう、しんじゅく若者会議を開催します。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
新型コロナの影響により、町会・自治会等の地域活動の停滞が懸念される中、ICTを活用した情報共有や連携の仕組みが注目されています。そのため、町会・自治会におけるICTの活用に向けてSNS入門講座を実施するとともに、コンサルタント派遣等を通じてコロナ禍においても継続した活動ができるように支援していきます。
また、電子回覧板アプリを活用した実証実験を行い、平時における町会・自治会活動の活性化を図るとともに、緊急時の情報伝達手段のさらなる充実に努めてまいります。
さらに、地域活動の拠点である地域センターにおいて、オンラインによる会議や講座、イベント等に活用できるよう、無料公衆無線LAN環境を整備し、地域活動を支援していきます。

寄附者が指定する、公益事業や社会貢献事業に取り組む団体に支援金の交付を行う「ふるさと新宿区わがまち応援寄附金」については、本年も多くの方に賛同いただけるよう制度を広く周知してまいります。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
認知症や知的障害などの方が、地域の中で安心して暮らし続けていくことができるように、「新宿区成年後見制度利用促進基本計画」に基づき中核機関として位置付けた新宿区成年後見センターを中心に、成年後見制度の普及啓発や相談機能の充実を図っていきます。

新宿区勤労者・仕事支援センターでは、障害者や高齢者、若年非就業者等に対して、ハローワークと連携しながら、総合的な就労支援を推進していきます。相談や面接に際しては、オンラインに対応しているほか、IT就労訓練事業では、在宅で訓練が行えるように実施します。

高齢者、障害者及び、ひとり親世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、家賃等債務保証料の助成や、単身高齢者の死亡に伴う家財の片付け費用等を補償する保険料の助成を引き続き実施していきます。また、居住支援協議会を通じて、情報共有や連携体制の強化に取り組んでまいります。

基本政策の第二は「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。

首都直下地震の切迫性も高まる中、区はスピード感を持って、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに取り組む必要があります。
建築物等の耐震性強化については、更なる耐震化の促進に向けて、本年1月に「新宿区耐震改修促進計画」を改定しました。この改定に基づき、特定緊急輸送道路の沿道にある建築物に対する耐震改修工事費の助成額の拡充や、特に倒壊の危険性が高い建築物についての個別訪問を実施するなど、支援の強化を図ることで、更なる耐震化を促進してまいります。

また、擁壁・がけの安全化に向けて、土砂災害警戒区域内のがけ等の所有者への個別訪問や、専門技術者を派遣するとともに、改修工事費を助成することにより、安全化の促進を支援していきます。

若葉・須賀町地区では、木造住宅密集地域の解消を図るため、地元の皆様によるまちづくり協議会が設立されました。引き続き、地区の防災性と住環境の向上に向けた地区計画の変更を目指し、取り組んでまいります。

再開発による市街地の整備については、防災性の向上や住環境の改善、賑わいの創出を図るため、西新宿五丁目中央南地区の市街地再開発事業、西新宿五丁目北地区の防災街区整備事業の支援を行います。
さらに、西新宿三丁目西地区などでは、市街地再開発の事業化に向けた支援を行います。

災害に強い都市基盤の整備については、女子医大通り、四谷駅周辺、上落中通り、水野原通りの無電柱化を推進し、災害に強いまちづくりと、都市景観の向上を図っていきます。

次に、災害に強い体制づくりについてです。
本年3月に「新宿区地域防災計画」を修正し、災害に強い体制づくりを推進してまいります。

避難所においては、配慮を要する方の安全・安心を確保するために、女性や障害者などの視点を取り入れたワークショップの実施を通じて、避難所運営体制の充実を図ります。

また、避難所の災害用備蓄物資の充実に向けては、新たにワンタッチテントを各避難所に配備し、避難所における避難者のプライバシーの保護と感染症対策の強化を図ります。

マンションの防災対策については、防災資機材助成によるマンションの自主防災組織の結成を図るとともに、地域との連携を促進することで、地域の防災力の強化に取り組んでまいります。
また、停電時における防災区民組織やマンションの自主防災組織への電源確保のため、発電機や蓄電池等を支給します。

