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平成29年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2017年2月17日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

 平成29年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
本定例会では、平成29年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

 本年は、新宿区成立70周年を迎えます。新宿区は、昭和22年3月15日、四谷、牛込、淀橋の三区統合によって成立しました。岡田昇三初代区長は、区史の序文の中で「当時の新宿区は、その8割が焦土と化し、建物、木石の残骸は一望の荒涼を示し、人口は僅かに13万余に過ぎなかった。」と記録しています。戦災から復興し、現在の発展した新宿区を築いてきた区政に関わる多くの先人達のご努力には、あらためて尊敬の念を深めます。
 区成立70周年の節目の年に、私は、先人達が築き上げてこられた歴史を振り返るとともに、将来を見据え、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちの実現に向けて確かな礎を築いてまいる決意をいたしました。

 さて、我が国の景気は、緩やかな回復基調が続いているとの判断が示されていますが、海外経済や金融資本市場では不安定要素も多く、区財政への影響も懸念されることから、引き続き、その動向については、十分留意する必要があります。
 また、法人住民税の一部国税化や企業版ふるさと納税の創設、消費税率引き上げの再延期の影響が危惧されるなど、区財政を取り巻く環境は、依然として予断を許しません。

 区政を取り巻く社会経済情勢が不透明である中、私は、現場・現実に向き合いながら、区民の皆様が新宿のまちで安心して住み続けられるよう、未来を担う子どもたちが健やかに成長できるよう、そして、誰もがいきいきと暮らせるよう力を尽くしてまいります。

2 平成29年度の区政運営の基本認識

 次に、平成29年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

 平成29年度は、現在の総合計画と第三次実行計画の最終年度として総仕上げに取り組むとともに、30年度からの10年間を展望する新たな総合計画と、そのアクションプランとしての実行計画を策定する極めて重要な年です。

 第三次実行計画では、重点的に取り組む施策として、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」を柱としながら、これを下支えする「健全な区財政の確立」と「好感度1番の区役所」を5つの基本政策として掲げています。これらの基本政策を推進し、新たな総合計画への橋渡しとして着実に取り組んでまいります。

 基本政策の第一、「暮らしやすさ1番の新宿」では、区民一人ひとりがライフステージに応じた暮らしやすさを実感でき、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるまちづくりを推進します。
健康寿命の延伸や地域包括ケアシステムの構築、保育園待機児童解消や学校教育の充実など、子ども、若者、高齢者、障害者の方をはじめ、誰もが尊重され、それぞれの役割を担いながら、自分らしく心豊かに暮らすことができる地域社会の実現を目指します。

 基本政策の第二、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、災害に強い、逃げないですむまちづくりと、区民が安全かつ安心に日々の暮らしを送ることができる環境づくりを推進します。
 首都直下地震発生の切迫性が高まる中、建築物の耐震化や、不燃化による木造住宅密集地域の解消、道路の無電柱化などに取り組むとともに、都市型民泊のルール作り、空き家対策、感染症の予防など、良好な生活環境づくりに取り組み、新宿の高度防災都市化と安全で安心なまちの実現を目指します。

 基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」では、商業・業務・文化・居住機能などが集積する多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿を創造してまいります。
 東京2020オリンピック・パラリンピックとその開催後も見据え、まちの回遊性や利便性を向上させるための都市基盤整備やユニバーサルデザインの取組みを進めるとともに、文化・観光・スポーツ、環境にやさしいまちづくり、商店街や産業振興などの施策を総合的に推進し、国際観光都市・新宿としての魅力とブランド力を高め、誰もが愛着と誇りの持てる、やすらぎとにぎわいのまちの実現を目指します。

 基本政策の第四、「健全な区財政の確立」では、新たな行政評価のしくみを確立し、より適切な施策・事業の進行管理に努めるとともに、マイナンバー制度の活用による効果的・効率的な行政サービスの提供や区有施設マネジメントの強化に取り組むことにより、健全な区財政を確保し、将来にわたって安定した行政サービスを提供してまいります。

 基本政策の第五、「好感度1番の区役所」では、窓口サービスの充実や、区民起点で考える職員の育成、新宿自治創造研究所の研究成果を活かした政策形成能力の向上などに取り組みます。
 区民や地域が抱える課題の解決に向けて、速やかに行動するとともに、区民視点による仕事の改善に不断に取り組むことで、区民の信頼に応える好感度1番の区役所の実現を目指します。
 
3 基本政策と主要施策の概要

 このような認識を踏まえ、基本構想や総合計画に掲げた目標の実現に向けて取り組む主要な事業の概要を、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

