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令和3年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2021年2月15日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和3年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。

本定例会では、令和3年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りしますとともに、ご遺族の方には心よりお悔やみを申し上げます。また、感染された皆様とご家族の皆様には、心からお見舞いを申し上げます。区民の皆様や区内事業者の皆様におかれましては、感染拡大防止にご協力をいただき、ありがとうございます。また、医療現場の最前線で新型コロナの治療に尽力されている医療従事者の皆様には、心から感謝を申し上げます。

昨年、区は、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、全庁横断的な応援体制をとり、一丸となって感染症対策に取り組んできました。感染予防の意識啓発や相談・検査体制の構築、区民生活を支える助成制度など、区民の命と暮らしを守る対策に取り組むとともに、深刻な影響を受けている区内中小企業者を支援するため、区独自の助成制度を創設するなど、地域経済の回復に向けた対策を実施してきました。

昨年の8月から10月には、感染者は減少傾向にありましたが、冬場を迎えて、感染が急速に拡大する中、国は、1月7日に緊急事態宣言を発出しました。その後、1か月とされていた緊急事態宣言は、医療体制が引き続き厳しい状況にある中、3月7日まで、1か月の延長が決定したところです。
今一度、基本的な感染予防を行うことで、感染拡大を収束させ、一日も早く地域の社会経済活動が安心して行えるよう、区民の皆様とともに取り組んでまいります。

我が国の経済情勢を見ますと、新型コロナの影響により、景気は、依然として厳しい状況にありますが、感染拡大の防止策を講じるなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されています。しかしながら、その先行きについては、国内外の感染拡大による下振れリスクの高まりに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
また、区財政においても、感染症の影響を受け、特別区税や特別区交付金などの大幅な減収が見込まれ、厳しい財政運営が想定されます。

このような状況にあっても、時々刻々と変化する新型コロナの状況を踏まえ、「区民の命と暮らしを守る対応」と「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」に迅速に取り組んでいきます。
ワクチン接種体制の整備をはじめ、区直営の検査センターや発熱等電話相談センターの運営、クラスター対応など、感染拡大防止対策を実施するとともに、商工業緊急資金(特例)や店舗等家賃減額助成、おもてなし店舗支援など、中小企業者に対する支援を充実させていきます。

今年は、令和3年度から5年度を期間とする第二次実行計画がスタートする年です。
私は、現下の厳しい社会経済情勢の中にあっても、区民の皆様の暮らしと命を守るため、現場に赴き、現実に向き合いながら地域課題に取り組み、区民の皆様が住み慣れたまちで住み続けられるように、そして未来を担う子どもたちが健やかに成長できるように、力を尽くしていきます。

2 令和3年度の区政運営の基本認識

次に、令和3年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症対策についてです。

第一に、「区民の命と暮らしを守る対応」です。
区は、1月12日に「新型コロナウイルスワクチン接種対策室」を発足しました。対策室では、区医師会及び区内医療機関のほか、東京都などと連携し、国の示すスケジュールに基づき、ワクチン接種に関する区民への勧奨、相談体制の構築、会場確保などの準備を進め、ワクチンの供給開始に合わせ、区民の皆様が迅速にワクチンを接種できるよう取り組んでいきます。

区直営の検査センターについては、運営を継続するとともに、引き続き検査実施医療機関へ協力金を交付することにより、医療機関と連携し、迅速なPCR検査体制を確保していきます。

また、発熱等電話相談センターでの保健師や看護師による相談体制を継続するとともに、感染時に重症化リスクの高い、高齢者施設などにおけるクラスター発生時の対応として、「ハイリスク対策チーム」による機動的な検査の実施を継続していきます。

さらに、感染者移送用車両を確保するとともに、高齢者や障害者を介護するご家族が感染した場合に、要介護者を緊急一時的に受け入れる「緊急ショートステイ事業」を引き続き実施します。

新型コロナの発生を受け、新たな感染症に備えることの重要性はさらに増しています。新たな感染症や新型インフルエンザ等の流行に備え、区民等への正しい知識の普及啓発に努めるとともに、関係機関による新型インフルエンザ等対策連絡会を開催するなど、地域医療機関等との連携強化を図っていきます。
また、区内の診療所で適切な医療が提供できるよう、防護服やマスクを計画的に配付するとともに、発生時の様々な状況を想定した訓練を実施し、体制の整備を進めていきます。

第二に、「区内産業・地域経済の回復に向けた対応」です。
売り上げが減少し、業況が悪化している中小企業者に対し、利子及び信用保証料を区が全額補助する「商工業緊急資金(特例)」を実施し、企業の資金繰りを支援していきます。
また、店舗等の家賃を減額したオーナーに対し、減額した金額の一部を助成する「店舗等家賃減額助成」については、区内事業者の事業継続を支援するため、助成対象や助成額等を拡充して本年9月まで実施します。
さらに、中小企業者が今後の事業再興に向けた事業計画の策定や各種補助金・給付金などを申請するに当たり、専門家の支援を受けた際にかかる費用を助成する「専門家活用支援事業」を実施します。
また、小売・飲食・サービス業の店舗を経営する中小企業者に対して、感染拡大防止対策や業態転換にかかる経費を補助する「おもてなし店舗支援」については、新たに販売促進や顧客サービスの向上にかかる経費も補助対象とし、本年9月まで実施します。
さらに、オンライン開催を含む展示会や見本市等への出展費用を補助する「中小企業展示会等出展支援」を実施し、中小企業者の売上拡大や販路拡大を支援していきます。