大地震の発生時や、台風・集中豪雨等による水害の恐れがある場合などは、迅速かつ確実に区から情報を伝達することが必要です。高齢者や障害者などの災害時要援護者に、確実に情報を伝達することができるよう、建物環境や気象状況に影響されにくい280メガヘルツの周波数帯を利用し、文字表示もできる防災ラジオを活用した情報伝達体制の強化を図ってまいります。

帰宅困難者対策については、国や都などの関係機関との連携を強化し、一斉帰宅の抑制の周知徹底や一時滞在施設の確保を図るとともに、新宿駅周辺防災対策協議会を中心に、事業者等への意識啓発と混乱防止のための実働型訓練に取り組んでまいります。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
町会や商店会に対し、防犯カメラの設置や電気料金等の維持管理に必要な経費を助成し、地域の犯罪の未然防止に取り組んでいきます。

また、新宿駅周辺等の繁華街でのパトロールにおいて、来街者に新型コロナの感染防止の呼びかけも合わせて行うことで、区民の皆様や来街者が安心して楽しむことができるまちづくりを推進します。

特殊詐欺対策については、被害者の多くが高齢者とされています。そのため、ワクチン接種会場において、高齢者の方々を対象に自動通話録音機の案内チラシと、受話器に貼ることができる啓発シールを配布することで、注意喚起を行っています。引き続き、区内4警察署と連携し、特殊詐欺の撲滅を目指してまいります。

次に、良好な生活環境の向上についてです。
路上喫煙対策については、公衆喫煙所等整備費助成事業により、新たな喫煙所の設置を推進していくほか、区民との協働によるポイ捨て防止等のキャンペーン活動、地元町会や商店街へのポスターの掲示の協力などの周知啓発を通じて、路上喫煙禁止の徹底を図ります。

空家等対策については、現況調査を実施し、実態の把握を行うとともに、「新宿区空き家等の適正管理に関する条例」及び「新宿区空家等対策計画」に基づき、空き家等の適正な維持管理の周知啓発や、所有者を対象とした相談会の実施など、管理不全な空き家等の発生を抑制していきます。

基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。

はじめに、回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくりについてです。
新宿駅直近地区では、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、駅や駅前広場、駅ビル等の一体的な再編に取り組んでいます。本年10月には、小田急電鉄株式会社及び東京地下鉄株式会社による「(仮称)新宿駅西口地区開発事業」の着工が予定されており、今後も、事業者と連携しながら、新宿グランドターミナルの一体的な再編に向けて取り組むとともに、新宿駅周辺地区においても、地元組織等と連携し、各地区の個性や魅力を活かしたまちづくりを進めてまいります。

次に、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現についでです。
歌舞伎町地区では、引き続き警察や地域団体と連携したパトロールを実施するとともに、貧困など様々な課題を持つ方々への支援活動を行っているNPOとも連携し、安全・安心なまちづくりに向けた取組を推進するほか、歌舞伎町クリーン作戦や、不法看板・放置自転車対策なども実施し、環境美化にも取り組んでまいります。

また、令和5年には、東急ミラノ座跡地で東急歌舞伎町タワーが開設予定であり、シネシティ広場などの公共空間の活用等、コロナ後も見据えたまちのにぎわい創出に向けて取り組んでまいります。

次に、地域特性を活かした都市空間づくりについてです。
高田馬場駅周辺地区では、駅周辺のまちの将来像の検討を進めるため、まちづくり検討組織の意向を踏まえながら、令和4年度に「(仮称)高田馬場駅周辺エリアまちづくり方針」を策定します。

新大久保駅周辺地区における混雑対策では、これまで実施してきた公園等を活用した来街者の分散化を図ると同時に、住民生活への影響も踏まえて、引き続き事業者への混雑緩和に向けた協力の働きかけをしてまいります。

飯田橋駅前地区では、民間開発を適切に誘導するため、「(仮称)飯田橋駅前地区基盤整備ビジョン」を策定し、基盤整備を適切に誘導することで、駅前地区のまちづくりを推進してまいります。

こうした新宿らしい個性的で多様なまちづくりを推進していく中で、デジタル化の急速な進展や、環境への配慮等、社会経済情勢の変化に柔軟に対応し、まちづくりにも活かしていくことが重要です。そのため「新宿区まちづくり長期計画まちづくり戦略プラン」の改定に向けた検討を行います。

