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令和2年度 区政の基本方針説明

最終更新日:2020年2月14日

【注】本文は口述筆記ではありませんので、表現その他が多少異なる場合があります。
1 はじめに

令和2年第一回定例会の開会にあたり、議会並びに区民の皆様に、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。

はじめに、昨年12月以降、中華人民共和国湖北省武漢市を中心に新型コロナウイルス感染症の感染者が報告されている件について、申し述べさせていただきます。
国内での感染も明らかになり、WHOの緊急委員会は「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると発表しています。また、国は、指定感染症として指定しました。
こうした状況を踏まえ、区は、新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、感染症対策の体制を整えています。
また、従前から実施している一般相談に加え、感染が疑われる方からの相談を受ける「帰国者・接触者電話相談センター」を2月7日に設置し、必要に応じて医療機関につなげています。
さらに、区の公式ホームページやSNS、町会掲示板などで正確な情報を区民に提供するとともに、外国人向けに医療機関への受診方法などについて、多言語ポスターを作成し周知を図っています。
区では、こうした取組により、感染予防に努めています。

それでは、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べます。
本定例会では、令和2年度一般会計予算案をはじめ、多くの議案をご審議いただきます。何とぞ、議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。

我が国の経済情勢を見ますと、景気は、雇用・所得環境の改善や個人消費の持ち直しなどを背景に、緩やかに回復しています。しかしながら、その先行きについては、海外経済の動向や金融資本市場の変動の影響に加え、昨年10月の消費税率引き上げが、今後どのような影響をもたらすのか、注視していく必要があります。

区財政は、一定の財政対応力を身につけつつありますが、経常収支比率は、依然として適正水準を超えており、区の財政構造は決して弾力性があると言えません。また、法人住民税の一部国税化やふるさと納税等、不合理な税制改正による減収が懸念されるなど、区財政を取り巻く環境は、依然として不透明であり、予断を許しません。

このような中、「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて、高齢者や障害者、子育て世代への支援など、誰もがいきいきと心豊かに暮らし続けられる環境の整備、災害に強い安全で安心なまちづくり、魅力と賑わいにあふれ、環境にも優しい都市の創造、そして、東京2020オリンピック・パラリンピックとその後を見据えた取組を進めていかなければなりません。

このため、私は、現場・現実に向き合い、地域課題に果敢に挑戦することで、誰もが住みたい、住み続けたいと思える持続的に発展する新宿のまちの実現に向けて、力を尽くしていきます。

2 令和2年度の区政運営の基本認識

次に、令和2年度の区政運営にあたり、私の基本的な認識を申し述べます。

令和2年度は、第一次実行計画が最終年度を迎えます。実行計画に掲げる基本政策、「暮らしやすさ1番の新宿」、「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」、「賑わい都市・新宿の創造」の各施策が、将来大きな成果をもたらすよう、また、次期計画の橋渡しとなるよう、着実に取り組んでいきます。

基本政策の第一に掲げる「暮らしやすさ1番の新宿」では、子どもや若者、高齢者、障害者など区民一人ひとりが暮らしやすさを実感でき、心豊かに暮らし続けられるまちづくりを推進します。
このため、健康寿命の延伸に向けた施策の充実や地域包括ケアシステムの推進、障害者が住み慣れた地域で自分らしく生活できるまちの実現、安心できる子育て環境の整備、教育の充実、地域コミュニティの活性化などに取り組んでいきます。

基本政策の第二「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」では、近年の大型台風や局地的集中豪雨による風水害への対策、切迫性が高まる首都直下地震等への対応に取り組みます。

このため、水害に対する防災意識の啓発や情報伝達手段の検証、地域の防災活動の担い手の育成、高齢者など配慮を要する方々への支援体制の充実、災害時の避難所運営や物資運搬体制の整備など、災害に強い体制づくりを推進します。
また、建築物の耐震化の促進、ブロック塀や外壁等の安全化対策を進めるなど、逃げないですむ安全なまちづくりを目指します。
さらに、客引き行為の防止、特殊詐欺対策、民泊や空き家等への対策のほか、受動喫煙防止対策などに取り組み、暮らしやすい安全で安心なまちを実現します。

基本政策の第三「賑わい都市・新宿の創造」では、商業・業務・文化・居住機能などが集積する多様性に富んだ新宿区の都市機能や都市環境を活かし、持続的に発展する新宿を創造していきます。
また、都市基盤整備やユニバーサルデザインのまちづくり、地球温暖化対策、産業振興や商店街支援、文化・観光・スポーツの振興などの施策を推進し、国際観光都市・新宿の魅力を国内外に広く発信していきます。

基本政策の第四「健全な区財政の確立」では、これまでの3つの基本政策を着実に推進していくため、限りある財源の中で効果的・効率的な行財政運営を行います。
このため、行政評価制度等によるPDCAサイクルの強化やICTの利活用等による業務改善、公民連携のさらなる推進、公共施設マネジメントの強化などに取り組むことにより、区民の皆様に、将来にわたって良質な行政サービスを提供していきます。

基本政策の第五「好感度1番の区役所」では、クレジット納付等の導入やオープンデータの活用などによる行政サービスの向上に取り組みます。

また、多様化・複雑化する区政課題に的確に対応するとともに、解決するための施策を立案・実行できる職員の育成に取り組むことで、区民の信頼に応える好感度1番の区役所の実現を目指します。