区内商店会への支援については、新たに共同でデリバリーや販売促進などに取り組んだ場合に、その費用を補助する「商店会共同販促支援事業」や、3密回避など感染拡大防止対策の取組にかかる費用を補助する「商店会感染症拡大防止支援事業」を実施します。

また、区内の文化芸術施設を支援するため、配信用動画の撮影にかかる経費を補助する「文化芸術復興支援事業」については、ライブハウスや劇場等に加え、美術館や博物館を対象にするとともに、施設における感染症対策に必要な経費についても補助対象とします。
制作された映像は、新宿のエンターテイメントが楽しめる動画配信サイト「Re:Shinjuku」で配信していきます。

次に、令和3年度からスタートする、第二次実行計画についてです。
新宿区基本構想に掲げる“めざすまちの姿”「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、「新たな日常」を基軸に第一次実行計画で推進している事業を確立・発展・再構築するとともに、各施策が将来大きな成果をもたらすよう、着実に取り組んでいきます。

基本政策の第一に掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」では、子どもや若者、高齢者、障害者など、全ての区民の皆様がいきいきと暮らし続けられるまちづくりを推進します。
このため、健康寿命の延伸に向けた取組の充実や地域包括ケアシステムの推進、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備、安心して子育てできる環境の整備や教育の充実、地域の実情に合ったまちづくりの推進などに取り組んでいきます。

基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、区民の皆様が安心して日々の生活を送ることができるよう、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりと、暮らしやすい安全で安心なまちの実現を目指します。
このため、建築物の耐震化の促進や、災害に強い都市基盤の整備、避難所運営体制の充実、犯罪のないまちづくり、感染症の予防と拡大防止などに取り組みます。

基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」では、商業・業務・文化・居住機能など、多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かしたまちづくりを推進し、持続的に発展する新宿を創造していきます。
このため、地域の特性を活かしたまちづくりの推進やユニバーサルデザインのまちづくり、地球温暖化対策、産業振興や商店街支援、文化・観光・スポーツ振興などの施策の推進に取り組みます。

基本政策の第四「健全な区財政の確立」では、各施策を着実に推進するため、公民連携やICTの活用による効果的・効率的な行財政運営を行うとともに、公共施設マネジメントの強化などに取り組みます。

基本政策の第五「好感度1番の区役所」では、行政手続きのオンライン化など行政のデジタル化を進め、行政サービスの向上に取り組むとともに、職員の能力開発を推進していきます。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、基本構想に示す「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。
はじめに、生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けた取組の充実についてです。
日常生活の中で歩いてポイントを貯める「しんじゅく健康ポイント」や、健診等の受診、健康づくり活動への参加など様々な健康行動に対してポイントを付与する「健康アクションポイント」の実施など、区民の皆様が楽しみながら健康づくりができるよう取組を推進していきます。

外出自粛が続く中、高齢期の健康づくりとフレイル予防が課題となっています。このため、区民の皆様に親しまれている「新宿いきいき体操」と、食べる機能の維持向上を目指す「新宿ごっくん体操」、筋力の低下を防ぐ「しんじゅく100トレ」の普及啓発に取り組み、自宅で体操ができるよう、動画の配信やDVDの貸出、リーフレットの配布を実施します。
さらに、高齢者がいつまでも元気でいきいきと暮らしていけるよう、「(仮称)しんじゅく健康長寿ガイドブック」を作成・配布し、自分に合った運動や趣味の教室・講座等への参加を促進することにより、健康づくりや介護予防を推進します。

生活習慣病の予防対策では、新型コロナに感染した場合に重症化リスクが高いとされている糖尿病の正しい知識の普及啓発や、食生活の改善、適切な運動習慣の実践などを推進するとともに、国民健康保険のレセプトデータを用いて生活習慣病の治療を中断している方への受診勧奨事業を実施します。

女性の健康づくりの推進では、女性が生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせるよう、引き続き女性の健康支援センターを中心に、健康相談や健康講座を開催します。

現在、新型コロナの影響を受け、日常生活の変化、失業による生活困窮、虐待やDVなどにより、こころの病気やストレスを抱え、自殺者が増えている傾向にあります。
このため、「相談窓口自動案内及びハイリスク者へのインターネットゲートキーパー事業」により、悩みに応じて適切な相談窓口を案内するほか、自殺リスクが高い方にはメールで相談を促し、相談員による寄り添った支援を行うことにより、悩みを抱える人が必要とする支援につなげていきます。

また、乳幼児期及び学齢期の歯と口の健康を維持するため、乳幼児や児童、保護者への健康教育等を実施するとともに、むし歯の予防と健全な口腔機能の発達のために実施しているフッ化物塗布事業の対象を小学校1年生まで拡大するなど、歯と口の健全な発達を支える環境づくりを推進します。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進についてです。
多世代が地域で高齢者を支える担い手となって活動できるよう、「薬王寺地域ささえあい館」の活動の成果を踏まえ、本年10月から、中落合高齢者在宅サービスセンター内の地域交流スペースで、地域支え合い活動を展開していきます。

また、区民が主体となって体操や趣味などの活動を行う「通いの場」や、医療機関・介護事業所などの地域資源情報を一元化するため、令和4年3月に「(仮称)地域資源情報管理システム」を導入し、地域が一体となって支え合う仕組みづくりを推進します。