さらに、まちの現況の遷り変わりなど、景観行政を取り巻く環境の変化に対応し、新宿らしい個性的で多様な景観を生かしたまちづくりを推進していくため、「新宿区景観まちづくり計画」及び「新宿区景観形成ガイドライン」の改定に取り組んでいきます。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりについてです。
ユニバーサルデザインまちづくりの推進を図るため、ユニバーサルデザイン適合証の交付等を通じて、引き続き普及啓発に取り組んでいきます。

また、誰もが円滑な移動を確保できるよう区内のバリアフリー整備を一層促進するため、昨年11月に「新宿区移動等円滑化促進方針」を策定しました。この方針に基づき、区内全域において、民間事業者とも連携しながら、鉄道駅などの施設のバリアフリー化やバリアフリーの道づくりをはじめ、道路と沿道敷地との一体的な整備による快適な歩行空間の確保などに総合的に取り組んでいきます。
令和4年度の区の取組としては、区役所通りと、新宿通りについて、高齢者や障害者の皆様との意見交換を踏まえながら、歩道の段差解消や視覚障害者誘導ブロックの設置などのバリアフリー化に向けた詳細設計を行います。

次に、道路環境の整備についてです。
道路の改良については、早大通りの車道の改良工事を実施するとともに、江戸川橋通りについては、歩道のブロック舗装や視覚障害者誘導ブロックの設置に向けた詳細設計を実施していきます。

また、街路灯のLED化を着実に推進していくとともに、遮熱性舗装を実施することで、道路の環境対策を進めます。

次に、交通環境の整備についてです。
自転車通行空間の整備については、「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、ナビマークやナビライン等を整備し、安心して通行できるよう、近隣区の路線とのネットワーク化を進め、回遊性の向上に取り組みます。

駐輪場については、区の西部エリアにおいて、民間事業者を活用した整備を進め、利用者の利便性の向上を図ります。
さらに、これらの取組をより推進するため、「自転車活用推進計画」を、令和4年度に改定する「新宿区自転車等の利用と駐輪対策に関する総合計画」に包含して策定します。

また、全国で登下校中の子どもたちが巻き込まれる痛ましい交通事故が相次いで発生しています。区では、昨年実施した、警察や保護者の方等との通学路緊急点検の結果を踏まえ、対応が必要な箇所については、防護柵の改修や、路側帯のカラー舗装などの安全対策に取り組んでおり、引き続き安全な歩行者空間の整備を進めてまいります。

西武新宿線の高田馬場駅から西側の新宿区内の踏切は、いわゆる開かずの踏切となっており、地域の暮らしや交通に支障をきたすなど、大きな課題となっています。
そのため、地域の方々と沿線のまちづくりに関する意見交換会を実施し、東京都とともに、鉄道立体化を含めた開かずの踏切対策の検討に取り組んでまいります。
次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づき、本年10月の完成に向けて、ちびっこ広場のリニューアル工事を進めます。

みんなで考える身近な公園の整備については、令和4年度は、みょうが坂児童遊園の再整備計画に基づき、整備を行います。

次に、地球温暖化対策の推進についてです。
全国各地で地球温暖化の影響と考えられる記録的な猛暑や大型台風などによる災害が多発しており、区としても喫緊の課題となっています。

このため、区では昨年6月5日の「環境の日」に、2050年までに区のCO₂排出量実質ゼロを目指すゼロカーボンシティの実現に向けて取り組むことを表明しました。

ゼロカーボンシティの実現に向けて、これまで以上に区民・事業者と連携・協力し、取組を推進してまいります。

家庭用の太陽光発電システムや住宅用蓄電池システムの設置に助成を行う省エネルギー機器の設置助成、及び、事業者向けLED照明設置助成については、件数を拡充して実施するとともに、新宿再エネオークションの普及を図り、再生可能エネルギー電力の導入を推進します。

区有施設のCO₂排出量削減に向けては、各特別出張所や生涯学習館など22施設で再生可能エネルギー電力等への切替を進めていきます。また、新宿清掃事務所のLED化に取り組むほか、牛込保健センター等複合施設建替えにおいては、ZEB-Readyの認証を取得しています。