本年7月には、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されます。東京2020大会の開催を契機とする施策が、未来を担う子どもたちをはじめ、多くの区民の皆様の記憶に残るよう、また、大会終了後のレガシーとして継承され、発展していくよう、取り組んでいきます。

3 基本政策と主要施策の概要

このような認識を踏まえ、基本構想に示す「『新宿力』で創造する、やすらぎとにぎわいのまち」の実現に向けて取り組む主要な事業について、5つの基本政策に沿って申し述べます。

3.1 5つの基本政策と主要事業の概要

基本政策の第一は「暮らしやすさ1番の新宿」です。
生涯にわたり心身ともに健康で暮らせる健康寿命の延伸に向けて、より多くの区民の皆様が楽しみながら健康づくりができるよう、健康ポイント事業の募集人数を増やすとともに、ポイント付与の対象をウォーキングや健康講座への参加などに加え、庁内の様々な部署が実施する健康関連の事業にも拡大します。

また、身近な運動であるウォーキングに取り組むためのきっかけづくりとして、初心者向けのウォーキング教室「いきいきウォーク新宿」の実施回数を増やすとともに、新宿の名所を巡りながら歩く「しんじゅくシティウォーク」の募集人数を増やすなど、イベントの規模を拡大して、実施します。

さらに、高齢期の健康づくりとフレイル予防を推進するため、高齢者の筋力アップを図る「しんじゅく100トレ」の実施グループ数を増やすとともに、住民主体でトレーニングを継続できるよう支援していきます。

生活習慣病の予防では、昨年からモデル実施している糖尿病性腎症等重症化予防事業の保健指導を本格実施します。さらに、国民健康保険のレセプトデータを用いて生活習慣病の治療を中断している方への受診勧奨を新たに実施するとともに、重複受診や頻回受診、また重複服薬等を行っている被保険者に対し、適切な情報提供と指導を行う受診行動適正化事業を実施します。

また、女性が生涯を通じて健康で明るく充実した日々を過ごせるよう、引き続き女性の健康支援センターを中心に、健康相談や健康講座を開催し、女性の健康づくりを推進していきます。

次に、住み慣れた地域で暮らし続けられる地域包括ケアシステムの推進については、地域包括ケアの要である高齢者総合相談センターの体制を一層強化するため、令和2年度に現在の柏木・角筈高齢者総合相談センターの担当区域を分割し、柏木地域に高齢者総合相談センターを新設します。
また、近年の夏の猛暑による高齢者の熱中症予防対策として、パンフレットによる注意喚起に加え、熱中症の危険度が分かる温度計付シートを配布します。

介護保険サービスの基盤整備では、市谷薬王寺町の国有地に、ショートステイを併設した特別養護老人ホームの整備を進めます。また、払方町の国有地では、認知症高齢者グループホームや小規模多機能型居宅介護等の整備を進めます。

認知症高齢者への支援体制の充実については、認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、認知症サポーター活動登録者による地域の支え合い活動を進めていきます。
また、高齢者が徘徊中に保護されたときや外出先で倒れたときの身元確認を行うため、外出に不安のある方に配布している「高齢者見守りキーホルダー」により、地域での見守りの輪を広げていきます。

これらの高齢者保健福祉施策及び介護保険サービス体制整備を着実に推進するため、「新宿区高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画」を策定し、誰もが人として尊重され、ともに支え合う地域社会を目指します。

また、高齢者が社会活動を通じて地域の中でいきいきと活躍し、いきがいをもって暮らせる環境づくりを進めるため、高齢者クラブに対する支援を強化します。

次に、障害者がいきいきと暮らし続けられる環境の整備についてです。
障害の重度化に対応するため、あゆみの家では、生活介護事業の定員を拡大するとともに、看護師の増員や医療連携体制の強化を図り、医療的ケアを必要とする方の受け入れ体制を充実させます。

また、障害者が住み慣れた地域で生活できるよう、払方町国有地及び高齢者いこいの家清風園の廃止後の跡地において、障害者グループホームの整備を進めていきます。

これらの障害者施策を推進するため、「第2期新宿区障害児福祉計画・第6期新宿区障害福祉計画」を策定するとともに、「新宿区障害者計画」の見直しを行います。

また、障害者の暮らしを支援するため、心身障害者福祉手当の対象を拡大し、精神障害者保健福祉手帳1級の方についても区独自に手当の支給を開始します。

さらに、障害の特性や障害者の意思に応じて、情報の取得や意思疎通のための手段を選択することができる環境づくりを進めることが重要です。このため、手話が言語であることの理解の促進や、手話、点字等の意思疎通手段の利用の促進に関し基本理念を定める条例の制定に向け、取り組んでいきます。

次に、安心できる子育て環境の整備についてです。
待機児童の解消に向け、引き続き保育所の整備と定員拡大に取り組みます。本年4月には賃貸物件を活用した私立認可保育所3所を開設し、6月には市街地再開発事業で整備する保育所1所を開設します。さらに既存園の定員を拡大することで、新たに200名の定員を確保します。
また、育児休業を取得している方の職場復帰を支援するためのベビーシッター利用料を一部助成するほか、居宅訪問型保育事業を引き続き実施していきます。
こうした取組に加え、保育士の就職相談・面接会を開催し、保育人材の確保に努めるとともに、保育士一人ひとりのキャリアアップの支援に取り組むことで、離職を防止し、保育の質の向上を図ります。