地域包括ケアの要である高齢者総合相談センターの体制強化については、本年1月に柏木・角筈高齢者総合相談センターの担当区域を分割し、柏木高齢者総合相談センターを新設しました。今後も、高齢者が地域の身近な場所で悩みを相談できるよう、関係機関との連携を強化するなど、支援体制を一層充実させていきます。

介護保険サービスの基盤整備では、令和4年度の開設を目指し、市谷薬王寺町の国有地において、ショートステイを併設した特別養護老人ホームの整備を進めるほか、市谷山伏町の民有地における認知症高齢者グループホーム及び小規模多機能型居宅介護の整備を進めます。また、払方町の国有地では、認知症高齢者グループホーム等の整備に向けた取組を進めていきます。

さらに、認知症高齢者が地域で安心して暮らし続けることができるよう、認知症サポーターを養成・育成し、認知症高齢者やその家族が必要とする支援につなげていきます。

これらの高齢者保健福祉施策及び介護保険サービス体制を推進するため、本年3月に「新宿区高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画」を策定します。
第7期の重点施策「『地域の活力』を生かした高齢者を支えるしくみづくり」については、「地域で支え合うしくみづくりの推進」に改め、高齢者が地域支え合い活動を担うことで、誰もが役割と生きがいを持つ社会の醸成を目指します。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
障害者が住み慣れた地域で生活できるよう、払方町国有地及び高齢者いこいの家「清風園」の廃止後の跡地において、障害者グループホームの整備に向けた取組を進めていきます。

昨年6月に「新宿区手話言語への理解の促進及び障害者の意思疎通のための多様な手段の利用の促進に関する条例」を施行しました。この条例に基づき、障害者の意思疎通のための手段として、また感染症対策にも配慮するため、本年1月から、本庁舎に配置している手話通訳者に加えて、遠隔手話通訳等に対応した窓口用タブレット端末を、本庁舎や特別出張所に配備しています。今後も、障害者が情報の取得や意思疎通のための手段を選択することができる環境づくりを進めていきます。

これらの障害者施策を推進するため、本年3月に「第2期新宿区障害児福祉計画・第6期新宿区障害福祉計画」を策定し、国の指針に基づき、地域生活へ移行する人数など、令和5年度末時点の成果目標を新たに設定するとともに、実績に基づく各サービスの必要量の確保についての方策を示します。
また、「新宿区障害者計画」については、「障害者による文化芸術活動の推進に関する法律」や「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」の施行を受け、障害者の社会参加のさらなる推進に向けた環境整備のために、必要な見直しを行います。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
待機児童の解消に向け、引き続き保育所の整備と定員拡大に取り組みます。本年4月には賃貸物件を活用した私立認可保育所2所を開設し、96名の定員を確保します。また、令和4年4月までに、認証保育所1所を認可保育所に移行して定員を拡大するとともに、賃貸物件を活用した私立認可保育所2所を整備することで、さらに185名の定員を確保します。
また、居宅訪問型保育事業により、集団保育が困難な障害児に加え、待機児童となった子どもの保育ニーズに応えていきます。

放課後の小学生の居場所の充実については、落合第五小学校内学童クラブを新設するとともに、新たな民間学童クラブの設置についても検討を進めます。
また、戸山小学校、天神小学校、富久小学校の放課後子どもひろばにおいて、新たに学童クラブ機能付き放課後子どもひろば「ひろばプラス」を実施するとともに、学童クラブ及び放課後子どもひろばの職員を増員します。

妊娠から出産、子育て期までの切れ目のない支援の充実では、保健センターや子ども家庭支援センターなどを「子育て世代包括支援センター」として位置づけ、母子保健施策と子育て支援施策を一体的に推進します。
また、妊婦の方を対象に、必要に応じた事業やサービスの紹介等を行う「ゆりかご・しんじゅく事業」や、赤ちゃんが生まれたご家庭に訪問し、育児相談を行う「すくすく赤ちゃん訪問事業」を引き続き実施します。
さらに、産前産後の支援については、従来のヘルパー派遣に加え、母親に寄り添い、家事の支援や悩みの相談に応じるドゥーラを派遣し、総合的な家庭への支援を充実させていきます。
また、産後の母体の回復や、慣れない育児の不安に対する支援が必要な産婦に対し、新たにショートステイ型の産後ケア事業を開始することにより、産後うつ等を予防し、安心して子育てができる支援体制を充実させていきます。
これらの支援体制のもと、出産を控えている方や子育て中の方が抱える新型コロナに対する不安についても軽減していきます。

児童相談所の設置については、人材確保のための他自治体への派遣研修に加えて、都が区有施設で運営する一時保護所を新たな研修先とすることで、人材育成の機会を充実させ、令和6年度以降の開設に向けて取り組んでいきます。

また、子どもの貧困の連鎖を防止するため、「子どもの貧困対策検討連絡会議」を中心に、学習支援や経済的支援などの各施策を行っています。こうした取組を支援が必要な家庭に確実につなげられるよう、引き続き「新宿区子育て支援施策ガイド」を区立小中学校に配布するとともに、英語・中国語・韓国語の3言語による外国語版を新たに作成することにより、外国籍等の児童・生徒への周知を強化します。