民間の大規模開発においては、市街地再開発事業補助金の評価項目にZEB化の取組を位置付け、環境に配慮した開発を誘導しています。
また、伊那市・沼田市・あきる野市にある3つの「新宿の森」での
CO₂削減に向けたカーボン・オフセットについても、引き続き実施していきます。

そのほか、次代を担う子どもたちには、環境学習応援団ネットワークを活用した出前講座を実施するなど、環境教育の充実を図ります。

こうした、地球温暖化対策の取組をより一層推進するため、令和4年度末に「新宿区第三次環境基本計画」(改定版)を策定します。

次に、資源循環型社会の構築についてです。
リサイクルの推進やごみの減量を促進するため、資源とごみの分別の周知や、資源回収の推進に取り組んでまいります。
本年4月には、ごみ分別アプリを配信し、区民の皆様がごみの分別情報を簡単に取得できる仕組みを導入します。
また、昨年実施した資源・ごみ排出実態調査の結果や、「新たな日常」を踏まえた生活環境の変化に伴うごみの排出量の変化などに対応できるよう、「一般廃棄物処理基本計画」を改定します。

食品ロス削減については、昨年9月に株式会社良品計画と食品ロス削減の推進に向けた協定を締結し、MUJI新宿の店舗内にフードドライブの常設窓口を設置しました。引き続き、食品ロス削減協力店登録制度を実施するとともに、フードシェアリング事業者と連携し、食品ロス削減に向けた取組を推進してまいります。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
しんじゅく逸品の普及については、紹介冊子や、新宿文化観光資源案内サイト「温故知しん!じゅく散歩」に掲載することにより、広く情報を発信し、幅広い世代にPRしていきます。

地場産業の振興に向けては、区の地場産業である染色と印刷・製本団体によるデザインプロジェクト「Azalée」(アザリー)で開発した商品の周知活動を支援していきます。

また、革新的なビジネスの創出を促進し、区内産業の活性化を図るため、柔軟な発想を持つ若者の創業を促進する「新宿ビジネスプランコンテスト」を実施していきます。

さらに、ビジネスマッチングや事業拡大のきっかけづくりを行う「新宿ビジネス交流会」を開催し、共通の目的を持った中小企業者が交流できる機会を提供することで、販路開拓や事業連携を支援します。

そのほか、産業会館において、オンラインによる会議や講座、イベント等に活用できるよう、無料公衆無線LAN環境を整備し、事業者の活動を支援していきます。

魅力ある商店街の活性化に向けた支援については、区内大学等と連携し、商店街の魅力づくりを行うとともに、商店会情報誌「新宿商人」を発行し、商店の経営や商店会活動の参考となる情報を提供していきます。

次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
新宿の歴史や文化の魅力を向上させるため、区内の博物館や記念館等の魅力をPRするイベントを開催するとともに、国民的文豪である夏目漱石をはじめとした新宿にゆかりのある文化人を全国に広く情報発信していきます。

地域の魅力を知る機会を創出し、区民の皆様と来街者との交流を図るため、大新宿区まつりで協賛する地域のイベントについては、ホームページやSNS、紹介パンフレット等による周知を行うとともに、デジタルスタンプラリーの開催により、来場を促進してまいります。

友好提携都市の伊那市との交流については、これまで文化・スポーツなどのイベントや、物産販売、災害時の相互援助など、様々な機会で交流を図ってきました。新型コロナの影響により、まつりなどのイベントが制限される中、伊那市の農産物を活用した給食を提供し、子どもたちが食を通じて伊那市を身近に感じる機会を創出することで、さらなる交流を推進してまいります。

そのほか、新宿フィールドミュージアムの開催により、新宿のまちの魅力を発信するとともに、文化芸術の更なる振興を推進します。

新宿の観光情報の発信については、新宿ならではの魅力ある観光スポットやコンテンツなどを、区ホームページやSNSなどにより積極的に発信し、新宿のブランドイメージを更に向上させていきます。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
令和4年度に開館50周年を迎える新宿区立中央図書館では、これまでの沿革を紹介する展示など、記念行事を行います。