小学生の放課後の居場所については、鶴巻小学校内学童クラブの開設及び既存の学童クラブ5所の定員拡大に加えて、学童クラブ及び放課後子どもひろばの職員を増員し、学童クラブへの需要に対応していきます。

子どもの貧困の連鎖を防止するための取組については、引き続き学習支援や経済的支援などの情報を掲載した「新宿区子育て支援施策ガイド」を区立小中学校に配布し、周知していきます。
さらに、「新宿区子ども未来基金」を活用した子ども食堂や交流の場の提供をはじめ、子どもの育ちや子育て家庭を支える活動への支援をより一層充実していきます。

また、児童相談所の設置に向け、新たな配置基準で必要とされる児童福祉司と児童心理司を確保するため、引き続き派遣研修などに取り組みます。

次に、未来を担う子どもたちの生きる力を伸ばす教育の充実についてです。
一人ひとりの子どもが豊かに学べる教育の推進では、発達障害等のある児童・生徒への適切な支援を強化するため、小学校及び中学校において特別支援教育推進員を増員し、学級内指導体制を充実させます。

また、日本語の習得が十分でない外国籍等の子どもたちに対して、日本語の授業を理解できるよう、引き続き支援していきます。

幼児教育等の推進については、令和2年度より、区内幼稚園の特色ある教育を推進し、教育環境を整備するとともに、保護者の負担を軽減するため、私立幼稚園への教育助成や安全安心助成等を充実させていきます。また、区立幼稚園における体操あそび等の課外活動を充実させるなど、幼稚園における幼児教育の更なる拡充を図ります。

学校施設の改善については、児童・生徒の熱中症対策や、災害時の避難所としての機能を向上させるため、令和2年度中に全ての区立小中学校体育館等の空調設備の整備を完了させます。また、区立小中学校のブロック塀の改修工事を引き続き実施することにより、児童・生徒にとって安全安心な教育環境を確保します。

ICTを活用した教育については、学習指導要領の改訂によるプログラミング教育や英語教育などに対応するため、タブレットパソコンを増設するとともに、ICT支援員を増員することにより、教育環境の充実を図ります。また、英語のデジタル教材を導入し、「スピーキング」や「リスニング」などの英語力の向上を図っていきます。

東京2020オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした教育の推進では、英語キャンプや日本の伝統文化体験教室を実施し、子どもたちの国際感覚を養うとともに、日本の伝統文化に対する理解を深めます。
また、児童・生徒が障害に対する理解を深める機会として、ブラインドサッカーやゴールボールなど障害者スポーツ体験事業を引き続き実施します。

教員の勤務環境の改善と働き方改革については、全小中学校に学校事務を補助する職員等を新たに配置することにより、教員が健康でやりがいを持ちながら子どもたちと向き合う時間を確保することで、学校教育の質の維持・向上を図ります。

次に、セーフティネットの整備充実については、「新宿区第4期ホームレスの自立支援等に関する推進計画」に基づき、きめ細かな相談を実施し、必要な生活支援を行った上で施設や住宅の確保等を進めるなど、ホームレス一人ひとりの状況に応じた支援に取り組みます。

次に、女性や若者が活躍できる地域づくりの推進についてです。
男女共同参画社会の実現に向けて、「男女共同参画フォーラム」や啓発講座を開催するとともに、小中学生向けの意識啓発誌を配付するなど、理解の促進を図ります。

また、仕事と生活の調和を図るワーク・ライフ・バランスの実現に向け、引き続きワーク・ライフ・バランスの推進に取り組む企業の認定を行うほか、コンサルタント派遣やセミナーを開催するなど、働きやすい職場環境づくりを支援していきます。

さらに、次世代を担う若者の柔軟な発想や意見、要望を施策に活かせるよう、しんじゅく若者会議の開催や、しんじゅく若者意識調査を実施していきます。

また、「新宿区勤労者・仕事支援センター」では、ハローワーク等の関係機関と連携しながら、障害者や高齢者、若年非就業者、女性に対する総合的な就労支援を推進していきます。

次に、地域の課題を共有し、ともに考え、地域の実情に合ったまちづくりの推進についてです。
地域の課題を解決するためには、顔が見える関係を築き、お互いが協力していくことが重要です。このため、地域コミュニティづくりの核である町会・自治会に対して、コンサルティングを引き続き実施するほか、各種パンフレットの配布やブログ・SNS等の作成支援を実施するなど、加入促進や活性化に向けた支援を行っていきます。

また、タワーマンション特有の課題として、コミュニティの形成の難しさやマンション防災対策への不安などが挙げられていることから、地域コミュニティに関する意識や要望、マンション管理組合活動の状況などを把握するため「新宿区タワーマンション実態調査」を実施しました。この結果を踏まえ、地域コミュニティ施策や良好なマンション維持管理の支援策を検討していきます。

次に、地域での生活を支える取組の推進についてです。
認知症などにより、判断能力が十分でない人でも地域社会の一員として、尊厳を持っていきいきと生活を送ることができるよう、成年後見制度の利用促進に向けた計画を策定します。また、新宿区成年後見センターを中心に、身近な関係者や専門機関との連携を図るとともに、社会福祉協議会による法人後見を推進します。