 はじめに、基本政策の第一、「暮らしやすさ1番の新宿」についてです。

 生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸を図るためには、健康意識の向上を図るとともに、地域社会全体で健康づくりを実践できる環境を構築していくことが必要です。
 このため、「第4期健康づくり行動計画」及び「データヘルス計画・第3期特定健康診査等実施計画」を一体的に策定し、健康寿命の延伸や医療費の適正化に向けて、今後の健康施策の方向性を示すとともに、レセプトデータや健診データに基づく効果的かつ効率的な保健事業を推進してまいります。

 がん検診については、未受診者に対する再勧奨通知を送付する検診の種類や対象年齢を拡大するほか、50歳以上を対象とした胃がん検診への内視鏡検査の導入や、乳がん検診の新規対象者に対する、正しい自己触診法などを記載した冊子の送付など、受診率向上とがんの早期発見・早期治療に努めてまいります。
 また、白血病等への有効な治療法である骨髄・末梢血幹細胞移植の推進とドナー希望登録者の増加を図るため、骨髄バンクのドナーや、ドナーを雇用する事業所に対する支援制度を新設し、通院・入院に応じた助成を行います。
 さらに、生涯にわたって健康に食事を楽しみ続けられるよう、誰でも気軽に口腔機能の向上に取り組める体操の活用や、地域での普及啓発活動を推進する担い手の育成など、NPOとの協働により、日常的に口腔機能の維持向上に努める重要性を広く普及啓発します。
 加えて、健康づくりを担う人材育成の第一歩として、ウォーキングリーダーの養成を行うとともに、健康情報を盛り込んだウォーキングマップの作成と、それを活用したウォーキングイベントを開催するほか、健康意識の向上と生活習慣病の予防に向けた普及啓発や食育の推進、女性の健康づくりなどに引き続き取り組みます。

 次に、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けられる「地域包括ケアシステム」の実現についてです。
高齢者を地域で支えるしくみづくりに向けて、一人ひとりの状態に合った支援の検討や地域課題の整理、解決策の検討を行う「地域ケア会議」を充実し、多職種協働による地域ネットワークの構築を進めます。
 また、地域の主体的な介護予防活動に対して助成を行う住民等提案型事業助成の実施団体数の拡大や、高齢者を支える新たな担い手の発掘など、多様な主体が地域の担い手となる体制を推進します。
 このほか、従来の申込制の介護予防教室を一部見直し、申し込み不要で、参加料金が無料の新たな介護予防教室を通年で実施し、高齢者が要介護状態にならないような取組みを強化してまいります。
 また、介護を必要とする人が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域密着型サービスを充実します。
 平成29年度は、中央図書館跡地を活用した小規模多機能型居宅介護とショートステイ、戸山第三保育園跡地を活用した小規模多機能型居宅介護とデイサービスを開設するとともに、民有地を活用した地域密着型サービスの開設に取り組みます。
 さらに、平成30年度の開設に向けて、大久保特別出張所跡地を活用した認知症高齢者グループホームと高齢者地域交流スペースの整備を進めます。
 このほか、平成31年度の開設に向けて、富久町国有地を活用した特別養護老人ホームとショートステイの整備を進めてまいります。
 また、介護人材の確保と質の向上や、区内介護サービス事業者の安定運営への支援のため、職場見学と面接を兼ねた「ツアー面接会」や人材確保に関するセミナー及び個別相談会、介護福祉士の資格取得費用助成を引き続き実施いたします。

 認知症高齢者への支援については、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、引き続き高齢者総合相談センターの「認知症初期集中支援チーム」による初期支援や、かかりつけ医をはじめとする関係機関における「認知症診療連携マニュアル」の活用を図るほか、もの忘れ相談の実施回数を拡充することにより、認知症の早期発見・早期診断を推進します。
 あわせて、認知症についての正しい知識を持ち、認知症の方や家族を応援する「認知症サポーター」の活動拠点をすべての地域型高齢者総合相談センターに拡大し、地域での見守り活動の輪を広げてまいります。
 団塊の世代が75歳以上となる2025年の新宿区の将来像を見据えた施策の展開が図られるよう、「高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」を策定し、「地域包括ケアシステム」の実現に向けて高齢者施策を推進してまいります。

 次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
 障害者の地域での生活を支援するため、国有地を取得した社会福祉法人への施設整備費等の補助を行い、本年9月の開設を目指し、障害者グループホームの整備を進めてまいります。
 また、区立障害者福祉センター、区立障害者生活支援センター及びシャロームみなみ風に相談支援専門員を増配置し、土曜日・日曜日の相談支援体制を整備するとともに、専門性を生かしたケアマネジメント機能を強化します。さらに、シャロームみなみ風に研修コーディネーターを配置し、区内事業所向けの研修等を実施することにより、人材育成やサービス水準の向上と連携の強化を図ります。
 障害者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう、「障害者計画・第5期障害福祉計画・第1期障害児福祉計画」を策定し、障害者施策を計画的に推進してまいります。