「新宿区子ども未来基金」の活用については、感染症対策経費への追加助成を引き続き実施し、新型コロナの感染が拡大する中においても、子どもの育ちや子育て家庭を支える活動への支援を充実させていきます。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
ICTを活用した教育の充実については、「新宿区版GIGAスクール構想」に基づき、児童・生徒に1人1台のタブレット端末を整備し、子どもたちを誰一人取り残すことなく、個別最適化された学びや、協働学習による深い学びを実現するとともに、不登校や外国籍、読み書きが苦手な児童・生徒など、一人ひとりの状況に応じた学習につなげていきます。
また、学校の臨時休業等が生じた際の学習の機会を確保するため、同時双方向の遠隔授業や、児童・生徒と教員との通信の手段として活用していきます。

発達に心配のある児童・生徒への支援については、小中学校において特別支援教育推進員を増員し、学級内の指導体制を充実させます。また、読み書きが困難な児童・生徒について、一人ひとりの特性を把握するアセスメントツールを新たに導入することにより、きめ細かな指導や支援を行っていきます。

外国籍等の児童・生徒を対象にした支援については、教育センター又は学校で日本語初期指導を実施した後、希望者には日本語による教科指導を実施し、日本語サポート指導の充実を図っていきます。
また、中学校3年生のうち、日本語による学習に支障が生じている外国籍等の生徒を対象に個別の学習指導を行い、進学を支援します。

不登校児童・生徒への支援については、教職員を中心に、スクールソーシャルワーカー等を活用しながら、関係機関との連携により、不登校の未然防止や、家庭への支援を行います。
また、学校への登校のみを目標とせず、訪問型支援をはじめ、学校以外での多様な学習活動を支援するほか、フリースクール等と連携するなど、社会的な自立に向けた支援の充実を図ります。

障害者理解教育の推進については、児童・生徒が障害に対する理解を深める機会として、ブラインドサッカーやゴールボールなど障害者スポーツ体験事業を引き続き実施します。また、パラリンピック競技種目等を掲載した教材を、東京2020オリンピック・パラリンピックの開催内容を反映したものに改訂します。

セーフティネットの整備充実については、新型コロナの影響を受けて、収入が減少し生活が困窮している世帯に対し、引き続き住居確保給付金を支給するほか、生活環境が一変し生活保護の受給者となり、精神的な不安を抱える方を支援するため、カウンセリング料の補助を開始します。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
仕事と生活の調和を図るワーク・ライフ・バランスの実現に向け、引き続きワーク・ライフ・バランス推進企業の認定を行うほか、新型コロナ対策に関連する中小企業者向けのコンサルタント派遣の回数を増やすとともに、セミナーや勉強会についても、テレワークの導入や時差出勤の整備など新型コロナ関連の内容を重点的に実施していきます。

また、次世代を担う若者の柔軟なアイデアや斬新な意見を区政に活かせるよう、引き続きしんじゅく若者会議を開催します。

外出自粛によるストレス等の影響で、配偶者等からの暴力の増加や深刻化が懸念されています。このため、新宿区配偶者暴力相談支援センターの「DV相談ダイヤル」に加え、内閣府の「DV相談ナビ」を広報新宿や区ホームページに掲載するとともに、携帯しやすい案内カードを配布するなどの周知を行うことにより、DV被害を受けている方への一刻も早い支援につなげています。今後も、正しい知識や理解を促進するための啓発講座等を開催するなど、広くDV防止の意識啓発を図っていきます。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
地域コミュニティづくりの核である町会・自治会に対して、新型コロナの感染が拡大している状況においても活動状況などを情報発信できるよう、ICT化の支援講座を実施します。また、町会・自治会の担い手不足等の課題を解決するため、コンサルタント派遣事業を拡充し、より幅広い世代が活動しやすい町会・自治会運営に向けた支援を行っていきます。
さらに、タワーマンションをはじめとする集合住宅でのコミュニティ活性化と町会・自治会との絆づくりを支援するため、各地域での活動事例について、他のマンション等に情報共有する仕組みづくりを進めていきます。
また、地域コミュニティ事業助成について、助成対象にマンションなどの集合住宅の居住者で構成する団体を加えるとともに、地域の団体が連携して取り組む事業などに対して助成金の上限額を引き上げることにより、地域活動の活性化を促進していきます。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
成年後見制度の利用を促進するため、「新宿区成年後見制度利用促進基本計画」を「高齢者保健福祉計画」及び「障害者計画」等の次期計画に包含して策定します。この計画に基づき、新宿区成年後見センターを中核機関として位置付け、本人の状況に合わせた適切な後見人を選任する仕組みを構築することにより、安心して地域で生活を送ることができる環境づくりを推進します。

「新宿区勤労者・仕事支援センター」では、ハローワーク等の関係機関と連携しながら、障害者や高齢者、若年非就業者、女性に対する総合的な就労支援を推進するとともに、WEB会議システムを整備し、相談や面談をオンラインで実施できるよう対応していきます。
また、区内在住の女性求職者の就労支援と、区内中小企業者の人材確保を行うため、就労情報を一元化した「しごと探しサイト」を運営するほか、合同企業説明会や求職者セミナーをオンラインで開催するなど、引き続き求職者と企業のマッチングを支援していきます。

高齢者や障害者等の住まいの安定確保については、家賃等債務保証料の助成や、単身高齢者の死亡に伴う家財の片付け費用等を補償する保険料の助成を引き続き実施し、高齢者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進します。
さらに、居住支援協議会を通じて、区、福祉関係団体、不動産関係団体などの連携を強化し、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への入居支援に取り組んでいきます。