高齢者等への住まいの安定確保については、区、福祉関係団体、不動産関係団体などで構成される居住支援協議会を今月設立しました。今後、協議会を通じて、関係者との情報共有や連携体制の強化を図っていきます。
さらに、高齢者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、家賃等債務保証料助成を現行の初回保証料のみから、最長10年間の助成に拡大します。また、単身高齢者の死亡に伴う家財の片付け費用等を補償する、保険料の助成制度を新たに開始します。

基本政策の第二は「新宿の高度防災都市化と安全安心の強化」です。
昨年は、大型台風による記録的な豪雨と暴風が、全国各地に甚大な被害をもたらしました。過去最強クラスの台風19号の際には、区は災害対策本部を設置し、自主避難所を開設するなど、対応に取り組みました。
この経験を踏まえ、区民に対する災害情報の伝達、避難所開設の判断や人員体制、関係機関との連携などについて、十分な検証を行うとともに、防災区民組織、地域団体、学校等と連携し、洪水ハザードマップを活用した勉強会を実施するなど、水害に対する防災意識の普及啓発に取り組みます。

阪神・淡路大震災の発生から25年が経ちました。6,434人の尊い命が失われた震災の記憶と教訓を忘れてはいけません。
首都直下地震の切迫性も高まる中、区はこれまで以上にスピード感を持って、災害に強い、逃げないですむ安全なまちづくりを進めていく必要があります。
建築物等の耐震化の推進については、耐震改修工事への助成を拡充し、分譲マンションの耐震化を促進するとともに、改修工事に至っていない木造住宅の所有者に対してのフォローアップ事業を引き続き実施します。
また、ブロック塀の安全化対策については、区内全域の道路沿いで個別訪問等による指導を実施します。

さらに、木造住宅密集地域の解消に向けて、若葉・須賀町地区において、地域の方々のご意見を伺いながら、不燃化に向けた建替えを推進するための新たな手法について検討していきます。また、西新宿五丁目地区の南側エリアでは、まちづくりの検討結果を地域の自主ルールとなる「まちづくり構想」として取りまとめ、防災性と住環境の向上を図ります。

市街地再開発事業では、本年1月に四谷駅前地区が竣工し、防災性の向上と住環境の改善が大きく図られました。また、良好な緑の中に教育・文化・国際交流が息づく四谷の顔となる文化国際交流の拠点を整備しました。4月には「新宿区立四谷スポーツスクエア」を開設し、スポーツ、文化的活動、相互交流及び会議の場を提供することにより、賑わい豊かなまちを実現していきます。
また、西新宿五丁目中央南地区の市街地再開発事業、西新宿五丁目北地区の防災街区整備事業の支援を行います。
さらに、西新宿三丁目西地区、西新宿七丁目地区及び西新宿五丁目南地区では、市街地再開発の事業化に向けた支援を行います。

道路の無電柱化については、「新宿区無電柱化推進計画」に基づき、令和2年度は、女子医大通り、四谷駅周辺区道、水野原通り、上落中通りの整備に取り組み、災害に強いまちづくりと都市景観の向上を図っていきます。

また、橋りょうの整備については、計画的な補修・補強の実施により、健全かつ安全な維持管理を推進します。令和2年度は西新宿の柳橋の補修工事を進めるとともに、中井の美仲橋、下落合の落合橋の補修に着手します。
次に、災害に強い体制づくりについてです。
区民一人ひとりの防災意識を高め、自助・共助による地域防災力を向上させることが必要です。このため、NPO、ボランティア団体、企業等の多様な主体と連携して、子どもや若者、外国人等が気軽に楽しみながら防災について学ぶことができる防災イベントを実施します。このイベントを通じて、地域防災の新たな担い手を発掘・育成していきます。
また、マンションの防災対策については、マンションの自主防災組織に対する資機材助成などを行うことで、防災力の強化を図ります。

さらに、災害時に、配慮を必要とする要介護者や障害のある方などが適切な支援を受けるため、「要配慮者災害用セルフプラン」の普及啓発を進めるとともに、作成を支援します。

近年の大規模地震や大型台風の際には、避難所において配慮を要する方への対応が課題となりました。このため、避難所運営に女性や障害者などの配慮を要する方の視点を取り入れるためのワークショップを開催し、意見を反映させることで、避難所運営体制の充実を図ります。

また、本年3月に策定する「新宿区災害時受援応援計画」に基づき、人的・物的支援の受入態勢を整えるとともに、避難所の備蓄物資の輸送や在宅避難者への物資配給など、災害時の物資運搬体制の強化を図ります。

帰宅困難者対策については、新宿駅周辺の事業者、交通機関、警察・消防等と連携した防災訓練等を実施し、大規模地震発生時の混乱防止のための取組を推進します。

さらに、「新宿区地域防災計画」を見直すことにより、災害時における対応力を高めていきます。
また、大規模な地震や風水害により、大量に発生する災害廃棄物の処理が大きな課題となっています。このため、区民の健康や環境衛生面での安全・安心を確保し、速やかに復旧・復興を図るため、区の災害廃棄物処理に関する基本的事項を定める「新宿区災害廃棄物処理計画」を本年3月に策定します。

次に、暮らしやすい安全で安心なまちの実現についてです。
地域の犯罪を未然に防止するため、町会や商店会に対し、防犯カメラの設置や維持管理に必要な経費を引き続き助成することにより、地域の防犯力向上に取り組みます。