 次に、成年後見人等による権利の擁護についてです。
 判断能力が十分でない高齢者や障害者の権利を守るため、「新宿区成年後見センター」を中心として、地域に密着した市民後見人の養成・活用を引き続き行うとともに、費用負担が困難な方に対する申立費用及び後見人報酬の助成人数を拡大し、成年後見制度の利用を促進します。

 次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
 待機児童の解消に向けて、本年4月には、中央図書館跡地を活用した私立認可保育所の開設、また、認証保育所の認可化や既存認可保育所及び認定こども園の定員拡大などにより、416名の定員拡大を実現します。
 さらに、5月には80名、加えて年度内に賃貸物件を活用した私立保育所5所の整備により259名の定員拡大を目指すことで、平成
29年度中に合計755名の定員拡大を図ってまいります。
 このほか、短時間就労等の方のお子さんを継続してお預かりする定期利用保育を拡充します。

 こうした取組みに加えて、保育人材の確保を図るため、保育士の就職相談・面接会を引き続き実施するほか、平成29年度は、区内の保育施設に勤務する保育士の子どもが、優先的に入園できるよう緊急的措置を講じます。また、保育従事職員用の宿舎借上げ経費の助成対象を、区内在住者については、採用から6年目以降の職員も対象に実施します。
 さらに、子育て世代の経済的負担を軽減するため、保育園等の入園が不承諾となった保護者が、入園を待機する間に、一定の基準を満たした認可外保育施設を利用した場合の保育料の一部を助成します。

 小学生の放課後の居場所づくりでは、学童クラブ機能付き放課後子どもひろばを20か所に拡充するとともに、愛称を「ひろばプラス」とし、子どもの成長や家庭の状況に応じて活用いただけるよう充実を図ります。
 また、小学校低学年を対象に行っている学習支援については、子ども総合センター及びすべての子ども家庭支援センターで実施し、養育環境が整わず家庭での学習習慣が定着していない子どもの継続した学習意欲の高まりへとつなげてまいります。

 さらに、出産・子育て応援事業「ゆりかご・しんじゅく」を引き続き実施し、すべての妊婦が保健師等に相談できる機会を設けることにより、不安やリスクを早期に把握し、必要な方には継続した支援を行うなど、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を行ってまいります。

 次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす学校教育の充実についてです。
 学校の教育力の向上に向けて、学習指導支援員の配置など学校支援体制の充実のほか、学校評価や特色ある教育活動を引き続き推進します。

 また、特別な支援を必要とする児童・生徒への支援として、特別支援教育推進員を増員し、指導体制を強化することにより、発達障害のある児童・生徒に対する効果的な学習指導を行うとともに、コミュニケーション能力の向上を図ります。
 さらに、スクールソーシャルワーカーの配置を2名から3名に増員し、問題を抱える児童・生徒が置かれている環境を的確に把握し、関係機関と連携して早期に対応することにより、不登校児童・生徒の減少や不登校の未然防止に努めます。
 加えて、新宿養護学校に、視線の動きによりパソコンの入力が可能となる視線入力装置を導入することにより、言葉や身体(からだ)が不自由な児童・生徒とのコミュニケーションをより深め、主体的に学習に取り組む環境を整えてまいります。

 このほか、就学援助事業については、中学入学時の制服購入費などの新入学学用品費の支給時期を、3月に前倒しすることで、経済的な課題を抱えている家庭の負担軽減を図ります。
 また、区立小学校の通学路への防犯カメラの設置については、平成29年度にすべての区立小学校への整備が完了します。これにより、通学時における児童の安全確保を図ってまいります。

 ICTを活用した教育環境の充実については、教育用ネットワークの再構築に合わせて、ICT機器をタブレットパソコンなど、より教育効果の高い機器に更新することにより、平成32年度に予定されている新学習指導要領を見据えた先行的な導入を行います。
 さらに、地域に開かれた学校づくりでは、平成29年度にすべての区立小中学校が地域協働学校となります。児童・生徒の豊かな学びの環境を一層充実させ、地域全体で子どもたちを育んでまいります。
 東京2020オリンピック・パラリンピックを契機とした教育の推進については、英語キャンプの参加人数の枠を増やし、より多くの児童・生徒が参加できるように体制を整えます。

 さらに、新宿区に伝わる伝統や文化を学ぶきっかけづくりとして、新宿ものづくりマイスター体験講座を、すべての区立中学校に拡充するほか、障害者理解教育として、「ブラインドサッカー」、「車いすバスケットボール」などの障害者スポーツ体験事業を区立の小中学校、特別支援学校全校に拡充して実施します。

 教育をめぐる状況の変化を的確に捉え、児童・生徒が新しい時代に必要とする資質や能力を育成するため、教育委員会では、新たな「新宿区教育ビジョン」を策定します。「新宿区総合教育会議」等を通して、教育委員会と十分な意思疎通を図り、教育行政の推進に向けたビジョンを共有してまいります。