基本政策の第二は「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。
東日本大震災の発生から10年目を迎えます。多くの尊い命が失われた震災の記憶と教訓を忘れてはいけません。被災地は今なお復興の途上にあり、区からは応援職員の派遣を行うなど、被災地の支援を継続していきます。
首都直下地震の切迫性も高まる中、区はスピード感を持って、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりに取り組む必要があります。

このため、建築物等の耐震化の促進に向けて、緊急輸送道路の沿道にある建築物の耐震改修工事費等の助成について、賃借人がいる場合に、所有者の家賃減収などの負担を軽減するため、昨年10月から上乗せ助成を開始しました。また、改修工事に至っていない非木造住宅の所有者に対するフォローアップを新たに実施していきます。

擁壁・がけの安全化対策では、土砂災害警戒区域内所有者への個別訪問等による安全化指導を実施するほか、引き続き改修工事費の一部を助成することにより、安全化の促進を支援していきます。

若葉・須賀町地区では、「木密事業の推進策」を策定し、木造住宅密集地域の解消に向けて取り組んでいきます。
また、西新宿五丁目地区の南エリアでは、地域の防災性と住環境の向上に向けて、「まちづくり構想」として取りまとめる地域ルールが円滑に機能するよう、支援していきます。

再開発による市街地の整備については、防災性の向上や住環境の改善、賑わいの創出を図るため、西新宿五丁目中央南地区の市街地再開発事業、西新宿五丁目北地区の防災街区整備事業の支援を行います。
また、高田馬場駅東口地区、西新宿三丁目西地区などに加え、新宿三丁目地区において、市街地再開発の事業化に向けた支援を行います。

災害に強い都市基盤の整備については、「新宿区無電柱化推進計画」に基づき、道路の無電柱化を推進し、災害に強いまちづくりと都市景観の向上を図っていきます。
また、土砂災害特別警戒区域に指定されている斜面の安全化対策工事を実施し、道路や公園、学校等のがけ・擁壁の安全性を確保していきます。
さらに、橋りょうの補修・補強を計画的に進め、健全かつ安全な維持管理を行っていきます。

次に、災害に強い体制づくりについてです。
新型コロナの感染拡大を受け、避難所での感染拡大防止対策をまとめたガイドラインを防災区民組織に配布するとともに、各避難所へ、マスクや手指消毒液、フェイスシールドなどの物品を新たに配備しました。
新型コロナの感染が拡大する中で、いつ起こるかわからない大規模地震や大型台風などの災害に備え、各避難所運営管理協議会と十分に話し合いながら、避難所における感染症対策の実効性を高めていきます。
また、引き続き、避難所運営に女性や障害者など配慮を要する方の視点を取り入れ、避難所運営体制の充実を図ります。

近年、多発する大型台風や局地的集中豪雨を踏まえ、洪水ハザードマップや東京マイ・タイムラインを配布するとともに、防災区民組織や消防等の関係機関と連携し、水害に対する防災意識の普及啓発に取り組んでいきます。
また、台風などによる大雨・洪水情報を的確に収集し、防災行政無線や区ホームページ、SNS、広報車などの多様なツールを活用した迅速な情報伝達を行います。

マンションの防災対策については、防災資機材助成の件数を拡充し、マンションの自主防災組織の結成や地域との連携を促進することで、地域の防災力の強化を図っていきます。

帰宅困難者対策については、新宿駅周辺の事業者、交通機関、警察・消防等と連携した発災対応型訓練等を実施するとともに、民間事業者との協定による一時滞在施設の確保に取り組むなど、大規模地震発生時における混乱防止のための取組を推進します。

さらに、こうした取組を受けて、「新宿区地域防災計画」を見直すことにより、災害時における対応力を高めていきます。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
地域の犯罪を未然に防止するため、町会や商店会に対し、防犯カメラの設置費や電気料金等の維持管理に必要な経費を助成します。
また、新宿駅周辺の繁華街でパトロールを実施するとともに、新型コロナに関する来街者への注意喚起を実施します。

特殊詐欺に対しては、警察と連携しながら、自動通話録音機の貸出しを行うなど被害防止対策に取り組むとともに、巧妙化、悪質化している手口や、新型コロナに便乗した詐欺などの注意喚起を行うことにより、特殊詐欺の撲滅を目指します。
また、区内4警察署と連携して防犯対策に取り組むとともに、各地域での活動事例を広報新宿や区ホームページで紹介することにより、新型コロナの感染が拡大する中においても、自主防犯活動の実施と防犯意識の醸成に取り組んでいきます。

受動喫煙防止対策については、「公衆喫煙所等整備費助成事業」を活用し、事業者による新たな喫煙所の設置を推進します。
また、電柱広告を活用した周知啓発や、路上喫煙禁止パトロールの巡回により、路上喫煙禁止の徹底を図ります。

良好な生活環境の向上については、夜間における不法投棄やごみの不適正排出を防止するため、改善が必要な地域を選定し、引き続き夜間パトロールを実施します。

基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。
はじめに、回遊性と利便性の向上による魅力的で歩いて楽しいまちづくりについてです。
新宿駅直近地区のまちづくりについては、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、駅や駅前広場、駅ビル等の一体的な再編に向け、取り組んでいます。