また、区民や来街者が安心して楽しむことができるまちづくりを推進するため、新宿駅周辺の繁華街で地域団体等と連携したパトロールを実施し、悪質な客引き行為等を防止していきます。

さらに、手口が巧妙化、悪質化している特殊詐欺に対しては、区内4警察署と連携し、自動通話録音機の貸出しや、最新の手口、被害防止対策等の注意喚起を行うことで、特殊詐欺の撲滅を目指します。

空家等対策については、「新宿区空き家等の適正管理に関する条例」及び「新宿区空家等対策計画」に基づき、空き家の適正な維持管理の必要性を周知啓発するとともに、所有者などを対象とした相談会を実施するなど、管理不全な空家やいわゆるごみ屋敷等の発生を抑制していきます。

また、近年の外国人観光客の増加に伴い、民泊も増えています。このため、「新宿区住宅宿泊事業等関係機関連絡会」を通じて警察や消防などと情報共有・連携を図るとともに、違法民泊に対する指導・是正を徹底し、届出のあった住宅宿泊事業について適正に運営されるよう、取り組んでいきます。
さらに、夜間における不法投棄やごみの不適正排出を防止するため、改善が必要な地域を選定し、引き続き夜間パトロールを実施することにより、生活環境の向上を図ります。

受動喫煙防止対策については、本年4月から改正健康増進法及び東京都受動喫煙防止条例が全面施行され、飲食店等においても原則屋内が禁煙となることから、制度の普及啓発に努めるとともに、監視指導体制を強化していきます。
さらに、事業者の公衆喫煙所等の設置に対する受動喫煙防止対策助成を、引き続き実施していきます。

また、本年3月に完成予定の新宿駅西口駅前喫煙所のオープンに合わせ、来街者に向け、より一層、路上喫煙禁止の周知等を図るため、路上喫煙禁止パトロールの体制を拡充します。

基本政策の第三は「賑わい都市・新宿の創造」です。
新宿駅周辺のまちづくりについては、「新宿の拠点再整備方針」に基づき、駅や駅前広場、東西のまちをつなぐ新たな人工地盤、駅ビル等の一体的な再編が動き出します。
東京2020オリンピック・パラリンピックの開催に合わせ「新宿駅東西自由通路」が開通し、歩行者の利便性と回遊性が大きく向上します。また、新宿駅東口広場を整備し、安全で快適な歩行者空間の創出に取り組んでいきます。

新宿駅東口地区では、「新宿駅東口地区まちづくりビジョン」に基づき、建築物の円滑な更新を進めながら、賑わいのある歩行者空間の創出に取り組みます。新宿三丁目交差点周辺では、今後の開発計画と合わせ、バリアフリー動線の確保やオープンスペース等の整備に向けた方針づくりに取り組みます。
また、新宿通りのモール化については、道路空間を活用した賑わいの創出、荷さばきの集約化などの社会実験を引き続き実施します。

西新宿地区では、民間活力を活かしたまちづくりに取り組み、新たな賑わいと交流を創出していきます。本年5月に新たなアートの発信拠点となる「SOMPO美術館」が開館し、6月には新宿住友ビルの公開空地を活用した「国際会議場施設」と日本最大級となる「全天候型屋内アトリウム広場」がオープンします。

誰もが安心して楽しめるエンターテイメントシティ・歌舞伎町地区のまちづくりでは、東急ミラノ座跡地において、映画館や劇場、ライブホールなどのエンターテイメント施設や、ホテルなどからなる高層複合施設の整備が進められています。
また、大久保公園やシネシティ広場などの公共空間を活用した賑わいの創出に取り組み、魅力あふれるまちづくりを推進していきます。
さらに、客引き行為等の防止や、不法看板・放置自転車対策、「歌舞伎町クリーン作戦」など、安全・安心対策や環境美化を着実に進めます。

観光客で賑わいを見せる新宿ゴールデン街地区では、地元の皆様とともに、現在の風情を残しながら、防災性が向上するまちづくりを進めます。

本年7月には補助第72号線が全線開通します。
補助第72号線の開通を契機として、高田馬場や大久保・百人町の沿道地域で、地域の特性を活かしたまちづくりを進めます。
高田馬場地域では、まちづくり検討組織を設立し、駅周辺エリアのまちづくり方針の策定に向けて、取り組んでいきます。
また、大久保・百人町地域では、地域の良好な生活環境づくりに向け、大久保通りを中心に環境・混雑対策を引き続き実施します。

次に、地区計画などによる、地域の特性を活かしたまちづくりについてです。
飯田橋駅東口周辺地区のうち、駅前地区では、駅とまちの一体的な整備に向け、民間開発を適切に誘導するための基盤整備方針について検討します。また、放射25号線沿道地区では、用途地域の変更及び地区計画の策定に向けたまちづくりを引き続き進めていきます。

神楽坂地区では、地区計画の手法を活用し、風情のある石畳の路地景観を保全するとともに、建築物の建て替えを促進することで防災性の向上を図ります。

富久地区では、環状第4号線の開通を見据え、住環境や防災性の向上を図るため、地域の皆様とまちづくりの検討を進めていきます。

こうしたまちづくりを進める上で、誰もが利用しやすく、わかりやすい質の高い都市空間を創出することが必要です。このため、ユニバーサルデザインのまちづくりを一層推進する「新宿区ユニバーサルデザインまちづくり条例」を本定例会に上程しています。この条例により、建築等の計画段階から協議を行い、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりを進めていきます。