 次に、セーフティネットの整備充実についてです。
ホームレス対策について区民の理解と協力を深めるとともに、支援団体との連携を一層強化しながら、自立支援を推進していきます。

 また、生活困窮者の自立支援としては、「生活支援相談窓口」において、一人ひとりの生活状況に的確に対応し、自立相談支援事業、就労準備支援、学習支援などの各種支援事業を引き続き実施してまいります。
 本年、民生委員制度が創設100周年を迎えます。これを機に、記念講演会や記念誌の発行を行うなど、制度の普及啓発を図ってまいります。

 次に、女性や若者が活躍できる地域づくりについてです。
 すべての人が、性別にかかわりなく、あらゆる分野に参画することのできる社会の実現に向けて、「第三次男女共同参画推進計画」を策定します。

 また、ドメスティック・バイオレンスの防止と被害者支援体制の充実を図るため、新宿区配偶者暴力相談支援センター事業を本年10月に開始します。専門相談員による的確なアドバイスを行うとともに、早い段階で関係機関と連携を開始することで、きめ細かな対応を行ってまいります。
 さらに、若者の意見を区政に反映させるとともに、区政への参加意識の向上を図るため、これまで区政に関わることが少なかった若者を対象とした意見交換の場として、しんじゅく若者会議の開催やインターネットによる、しんじゅく若者意識調査を実施します。

 次に、だれもが地域で働き続けられるしくみづくりに向けて、新たに、女性の採用・継続雇用に意欲的な企業に対して、就業環境の整備や採用支援を行います。また、就業・復職を望む女性を対象に、研修やセミナーを開催するとともに、個別カウンセリングや合同説明会の実施による企業と求職者のマッチング支援を行い、区内中小企業の人材確保を支援します。

 次に、新宿区町会連合会と連携し、地域課題に取り組むとともに、新たに外国語版の町会・自治会加入促進チラシを作成し、地域で生活する外国人への町会・自治会活動の理解と加入の促進を図っていきます。

 次に、基本政策の第二、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」についてです。
 建築物の耐震化をさらに促進するため、非木造の耐震改修工事費補助及びエレベーター改修費補助の所得要件を撤廃するとともに、耐震シェルター・耐震ベッド設置費補助については、所得要件を撤廃するほか、高齢者・障害者に限定していた補助対象者を拡大します。
 また、震災時の避難や救助活動等に重要な役割を持つ特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を一層推進するため、特に倒壊の危険性が高い建築物への工事費補助を上乗せします。

 さらに、木造住宅密集地域など震災時に危険度が高い重点地区においては、個別訪問による普及啓発の充実を図るとともに、重点地区内の耐震改修工事費補助を上乗せするなど、耐震化に向けた取組みを一層強化してまいります。

 このほか、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに向けて、耐震化率の新たな目標を設定するなど、「耐震改修促進計画」を改定します。

 擁壁やがけの安全化対策については、安全化指導や適切な維持管理の啓発、改修工事費の一部助成を行うとともに、専門技術者の派遣により、土砂災害を未然に防ぐための取組みを強化します。

 また、木造住宅密集地域の解消に向けて、平成29年度は、牛込台西北地区、上落合東部地区、西新宿五丁目地区において、新たな防火規制及び地区計画等の導入に取り組んでまいります。
 さらに、大規模地震発生時における電気火災の発生を抑制するため、災害危険度の高い地域を対象として、「感震ブレーカー」の設置に対する助成制度を新設し、木造住宅密集地域等のさらなる安全性の向上を図ります。

 道路の無電柱化については、平成30年度の完成に向けた聖母坂通りをはじめ、補助第72号線及び甲州街道脇南側道路の整備を着実に進めていくほか、新たに信濃町駅周辺の四谷第六小学校南側道路の整備に向けて、取り組んでまいります。

 次に、災害に強い体制づくりについてです。
 避難所において配慮を要する方の安全・安心を確保するため、女性をはじめ配慮を要する方の視点を取り入れた「避難所運営マニュアル」の更新を行うとともに、10か国語の「避難所運営のルール」を各避難所へ配布します。

 また、被災した高齢者や障害者等が安心して安全に避難できるよう、平成28年度に福祉避難所として協定を締結する区内民間福祉施設5所に加え、新たに6施設と協定を締結します。
 加えて、災害時要援護者名簿の中から、100名程度の要配慮者を抽出し、訪問調査等により必要な支援や介助内容などの情報のサンプルをデータ化します。このデータを分析し、要配慮者の受け入れ態勢や必要な備蓄物資、対応方法などをまとめた、区職員及び施設管理者向けの福祉避難所の運営マニュアルを策定するとともに、要配慮者が個々に必要な支援等を記載する個別計画を容易に作成できるよう、見本となる計画を公開し、自助・共助による個別計画の作成を促進することにより、災害応急体制の強化を図ってまいります。