昨年7月には、「新宿駅東西自由通路」が開通し、歩行者の利便性と回遊性が大きく向上しました。また、小田急電鉄株式会社及び東京地下鉄株式会社の開発計画に伴う都市計画変更手続きを進めています。引き続き、事業者と連携しながら、「新宿グランドターミナル」の実現に向けて取り組んでいきます。

新宿駅東口地区では、「新宿駅東口地区まちづくりビジョン」に基づき、建築物の円滑な更新を進めながら、賑わいのある歩行者空間の創出に取り組みます。

新宿三丁目交差点周辺では、地区にふさわしい都市機能や都市基盤を検討するため、「新宿三丁目駅周辺まちづくり検討委員会」の意見を踏まえながら、賑わいの拠点としての整備方針の策定に向けて、取り組んでいきます。

西新宿地区は、「スマート東京実施戦略」の先行実施エリアに位置付けられ、昨年10月からは、自動運転タクシーや電動キックボードで公道を走行するなどの実証実験が行われています。今後も、都や地元企業等の関係機関とともに、5Gなどのデジタル技術の活用について検討を進めていきます。

歌舞伎町地区では、誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティの実現を目指し、安全・安心対策や環境美化に取り組みます。
また、新宿ゴールデン街では、自主ルールとして策定した「火災予防ルール」に基づき、現在の風情を残しながら、防災性が向上するまちづくりを進めます。

次に、地域特性を活かした都市空間づくりについてです。
高田馬場地域では、駅周辺のまちの将来像について検討を進めるため、まちづくり検討組織の意向を踏まえながら、「(仮称)高田馬場駅周辺エリアまちづくり方針」の策定に向けて取り組んでいきます。

飯田橋駅東口周辺地区の駅前地区では、民間開発を適切に誘導するための基盤整備方針の策定に向けて取り組んでいます。また、放射25号線沿道地区では、用途地域の変更と地区計画の策定に向けたまちづくりを進めていきます。

神楽坂地区では、風情のある石畳の路地景観を保全するとともに、建築物の建て替えを促進することで防災性の向上を図っていくため、横丁毎の街並みに応じた地区計画の策定に向けて取り組んでいきます。

こうした新宿らしい個性的で多様な景観を、区の魅力として、貴重な財産として活かしながら、まちづくりを推進していくことが重要です。そのため、新宿駅周辺の再開発を見据えたスカイラインの形成方針や、デジタルサイネージ等の新たな広告物に対する方針などを検討し、「新宿区景観まちづくり計画」及び「新宿区景観形成ガイドライン」の改定に取り組みます。

次に、誰もが自由に歩ける、利用しやすく、わかりやすいまちづくりについてです。
区では、昨年10月に「新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例」を全面施行しました。ユニバーサルデザインの視点による建築計画の事前協議や工事の完了報告などを行うことにより、誰もが移動しやすく、利用しやすい施設の整備促進に取り組んでいきます。

また、高齢者や障害者など誰もが通行しやすい環境を整備するため、「新宿区移動等円滑化促進方針」の策定を進めていきます。この方針で示すバリアフリー化すべき経路や整備方針等に基づき、歩道改良や視覚障害者誘導用ブロックの設置等を進めることにより、区内全体のバリアフリー化を推進していきます。

次に、道路環境の整備についてです。
安全で快適な歩行空間の確保と道路の安全対策のため、小滝橋通りの歩道を改修するほか、早大通りの車道の改良と、江戸川橋通りの歩道の拡幅に向けた取組を進めます。
また、道路の街路灯のLED化を着実に進め、CO₂の削減と省エネルギー化を図ります。

次に、交通環境の整備についてです。
「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、新宿通りなど7路線の自転車通行空間を整備し、歩行者、自転車、自動車が安全で快適に通行できる道路空間を創出します。
放置自転車の解消に向けては、民間事業者を活用した駐輪場の運営を進めます。令和3年度は、区の東部エリアにおいて駐輪場の整備を実施し、区民の皆様からの要望が多い時間利用の駐輪場を拡充していきます。

さらに、鉄道駅の安全性の向上や快適な利用空間を創出するため、鉄道事業者と引き続き協議し、ホームドアやエレベーターの整備を推進していきます。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づく、芝生広場や飲食・アウトドアフィットネスが楽しめる交流拠点施設「SHUKNOVA」が昨年7月にオープンしました。
また、「眺望のもり」や「新宿白糸の滝」の整備が、本年3月に完了する予定です。
今後は、令和4年度の完了を目指して「ちびっこ広場」の再整備を進めるとともに、花のもりの整備に向けた検討を行い、新宿中央公園の魅力を更に高めていきます。

また、みんなで考える身近な公園の整備では、四谷地域の「みょうが坂児童遊園」について、地元の皆様からの意見を聞きながら、令和4年度の再整備に向けた計画の作成に取り組みます。

次に、地球温暖化対策の推進についてです。
昨年10月の内閣総理大臣所信表明において、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル」が宣言されました。温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、積極的に対策を行うことが産業構造や社会経済の変革をもたらし、大きな成長につながっていくとし、「経済と環境の好循環」を作っていく産業政策「グリーン成長戦略」を推し進めるとしています。
こうした動向を踏まえ、区民・事業者への意識啓発や省エネルギー機器設置助成に取り組むとともに、CO₂削減目標の見直しや地球温暖化対策に向けた取組について検討していきます。