さらに、高齢者や障害者等が円滑に移動するためには、地域におけるバリアフリー化を一体的に進めることが効果的です。このため、駅や公共施設、公園等を結ぶバリアフリー経路を示す「新宿区移動等円滑化促進方針」の策定を進めていきます。

次に、道路環境の整備についてです。
安全で快適な歩行空間の確保のため、小滝橋通りでは歩道の舗装や防護柵を改修するほか、早大正門前交差点及び周辺区道では道路に滑り止めカラー舗装や減速マークを整備するなど、道路の安全対策を進めていきます。

また、百人町地区の歩道に、高齢者が休憩できる防護柵ベンチを設置することで、高齢者にやさしい道づくりを推進します。
さらに、街路灯の省エネルギー対策として、CO₂の抑制と省エネルギー化を図るため、引き続き小型蛍光灯と大型街路灯のLED化に取り組みます。

次に、交通環境の整備についてです。
「新宿区自転車ネットワーク計画」に基づき、補助第72号線など5路線の自転車通行空間を整備し、歩行者、自転車、自動車が安全で快適に通行できる道路空間を創出します。
また、自転車適正利用の推進については、放置自転車の撤去を行う区域を拡大するとともに、実施日数を増やすことで、自転車が放置されない環境づくりに取り組んでいきます。

さらに、鉄道駅の安全性の向上や快適な利用空間を創出するため、ホームドアやエレベーターの設置を促進します。本年3月までに、
JR新大久保駅にエレベーターが整備されることにより、区内全駅でエレベーターの設置が完了します。また、西武新宿線西武新宿駅と高田馬場駅のホームドアについて、令和2年度の完成を目指して整備を進めるとともに、小田急線新宿駅地下ホームのホームドアについては、令和3年度の設置完了に向けて取り組んでいきます。

次に、豊かなみどりの創造と魅力ある公園等の整備についてです。
新宿中央公園では、「新宿中央公園魅力向上推進プラン」に基づく、カフェ・レストランやスポーツクラブを併設した交流拠点施設と芝生広場が、本年7月にオープンします。また、「眺望のもり」や「新宿白糸の滝」を整備し、新宿中央公園の魅力をさらに高めていきます。

みんなで考える身近な公園の整備では、落合地域にある、やよい児童遊園について、地元の方々とのワークショップにより作成した再整備計画に基づき、誰もが安心して楽しめる使いやすい公園づくりを進めていきます。

また、「みどりの実態調査」を実施し、これまでの緑化推進施策を検証するとともに、今後の施策に反映するための基礎資料として活用していきます。

次に、地球温暖化対策の着実な推進については、地球温暖化に対する区民への意識啓発を図り、CO₂削減につなげるため、省エネルギー機器の設置に対する助成の対象に住宅用蓄電池システムを新たに加えるほか、中小事業者への省エネルギー行動を促進、支援します。
さらに、伊那市、沼田市、あきる野市にある3つの「新宿の森」でCO₂の削減に向けたカーボン・オフセットを行うとともに、環境保全体験への参加促進などに、引き続き取り組みます。

また、リサイクルの推進やごみの減量を促進するため、資源とごみの分別を周知徹底し、資源回収に取り組むとともに、集団回収を実践する団体に対し引き続き支援を実施します。
さらに、「食品ロス削減協力店登録制度」や「フードドライブ」などを実施し、食品ロス削減に向けた意識の啓発に取り組んでいきます。

次に、活力ある産業が芽吹くまちの実現についてです。
地元に愛される商品や新たな価値・魅力を創造する商品などを「しんじゅく逸品」として登録し、新宿観光振興協会と連携した「しんじゅく逸品マルシェ」などで広く普及させることにより、しんじゅくブランドの創出につなげます。
また、優れた技術・技能を持つ方を、新宿ものづくりマイスターとして認定し、その取組を動画で広く配信するなど、区内のものづくり産業の振興を推進していきます。

さらに、若者のアイデアを活かした創業を促進するため、「新宿ビジネスプランコンテスト」を開催するほか、区内企業の技術力を活かした新事業の創出を支援するため、新製品・新サービスの開発に対する助成を実施していきます。

また、人手不足に悩む区内中小企業の人材確保と、復職を希望する女性などの就労支援を行うため、しごと探しサイトの運営や合同企業説明会、セミナーなどを開催し、求職者と中小企業のマッチング強化を図ります。

次に、魅力ある商店街の活性化に向けた支援についてです。
商店会等が実施するイベントや商店街路灯の建替えなどに対して、引き続き助成を行います。

また、商店会情報誌「新宿商人」の発行や、区内大学等との連携・交流による商店街支援を進めることにより、商店街のさらなる魅力づくりを促進していきます。

さらに、商店街を訪れる訪日観光客の利便性の向上と、受入れ体制の強化を図るため、商店街の店舗の案内看板やメニュー、ホームページ等の多言語対応にかかる経費を助成し、支援していきます。