 さらに、区の防災・減災対策について分かりやすく記載した総合的な防災ハンドブックや、特別出張所地域ごとの防災マップを作成し、区民の防災意識の高揚を図るほか、「マンション防災対策ガイドライン」の策定や地震動シミュレーター等を活用した防災訓練の実施などにより、マンションの防災対策の充実を図ってまいります。

 次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
 区民や来街者が安心して楽しむことができるよう、地域団体との連携により、新宿駅周辺の防犯パトロール活動を強化するなど、引き続き客引き行為等の撲滅に向けて取り組んでまいります。

 また、路上に置かれた看板などによる通行障害を防止するため、昨年12月に施行した「新宿区路上等障害物による通行の障害の防止に関する条例」に基づき、関係機関と連携した取組みを一層強化してまいります。

 さらに、民泊問題については、昨年10月に設置した「新宿区民泊問題対応検討会議」において、違法民泊の現状と課題を抽出し、都市型民泊の適正なルールを検討しているところです。
 国の法案の動向を注視しながら、区民の安全で平穏な生活環境を守ることを最優先に、ルールづくりに取り組んでまいります。

 空家等の対策の推進については、平成28年度に実施している「空家等実態調査」の結果を踏まえ、区の地域特性を踏まえた「空家等対策計画」を策定します。


 さらに、被害の絶えない特殊詐欺に対応するため、希望する65歳以上の方がいる世帯へ自動通話録音機を貸与し、防犯対策の推進を図ります。

 このほか、安心して住み続けられる住宅・住環境の整備に向けた住宅政策の基本目標や方向性を示し、具体的な施策を展開していくための計画として、「第4次住宅マスタープラン」を策定します。

 次に、基本政策の第三、「賑わい都市・新宿の創造」についてです。
今後10年の区のまちづくりを見据えて、さらなる都市の安全性の確保や新たな賑わいの創出、多様な主体との連携強化に向けて、「都市マスタープラン」を見直すとともに、地区の特性を踏まえたまちづくりを計画的・戦略的に推進していくための「まちづくり長期計画」を新たに策定します。

 新宿駅周辺では、歩行者の回遊性の向上を軸とした都市基盤の整備を進め、より魅力的で賑わいあふれる、歩きたくなるまちづくりを進めます。
 このため、新宿駅直近地区で、駅と様々な特色をもつ周辺地区を繋ぐまちづくりの整備方針を示してまいります。また、新宿通りのモール化に向けて、効率的な物流方法の検討を引き続き行うとともに、歩行者スペースの拡張やイベント開催等に併せた社会実験を実施してまいります。

 あわせて、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催や、新宿駅東西自由通路の開通により増加する来街者への対応として、新宿駅東口の玄関口である駅前広場の整備に向けて、東京都や関係機関と連携しながら整備計画を検討してまいります。
 中井駅周辺については、駅前広場や駐輪場、防災コミュニティスペース等の整備を行ってまいります。
 歌舞伎町地区のまちづくりについては、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現に向けて、引き続き、安全・安心対策や環境美化、賑わいづくりと新たな文化の創造・発信等に取り組んでまいります。
 また、「歌舞伎町街並みデザインガイドライン」に基づいて、シネシティ広場やセントラルロードとの一体的な整備として、新宿東宝ビル東側道路の整備を進めてまいります。

 さらに、本年3月、歌舞伎町二丁目に「歌舞伎町観光バス駐車場」が開設します。区として、運営に必要な支援を行うことにより、歌舞伎町をはじめ、新宿駅周辺の観光バスの滞留対策を図ります。

 次に、地域特性を活かしたまちづくりを推進するため、平成29年度からは、新宿ゴールデン街地区で、地区の風情を守りながら、防災まちづくりを進めるほか、放射第25号線の開通や飯田橋駅ホームの移設などに対応した津久戸町周辺地区のまちづくりの支援を行うなど、地域との協働により、まちづくりルールを定めてまいります。

 また、景観に配慮したまちづくりの取組みとして、神楽坂地区において、屋外広告物地域別ガイドラインの策定を検討してまいります。

 次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりに向けて、一層増加が見込まれる外国人旅行者をはじめ、新宿に訪れる多くの方々が安心して快適に観光を楽しめるよう、新宿駅周辺の観光案内標識の整備・更新を行うなど、引き続きユニバーサルデザインの視点に立ったまちづくりを進めていきます。

 「新宿フリーWi-Fi」については、新宿駅や本年3月から運用を開始する高田馬場駅周辺等に加え、平成29年度は四ツ谷駅周辺への整備を進め、Wi-Fi用ポータルサイトを活用した魅力的な観光情報の提供により、区内各地への回遊を促進します。