次に、資源循環型社会の構築についてです。
リサイクルの推進やごみの減量を促進するため、資源とごみの分別を周知徹底し、資源回収に取り組むとともに、集団回収を実践する団体に加え、回収事業者に対する支援金制度を創設し、集団回収に対する支援を充実させます。

また、食品ロス削減に向けて、フードシェアリング事業者と連携し「食品ロス削減協力店登録制度」を推進するほか、「フードドライブ」などに取り組んでいきます。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
地元に愛される商品や新たな価値・魅力を創造する商品などを「しんじゅく逸品」として登録し、幅広い世代にPRするとともに、新宿文化観光資源案内サイト「温故知しん!じゅく散歩」で紹介することにより、広く情報を発信していきます。

また、新宿ものづくりマイスターを紹介する冊子や動画を活用して区内外に広くPRするとともに、区の地場産業である染色と印刷・製本団体によるデザインプロジェクト「Azalée」で開発した商品の周知活動に対して助成することにより、区内のものづくり産業の振興を推進していきます。

柔軟な発想を持つ若者の創業を促進する「新宿ビジネスプランコンテスト」については、セミナーや審査会をオンラインで開催し、多くの若者が参加できる機会を確保することにより、引き続き創造的なプランの事業化を支援し、区内産業の活性化を図っていきます。

魅力ある商店街の活性化に向けた支援については、商店会情報誌「新宿商人」を発行し、商店の経営や商店会活動の参考となる情報を提供するとともに、区内大学等と連携し、学生の柔軟な発想で商店街毎の特性を活かした魅力づくりを行うなど、商店街の支援を促進します。

次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
多様な文化芸術イベントを集約した「新宿フィールドミュージアム」は、東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせ、7月から11月の開催とし、感染症対策を十分に講じたうえで、新宿のまちの魅力を発信していきます。

また、新宿の歴史や文化の魅力を向上させるため、区内の博物館や記念館等の魅力をPRするとともに、新宿文化観光資源案内サイトを活用するなどして、夏目漱石をはじめ新宿にゆかりのある文化人を、全国に広く情報発信していきます。
さらに、漱石山房記念館に公衆無線LAN環境を整備することで、来館者がスマートフォンなどで展示資料の解説や音声ガイドを利用できるよう、利便性の向上に取り組んでいきます。

新宿の観光情報の発信については、新宿ならではの魅力ある観光スポットやコンテンツなどを、区ホームページやSNSなどにより積極的に発信し、新宿のブランドイメージを更に向上させていきます。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
子どもから高齢者まで、ライフステージ等に応じて誰もがスポーツに親しむことができるよう、感染症対策を十分に講じたうえで、スポーツ体験教室を開催します。

また、スポーツへの参加意欲を促進するため、「新宿区スポーツ施設整備基金」を活用し、大久保スポーツプラザ庭球場のコートの改修や照明のLED化など、快適にスポーツを楽しめる環境を整備していきます。

次に、多文化共生のまちづくりの推進についてです。
「しんじゅく多文化共生プラザ」では、昨年7月にコモレ四谷に開設された外国人在留支援センターとの情報共有を行うとともに、相談内容に応じて相互の窓口を紹介するなどの連携を進めることにより、外国人の生活を支援していきます。
また、外国人に迅速に情報提供を行うため、区ホームページによる情報発信を強化していきます。

次に、平和都市の推進についてです。
新型コロナが世界規模で流行する中において、新宿区平和都市宣言35周年を本年3月に迎えることとなり、平和の尊さや命の大切さを次の世代に引き継いでいく重要性をあらためて実感しています。
令和2年度に残念ながら中止とした「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」、区立中学2年生全員を対象とした被爆者の体験講話、新宿区平和都市宣言35周年記念事業については、感染症対策を十分に講じたうえで、手法等も見直しながら実施することにより、戦争の悲惨さと平和の尊さを多くの方々に発信していきます。

基本政策の第四は「健全な区財政の確立」です。
はじめに、効果的・効率的な行財政運営についてです。
昨年10月に公民連携に関する相談窓口を設置しました。民間の柔軟な発想や専門性を活かし、質の高い行政サービスを提供するため、民間提案制度の導入に向けた検討を行い、様々な分野にまたがる公民連携のさらなる推進を図ります。
また、民間提案制度の導入に合わせ、NPO等の多様な団体が実施する地域課題の解決に向けた事業に対して助成を行う協働推進事業のあり方について、検討していきます。

さらに、効果的・効率的に業務を推進していくため、ICTの活用による窓口サービスや業務手順の改善に取り組んでいきます。

次に、公共施設マネジメントの強化についてです。
旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地については、本年1月に決定した活用方針に基づき、特別養護老人ホーム等の高齢者施設の設置、災害発生時に一時的に避難できる防災広場の整備、牛込第一中学校の建替えに向けた、具体的な敷地の活用や整備手法について検討していきます。

基本政策の第五は「好感度1番の区役所」です。
はじめに、行政サービスの向上についてです。
公金の納付について、電子マネー等による新たな決済手段を導入し、区民の皆様の利便性を高めていきます。区役所本庁舎1階の戸籍住民課窓口では、本年12月からの開始を目指し、手数料等の交通系電子マネー決済の導入を進めます。
また、特別区民税・都民税、軽自動車税、国民健康保険料、介護保険料の「クレジット納付」等に加え、令和4年度からはスマートフォンアプリを活用した電子マネー決済も利用できるよう、導入に向けた準備を進めていきます。