次に、まちの歴史や記憶、文化、芸術など多様な魅力による賑わいの創造についてです。
多様な文化芸術イベントを集約した「新宿フィールドミュージアム」や、都市型音楽フェス「―Shin音祭―(しんおんさい)」、華道や茶道等の日本の文化を体験できる「和を伝えるプログラム」を開催するなど、新宿のまちの魅力を創造・発信していきます。

漱石山房記念館では、漱石に関連した講演などを行う「九日会」やアニメ等を活用したイベントの開催、オリジナルグッズの作成などに取り組むほか、漱石をはじめとする新宿にゆかりのある文化人の企画展などを開催し、その魅力を広く発信していきます。

国際観光都市・新宿としての魅力の向上については、本年4月から「観光資源情報検索システム」の運用を開始し、区内にある文化財や文化施設、パブリックアートなど多彩な観光資源の情報や周遊コースガイドなどを発信するとともに、「新宿フリーWi-Fi」を広く周知し、来街者の利便性の向上に努めていきます。

次に、生涯にわたり学習・スポーツ活動などを楽しむ環境の充実についてです。
東京2020大会への気運醸成や共生社会の実現に取り組むため、子ども・成人向けのかけっこや水泳教室のほか、ボッチャなどのパラリンピック競技種目の体験教室を開催するなど、ライフステージに応じ、誰もがスポーツに親しむことができる機会を創出します。

また、「新宿区スポーツ施設整備基金」を活用し、西戸山公園野球場と落合中央公園庭球場の人工芝の張替や照明のLED化など、快適にスポーツができる環境を整備していきます。

次に、多文化共生のまちづくりの推進についてです。
暮らしのルールやマナーなどの生活情報等に関する映像を多言語で配信し、外国人住民が円滑に日本での生活をスタートできるよう支援していきます。また、映像の配信にあたっては、日本語学校と連携した周知や新宿生活スタートブックに映像につながるQRコードを掲載するなど、より効果的な取組を進めていきます。

次に、平和都市の推進についてです。
新宿区平和都市宣言の趣旨に基づき、「平和コンサート」や「親と子の平和派遣」などの平和啓発事業を引き続き実施するとともに、本年6月には、区立中学2年生全員を対象とした被爆者の体験講話を実施するほか、令和3年3月には、新宿区平和都市宣言35周年を記念して「平和のつどい」を開催するなど、戦争の悲惨さと平和の尊さを多くの方々に末永く発信していきます。

基本政策の第四は「健全な区財政の確立」です。
区政を取り巻く社会経済情勢が大きく変化し、行政需要が多様化・複雑化する中、質の高い行政サービスを実現していくためには、限られた行政資源を有効活用し、事業の在り方を常に見直していくことが必要です。

このため、行政評価制度や新公会計システムの活用などにより、実行計画をはじめとする事業の見直しや次年度予算編成への反映をより一層徹底し、行財政運営におけるPDCAサイクルを強化していきます。

また、効果的・効率的に業務を推進していくため、窓口サービスや業務手順の見直しを図るとともに、RPA等のICTを活用した事務作業の自動処理化について検討を進めることにより、「スマート自治体」の実現に向け、取り組んでいきます。

さらに、民間の柔軟な発想や専門性を活かすため、民間からの事業連携に関する相談や提案に応じるための専任の窓口を設置し、民間提案制度の導入に向けた検討を行い、公民連携のさらなる推進を図ります。

区有施設については、「新宿区公共施設等総合管理計画」に基づき、維持管理・更新・統廃合・長寿命化などを総合的かつ計画的に行い、施設マネジメントの強化を図ります。令和2年度は、区立小中学校、スポーツ施設等について個別施設計画の策定を進めていきます。

牛込保健センター等複合施設については、生活実習所の定員拡大等を図るため、令和6年度の開設を目指して、整備を進めます。
また、旧都立市ヶ谷商業高等学校跡地については、特別養護老人ホーム等の高齢者施設の設置、災害発生時に一時的に避難できる防災広場の整備、隣接する牛込第一中学校の老朽化に伴う建替え等、具体的な活用を検討していきます。

基本政策の第五は「好感度1番の区役所」です。
行政サービスの向上を図るため、本年4月から、特別区民税・都民税、軽自動車税、国民健康保険料に「クレジット納付」と「ペイジー納付」を導入し、区民の皆様の利便性を高めます。また、介護保険料についても令和3年度からの「クレジット納付」導入に向け、取り組んでいきます。

さらに、区が保有する公共データを誰もが利用できるよう運用しているオープンデータカタログサイトについては、公開するデータを増やし、区民や民間団体によるデータの活用を促進することで、協働による地域課題の解決に取り組んでいきます。

職員の能力開発、意識改革の推進については、社会経済情勢の変化や行政需要の多様化・複雑化に的確に対応していくため、「新宿区人材育成基本方針」に基づき、職員の職務知識や法令等の基礎的能力を向上させるとともに、職員一人ひとりの能力と個性を最大限に活かすことができる職場づくりを進めます。

総務省の「自治体戦略2040構想研究会」では、高齢者人口がピークを迎える2040年を見据えた自治体の課題を解決するための方向性を示しています。これを踏まえ、新宿自治創造研究所では、令和2年度の研究テーマを「2040年を見据えた新宿区の姿」とし、区の課題や取組の方向性などの研究を行います。
また、新宿自治創造研究所や人材育成センターを活用した研究・研修を充実することで、区民の視点で考え、地域の実情に応じた施策を立案し実行できる職員を育成していきます。