 次に、道路環境の整備についてです。
 安全で快適な歩行環境を整備し、暮らしやすい道づくりを進めるため、新宿区通学路交通安全プログラムと連携し、下落合地区周辺の5路線で歩道拡幅や舗装改良等の整備を進めます。

 また、誰もが使いやすいバリアフリーの道づくりを進めるため、高田馬場駅に繫がる「さかえ通り」と、信濃町駅周辺の区道の整備を行います。

 さらに、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催までに、改修可能な小型街路灯すべてをLED街路灯に改修し、道路の節電対策とCO2の発生抑制に取り組むとともに、マラソン競技周辺道路の遮熱性舗装の整備に向けて調査・測量を行います。

 次に、交通環境の整備についてです。
 自転車の適正かつ安全な利用の推進に向けた環境整備を行うため、自転車等に関する総合計画を策定するほか、中井駅の駐輪場整備、新宿駅直近の靖国通りへの時間利用駐輪場の整備を行うとともに、百人町自転車保管場所の収容台数を拡充し、放置自転車の解消を図ります。

 また、歩行者、自転車、自動車、それぞれが安全に安心して通行できるよう、平成29年度の完成に向けて、西新宿の「はごろも児童遊園」エリアにおける自転車走行空間の整備を進めるとともに、神宮球場前及び早大通りにおける外苑東通りから江戸川橋通りまでの区間についても、整備に向けて取り組んでまいります。

 さらに、昨年10月から実施している自転車シェアリングについて、自転車とサイクルポートの拡充を進めるとともに、周知を行い、利用を促進し、区民や来街者の利便性やまちの回遊性の向上を図ります。

 このほか、鉄道駅の安全性向上や快適な利用空間を整備するため、ホームドア及びエレベーターの設置促進を進めてまいります。平成
29年度は、京王新線新宿駅のホームドアの設置補助を行うとともに、JR新大久保駅のエレベーター設置に向けて、協議を行います。

 次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
 新宿ならではの、みどりの保全と創造に向けて、「みどりの基本計画」を改定するとともに、新宿中央公園の魅力向上のため、民間活力の活用などについて検討を進め、「(仮称)新宿中央公園魅力向上推進計画」を策定いたします。
 また、新宿らしい都市緑化を進めるため、引き続き花の名所づくりの整備を進めるほか、屋上等の緑化助成や、普及啓発を行います。
 さらに、なんど児童遊園における魅力ある身近な公園づくりについて、地元の方々とのワークショップによる改修計画を作成します。

 このほか、春には、区内のさくらの名所を、多くの方に散策していただけるよう、パンフレットを作成するとともに、本年3月下旬から4月上旬頃にかけて、神田川の面影橋から仲之橋の区間で夜間にライトアップを行います。
 今後は、神田川に加え、外濠や、妙正寺川の西落合公園付近でもライトアップを実施し、区内の貴重な水辺とさくらの魅力を多くの方に感じていただけるよう取り組んでまいります。

 次に、地球温暖化対策を着実に推進するため、新宿エコ隊の活動の推進や、「新宿の森」での環境保全体験への参加の促進、太陽光発電設備などの導入経費の補助、省エネ診断の支援、省エネルギー意識の啓発などに引き続き取り組むとともに、「第三次環境基本計画」を策定し、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に進めてまいります。

 また、資源・ごみの適正な回収・処理を行うために、収集した不燃ごみから、カセットボンベなど火災原因物や、びん・缶・ペットボトル等の資源、蛍光灯などの全量除去を区内全域で実施するとともに、新たに、使用済み小型電子機器等の選別作業を実施し、さらなるごみの減量と資源化率の向上を図ってまいります。

 さらに、オリンピック組織委員会では、東京2020オリンピック・パラリンピックに向けて、「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」を本年4月から開始します。区では、区役所本庁舎1階及び都庁第二本庁舎1階でボックス回収を行い、東京都とともにこの取組みに協力してまいります。

 次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現に向けて、引き続きビジネス交流会や商談会の開催により、中小企業等の新たなビジネスチャンスを支援します。

 さらに、魅力ある商店街の活性化に向けた支援として、新たに大学との連携による商店街支援事業を実施することにより、商店街の魅力づくりを推進するほか、商店会等が実施するLED街路灯の新設やLEDランプ交換等の環境対策への取組みに対する費用の補助件数を拡充し、環境に配慮した商店街づくりを推進します。

 また、新宿区の多様な特性を活かした産業振興を推進するため、東京2020オリンピック・パラリンピックとその後を見据え、「産業振興プラン」を策定します。策定にあたっては、区内商店会や事業者の現状を踏まえ、区内産業を取り巻く環境の変化に的確に対応してまいります。

 次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
 夏目漱石生誕150周年にあたる本年9月の開館に向けて、漱石山房記念館の整備を進めてまいります。また、漱石やその作品の魅力と記念館についての情報発信イベントや開館特別展を開催し、記念館の周知に努めるとともに、漱石山房通りの景観向上に向けた道路整備を行います。