「新たな日常」への対応や行政サービス向上のため、行政手続きの簡素化やオンライン化が求められています。各種申請・届出の電子化をはじめ、区民の皆様が窓口に来庁することなく行政手続きを行える環境の実現に向けて取り組んでいきます。
また、今後、健康保険証の代わりになるなど、マイナンバーカードの活用の場が広がることが想定されるため、カードの普及促進に努めていきます。

次に、職員の能力開発、意識改革の推進についてです。
社会経済情勢の変化や行政ニーズの多様化・複雑化に的確に対応できる職員を育成するため、「新宿区人材育成基本方針」に基づき、実務に必要な知識や法令等の基礎的能力を向上させるとともに、職員一人ひとりの能力と個性を最大限に活かすことができる職場づくりを進めます。

新宿自治創造研究所では、各種施策や計画の基礎となる人口推計等のデータ作成や活用支援を実施します。
また、新宿自治創造研究所や人材育成センターを活用し、研究や研修を充実させることで、区民の視点で考え、地域の実情に応じた施策を立案し、実行できる職員を育成していきます。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう、国へ要望していきます。

今年は東京2020オリンピック・パラリンピックが開催予定です。
新型コロナウイルス感染症を克服した証として、また、東日本大震災からの復興五輪として開催される東京2020大会が、子ども達や区民の皆様の記憶に残るものとなるよう、感染症対策を十分に講じたうえで、大会に向けた気運醸成・普及啓発に取り組んでいきます。

3.2 令和3年度予算の概要

次に、令和3年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和3年度予算案についてです。

政府の令和3年度予算案は、感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りつつ、ポストコロナの新しい社会の実現を目指し、中長期的な成長力強化の取組を推進するよう編成されました。具体的には、新型コロナの感染拡大防止策とともに、デジタル社会・グリーン社会の実現、活力ある地方創り、少子化対策をはじめとする全世代型の社会保障制度の構築など、重要な政策課題への対応に必要な予算となっています。
一般会計予算は106兆6,097億円で、前年度と比較して3兆9,517億円増となり、9年連続で過去最大を更新しています。
税収は57兆4,480億円で、前年度と比較して6兆650億円減となっています。

また、東京都は令和3年度予算を「厳しい財政環境の中にあっても、都民の命を守ることを最優先としながら、東京の経済を支え、その先の未来を見据えて、都政に課せられた使命を確実に果たしていく予算」と位置づけ編成しています。
都税は5兆450億円で、前年度と比較して3,996億円、
7.3%の減となっています。一般会計の予算規模は7兆4,250億円で、前年度と比較して710億円、1.0%の増となっています。

続いて、区の令和3年度予算案についてです。
令和3年度予算は、編成の基本方針を「不透明な財政環境の中、『新たな日常』を基軸とする第二次実行計画を始動させ、現下の区政課題の解決に向け挑戦する予算」と位置付け、第一に、コロナ禍における社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、優先順位を踏まえた財源の効果的な配分を実現すること、第二に、従来の行政評価や決算実績などに「新たな日常」の要素を加え、精査のうえ事務事業を見直すとともに、財源の的確な捕そくによる一層の歳入確保を図ること、この二点を基本に編成しました。
そして、新型コロナの感染拡大防止対策を最優先事項とし、区民生活や地域経済活動を下支えするため、これまで培った財政対応力を活かし積極的に事業の予算化を図った結果、一般会計は1,577億円で、前年度と比較して37億円、2.4%の増で、過去最大規模となりました。3つの特別会計は、合計689億円で、前年度と比較して19億円、2.6%の減となりましたが、一般会計と合わせた令和3年度予算案の総額は2,266億円で、前年度と比較して18億円、0.8%の増となりました。
一般会計は、物件費や補助費等、扶助費などの増により、歳出総額が37億円、2.4%の増となった一方で、特別区税や地方消費税交付金などの減により、歳入総額が前年度と比較して6億円、0.4%の減となり、財源不足額は43億円、111.8%増の82億円となりました。この80億円を超える財政調整基金の繰入は、リーマンショックの影響を受けた平成23年度以来10年ぶりとなります。平成25年度から7年間かけて積み上げてきた132億円の約6割をわずか1年で費やすという厳しい状況です。
今後、区税等の一般財源に大きな伸びが期待できない中、社会保障関連経費や物件費の増加傾向、公共施設の老朽化などに伴い、必要経費は将来に向かってさらに増加することが見込まれます。

このような中、将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確保しなければなりません。そのためには、社会経済情勢を慎重に見極めながら、将来需要を的確に捕そくし、基金や起債の活用とあわせ、限られた財源の効果的な配分と効率的な予算の執行が求められます。
常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

新型コロナウイルスの感染拡大は、区民生活や地域社会経済に大きな影響を与えています。引き続き、感染症対策を最優先にするとともに、「新たな日常」を基軸とした第二次実行計画の各施策を着実に推進していきます。喫緊の課題であるワクチン接種は、全庁的な協力体制のもとに開始してまいりますが、区民の皆様に十分な情報を提供することにより、接種率の向上に努めてまいりたいと考えています。
今後も、現場現実を重視し、区民の皆様の声をお聴きしながら、新宿のまちの発展に全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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