地方分権改革については、引き続き、国から地方への権限移譲を進めるとともに、税源移譲等による適切かつ確実な財政措置を講じるよう国へ要望していきます。

いよいよ東京2020オリンピック・パラリンピックの開催の年となりました。
区では、大会開催に向け「新宿区東京2020大会区民協議会」における情報共有や意見交換を重ねて、この大会が未来を担う子どもたちをはじめ、多くの区民の皆様の記憶に残るよう、各地域で様々な気運醸成、普及啓発に取り組んできました。

昨年よりスタートした独自のボランティア制度「新宿2020サポーター」には多くの方々に登録していただき、区主催のイベントで活躍していただいています。
こうしたボランティア体験をきっかけに、大会後も様々な社会貢献活動に関わり、地域を支える担い手となっていただけるよう、ボランティアへの参加の促進や活躍の場の創出に取り組んでいきます。

また、「新宿区東京2020オリンピック・パラリンピック区民参画基金」を活用し、大会の気運醸成に資する区民の皆様の自主的な活動に対して引き続き支援していきます。

大会開会へのムードが高まるセレモニーである聖火リレーについては、オリンピックではゴール地点として、パラリンピックでは都内のスタート地点として新宿区内を走ることになりました。
区では、聖火リレーイベントを実施し、大会開催までの期待感を高めていきます。

さらに、大会期間中は、競技中継に加え、会場でステージイベントなどを行う「コミュニティライブサイト」を実施し、区民の皆様が一体となって大会の感動と興奮を共有できる場を創出します。

さて、本年3月には、新宿通りを中心に「新宿パレード2020」を実施します。区民が主役となったパレードを皮切りに、区立小中学校の児童・生徒による吹奏楽や、鉄砲組百人隊、阿波踊り、東京五輪音頭など、出演や観覧等の形で多くの区民の皆様にご参加いただき、東京2020大会への関わりを共有できるよう取り組んでいきます。

こうした一連の大会気運醸成事業や、ユニバーサルデザインに配慮したまちづくりの推進を通じて、今大会のレガシーを新宿のまちづくりとして活かしていきます。

3.2 令和2年度予算の概要

次に、令和2年度の予算案についての基本的な考え方を申し述べます。
はじめに国及び都の令和2年度予算案についてです。

政府の令和2年度予算案は、全世代型の社会保障制度の構築に向け、消費税増収分を活用した高等教育の無償化、医療・介護分野の取組の充実、東京2020オリンピック・パラリンピック後を見据え、個人消費や投資を下支えする経済対策の着実な実行などへ財源を重点的に配分する一方、国債発行額を8年連続で縮減するなど歳出改革の取組の継続により、経済再生と財政健全化の両立を目指す予算となっています。
一般会計予算は102兆6,580億円で、前年度と比較して1兆
2,009億円増となり、8年連続で過去最大を更新しています。
税収は63兆5,130億円で、前年度と比較して1兆180億円増となっています。

また、東京都は令和2年度予算を「東京2020大会を確実に成功させるとともに、『成長』と『成熟』が両立した、輝ける『未来の東京』を創る予算」と位置づけています。
都税は5兆4,446億円で、前年度と比較して585億円、
1.1%の減となっています。一般会計の予算規模は7兆3,540億円で、前年度と比較して1,070億円、1.4%の減となっています。

続いて、区の令和2年度予算案についてです。
令和2年度予算は、編成の基本方針を「第一次実行計画の総仕上げとともに、財政環境の変化に柔軟に対応し、現下の区政課題の解決に向け着実に前進する予算」と位置付け、第一に、社会経済情勢の動向を的確に見極めながら、第一次実行計画の目標達成とともに、限られた財源の重点的、効果的な配分により喫緊の区政課題に対応すること、第二に、行政評価や決算実績などに基づくPDCAサイクルによるすべての事務事業の見直しや徹底した歳出削減に取り組むとともに、財源の的確な補そくによる一層の歳入確保を図ること、この二点を基本に編成しました。
一般会計予算は1,540億円で、前年度と比較して32億円、
2.1%の増で、過去最大規模となりました。3つの特別会計は合計
708億円で、前年度と比較して11億円、1.6%の増となり、一般会計と合わせた令和2年度予算案の総額は2,248億円で、前年度と比較して43億円、1.9%の増となりました。
将来にわたり良質な区民サービスを提供し続けるためには、安定した財政基盤を確保しなければなりません。そのためには、業務の効率化や生産性の向上、公民連携のさらなる推進、公共施設マネジメントの強化などに取り組むことが重要です。
常に区民の視点で、不断の行財政改革に徹底して取り組み、持続可能な行財政運営に努めていきます。

4 おわりに

以上、区政の基本方針と施策の大綱について、所信の一端を申し述べてまいりました。

区政を取巻く社会経済情勢は目まぐるしく変化しており、区に求められる行政サービスも多様化・複雑化しています。
今後も、私の区政に対する2つの基本姿勢である「現場・現実を重視した柔軟かつ総合性の高い区政」と「将来を見据えた政策の優先順位を明確にした区政」のもと、持続的に発展し続ける新宿のまちの創造に向けて、全力で取り組んでいきます。

議会並びに区民の皆様のご理解とご支援を心からお願い申し上げまして、区政の基本方針説明を終わらせていただきます。

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