 また、何度も訪れたくなる国際観光都市・新宿を目指し、「新宿産業観光フェア」の開催や、「新宿ものづくりマイスター」などにより、新宿のものづくり産業や観光都市としての魅力を、新宿観光振興協会と連携して国内外に発信するとともに、昨年12月に新宿駅東南口の甲州街道高架下に開設した観光案内所を拠点として、新宿の魅力を伝える情報を提供してまいります。

 このほか、新宿区成立70周年を記念し、本年3月、新宿文化センターで、区政功労者表彰や名誉区民による舞台披露等を行う記念式典を開催するほか、本年6月には「新宿区史」を発行します。歴史・文化等の多様なまちの魅力を紹介することにより、多くの方々に、新宿区に愛着を持っていただけるよう作成を進めてまいります。

 次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
 本年3月、下落合図書館がオープンします。区民の身近な「知の拠点」として、地域や区民にとって役に立つ図書館となるよう運営してまいります。

 また、区民の誰もが生涯を通じて、多様なスポーツ活動に親しむことができるよう、トップアスリートを迎えたスポーツイベントの実施や、「ボッチャ」「ゴールボール」の普及を行います。平成29年度は、障害者スポーツ体験イベントを開催し、東京2020オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツの力で新宿のまちを元気にする取組みを進めてまいります。
 さらに、戸山公園箱根山地区多目的運動広場については、引き続き、多種目・多目的に使用できる総合的な多目的運動場としての整備を東京都へ要望してまいります。

 次に、平和都市の推進についてです。
 昨年5月のアメリカ、オバマ前大統領の被爆地・広島訪問では、核兵器のない世界に向けての力強いメッセージが発せられました。私も8月の長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典に出席させていただきましたが、平和の尊さや命の大切さを次の世代に引き継いでいく重要性をあらためて認識いたしました。
 今後も、「平和展」や「平和コンサート」の開催、「親と子の平和派遣」等の実施を通して、平和の尊さの認識を深めていただけるよう取り組んでまいります。

 次に、基本政策の第四、「健全な区財政の確立」についてです。
 平成29年度は現在の総合計画の最終年度となることから、30年度からの10年間を展望する新たな総合計画について、基本構想審議会及び都市計画審議会の答申を踏まえ、本年12月の策定に向けて取り組んでいます。

 また、新たな総合計画で示す施策を具体の事業として計画的に実施するための実行計画を策定します。
 計画の策定にあたっては、区民討議会や地域説明会などで区民の皆様の意見を広くお聞きしてまいります。

 あわせて、より適切な施策・事業の進行管理を行うため、行政評価の手法の検証を進めていくとともに、区有施設のマネジメント強化に向けて、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づき、区有施設の維持管理・更新・統廃合・長寿命化などを総合的かつ計画的に行い、地域拠点の充実や民間との連携強化、公的不動産の活用による一般財源の確保など、様々な取組みを通して、区民にとって必要なサービスの確保を目指します。

 さらに、学校用務業務の民間事業者への委託など、事業ごとに委託化を含む業務の効率化や合理化等の推進にも努めてまいります。

 次に、施設の有効活用についてです。
 薬王寺児童館等合築施設については、利用者の利便性向上を図るため、建物のバリアフリー工事を進めています。
 また、薬王寺ことぶき館については、多世代交流を推進し、健康づくりや地域で高齢者を支える活動を支援する拠点として整備いたします。
さらに、改修工事に併せて、地域の待機児童解消対策として私立認可保育所を整備し、平成30年4月の開設を目指します。

 次に、旧都立市ヶ谷商業高校跡地の活用についてです。
 先般、東京都から、平成29年度以降の旧都立市ケ谷商業高校跡地の活用にあたって地元自治体である新宿区の意見を伺いたいとのご連絡があったことから、現在検討を行っているところです。

 次に、基本政策の第五、「好感度1番の区役所」についてです。
 区民視点に立った自治の実現に向けて、職員が実務を遂行するうえで欠かせない知識の習得を通じ、基礎的能力を向上させるとともに、区民起点で考え、区民と協働し、職場や仕事を改善する職員の育成に引き続き取り組んでまいります。

 また、新宿自治創造研究所では、「新宿区の魅力」をテーマとした研究を進め、新宿区が将来にわたり持続可能な魅力やブランド力を持ち続けるための方向性を研究成果としてまとめます。
 こうした研究成果を生かすとともに、新宿自治創造研究所と人材育成センターとの連携講座の開催等により、職員の政策形成能力のさらなる向上に取り組みます。