スポーツ環境の整備については、東京2020オリンピック・パラリンピックのレガシーとして、障害者の方が継続してスポーツに親しみ、体力の維持向上やコミュニケーションを楽しめる環境を確保できるよう、新宿スポーツセンターなどの区内スポーツ施設において、令和4年度から障害者の利用料を免除します。
また、子どもから高齢者まで、誰もがスポーツに親しむことができるよう、ボッチャ等の障害者スポーツ体験などを開催し、引き続きパラスポーツの普及を推進していきます。

新宿区スポーツ施設整備基金の活用については、新宿コズミックスポーツセンターの大体育室の照明更新工事など、快適にスポーツを楽しめる環境を整備します。
また、江戸川河川敷グラウンドは、より多くの区民の皆様が利用しやすくするため、2つのグラウンドのうち、一面をサッカーやラクロスなどの競技が行えるようにします。

次に、多文化共生のまちづくりの推進についてです。
しんじゅく多文化共生プラザを拠点として、日本語教室の運営を中心とした日本語学習の支援や、母語による生活相談などを通じて、外国人の生活を支援していきます。

次に、平和都市の推進についてです。
昨年3月に新宿区平和都市宣言35周年を迎え、7月には、区立中学校・新宿養護学校中学部の2年生全員を対象に、被爆者の体験講話をオンラインで開催し、生徒たちが平和な世界の実現のためにできる身近な取組について考えるきっかけとなりました。
本年3月には、新宿区平和都市宣言35周年記念事業「平和のつどい」をオンラインで配信します。
昨年やむなく中止した「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業については、感染症対策を十分に講じたうえで再開を目指し、戦争の悲惨さと平和の尊さを多くの方々に発信していきます。

基本政策の第四は「健全な区財政の確立」です。

はじめに、効果的・効率的な行財政運営についてです。
民間事業者等から、柔軟な発想や専門性を活かした事業提案を募集し、区との役割を分担しながら、より質の高い行政サービスの提供と業務の効率化や財政負担の軽減につなげることを目的として、本年4月より新宿区民間提案制度を開始し、公民連携のさらなる推進を図ります。

また、効果的・効率的に業務を推進していくため、RPAを活用した作業の自動処理化や、AIを活用した事務の効率化により、窓口サービスや業務手順の改善に取り組み、スマート自治体の実現に向けた取組を一層推進していきます。

住民記録・税等の区の基幹業務システムについては、現在のホストコンピュータを廃止し、国の「自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画」及び「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」に基づく標準準拠システムの導入とクラウド化を令和6年度末までに行うため、新たに実行計画に位置付け、準備を進めていきます。

次に、公共施設マネジメントの強化についてです。
区有施設については、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づく施設マネジメントの強化を図ります。

旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地については、現在実施している敷地活用調査の結果を踏まえ、特別養護老人ホーム等の高齢者施設の設置、防災広場の整備、牛込第一中学校の建替えに向けた、具体的な敷地の活用や整備工程について検討していきます。

基本政策の第五は「好感度1番の区役所」です。

はじめに、行政サービスの向上についてです。
公金の納付については、昨年12月から戸籍住民課窓口で、手数料等の交通系電子マネー決済を開始しました。令和4年度は、税務課及び特別出張所の窓口で取り扱う手数料等についても交通系電子マネー決済を導入します。また、特別区民税・都民税、軽自動車税、国民健康保険料、介護保険料について、コード決済を導入します。

さらに、窓口に来庁することなく、24時間申請手続を可能とするため、行政手続きのオンライン化を進め、区民の皆様の利便性向上を図っていきます。

区民の皆様への情報発信については、情報ツールが多様化する中、必要な情報を確実に受け取ることができ、かつ、区が伝えたい情報を的確に届けるため、令和4年度よりLINEを活用したプッシュ型の情報発信を行っていきます。

区ホームページについては、本年1月から107言語に対応した多言語瞬間翻訳機能を導入し、閲覧者の使用端末の言語設定に合わせて、ホームページの内容を翻訳し表示させることが可能となりました。
令和4年度は、最新情報の発信・各ページの探しやすさ・わかりやすさをコンセプトにトップページのリニューアルを行います。
また、必要な情報を迅速かつ分かりやすく案内するため、チャットボットを導入し、利便性の向上を図ります。

