区内の92歳女性が更生施設に絵画を寄贈

最終更新日:2008年12月3日

写真:絵画「よみがえる」の前で久栖さん(中央)と施設関係者
 新宿区に住む久栖政子(くすみまさこ)さん(92歳)が、区内の更生施設に自身が描いた絵画を寄贈した。

 きっかけは、「ちょこっと困りごと援助サービス(※)」を実施している区の社会福祉協議会に、絵画の処分について久栖さんが相談したこと。50歳から絵を描き始め、夫を亡くしてからの15年間、一人で生活してきた久栖さんのご自宅には、約80点もの絵画が眠っていた。
 中でも、80歳のときに描いた油絵「よみがえる」は、女性の優しさとたくましさが感じられる力強い作品。「重ねてきた年輪と経験を絵画を通して表現し、伝えることで、だれかの生きる力になれば」と、生きることへの特別な想いが込められた作品という。

 何とか廃棄せずに、たくさんの方にこの想いが伝わる方法がないか検討していたところ、「改装したばかりの施設に、入所者が自立を目指し勇気づけられるような絵画を飾りたい」という更生施設の希望と、久栖さんが作品に込めた想いが一致。「よみがえる」のほか約15点が施設に寄贈され、再び命を吹き込まれた絵画が玄関・作業場・食堂などに飾られた。

 11月25日、施設を訪れた久栖さんに、施設や地域の関係者が見守る中、感謝状を贈呈。作品に感銘を受け、久栖さんとの対面を心待ちにしていた入所者の1人は、「現実逃避の日々から自分に直面する勇気をいただいた」と握手を交わした。
 久栖さんは現在、区内の団地に一人住まい。最近は、大規模団地における高齢者の孤立化がクローズアップされる中、団地住民による人と人との交流が実現。社会福祉協議会では、「廃棄されるはずだった1枚の絵が、社会復帰と自立を望む多くの女性の心の支えとなり、生きる勇気と自信を与えてくれた。地域や世代を超えた新しい交流も生み出したことは素晴らしい」と、今回の橋渡しを喜んでいる。

※ちょこっと困りごと援助サービス…75歳以上の方を含む65歳以上の高齢者のみの世帯が対象。30分程度で解決できる困りごと(電球の交換や荷物の移動など)に地域のボランティアが対応し、社会福祉協議会による依頼者とボランティアの仲立ちを通して住民の支え合いによる地域づくりを目指します。

本ページに関するお問い合わせ

新宿区社会福祉協議会ボランティア・市民活動センター 電話 03-5273-9191