 さらに、職員と外国人との円滑なコミュニケーションの実現を図るため、本庁舎・第一分庁舎、第二分庁舎、しんじゅく多文化共生プラザ、保健センターに、タブレット端末を活用したテレビ通訳システムを導入し、窓口業務・相談業務等における多言語対応の環境をさらに向上してまいります。

 地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望してまいります。
 また、都区制度改革については、法改正により、本年4月から、特別区による児童相談所の設置が可能となったため、東京都との具体的な協議を進めるとともに、必要な財政措置を求めていきます。

 マイナンバー制度については、本年7月から、情報提供ネットワークシステムを通じた団体間の情報連携と、ご自身の情報の履歴の確認やサービス利用に必要な申請等の手続きをオンラインで行うことができる「マイナポータル」の稼働が予定されており、区として適切な対応を行ってまいります。

 さて、東京2020オリンピック・パラリンピックまで、あと3年となりました。
 メインスタジアムを地元に持つ自治体として、大会に向けての新宿区の取組みは、区民の皆様や全国の自治体から注目されています。
区民の皆様にとって、生涯、記憶として残るよう、世界最大のスポーツと平和の祭典に向けて取り組んでまいります。

 そのため、区民や関係団体、大学等を交えた「(仮称)新宿区東京2020大会区民協議会」を設置し、今後の多岐に渡る情報や取組みについての連携を図ります。

 また、本年6月、東京2020オリンピック・パラリンピックのフラッグが新宿区に巡回してまいります。
 フラッグ歓迎セレモニーの開催に併せ、パラリンピック競技種目の体験コーナーを設けるほか、子どもたちの身近な記憶として残るよう、区立の小中学校・特別支援学校全40校を巡るメモリアルツアーを開催します。
 さらに、気運醸成と普及啓発に取り組むため、外国人観光客をはじめ多くの来街者に、茶道、華道を通して和の文化を体験していただくイベントを開催し、おもてなしの心と、新宿区の魅力を発信していきます。

3.2 平成29年度予算の概要

 次に、平成29年度の予算編成にあたっての基本的な考え方を申し述べます。

 平成29年度の政府の一般会計予算案は「『経済・財政再生計画』2年目の予算として、経済再生と財政健全化の両立を実現する予算」と位置づけています。
 経済再生では、誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現や働き方改革を推進しています。
 一方、財政健全化では、「経済・財政再生計画」の「目安」の達成と、社会保障関係費の伸びを抑制するとともに、国債発行額を対前年度比で622億円削減しています。
 税収は、対前年度比0.2%増の57兆7,120億円、予算規模は、対前年度比0.8%増の97兆4,547億円となり、平成28年度予算を上回り、過去最大となっています。

 また、東京都は平成29年度予算案を「『新しい東京』の実現に向けた改革を強力に推し進め、明るい未来への確かな道筋を紡ぐ予算」と位置づけ、編成しています。
 都税は対前年度比2.3%減の5兆911億円と6年ぶりの減、一般会計の予算規模は、対前年度比0.8%減の6兆9,540億円となり、5年ぶりの減となっています。

 新宿区の平成29年度の一般会計予算案は「未来を切り拓き、次の10年を展望する新たな総合計画の実行性を担保するため、厳格な財政規律のもと、その足場を固める予算」と位置づけ、第一に、限られた財源を重点配分し、第三次実行計画の達成と現在の総合計画の総仕上げに取り組むとともに、緊急性が高い区政課題に的確に対応すること、第二に、行政評価や決算実績等に基づく事業見直しと経費の削減、さらなる歳入確保など、安定した財政基盤の確立に向けて積極的に取り組むこと、この二点を基本に編成しました。
 予算の規模は1,446億円となり、前年度に比べ8億円、0.5%の減となりました。一方、3特別会計は27億円の増で、一般会計と合わせて19億円の増となりました。

 また、平成29年度予算は、現在の総合計画の総仕上げとして、新たな総合計画への橋渡しとして、子育て世代、高齢者や生活困窮者などへの支援、高度防災都市化に向けた災害に強いまちづくり、回遊性や利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくり、3年後の東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に向けた準備など、取り組まなければならない課題に的確に対応するために、予算を重点的に配分しています。

 良質な区民サービスを提供し続けるためには、将来にわたり安定した財政基盤を確立しなければなりません。そのためには、引き続き、区税等の増収対策、内部管理経費の削減、公共サービスのあり方の見直しや定員適正化などの取組みを、さらに進めることが重要です。
 常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営の確保に努めてまいります。

4 おわりに

 以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

 区政を取巻く社会経済情勢は、決して楽観視できません。今後もさらに慎重に見極めていくことが必要です。

 私は、現場・現実に向き合い、区政課題を的確に見極めながら、次の世代が夢と希望を持って生活できる、持続的に発展し続ける新しい新宿のまちを目指し、「『新宿力』で創造するやすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、区民生活に根ざした施策の着実な推進に全力で取り組んでまいります。

 議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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