次に、職員の能力開発、意識改革の推進についてです。
区政運営の高度化・専門化や、区民ニーズの多様化・複雑化に的確に対応できる職員を育成するため、「新宿区人材育成基本方針」に基づき、実務を遂行する上で欠かせない知識や法令等の基礎的能力を向上させるとともに、全ての職員が能力を発揮できる働きやすい職場に向けて、スマートワーキングやハラスメントのない職場づくりを推進します。

また、新宿自治創造研究所では、データやエビデンスに基づく職員の政策形成能力の向上に向けて、令和3年度に引き続き「EBPMの推進に関する研究」を行い、研究所レポートにまとめて公表いたします。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望していきます。

3.2 令和4年度予算の概要

次に、令和4年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和4年度予算案についてです。

政府の令和4年度予算案は、新型コロナ対策に万全を期しつつ、「成長と分配の好循環」による「新しい資本主義」の実現を図るための予算として編成されました。具体的には、変異株による感染拡大等、予期せぬ状況変化に備えるとともに、科学技術振興費の確保、「デジタル田園都市国家構想」の実現、看護・介護・保育・幼児教育など現場で働く方々の収入の引上げ、成長分野を支える人材育成や非正規労働者のステップアップなど、重要な政策課題への対応に必要な予算となっています。
一般会計予算は107兆5,964億円で、前年度と比較して
9,867億円増となり、10年連続で過去最大を更新しています。
税収は65兆2,350億円で、前年度と比較して7兆7,870億円増となっています。

また、東京都は令和4年度予算を「都政に課された使命を確実に果たし、次なるステージへと力強く歩みを進めることで、希望ある未来を切り拓いていく予算」と位置づけ編成しています。
都税は5兆6,308億円で、前年度と比較して5,858億円、
11.6%の増となっています。一般会計の予算規模は7兆8,010億円で、前年度と比較して3,760億円、5.1%の増となっています。

続いて、区の令和4年度予算案についてです。
令和4年度予算は、編成の基本方針を「新型コロナウイルス感染症が及ぼす社会経済情勢の動向に柔軟に対応し、感染症収束後も視野に入れ、安全で安心な区民生活を支えるとともに第二次実行計画の着実な推進を目指す予算」と位置付け、第一に、コロナ禍における事業の優先度を的確に見極めながら、効果的な財源配分を行うこと、第二に、行政評価や直近の状況分析に基づく事務事業の見直しとデジタル技術等を活用した事業転換等を通じ、効果的・効率的な事業構築を図ること、この二点を基本に編成しました。
そして、新型コロナの感染拡大防止対策を最優先事項とし、区民生活や地域経済活動を下支えするため、これまで培った財政対応力を活かし積極的に事業の予算化を図った結果、一般会計は1,664億円で、前年度と比較して88億円、5.6%の増で、過去最大規模となりました。3つの特別会計は、合計719億円で、前年度と比較して29億円、
4.2%の増となりました。一般会計と合わせた令和4年度予算案の総額は2,383億円で、前年度と比較して117億円、5.1%の増となりました。

一般会計は、コロナ対策の充実などにより物件費や補助費等が大幅な増となり、歳出総額が対前年度88億円、5.6%の増となりました。特別区税や特別区交付金などの一般財源の増が見込まれるものの、それを上回る行政需要の増加により、財源不足額は84億円と前年度に比べ2億円、2.7%の増となりました。
今後は、コロナの動向による財政環境の変化への柔軟な対応とともに、社会保障関連経費や物件費の増加傾向、公共施設の老朽化に伴う更新・改修需要など、必要経費は将来に向かってさらに増加することが見込まれます。
このような中、将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、社会経済情勢を慎重に見極めながら、将来需要を的確に捕そくし、基金や起債の活用とあわせ、限られた財源の効果的な配分と効率的な予算の執行が求められます。
常に区民の視点で、行政のデジタル化を進めるとともに不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

新型コロナとの闘いは長期化し、ウイルスの性質も変化していますが、引き続き感染状況の推移や感染症が区民生活にもたらす影響に機動的に対応してまいります。そのうえで、区民の皆様とともに、区内の活気を取り戻せるように取り組んでまいります。現場現実を重視し、区民の皆様の声をお聴きしながら、誰もが安心して住み続けられる新宿のまちの実現に向けて、全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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